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(回答先: オバマ、ロムニー両氏が税制・財政で舌戦 米大統領選が本格化 新人代議員はオバマ再選をこう見る 投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 10 日 19:42:25)
ダイアモンド氏去りダイモン氏無事な理由-コーハン
9月11日(ブルームバーグ):ウォール街に象徴される金融機関の幹部で、不祥事にもかかわらず生き残る者とそうでない者がいるのはなぜだろう。
ボブ・ダイアモンド氏は英国の銀行バークレイズがロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の操作問題で米英当局から2億9000万ポンド(約360億円)相当の制裁金を科された数日後に最高経営責任者(CEO)辞任に追い込まれた。一方、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは少なくとも60億ドル(約4700億円)の損失を同行が出した後も生き延びている。
ゴールドマン・サックス・グループが米証券取引委員会(SEC)から2010年4月に提訴された民事事件で和解するため5億5000万ドルを支払っても、誰もロイド・ブランクファインCEOの辞任を要求しなかったのはなぜだろう。この和解金は当時、ウォール街の金融機関がSECに支払った中で最高額だった。ゴールドマンは上院常設調査小委員会を率いるカール・レビン議員(民主、ミシガン州)による入念な調査の対象にもなった。同議員は10年4月の1日がかりの公聴会で、ブランクファイン氏と幹部らをゴールドマンの住宅ローン担保証券(MBS)販売に関してつるし上げた。ブランクファイン氏にとって楽しい体験ではなかったが、少なくとも失職にはつながらなかった。
なぜダイアモンド氏は職を失い、ダイモン氏とブランクファイン氏は無事だったのか。3人ともそれぞれの会社で起きたことについて、内部調査と政府による調査の対象になった。11年1月にゴールドマンの内部委員会は同社のビジネススタンダードと改善方法についての報告を公表した。今年の夏にダイモン氏は米上下両院の委員会で証言したが、いずれでもたいへん丁重な扱いを受けた。これに対してダイアモンド氏は、辞任の翌日に英議会で厳しく追及された。
議会も調査
ブルームバーグ・ニュースは、レビン議員の小委員会がJPモルガンと同行で「ロンドンの鯨(くじら)」の異名を取ったトレーダーの損失を次の詳細な調査の対象に選んだと報じた。同行経営陣も調査を完了し、チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部門で異例の監督不備があり取引資産の評価で違法な誤りがあった可能性もあると結論付けた。さらに、エクソンモービルCEOだったリー・レイモンド氏に率いられて、取締役会は問題点をあぶりだすための別調査も開始した。
バークレイズとJPモルガン、ゴールドマンはいずれも、不祥事によって評判がいたく傷ついた。CEOらは3人ともおおむね、社内に大きな問題点があったことを認めるのにやぶさかではなかった。(もっともレビン議員はブランクファイン氏が議会を欺くような証言をしたと批判してはいる)。不祥事はまた、JPモルガンとバークレイズの株主に数十億ドルもの損失を与えた。JPモルガンでは時価総額にして約250億ドルが消え、バークレイズは当局との合意発表直前から7月25日の底値までの間に時価総額の30%が失われたからだ。
バークレイズ株価は回復
ただ、バークレイズ株主の損失はほぼ解消された。現在の株価はLIBOR操作をめぐる調査が公になる前よりも高い。にもかかわらず、ダイアモンド氏1人が職を失った。
英下院の8月9日の暫定報告により、ダイアモンド氏の辞任を促したのは株主ではなかったことが明らかになった。
マーカス・エイジアス会長は議会で、「ダイアモンド氏の辞任という結果は、株主が決して望まなかったものだ」と語った。「株主は同氏を非常に有能なCEOだと考えていたため、同氏の辞任は望まなかった」と説明した。
ではダイアモンド氏を辞任に追い込んだのは誰だったのだろう。議会報告によればその答えは、バークレイズを監督する2つの機関、英金融サービス機構(FSA)とイングランド銀行(英中央銀行)のトップだ。7月2日の午後6時にエイジアス会長は英中銀のキング総裁の部屋に呼ばれ、既に辞意を表明していた同会長だけではなくダイアモンド氏も辞任する必要があると言い渡された。
エイジアス会長は議会で、キング総裁とのやりとりで「ダイアモンド氏が当局者の支持を失ったことを極めて明確に認識した」と証言した。キング総裁は、バークレイズに命令する権限は自身にないと認めた上で、「どのような状況であるかを明瞭な言葉でバークレイズに伝えることが十分に重要だと感じている」と伝えたという。FSAのターナー長官は6月29日に同様の内容をエイジアス会長に告げていた。
金融危機とその後遺症の時期を通して、英当局は米国に比べ、説明責任や報酬払い過ぎ、インセンティブ、資本要件についてはるかに厳しい姿勢を取ってきた。なぜだろう。よくは分からないが、キング総裁やターナー長官がダイアモンド氏にしたのと同様に、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長またはシャピロSEC委員長がダイモン氏やブランクファイン氏に辞任を迫るところを想像するのは極めて難しい。
オバマ米大統領がシャピロ氏をSEC委員長に指名する前、同氏がウォール街の自主規制団体である金融取引業規制機構(FINRA)の責任者だったことも言及に値する。同氏が去る際、FINRAの理事会は900万ドルの退任ボーナスという忘れがたい贈り物をした。ダイアモンド氏が職を失った一方でダイモン氏とブランクファイン氏が生き残っているのは偶然だろうか。(ウィリアム・D・コーハン )
(ウィリアム・D・コーハン 氏は元バンカーで、「Money andPower: How Goldman Sachs Came to Rule the World(マネー・アンド・パワー:ゴールドマンはどうやって世界の支配者になったか)」の作者で、ブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Why Some CEOs Survive Scandals on Wall Street: William D.Cohan(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Stacey Shick sshick@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Toby Harshaw tharshaw@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/12 06:11 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MA6HKE6TTDSV01.html
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