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(回答先: ユーロ一時94円台に急落、約11年ぶり安値−欧州債務懸念で ギリシャが再び危機の焦点-離脱観測再燃 投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 23 日 12:35:53)
窮乏化以外に道はなし 一段の賃金削減迫られるギリシャ国民
2012年 7月 20日 19:29 JST
記事
【コモティニ(ギリシャ)】ギリシャがユーロに加盟した当時、当地の工業団地には90近い工場が稼働していた。現在操業しているのはわずか26工場だけだ。
この産業の衰退著しいギリシャ北部沿岸の蚊だらけの平地は、ユーロが南欧の経済問題をいかに悪化させ、なぜ緊急の欧州首脳会議だけでは同地域の経済危機を是正できないかを物語っている。
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Marianna Kakaounaki/The Wall Street Journal
ディミトリス・ペタスさんは自社工場の労働者に賃金カット受け入れを要求している
ギリシャは、現在財政支援を必要としているほかのユーロ加盟国と同様に、欧州や世界各国との競争に苦戦している。安価な融資と構造的問題により、国内の物価と賃金は同国の製品群が正当化できる以上の速さで上昇した。自国通貨の切り下げによって自国製品の外国市場での価格を押し下げることができないギリシャは今、賃金と物価押し下げによる、過酷な「内的切り下げ」の実施に乗り出す必要がある。
「われわれが通貨によって欧州と1つになったとき、多くのギリシャ人はわれわれは皆1つの経済になると考えていた」と、ディミトリス・ペトサスさん(60)は話す。ペトサスさんの下着工場はコモティニの数少ない生き残りの1つ。さらにペトサスさんは、「積極的に輸出をし、ドイツや欧州中核国からユーロをギリシャに流入させなければならないことをわれわれは忘れてしまった」とし、代わりに「中核国に身ぐるみはがされてしまった」と話す。
ペトサスさんは今、中国やインドとの競争し烈化に対応するため、全社的なコストを削減し、アンダーシャツとボクサーショーツのドイツへの輸出を回復させるため、工場労働者に最大30%の賃金削減を受け入れるよう要求している。だが問題は「従業員の大半は住宅や自動車ローンなどの債務を抱えていることだ。賃金をカットすれば生きていけない」と、ペトサスさんは話す。
ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアはいずれもペトサスさんの工場と同じような困難な再生への道に直面している。巨額の公的・民間債務を苦心して返済しつつ、賃金と物価を同時に引き下げなければならない。
このような再生が成功した例はほとんどない。先進国では通常、賃金が下がるのはリセッション(景気後退)が長期化し、大量の失業者が出たときだけだ。そのような場合でも、賃金はゆっくりと下がっていく。ギリシャでは、そのような貧窮化に対して国民の怒りが爆発し、国家は統治能力が失われる危機にひんしている。
さらに厄介なことには、危機に陥った国の所得が減り、経済が縮小すればするほど、国の債務返済能力に対する金融市場の信認は失われ、銀行や国債市場からの資本逃避にますます拍車がかかることになる。
もしユーロ解体が起こるとすれば、財政規律の緩さや政治的な決断力の欠如がその根本原因ではないだろう。苦境に陥る国々がユーロ加盟国であることに加え、ドイツの自らの経済に対するアプローチによって、それらの国に唯一残された再生の道が、一部エコノミストが社会的、政治的、財政的にほとんど実現不可能であると主張する方法しかなかったことが原因だ。
多くのエコノミストは、ドイツはそれらの国の再生を手助けできるとしている。それには、消費拡大によって内需や輸入を増加させるか、インフレの相当な高進を容認することで地中海沿岸諸国の賃金の比較競争力を上げさせる方法がある。だが、ドイツはようやく手に入れた自国の安定と競争力を失うことを恐れ、いずれの手段を講じる覚悟もできていない。
そのため、そうした調整の負担は、南欧の重債務国やボウラ・コウトソウラさん(50)のような労働者に圧倒的にのしかかってきている。コウトソウラさんはペトサスさんの下着工場で28年働いているが、賃金は住宅ローンの返済をまかなうのがやっとの水準にまで下がっており、さらなる賃金カットを恐れている。「あとどのくらい下がるのか。一体どうやってやりくりすればいいのか」と述べ、「ほかに仕事はない」と嘆く。
