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ギリシャ離脱:ユーロ解体の破滅的なコスト   再選挙で危機再燃  ECB史上初めて大損失?
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/367.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 29 日 00:15:45: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35315
ギリシャ離脱:ユーロ解体の破滅的なコスト
2012.05.29(火)
The Economist 

ギリシャとその他欧州諸国は、どれほどの損失を被るか?


6月17日のギリシャの選挙後が正念場〔AFPBB News〕

それは割と早くに起きるかもしれないし、ずるずる長引くかもしれない。回避できる可能性もまだある。それでもやはり、6月17日に行われるギリシャ再選挙後の1週間が、ユーロ圏の体力を奪う熱がピークに達し、「患者」に対する診断がはっきりする時になりそうだ。

 再選挙では、今年決まった2度目の救済策で前政権が実施を誓約していた改革と緊縮策について、破棄あるいは抜本的な再交渉を掲げる新政権が誕生する可能性が十分ある。そうなれば、欧州の残りの国は交渉の席に着くか、立ち去るかの決断を迫られる。

 もし欧州諸国の首脳が救済策の条件を貫くとの警告を実行に移すなら、ギリシャ政府への救済資金の供給は停止する。

 ギリシャは3月以降、ユーロ圏の一時的な救済基金である欧州金融安定基金(EFSF)から2014年末までに支払われることになっている1450億ユーロの半分を受け取っている。さらに、国際通貨基金(IMF)が2016年初めまでに供給する280億ユーロのうち、初回の16億ユーロを手にしている。

救済資金の命綱が断たれたら・・・

 ギリシャ政府はプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の黒字化に近づいているが、欧州中央銀行(ECB)が保有する国債の償還をはじめ、2012年中に期日を迎える債務を返済するには、さらに公的な融資が必要となる。3月に実施された債務再編では、民間部門が保有する2000億ユーロ相当の国債の額面価格が半分以下にカットされたが、ECBが保有する国債は対象外とされた。

 仮にEFSFからの命綱が債権国により切断されれば、ギリシャはこれらの債務を支払うことができなくなる。さらにデフォルト(債務不履行)に陥った政府の国債や保証が担保である場合、銀行に対して融資しない(あるいはギリシャ銀行=中央銀行=による融資を認めない)という原則をECBが貫けば、ギリシャは結果的に資金源を断たれることになる。

 ギリシャの銀行は現時点で約1300億ユーロを中央銀行からの資金供給に頼っている。ECBの資金がなければ、ギリシャの銀行システム全体が崩壊する。資金供給の量が減り、融資の条件が厳しくなれば、ギリシャ政府は不足分を補うため、公務員に対して借用書(IOU)を発行し始めるかもしれない。

 もし融資の流れが止まり、銀行が支払いに使うユーロが尽きた場合は、新たな通貨が唯一の選択肢となるだろう。

ギリシャ政府は国内の銀行の資産と債務をドラクマ建てに戻し、国内の賃金支払いや商品価格についてもドラクマを使うよう強く要求するだろう。ドラクマの対ユーロ相場はすぐさま下落し、瞬く間に価値が半分、あるいはそれ以下になると見られるため、資本規制も必要だ。

 短期的には、経済的な痛みがさらに大きくなる。ギリシャ経済は2007年から2011年までの間で13%縮小しており、今年も5%近くのマイナス成長が予想されている。準備なしでいきなりユーロ圏から離脱すれば、国から貨幣が消えるだろう。


 離脱に伴う大混乱で経済活動は麻痺し、消費者や企業はカネを使わなくなる。スイスの銀行UBSのエコノミストらは破滅的な離脱による損失について、初年度は国内総生産(GDP)の40〜50%に達すると推計している。

 この数字は、ギリシャがユーロ圏だけでなく欧州連合(EU)からも離脱を余儀なくされ、その結果として単一市場へのアクセスを失うことを前提としている。

 法を厳格に解釈すると、実際そうなるかもしれない。1つには、ユーロ圏から離脱すれば資本規制が必要となり、EUの条約では資本規制が違法とされているからだ。

 ただし実際には、欧州の政策立案者たちはギリシャをEUに留めるために最善を尽くすとの意思を明確にしている。

 こうした助け舟が出されることを前提に、オランダの銀行INGのエコノミスト、マーク・クリフ氏は影響はUBSの予測よりも小さいと考えている。クリフ氏の試算では、初年度の追加的なGDPの減少幅は7.5%程度だという(図参照)。

