http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/455.html
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「ヨーロッパを破壊するのに最善を尽くす」
BY PAUL KRUGMAN
以下の文は、Paul Krugman,”Doing Their Best to Destroy“の翻訳になります。誤字・誤訳の指摘はコメント欄にお願いします。
マーティン・ウルフが辛らつだ(そして、それは正しい):
今の今まで、僕はあの1930年代がどのようにして起こったのかはっきりとは分かっていなかった。今、僕は分かってる。それに必要なのものと言えば、脆弱な経済、硬直的な金融制度、何をすべきかをめぐる極端な論争、苦しいことはいいことだとする広くはびこる信念、近視眼的な政治家、協調できないこと、物事を前に進めることができないことなどだ。
“
彼がそれを書いたのは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が利下げを拒絶し、助けとなるようなその他の政策を採ることも言明しなかった時だ。その理由ときたら、行動など取るべき理由などまったくありそうにない、というわけだ。
http://graphics8.nytimes.com/images/2012/06/06/opinion/060612krugman1/060612krugman1-blog480.jpg
調査データは、ユーロ圏が現在本当に落ち込んでいること、それに加えてスペインが崖っぷちにいることを示している。インフレはどうなった? 急速に低下している――現下の状況では悪いことだ。
ECBの決断にはなんらの納得できるような経済学的ロジックがあるとは思えない。それは、たとえ暗黙的であれ、過去の決断が間違っていたことを認められないからとしか考えようがない。
マーティン・ウルフと同様に、僕もだんだん1930年代がどんなふうに起こったのか分かってきた。
http://econdays.net/?p=6671
「共和党の知的堕落、金融版」BY PAUL KRUGMAN
以下の文は、Paul Krugman,”GOP Intellectual Decline, Monetary Edition“の翻訳になります。誤字・誤訳の指摘はコメント欄にお願いします。
共和党員――その他の彼らの考えがどんなものであれ――が金融政策に関して、主流派による総意と一体化するまでには時間――そう長いものでもないが――があった。これは、おそらくグレッグ・マンキューによって書かれた2004年の大統領経済報告書。
積極的な金融政策は景気後退が深刻化するのを和らげることができる。
“
だが、今や、ミット・ロムニーは、えー、景気後退と戦うために積極的な金融政策を採っている(十分なほど積極的なものではないが、それは別の問題だ)ことで、ベン・バーナンキを替える意思があると宣言した。ロムニー:
私は、連邦準備銀行が強いドルと、アメリカは他の国のような危険な道を下ってはいないという信頼感をもたらす通貨の安定の維持に焦点を当てることを確かにしたい。
“
そして、報道によると、共和党の綱領の中に金本位制の復帰へと向かうことを求める項目が含まれていると言う。
これが本当に奇妙なのは、このハードマネー神秘主義への回帰が、金本位制を採らない事の優位性、もしくは緊急時に自由に発行できる不換紙幣を持つことの優位性が標準的な分析よりもずっと大きいことが現実の出来事として示されている中で起こってることだ。
マーク・トーマが僕の昔のポストにリンクを貼っているが、そこでは標準的なケースについて良く描けていると思う。だが、今では他にも重要な事案、中央銀行が民間銀行だけでなく政府に対しても最後の貸し手として行動する能力があると分かっている。ポール・デ・グラウウェによる、この危機の間に発表された最も重要な分析の一つである、スペインとイギリスのコントラストについて考えてほしい。これら2国の中期的な財政展望は少なくともIMFによると同等のものだ:
http://graphics8.nytimes.com/images/2012/08/24/opinion/082412krugman2/082412krugman2-blog480.jpg
ソース:IMF
だが、借り入れコストはスペインで急上昇している一方、イギリスでは急下降している:
http://graphics8.nytimes.com/images/2012/08/24/opinion/082412krugman3/082412krugman3-blog480.jpg
ソース:ユーロスタット
だから、共和党は、不換紙幣が本当に有用なものであり、不換紙幣を廃止してその柔軟性を失うことになればすごく悲惨なことになりうることが現実の出来事により示されているまさにその時に、不換紙幣の悪徳を拒絶して、金本位制に向かわないといけないと決め込んでることになる。一体何が起こっているのか?
イグレシアスはこの点を正しく捉えていると思う:
財で担保された貨幣は基本的に何の問題にもなってないことへの解決策だ。少なくとも、市場の成果に対して酷くランド的な道徳観を持っていない人には、それは何の問題にもならない。不換紙幣が存在することはその種のイデオロギーを困惑させる。だから、代替策自体に意味がなくても、現代的な中央銀行制度に代わるものを追い求めることになってしまう。
“
この意味で、不換紙幣は社会保障に似ている。保守派にとって、それが機能しないから問題になるのではなく、それが機能するからこそ問題になる――それは彼らの哲学の邪魔になるから。だからこそ、それは消え失せないといけないのだと。
http://econdays.net/?p=6994
クルーグマン「メディケアとメディケイドの費用(自分用ポスト)」(ブログエントリ,2012年8月28日)
個人的に今後参照するためにも:伝統的なメディケア〔州が直接に提供〕とメディケア・アドバンテージ〔MA; 民間業者が提供〕の比較と,メディケイドと民間保険の比較.