コウトソウラさんの夫は元教師で現在は年金暮らしだが、その年金も削減されており、夫妻は予備のプランを考えている。2人の収入がこれ以上下がったら、主たる住まいを売却し、郊外の家に移り住むつもりだという。夫妻は海辺に1エーカーの土地を所有しており、そこでトマトや桃を育てたり、ウサギを飼育している。
ギリシャの労働者や労働組合は、長年右肩上がりで増えてきた賃金を引き下げることに反対している。労組はストを相次いで実施すると脅しており、そうなれば5月と6月のもめにもめた総選挙を前にギリシャ政治の足を引っ張ったのと同じような大規模なデモが再燃しかねない。
ギリシャの主要債権者である国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)は2月、ギリシャに強制的に国の最低賃金を22%(若年労働者に関しては32%)カットさせ、労組と民間雇用主間のセクターごとの賃金契約を期限よりも前に終了させた。
IMFとEUは、22%前後の失業率にもかかわらずギリシャの賃金の低下が加速しないことにいら立っていた。評判の悪い措置のため、条件の厳しい海外の救済策に反対する党への有権者の支持が高まった。
同国の主要産業である観光部門では予約が減少しており、トルコなど、より物価の安い地中海沿岸の地域との競争が激しさを増していることから、賃金が押し下げられている。ギリシャのホテル・観光業界の労組は13日、15%の賃下げに合意。ストで夏が台無しになる恐れのあった1カ月のこうちゃく状態に終止符を打った。ホテル業界はより大幅な賃下げを求めていたため、労働者は、1カ月の最低賃金568ユーロで妥結しなければさらに賃金が下がると恐れた。
ギリシャ北部の高級リゾート、ポルト・カラスで労組のリーダーを務めるギオルゴス・トウンパス氏は「オーナーが危機に乗じている」と語る。
カジノで働く同氏は現金が逼迫(ひっぱく)している同リゾートの多くの労働者と同様、仕事が減ったため時短で働いており、かつては税引き後1200ユーロ程だった月給が減っている。カジノは経費節減のため、営業日を減らしている。同氏は「われわれは事業を維持するために血を流している。(経営者は)あとどれだけの血が欲しいのか?」と訴えた。
トウンパス氏は、収入を増やすため近くの村でタバコを売る売店を営むようになったが、大した金額にならない。住宅ローンの支払いは数カ月遅れているという。銀行に対しては、より長く働けるであろう夏場に滞納分を払うと伝えた。
同氏は「銀行は受け入れた」とし、「銀行にほかの選択肢があるだろうか。国内すべての住宅を差し押さえても、売る相手がいない」と語る。
妻は同じリゾートのレストランでキャッシャーをしている。今回の賃下げで夫妻の生活はますます厳しくなりそうだ。「この場所では将来がみえない」という。
ポルト・カラスでは、03年にEU首脳会議が開催され、欧州を本当の政治連合にするための欧州憲法の草案に署名がなされた。
ポルト・カラスのマネジングディレクター、バシリオス・バシラキス氏は、当時の楽観と、シュレーダー独首相、ブレア英首相、ベルルスコーニ伊首相といった欧州のリーダーを迎えたときの興奮を覚えている。フランスとオランダの有権者は国民投票で、欧州憲法条約の批准を拒否した。
このリゾートの将来も、望んでいた通りにはならなかった。
欧州中央銀行(ECB)の金利が、停滞するドイツには適しているものの、ユーロ圏周辺の急成長地域にとっては低すぎたために、資金がギリシャに流入した。銀行も債券市場も周辺国に惜しみなく資金を供給した。ユーロ圏のリスクはどこも同じように低いとの見方からだ。
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2000年以降の単位労働コスト推移(上からイタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ドイツ)
スペイン、ポルトガル、アイルランドでは、民間部門で活発な借り入れが続いた。ギリシャでは、無駄と縁故がまん延する公的部門が主に信用バブルの導管となった。結果は似たようなものだ。モノやサービスに対する需要が膨らんだものの輸入品に吸収され、国内の物価や事業コストは上昇した。国として稼ぐより使うほうが多かったため、貿易赤字が拡大し、ギャップを埋めるため海外からの与信の拡大が必要になった。