危機は広がるか

 ギリシャの新通貨が急激なハイパーインフレ(弱い政府のもとで新通貨を採用した混乱期の国においては深刻なリスクになる)を招く事態を免れれば、2年目に損失のいくらかを取り戻すことができるかもしれない。

 国内コストの削減に多くの年月を費やす必要もなく、為替相場の下落により一夜にしてコストが削減され、競争力が増す。安全で、安定し、旅行者を歓迎する国とのイメージが生まれれば、エーゲ海で休暇を過ごそうと、他の欧州諸国の人々も集まってくるだろう。

 しかし、こちらもかなり極端な仮定に基づく話だ。それに、他の欧州諸国の人々は休暇の計画よりも心配すべきことをたくさん抱えているかもしれない。

欧州各国の政府は、様々な救済策でギリシャに対し実施した融資について、損失を負担することになる。

 一方のECBも、大きく2つの形でリスクを抱えている。第1に、2010年5月の救済を機に高まった市場の緊張を鎮めるため、ECBは約400億ユーロ相当のギリシャ国債を購入している。第2に、ギリシャ銀行は「TARGET2」の債務としてECBに約1300億ユーロの借金がある。これは欧州の中央銀行システム内の債務だが、ギリシャがユーロ圏から離脱すれば現実の債務に変わる。

 すべて合わせると、ギリシャ政府がユーロ圏の政府や機関に対して抱える債務は、ユーロ圏の総GDPの約3%に当たる2900億ユーロに達していると、バークレイズ・キャピタルのエコノミストたちは述べている。ギリシャが離脱すれば、この大部分は恐らく永遠に返済されないだろう。

 これに加えて、民間部門のエクスポージャー(投融資残高)もある。2011年末時点で、ギリシャの企業と家計が国外の銀行から借りた金額は合計690億ドルに達していた。さらに、数値化するのは難しいが、同様に現実的な問題として、他の脆弱な国における不確実性と国債利回り上昇がもたらす損失が考えられる。ユーロ圏からの離脱が本当に可能だと実証されれば、こうした問題が続いて起きるだろう。

ギリシャの離脱で経済はどうなる?

 こうした事態の意味するところを数字で見るとどうなるだろうか? 先ごろ発表された欧州委員会による予測では、ユーロ圏のGDPは2012年に0.3%減少し、2013年には1%の成長に転じる見通しだ。

 クリフ氏の試算によれば、ギリシャが秩序正しく、しっかり管理された形でユーロ圏から離脱した場合――つまり、他国への波及が最小限で済み、ユーロ圏およびIMFからのギリシャへの支援もある程度継続される形の離脱――、離脱1年目のユーロ圏のGDP縮小幅は1.6%拡大し、緩やかな景気後退がより厳しいものになるという。

 最も大きな打撃を受けるのは、経済的に問題を抱えた周縁国だが、このモデルでは、こうした周縁国はギリシャの事例を目の当たりにして構造改革への取り組みを強化することになっている。

 最も影響が小さいと見られるのはドイツだ。ドイツ経済はいずれにしてもユーロ圏全体より好調で、2012年に0.7%、2013年に1.7%のプラス成長が見込まれている。この値を基準にして、ギリシャがユーロを離脱した場合、1年目のドイツのGDP縮小幅は1%と予測される。米国への影響はこの半分で済むと、クリフ氏は見ている。

 しかし、ギリシャの離脱は本当に国境で封じ込めることができるのだろうか? 欧州の銀行はいまだに不安を覚えるほどに弱い。既に問題を抱え、ギリシャへの融資高が大きいキプロスをはじめとする経済規模の小さな国の銀行だけでなく、ユーロ圏で4番目の経済規模を持つスペインなどの大国の銀行も同様だ。

 スペインではここ1年で、不良債権が30%以上増え、1994年8月以来最大となる、融資残高の8.4%に当たる1480億ユーロにまで達している。スペインの銀行には少なくとも300億ユーロ(GDP比3%)、場合によってはそれよりずっと多額の公的資金の注入の必要があると認識されている。

 財政赤字を抱えるスペイン政府にとって、これほど多額のカネを借りるのは至難の業だ(スペイン政府は先ごろ2011年の財政赤字の推計値を再び見直し、GDP比8.9%にまで引き上げた)。

