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(回答先: 「日本を襲うのは二千年に一度の現役世代の減少と高齢者の激増である」/藻谷浩介『デフレの正体』から 投稿者 仁王像 日時 2012 年 6 月 13 日 20:27:59)
期せずして同じ時に同じような文脈で書かれた本を手にした。山田氏も経済学者ではない。このような言論は今の時代背景が必然的に生み出したものだろう(まだ序の部分しか読んでいない)。
何よりも経済学の周辺にいて経済学の「無力さ」あるいは「猫の額ほどしかない適用限界の狭さ」を痛感していた人々が公然と異議を唱え始めたということ/仁王像
「家族の衰退が招く未来」山田昌弘・塚崎公儀/東洋経済新報社‘12年から抜粋
序 経済学と家族社会学のコラボレーションが求められる時代へ/山田昌弘
私は常々、日本の経済や社会の問題を論じる際に、経済学と家族社会学のコラボレーションが必要になってきているのではないかと感じていました。従来、経済学においては、「家族」というものは出てきません。「家計」として出てくるのです。つまり「消費の単位」としては出てきますが、「家族の消費」としては出てこないのです。…
ですから、これまで経済が家族に与える影響や、家族が経済に与える影響という面がなかなか見えてこなかったのです。
私は経済学について大学で系統だって学んだことはないのですが、個人的に経済学を勉強しながら、やはり経済のあり方と家族のあり方というのは相互に関連して変動しているはずだと考えるようになりました。
もちろん相互影響なので、本当は同時に連立方程式的に決定しなければならないのですけれども、一方通行的に考えると、経済から家族への影響というのは、たとえば高度成長期にはほとんどの男性雇用者の収入が安定して増加したことが、専業主婦化を促進したという面があります。近年は、若年男性収入が減少し、不安定化しているから結婚する人が減り、家族が形成しにくいという面もあります。
家族から経済への影響も当然あるわけです。マクロ的に見るならば、団塊の世代までは兄弟4人世帯です。うち3人は、家を出てゆかねばいけませんから、一人暮らしを経て結婚して核家族を形成し需要を押し上げたという側面がありました。だから住宅、家電製品、車の需要が大きく伸びて、さらに大学教育の需要まで伸びて、大学が続々と設立されるきっかけになりました。
逆に今は、結婚する人が少なくなり、その結果、子どもの数が減少しています。すると、将来の労働力が減少するだけでなく、新たな家族が形成されませんから、消費需要が減少するという側面があります。家族(世帯)数が増えなければ、消費が拡大しないという、まさに負のスパイラル状態に陥ります。
戦後から1990年頃までの「家族消費の時代」では…経済が高度成長期を迎え…それゆえ「一億総中流の時代」などと言われていたのです。
そしれこの時代には、経済学と家族社会学の共同作業はなくても構わなかったのです。
時代は進み、1980年代後半のバブル経済と共に、次の「個人消費の時代」へのシフトが始まります。
この20年の日本社会は、多少のアップダウンはあったにしろ、経済分野では経済停滞、家族分野は少子高齢化によって特徴付けられると言ってよいでしょう。まさに、この時代に至って、経済学と家族社会学の共同作業が必要になってきたのです。
現在の日本停滞の大きな原因は、高度成長期につくられたモデルから離れられないところにあると考えられます。それは、経済のモデルだけでなく、家族のモデル双方に当てはまることなのです。
今こそ経済学と家族社会学のコラボが求められている。本書の執筆を通して、この思いは私の中で次第に確信へと変わっています。本書が、学問の枠を超えた競合作業の端緒になればと願っています。
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