ギリシャの観光業界は成長したが、地中海沿岸にはもっと成功した地域もある。賃上げ交渉が続いてコストを押し上げた。ポルト・カラスではサービスのスタンダードが低下した、とバシラキス氏は語る。同氏は「時代が良かったから困らなかった。何もかもが安易だった。今になってそう感じている」と述べた。
団体旅行を扱うドイツや英国の大手旅行代理店は、顧客を他国に送り始めた。ポルト・カラスは現在、ロシアの代理店への依存度が高いという。同リゾートは、地元の料理と国際的なスタイルを合わせたブッフェ形式の朝食を提供するなど、サービス向上に努めている。
それでも、バシラキス氏によると稼働率や宿泊料金は大幅に低下した。だだっ広い施設には停滞感が漂う。給料の支払いも遅れており、「給料ももらっていないフロント係に笑顔でいるよう頼んでいる」状態という。
ギリシャ経済の多くの分野では08年終盤に始まったリセッション以来、既に賃金がいく分低下している。しかし、EUとIMFは、ギリシャが国際競争力を得て輸出主導型の回復軌道に乗るには、まだまだ内的減価が必要だとしている。
ユーロ圏中核諸国との比較において、周辺国の物価がどの程度下落する必要があるのかについては見方が分かれている。ギリシャとポルトガルが最大の課題に直面しているものの、スペインとイタリアにもそれほど大規模ではないにしても痛みを伴う調整が必要だ、とエコノミストは指摘している。
EUとIMFによるギリシャ救済策は、向こう3年間で労働コストの15%削減を求めている。ゴールドマン・サックスのエコノミストによる最近のリポートによると、ギリシャが主要な構造改革が実現できないと仮定した場合、貿易収支を反転させ、海外借り入れへの依存を止めるためには、30%近い内的減価が必要になる。
エコノミストたちはまた、ギリシャ経済に官僚主義や企業カルテルがまん延していなければ、これほどの賃金カットは必要でなかっただろうと指摘する。ギリシャ経済の柔軟性を高める改革が、競争力のある輸出産業の成長に役立つ可能性がある。
しかし、そうした改革は政治的に異論が多く、効き目が現れるのに通常数年かかる。一方、財政緊縮を背景にギリシャやユーロ圏南部の諸国が労働者を教育し訓練する能力は損なわれており、加えて欧州の他地域での需要不足を受け、輸出企業は人材を採用する意欲がほとんど湧かない状況にある。
ギリシャに関するIMFの最新報告は、内的減価もうまくいかない可能性があると警告する。ドイツやオランダなど、数年前には労働コストの抑制により競争力を再び獲得するケースが少数あったが、そうした例はより良い国際的環境および、これほど多額の債務を伴わないより柔軟性の高い経済の中で生じていた。IMFの報告は、「成功の条件の大半がギリシャの場合は欠けている」と指摘した。
こうした条件の1つが、十分機能している銀行だ。ギリシャの銀行は国債をめぐる損失で打撃を受けており、融資がおぼつかない状況で、企業は日々の業務を遂行するための流動性さえ十分に確保できていない。まして、賃金とコストの低下を利用した投資のための資金など得られるはずもない。
コモティニのペトサス下着工場は現在、銀行からの融資に最大10%の金利を払っている。これはユーロ圏の中核国の金利の数倍だ。ペトサス氏は、「それだけでも、ギリシャ企業の競争力が損なわれる」と話す。
衣料業界での経験の長いペトサス氏は、ギリシャのユーロ圏参加の恩恵も受けたし、急速に上昇する事業コストといった負の効果も感じてきた。
同氏は1952年に古代ギリシャの町、オリンピア近郊の貧しい農家に生まれ、12歳のときに1人でアテネにやってきたという。下着工場で仕事を見つけ、そこで寝泊まりもした。その後、夜間の学校に通い、ドイツの布地メーカーのアテネ工場で働きながら技術を身につけた。
ドイツの雇用主が同氏をコモティニに派遣した。そこで1980年代に作業場を借りて自身の機械を組み立て、独自の下着製造事業を立ち上げた。
ギリシャはちょうど、EUの前身となる欧州共同体(EC)に加わったばかりだった。欧州大陸で労働コストの低かった南部諸国で長期にわたりドイツや欧州北部諸国の富裕な市場向けの消費財が製造されていた。
ペトサス氏は特にドイツから、すぐに受注を獲得した。その後すぐに工場を建設し、それから近郊の町に2番目の工場を建てた。1990年代までにはこの2つの工場の従業員数は600人近かった。