銀行取り付け騒ぎが離脱を早める最悪の事態

 スペインの銀行の苦境は知れ渡っているため、経済が弱い国々の国民が預金の価値が下がることを恐れ、取り付け騒ぎが起きる危険性がある。ギリシャがユーロ圏から離脱すれば、その後はこうした取り付け騒ぎが起きる確率がさらに高まるはずだが、離脱の前に取り付け騒ぎが始まり、離脱を早めることもあり得る。これは悪い選択肢の中で最悪の展開だ。

 銀行取り付け騒ぎが既に救済を受けているアイルランドやポルトガルなど、経済規模が比較的小さい国に限定されれば、何とか対処できるかもしれない。スペインやイタリアのような経済規模の国に広がれば、非常に危険な状況になるだろう。

 波及を食い止めるはずの「防火壁」は、銀行の取り付け騒ぎのために作られたものではないうえに、経済規模が大きい国のニーズを満たすには十分ではない。現在のところ、一時的な救済基金であるEFSFは、用途の決まっていない資金を2500億ユーロ準備している。これは市場から排除された政府や、自国の銀行システムを救済しようとした結果、懲罰的な金利に直面した政府に対し、資金提供を行うために使える資金だ。

 7月には、恒久的な救済機関である欧州安定メカニズム(ESM)が始動することになっているが、ドイツをはじめとする数カ国がまだ批准していない。たとえESMが始動しても、2つの基金で融資可能な金額は5000億ユーロに制限される。足りない分はIMFが補うことになっているが、こちらも4300億ドルが上限だ。

 基金の規模が適切かどうかといったこと以上に、資金の使途に関する問題がある。仮にこれを直接的に民間銀行の救済に使えば、不安定な銀行が支払い能力を失いかけた政府の債務で自らをてこ入れするという致命的な悪循環を絶つことができるかもしれない。

 しかし現状では、ESMにもEFSFにも直接救済は許されていない。この件に関してESMとEFSFに自由を与えるには、両方の協定を批准し直さなければならない。このプロセスは政治的にリスクがあり、時間もかかる。

 ということで、ECBが最後の砦となる。ECBは再び国債を買い入れることができるが、ECBは将来ヘアカット(債務減免)が発生した場合にも同行が保有する国債は対象外にすべきだとの主張を崩しておらず、これを取り下げない限り、買い入れ戦術は以前ほど効果がないかもしれない。

 この主張を取り下げなければ、他の投資家はECBが国債を購入するたびに自分たちの序列が下がったと感じるようになり、残された購入意欲も減退するだろう。

 大規模な長期資金供給オペ(LTRO)を再び実施し、無限に近い流動性を供給することもできる。しかしこれは担保要件を緩めることになり、各国の中央銀行をこれまでよりはるかに大きなリスクにさらすことになる。

全面的なユーロ解体の恐怖

 救済基金とECBがともに十分な手が打てない場合、さらに広範な解体が起き、全域で巨大な損失が生じるかもしれない。クリフ氏によれば、ユーロ圏の解体は、1年目に(元)ユーロ圏全体のGDPを8.9%減少させ、欧州の中核国にとっても壊滅的な結果を招くという。

 この場合はドイツも難を逃れられない。自国の輸出産業は復活したマルクの強さと戦うことになり、GDPは8.2%減少する。ユーロ圏だった国々では、貸しているカネの通貨下落や、借りているカネの通貨上昇に突然直面し、企業が次々と倒産するだろう。

 通貨同盟に亀裂が入った前例はある。ただし、ユーロ圏ほどの規模や野心、相互の結び付きを持つ通貨同盟は1つもない。このような分裂の恐ろしい結末について真剣に考えてみることで、ギリシャとその債権者の両者から譲歩を引き出し、最悪の事態を回避できるかもしれない。

 しかし、そうした心変わりを引き出すレベルの恐怖でありながら、パニックを引き起こすほどは強力でないということがあるだろうか? ここでもやはり、診断はまだはっきりしない。

http://diamond.jp/articles/-/19143
ギリシャ再選挙で危機再燃
“ユーロ離脱”の可能性 


再選挙で第1党に躍り出そうな急進左翼連合のチプラス党首すら、ユーロにはとどまる必要性を主張する
Photo:REUTERS/AFLO
 欧州の信用不安が再燃している。為替や金利に投資を行う「グローバルマクロ」と呼ばれるヘッジファンドの多くは、ギリシャや周辺国の先行きを悲観し、ユーロやスペイン・イタリア国債売りのポジションをあわてて取り始めた。

