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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35421
世界経済は深刻な危機に瀕している。多くのことが1人の女性の双肩にかかっている。
「救命ボートへ!」 これが、世界経済に関して債券市場が発している明確なメッセージだ。投資家は、米国やドイツをはじめ、数が減りつつある「安全」な国の国債に殺到している。
彼らが、・・何年も経済停滞とデフレが続くと予想しているか、あるいは惨事が間近に迫っていると恐れているからだ。
どちらの未来が正しいにせよ、現在の世界経済に極めて深刻な異常があることは確かだ。
//日本型の経済停滞か
その異常の正体は、低調な経済成長と金融崩壊リスクの拡大の組み合わせだ。景気は全世界で弱くなっている。ユーロ圏の周縁国では、景気後退が深刻化している。米国の雇用統計が3カ月連続で思わしくなかったことは、米国の景気回復に問題が生じている可能性を示している。
最大級の新興国も壁にぶつかったように見える。ブラジル・インド・中国でさえ、減速の度合いを増している。行き詰った世界経済は、広範囲に広がる日本型の停滞を指している。
だが、そんな結果も、高まりつつあるユーロ崩壊の危険に比べれば、まだましなシナリオだ。世界最大の経済圏である欧州連合(EU)は、銀行破綻、デフォルト(債務不履行)、恐慌というスパイラルに陥る恐れがある。2008年のリーマン・ブラザーズ破綻が引き起こした騒動でさえ小さく見える金融危機だ。
6月17日の再選挙後にギリシャがユーロを離脱する可能性、スペインの銀行部門の経営悪化、そして欧州の国境をまたぐ資本移動の急速な分断が、いずれもこの危険を高めた。そして今回は、危機に対応するのが前回よりも難しいだろう。2008年には、恐慌を食い止めるために、各国の中央銀行と政治家が協力した。
現在は、政治家がつまらない小競り合いを繰り返している。中央銀行の実務者たちは、もっと多くのことができる(すべきでもある)が、彼らが自由に使える弾薬は以前よりも少ない。
//アテネで生まれ、ベルリンで悪化
そうした様々な惨事のシナリオを実際に試してみたいとは誰も思わないだろう。今や、ついに断固たる態度でユーロに対処することは、欧州の政治家にかかっている。彼らが信頼できる解決策をひねり出したとしても、世界経済がスムーズに危機を乗り切れる保証はない。だが、解決策をひねり出せなければ、経済的な悲劇が間違いなく訪れる。
世界経済の運命は、驚くほど大きく、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の肩にかかっている。ある意味では、メルケル首相を名指しするのは不公平かもしれない。
だが、ドイツに同情しすぎてはいけない。まず、過去の美徳は、現在ではほとんど意味がない。ユーロが崩壊すれば、ドイツは大きな損害を被ることになる。ドイツのいくつかの銀行の格付けが6月上旬に引き下げられたことは、その前触れだ。
さらに、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなどの債務国が誤りを犯したことに疑問の余地はないとはいえ、その誤りはここ3年間で、欧州の債権国の失策のせいで悪化してきた。
緊縮財政への過剰な集中。すべて中途半端だった一連の救済計画。単一通貨の存続に必要な財政統合、金融統合への明確な道筋を示すことを拒んだこと――。これらも、ユーロがこれほど大惨事に近づいてしまった理由だ。そして、ドイツが概してこうした対応を決めた以上、責任の大半はベルリンにある。
//どうか、大胆に
ドイツ国外では、単一通貨を守るためにメルケル首相がなすべきことについて合意が形成されている。
緊縮財政よりも、経済成長に大きく比重をかけること。銀行同盟(ユーロ圏全体での銀行預金保険や銀行の監督、経営難の銀行の資本増強や破綻処理に関する共同の対策など)で単一通貨を補完すること。限定的な債務共有化を受け入れて、各国共通の安全資産を構築し、周縁国に債務負担を徐々に減らせる余地を与えること――などだ。
こうした主張は、ワシントンからも、北京からも、ロンドンからも、それどころかユーロ圏の大半の国の首都からも、繰り返し発せられている。にもかかわらず、欧州で最も賢明な政治家であるメルケル首相がすぐに行動を起こさないのは、どういうわけか?
しかしメルケル首相は、もっと勇ましい二重戦略を立てている。第1に、他国に緊縮財政を求め、救済を拒むことが、欧州の改革を進める唯一の方法だとメルケル首相は信じている。そして第2に、実際に惨事が起きても、ドイツは迅速に行動して窮地を救えると首相は考えている。
第1のギャンブルは、確かにある程度の成功を収めたと言える。南欧全域で、つい最近まで想像もできなかったほどの改革の流れを作ったことが挙げられる。
だが、この戦略のコストは急速に大きくなっている。過度の緊縮により生じた景気後退は、自滅をもたらしつつある。
また、土壇場で窮地を脱することができる――例えば、欧州中央銀行(ECB)が大量の流動性を供給するなどの方法でどうにかなる――というドイツの考えは、リスクが高そうだ。・・銀行で全面的な取り付け騒ぎが起きれば、いかに大胆なメルケル首相といえども、阻止することはできないかもしれない。
//本誌(英エコノミスト)がこれまでにも主張してきたように、
「Grexit(グリグジット)」は災禍をもたらし、それは欧州全体に伝染するだろう。
メルケル首相は今回の危機を通じて、米国の不良資産支援プログラム(TARP)がやったように、市場をあっと言わせて屈服させるだけの大胆な計画を立てることを拒否してきた。
メルケル首相に求められるのは、遅くとも6月28日の欧州首脳会議までに、単一通貨に関する明確なプランを打ち出すことだ。ギリシャの再選挙でパニックが広がるようなら、もっと急ぐ必要がある。
そのプランは、統合強化に向け、即刻資金を拠出する対策が含まれなければならない。
大惨事を回避せよ。
このプランは、ドイツ国内での支持率低下というリスクを伴う。だが、そのリスクは、すぐに報われる可能性がある。統合強化に向かうドイツの方針が明らかになれば、ECBには、今よりも強力な行動に出る余地が生まれる。国債を買い増すことも、より大規模な備えを銀行に提供することもできるだろう。
それでもなお、世界経済は、その他地域の不手際や低成長に立ち向かわなければならない。だが、ドイツが明確なプランを打ち出せば、大惨事からは大きく遠のいたことになる。メルケル首相、それはあなたの肩にかかっている。
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- Re: スペインは絶対死守、ギリシャは生贄 (wスタンダード!メルケルの二枚腰) 墨染 2012/6/11 11:06:47
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