メディケイド・アドバンテージについてすぐ利用できる情報源には,公式の Medpac 報告書 (pdf) がある.これは正しく MA プランの費用が伝統的メディケアより平均で7パーセント高いとしている.ほんの数年前なら,これは別にプレミアムじゃなかった.あきらかに (pdf),メディケアの方針に加えられたいくつかの変更によって,たまたま MA プランの方が有利になってしまったからだ.これまでは MA のプランは拡大しているけれど,そのうちわかるだろう.
アーバンインスティチュートによる研究や,もっと新しいところで CBPP による研究をみると,メディケイドは民間保険よりも大幅に安上がりだ.これは,ひとつには管理費用が低いからでもあるし,メディケイドはメディケア以上に激しく交渉している.たとえば限定された処方集を利用していて,そのため,メディケイドは薬品価格をめぐって厳しい交渉をしないといけなくなっている.
それに,もちろん,国際的な証拠もある:他の先進国はどこだってアメリカより保険システムの民営化をおさえている.で,ぼくらの方が他のドコよりも費用が高くついてる.
これまで何度となく言ってきたように,メディケアのバウチャー化によってシステムがもっと効率よくなるって説を支持する証拠なんてカケラもありゃしない.その正反対だもの.
http://www.medpac.gov/documents/Jun12DataBookEntireReport.pdf
http://www.commonwealthfund.org/~/media/Files/Publications/Issue%20Brief/2011/Mar/1491_Biles_Medicare_Advantage_era_hlt_reform_ib.pdf
http://krugman.blogs.nytimes.com/2012/08/28/medicare-and-medicaid-costs-utility-post/www.cbpp.org/cms/index.cfm?fa=view&id=429
http://www.oecd.org/els/healthpoliciesanddata/oecdhealthdata2012-frequentlyrequesteddata.htm
(Paul Krugman, “Medicare and Medicaid Costs (Utility Post),” The Conscience of a Liberal, August 28, 2012, 12:52 PM)
(Paul Krugman, “The Comeback Skid,” New York Times, August 26, 2012)
クルーグマン「ニュージャージーの復活話は落ち目:クリス・クリスティーという法螺吹き」(NYT,2012年8月26日)
共和党全米大会には大スターが2人でてくる.とは言っても,どちらもミット・ロムニーじゃあない.1人はもちろんポール・ライアン,ロムニー氏の副大統領候補だ.もう1人はニュージャージー州知事クリス・クリスティー.彼が基調演説をする予定だ.2人ともこの上なくちがって見えるし話してることも大違いに聞こえるかもしれない.でも,この2人は一皮むけば兄弟みたいなもんだ.
「どういうことさ?」 2人とも細心の注意を払ってタフで厳しい決断もやってのける財政的に責任感あふれる人物像を世間に広めてきた.そして,どちらの世間の人物像も,完璧に事実と違っている.
このところライアン神話をたたきつぶす文章はたくさん書いてきたことだし,今日はクリスティー氏の方をとりあげよう.
クリスティー氏が2010年1月に当選を果たしたとき,ニュージャージーは他の多くの週と同じく厳しい財政事情に見舞われていた.経済が不況に落ち込んだおかげだ.連邦政府とはちがって,州は毎年おおむね均衡財政をやらなきゃいけない仕組みになっている(ただし,会計上のからくりを使う余地はある).そこで,他の州知事たちと同じく,クリスティー氏も財布の紐を締めるのに取り組むほかなかった.
ここまではふつうの話:クリスティー氏は財政上の厳しい決定についてあれやこれやとにぎやかな発言をしてきたけれど,それは他の州知事たちも同じことだ.また,クリスティー氏は会計上のからくりの利用を控えたりしなかった:これまでのニュージャージー州知事たちと同じく,クリスティー氏も財政赤字を埋めるために州の年金基金に必要とされている拠出を遅らせてみたり(事実上これは未来からの借金に等しい),赤字予算を取り繕うために道路信託基金みたいなところからお金を回してみたりしてきた.
クリスティー氏のもとにニュージャージーでなされた財布の引き締めに特有の特徴があるとしたら,それは不思議なくらい選別的なところがあるっていう点だ.同州とマンハッタンをつなぐ鉄道トンネルをもう1本通すプロジェクトは何が何でも必要だとされているけれど,知事はこれを中止した.その一方で,メドウランズの巨大モールやアトランティック・シティのカジノには州の予算を投資している.
また,彼のプログラムの多くは支出削減を盛り込んでいる一方で,低所得労働者や住宅所有者には税控除を削減して事実上の増税を課している.でも,大金持ちへの一時的追徴金には拒否権を発動する一方で,州のガソリン税引き上げは拒んでいる.このガソリン税は,アメリカで3番目に低い税率で,近隣の他の州よりもはるかに低い.どうやら,一部の人たちだけが犠牲を求められているらしい.