 背景には、複数の要因が絡み合う。ギリシャやフランスの選挙で財政規律強化派が敗北し、政府債務の悪化懸念が再浮上。米金融大手JPモルガン・チェースの巨額損失を受け、規制強化に拍車がかかるとの観測で金融機関の収益悪化が不安視されるほか、スペインでは銀行の不良債権問題も深刻化、不安を増している。

 加えて、最大の懸念材料がギリシャの再選挙である。焦点は、6月17日に控える再選挙で誕生する新政権が歳出削減策を放棄した場合に、国際通貨基金(IMF)などが、ギリシャ向け第2次支援の融資実行を拒否するかどうかだ。

 支援が得られなければ、ギリシャは6月末にも国債の利払いや公務員賃金などの支払いが不能となり、債務不履行(デフォルト)に陥る。ただし、目下取り沙汰されている「ユーロ離脱」が即刻実現するとは限らない。

 ユーロ導入国には、脱退規定がない。ギリシャがユーロから離脱するには、自ら欧州連合(EU)からの脱退を宣言し、EU首脳会議で過半数の同意を得てEU自体から脱退する必要がある。同意が得られなくても2年たてば脱退できるが、ギリシャ国民の8割はユーロ離脱に反対している。

 もっともギリシャがユーロを離脱しようとしまいと、ギリシャのデフォルトで危機は表面化する。

 既に実質破綻しているギリシャの銀行は、ギリシャ中央銀行からのギリシャ国債を担保にした資金調達か、無担保の緊急流動性支援によって何とか生き延びており、資金供給を止められれば連鎖破綻しかねない。頼みのギリシャ中銀は、ユーロ圏各国中銀からの1000億ユーロを超える借り入れが閉ざされると、債務超過に陥る。

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 その上、ギリシャ国債を約500億ユーロ抱える欧州中央銀行(ECB)が史上初めて大損失を出す可能性が高い。仮にギリシャ周辺国に信用不安が連鎖しても、ECBは通貨の信頼を失いかねない大規模な資金供給をためらうだろう。

 欧州の銀行はECBが昨年末以降に実行した長期の巨額資金供給の際、軒並み貴重な担保を大量に差し出しており、さらなる資金調達は容易ではない。徐々に預金流出が起きているスペインの銀行などで、ギリシャの銀行の破綻が引き金となって取り付け騒ぎが起きようものなら、もはや後がない。

 ギリシャの経済情勢の悪化を顧みず、緊縮財政を一貫して要求してきたユーロ圏諸国だが、国民は選挙でその手法にノーを突き付けた。欧州は新たな“処方箋”を求められている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)  

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コメント
 
01. 2012年5月29日 14:14:42 : 3CNLte9sGM
焦点:ユーロ圏のリスクシェア進む、共同債でドイツは譲歩も
2012年 05月 29日 11:56 JST  

MLB=松井のメジャー昇格決定、背番号「35」か
ソフトバンクが夏モデル9機種発表、放射線測定機能なども
パナソニックが本社人員の見直し着手、年度内に半数以下へ
日経平均4日ぶり反落、押し目買いや買い戻しで下げ幅縮小

[ロンドン 28日 ロイター] ドイツはユーロ圏共同債の発行に抵抗を続けているが、欧州中央銀行(ECB)の決済システムTARGET2の不均衡拡大で、すでに域内でのリスクシェアは実質的に進んでいる。このためドイツはいずれ一定の譲歩をせざるを得なくなるとの見方もある。

債務問題を抱えたユーロ圏周辺国では、民間融資に代わってECBが実質的に資金供給を担っており、域内各国の資金決済を管理するTARGET2により、リスクがドイツに集中する形になっている。

ラボバンクのエコノミスト、エルウィン・デグルート氏は「他国に対する資産、負債が増えるにつれ、他国の事業に関与することになり、実質的に徐々に財政統合に向かうことになる」と述べた。

債務危機の結果TARGET2に積み上げられたギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインに対するドイツ連銀の債権は6440億ユーロに上る。一部諸国がユーロを離脱し、その国の中銀がECBへの債務を履行できなくなった場合、その他の国の中銀がコストを負担することになる可能性がある。

ブリュッセルのシンクタンク、ブリューゲルの副ディレクター、グントラム・ウォルフ氏は「ECBの債権で損失が発生した場合、ECBへの出資比率に応じてユーロ圏各国に配分される。その意味では、リスクをユーロシステム全体に配分する特別なユーロ共同債とも言える」と述べた。