同氏は「1989年に問題が始まった」と話す。ベルリンの壁の崩壊でグローバリゼーションの新局面が始まり、アジアとともに東欧の旧共産主義諸国からさらに多くの競争が持ち込まれた。
1990年代後半までには、物価上昇のためギリシャは比較的費用のかかる国となっていた。コモティニの工場は破綻したり、低賃金のブルガリアに移転し始めた。ペトサス氏は生産を分離し、裁縫といった大きな労働力を要する作業はブルガリアに移し、資本集約的な部分についてはギリシャにとどめた。
ユーロの導入に伴い、ギリシャの物価は以前と比較して上昇速度が落ちたが、ユーロ圏の中核諸国よりは引き続き速かった。競争力の差が拡大し、ギリシャは輸入代金をますます融資で賄うようになった。
ペトサス氏が指摘するように、ユーロ加盟国は苦悩するようになった。互いのユーロを奪い合うのだ。
容易な融資の獲得が終えんを迎えたということは、ギリシャ国民とって輸出を拡大し輸入を縮小する以外に選択肢がないことを意味する。賃金削減に代わる手段はないとペトサス氏は言う。同氏は「われわれの工場が存続するためには、ここを変える必要がある」と話す。
記者: Marcus Walker、Marianna Kakaounaki
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Chris Ratcliffe/Bloomberg
ギリシャ国会議事堂(アテネ)
欧州委員会、IMF、欧州中央銀行(ECB)のいわゆるトロイカの代表団は24日に、6月17日の議会再選挙で基盤の弱い連立政権が誕生したあと遅れている、ギリシャに対する公式の評価を開始する。
5月と6月に議会選挙が行われたことから同国の経済改革はさらに遅れを増しており、新民主主義党(ND)、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と小党である民主左派の3党から成る連立政権は同国が緊縮策に真剣であることを、懐疑的な債権者たちに説得するという難しい課題を抱えている。しかし、トロイカの承認を得られないと、同国は緊急に必要な救済資金を獲得できず、早ければ8月に資金不足に陥る可能性がある。同国は8月末の国債償還に備えて、欧州による緊急支援を求めている。
ギリシャ政府は間もなく、約20の国営機関の統廃合を発表する見込みだ。例えば、2つの見本市運営組織を同国の輸出振興機関と合併させる計画などで、これらの統廃合は、同国が8月末までに合理化すると約束した200に上る組織統廃合の第1弾となる。同国は、欧州を中心とした1730億ユーロ(約16兆4000億円)の救済資金提供の条件を満たすために、今後2年間に約115億ユーロの歳出削減をしなければならないが、そのおよそ3分の2について具体策がまとまっている。
同国の高官は「公的部門の組織統廃合が進められていて、必要な歳出削減を満額実行することになる。一部のケースではトロイカが求めている規模の倍以上の削減を提案するだろう」と話した。
しかし、200以上に上る改革の遅れを指摘したリストを手にアテネに来るとみられるトロイカ代表団が同国政府の説明に納得するかどうか疑問がある。トロイカの当局者は、今年の20億ユーロの財政の穴を埋めるために、同国政府が2013、14年分について計画している歳出削減を上回る規模のカットをトロイカが要求する可能性があることを示唆している。
ギリシャ政府が以前約束した不必要な国営機関の廃止は、実現が大幅に遅れている。候補となっている120以上の機関のうち同政府がこれまでに廃止できたのはわずか12件程度にすぎない。また、公務員の配置替えもその場しのぎにしかみえない。例えば、失業した国鉄職員を国営博物館に配置し、元国営航空のエンジニアをアテネの公営輸送システムに移すといった失敗例がある。
ただ、8月半ばまでに結論を出すとみられるトロイカ代表団の訪問の数週間後にはもっと大きな課題が待ち構えている可能性がある。5年にわたる同国のリセッションを深刻化させている原因である救済策の条件の緩和を選挙戦で公約したサマラス首相は、8月末にブリュッセル、ベルリン、パリを歴訪して、財政赤字削減の期限の2年延長を訴える予定だ。
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記者: Alkman Granitsas
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