でも,すでに言ったように,厳しい決断を下す意志をもっていますよという話となると,クリスティー氏は実にうまいことを言う(しかも大声で).支出削減に関して大きな決断をしましたよ,と言い張る――ちなみに,この言い分について PolitiFact はきっぱり虚偽だと宣告している.さて,過去1年間,彼は自分の言い分はまさに厳しい決断の成果だと吹聴してきた:同州の経済を回復させたと称する「ジャージーの復活」がそれだ.
でも,おかしなことに,クリスティー氏は報道陣に「ジャージーの復活」という言葉を基調演説では使わないと発言している.その理由は理解に苦しまない:この復活とやらは,このところ落ち目になってるからだ.それどころか,最新の数字を見ると,同州は全米で下から4番目にひどい失業率になっている.とくに目を見張るのは,ニュージャージーの 9.8 パーセントという失業率は長らく苦境にあるミシガン州よりも大幅に高い点だ.ミシガン州の方こそ,共和党が反対していた自動車産業救済のおかげで実際に回復を遂げているんだ.
さて,だいたい州知事は短気の経済業績にはたいして影響力をふるわないものだ.だから,ニュージャージー経済が落ち目になってるのも,実はクリスティー氏の落ち度じゃあない.それでも,彼は同州の回復が正当化すると称する政策を打ち出している.
ジャージーの復活であれこれ吹聴されてきた話は,たんなる大法螺じゃあなかった(まあ大法螺なのは確かなんだけど).あれは,好況に転じてきたぞ,歳入は急増しているぞ,いまこそクリスティー氏が真に求めているものをやるべきときだ,ということを実証しているんだとされていた.で,彼が真に求めているものってのは,所得税の大幅減税だ.
かりにこの復活とやらが事実だったとしても,これはあまりにも疑わしい考えだ.あらゆる点で見て,ニュージャージーはいまだに大きな構造赤字を抱えている.つまり,経済が回復したときにも永続するような赤字を抱えている.さらに,クリスティー式の減税案だと,中流階層にはほとんどなんにもならず,富裕層だけが優遇措置を受けることになる.
ともあれ,好況に転じてなんていないし,減税を正当化するとされる歳入急増も起きていない.「じゃあ,責任感あふれるクリスティー氏は約束した歳入の増収が実現するまで自分の減税プランを延期するのを受け入れているんですよね?」 まさか.
こうなると,ポール・ライアンと比較したくなる.世間もようやく認識し始めているようだけど,ライアン氏の正体は財政詐欺師で,口では赤字削減を心に誓っていると吹聴しているけれど,実際には富裕層減税の方を優先している.たしかにクリスティー氏はこれとちがった個人的流儀の持ち主ではあるけれど,彼もやってることは同じだ.
つまり,どっちもどっちで大法螺野郎なのに大差ないってこと.またぼくらが法螺に引っかかることがないことを祈るとしよう.
(Paul Krugman, “The Comeback Skid,” New York Times, August 26, 2012)
hirooyamagata
ポール・ライアンはダメダメではあるんだがウィキリークス問題では少しいいことも言ってるし、あっちをたてればこっちが立たず……
ライアン氏:米経済を修復する時間がなくなりつつある−共和党大会
8月29日(ブルームバーグ):米共和党の副大統領候補、ライアン氏は29日、ロムニー氏が大統領になれば、「数字と勢いがわれわれを圧倒する前に」、経済を修復するだろうと語る。
・ライアン氏は共和党大会での演説原稿で「われわれには多くの時間は ない」と指摘・ロムニー氏はオバマ大統領の主要政策である医療保険改革法を撤廃す るだろう・「われわれは困難な問題を避けず、指導力を発揮する。4年間を他人 を批判することに使わない。責任を取る」
記事についての記者への問い合わせ先:Washington Kim Chipmankchipman@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:麗英二 Eiji Toshietoshi@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/30 07:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9JFNK6JIJV801.html
共和・ロムニー氏、「日本」言及この1か所だけ
【タンパ(米フロリダ州)=白川義和】米共和党大会は28日、同党の大統領候補にミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(65)、副大統領候補にポール・ライアン下院議員(42)を指名し、ロムニー氏の政権構想となる党綱領も採択して、11月の大統領選への態勢を整えた。
綱領の外交・安全保障政策は、「強いアメリカ」を志向する一方、「日本」についての言及は1回しかなく、対日関係への意識の低下もうかがえる。
ブッシュ前大統領が当選した2000年と再選された04年、ジョン・マケイン上院議員が立候補した08年の大統領選で、共和党の綱領は一貫して「日米同盟はアジアの平和や繁栄の礎」と指摘し、日本の重要性を強調してきた。
しかし、今回の綱領では「我々は『太平洋国家』であり、すべての環太平洋諸国と経済的、軍事的、文化的関係を持つ」とし、具体的な相手国として韓国、フィリピン、オーストラリアと共に日本を列挙するにとどまっている。定番だった日米同盟への言及はなく、ブッシュ政権で対日政策を担ったアーミテージ元国務副長官ら知日派の影響力の低下も指摘される。
(2012年8月30日08時12分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120830-OYT1T00221.htm
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