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http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/2012/1204.html
欧州系銀行の富裕層向けプライベート・バンキング・グループの幹部と話した時のこと。「金売り、円買い」を「有事対応」として勧めていると言う。有事の金は売り、円に逃避、というわけだ。
政局は混迷。公的累積債務は1000兆円突破。少子高齢化。そんな国の通貨が「欧州有事」で避難通貨としてなぜ買われているのか。日本にいると生活実感との落差を感じるのだが、欧州に来ると、「やっぱり日本円か」と思ってしまう。「今の円高は日本経済の実態を反映していない」という今朝の安住財務相発言はもっともだが、欧米経済の実態の悪さにはより切迫感がある。
★近年の外為市場は米ドル、ユーロ、円の「弱さ比べ」の様相であったが、ここにきて、ユーロの一人負け状態。残る二通貨のどちらがless bad=相対的に悪くないか、という判断基準で今年は米ドルが浮上して円安ドル高に振れた。しかし、その米国経済も雇用統計、住宅関連統計が冴えず、fiscal cliff(崖っぷちの財政)が懸念される。こうなると「円のほうがマシ」と感じてしまうのだ。不等式で表せば、円>米ドル>ユーロ。
欧米の投資家が円に安堵感を覚えるのは、1400兆円を超す個人金融資産というコクーン「繭」に覆われているからであろう。公的債務の絶対額がどれほど大きくても、民間貯蓄残高が上回る限り、solvency(債務返済能力)に問題はない。
しかし、米ドルとユーロ域内にはソルベンシーの問題が厳に存在する。
その点、金は「誰の債務でもない」と表現されるのだが、発行体のない「無国籍通貨」だ。ソルベンシーの問題など起こるはずもない。
そこで欧州ソブリン危機に際しても「有事の金」として買われるはず・・であった。しかし、逆に売られる局面が多発している。
なぜか。
★金はソルベンシー危機には強いのだが、liquidity(流動性)危機には弱いからだ。
クレジット・クランチ(信用収縮)が生じると、金利を産まない金は真っ先に売られる。金融機関やヘッジファンドが金の流動化に走るのだ。
今年に入ってからの動きを見ても、ECB(欧州中央銀行)がLTRO(民間銀行への無制限3年間年率1%融資)を実行してから、当面の流動性危機は回避され、金価格も一時は1800ドルに迫るまで反騰した。
しかし、マーケットはECB依存症の症状を呈し始め、スペインの大手銀行バンキア救済案として同国政府がスペイン国債を同銀行親会社に「公的投入」して、その国債をECBに買い取ってもらう、というなんとも都合の良い策を提示するや、さすがのECBも「切れて」一蹴。5月30日の欧米市場では金価格が30ドル急落して1530ドル台まで沈む局面も見られた。なお、その後、1560ドル台にまで急反発してかろうじて「有事の金」の体面を保ってはいる。
そして、貴金属セクターの中では、有事に強い金と、有事に弱いプラチナの差が金プラチナ価格逆転現象に鮮明に表れている。
本稿執筆時点(6月1日日本時間朝7時)では、金価格1560ドル、プラチナ価格1410ドルと値差が150ドルにまで拡大中だ。
一時は1400ドルの大台を割り込む局面も見られた。
欧州景気後退、中国経済減速の波をモロに被る産業用素材としてのプラチナと、通貨の顔を持ち新興国が外貨準備として購入を増やす金とのファンダメンタルズ(基礎的条件)の違いが背景にある。
★新興国政府は、ポートフォリオ運用というより、「経済安全保障」の観点から「誰の債務でもない」金という無国籍通貨の保有を増やしているのだ。
新興国の公的セクターに於いては「有事の金」は生きていると言えよう。
●後追い材料が必要・・そうこうしているうちにギリシャの選挙と米FOMCがやってくる
http://blog.goo.ne.jp/msi021112/e/c220ea7c17c73aea7154592ac91b949b
2012年06月04日 16時20分33秒 | 金市場
さて先週末米雇用統計を受けた金価格の急騰劇は、それまでの急落の際の逆バージョン、すなわちファンドの一方通行的な買い(戻し)プログラムが次々にヒットしたもの。下げている際に「逆も起こる」といくつかの媒体に書いたり話したりしたが、起爆剤となる材料としては前月のデータの大幅下方修正も加わったことで、まさにサプライズとなり、これではFRBも動かざるを得まい・・という見方が広がった。したがって5月17日に前日のFOMC議事録要旨の内容に反応したショート・カバーで40ドルほど急騰したことがあるが、それのより規模の大きなものが起きたということになる。問題は、新規資金の流入の有無となる。NYコメックスであれば新規買いが入るか否かということが関心事に。
何はともあれ、1600ドルを上回ったことで目先は戻り売りが出るのは当然のことで、まずは1600ドル大台維持から1650ドル超えにと移行できるか否か。それはここからの材料の援護が必要となろう。今週は6日にジャネット・イエレンFRB副議長がボストン地区連銀にて講演。翌7日にバーナンキ議長が上下両院合同経済委員会にて議会証言の予定となっている。6日はECBの理事会にベージュブック(地区連銀経済報告)もある。今夜の4月の米製造業受注などというデータも、前回3月がマイナス1.9%だっただけに市場がピリピリしている折でもあり、結果が悪ければ通常以上に反応する可能性があろう。明日のISM非製造業景況指数も同じ。
以前から金については、米国関連で4、5月の種々のデータの結果が出る5、6月が動きのポイントとしてきた。予想としては、ECBのLTRO(3年もの特別融資)の賞味期限切れで株高も持って4から5月で今年も春先の“夜明け”期待は、“偽りの夜明け”になるのでは・・とした。したがって、金は追加緩和期待から早ければ6月下旬。時間がかかれば9月2週目くらいから上昇のパターンではないかと話してきた。特に夏以降は米国財政問題が材料に加わるとみられると。株高についてはアップルの600ドル突破で沸いている状況が、カネ余り相場の象徴とした。しかし、5月に金が100ドル超も売り叩かれる可能性は小さいと見ていた。ドル円も、2月以降のドル反騰はあったが、ドル安円高の流れは変わらずとしてきた。さて、どうなるか。
そうこうしているうちにギリシャの選挙がやってきて、FOMCがやってくるのだろう。時間の経過が早い。
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- Re: ユーロ投げ売りに入った中央銀行(新興国)・・市場は店閉まいモードか? 墨染 2012/6/05 08:06:45
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