独IFO経済研究所のシン所長と研究員が昨年まとめた論文によると、2011年9月時点で、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン各国のTARGET2を通じたドイツへの負債額は、ユーロ圏各国からの融資総額を大幅に上回っている。シン所長はロイターに対し、TARGET2の「論理的帰結」が共同債だと指摘している。

メルケル独首相は来年選挙を控えており、共同債への反対姿勢を緩める気配はない。一方で、フランスのオランド新大統領は支持を表明している。メルケル首相は共同債を財政統合の最終局面で討議すべき問題としており、統合には欧州連合(EU)協定の変更が必要なことを踏まえると、相当な期間が必要となる。

ドイツ銀行のエコノミスト、ギレス・モエク氏は「投資家が求めている共同債のような特効薬は、主に法的な要因により、現在の金融混乱に対応可能な期間内に想定できる可能性はかなり低い」と指摘。ドイツで共同債への反対は弱まっていないと述べた。

しかし来月の再選挙の結果、ギリシャのユーロ離脱が現実のものとなれば、緊急対応策が必要になり、多くのアナリストは共同債が最善策だと指摘する。

ラボバンクのデグルート氏は、(TARGET2の)システム崩壊のリスクに留意する必要があるとし、「負債に対して債権の割合が高いほど崩壊シナリオを食い止めようとする可能性が高くなる。いずれドイツへの共同債受け入れ圧力は高まる」と述べた。

ギリシャ中銀によると、1月末時点のTARGET2への負債残高は1070億ユーロで、その後も同水準で推移しているとみられている。

ブリューゲルは2010年にブルーボンド構想という共同債発行の試案を提示、各国債務の一定部分をプールしてシニア債の形で発行し、負担はシェアするものとし、残りはジュニア債として各国が発行するという仕組みを示した。これにより共同部分は低金利で発行できる一方、財政抑制のインセンティブも働く。

ソシエテ・ジェネラルの首席欧州エコノミスト、ジェームズ・ニクソン氏は「いずれその方向にいくかもしれない。(7月に発足する)欧州安定メカニズム(ESM)は、それに向けた最初の段階となる可能性がある」と述べた。

( Ana Nicolaci da Costa記者;翻訳 村山圭一郎;編集 山川薫)


02. 2012年5月29日 14:15:24 : 3CNLte9sGM
スペインの「悪いパターン」警戒、インターバンクは落ち着き
2012年 05月 29日 13:58

[東京 29日 ロイター] スペインは打つ手が市場の信認を得られない「悪いパターン」に入っていると警戒感が強まっている。銀行の公的資金注入要請は、経営状態の悪化を逆に警戒させているほか、ラホイ首相の外部支援は必要ないとの強気発言も嫌気されている。

同国の10年国債利回りは7%に接近。日本株はさえない動きを続け、円債金利は低下、ユーロも軟調だ。ただインターバンク取引は落ち着いており、昨年のようなパニック感はまだない。

<スペイン国債利回り、LTRO前の水準に上昇>

「スペインは悪いパターンに陥っている」とトヨタアセットマネジメントのチーフストラテジスト、濱崎優氏は指摘する。銀行が貸倒引当金や資本を増強する動きに対して、経営状況はそれほど悪いのかとマーケットはネガティブに受け取り、リスクプレミアムが上昇して資金調達が困難になり、さらに資金が必要になるというバブル崩壊時の日本などと同じ悪循環がみられるという。

スペインの大手銀行バンキア(BKIA.MC: 株価, 企業情報, レポート)は前週、政府に対し当初想定されていた倍以上となる190億ユーロの資金支援を要請したが、週明けに売買再開した同社の株価は一時26.75%の急落、過去最低水準に落ち込んでいる。また、最も裕福とされてきたカタルーニャ州が中央政府への支援を要請。金融問題と地方政府問題の2つが同国の利回りを押し上げ、同国の10年国債利回りは28日、6.46%と、欧州中央銀行(ECB)が長期資金供給オペ(LTRO)を開始する前の昨年11月以来の水準に上昇した。

LTROは昨年12月と2月の計2回で約1兆ユーロの資金を供給。スペインの銀行は自国の国債購入を加速させ、4月の国内銀行による同国国債の保有額は1462億6000万ユーロに増加し、発行残高全体に占める割合は前年同月の13%から30%に上昇した。しかしながら10年物のスペイン国債と独連邦債との利回り格差はユーロ導入以来の高水準にまで拡大。LTROの「神通力」も限界に達している。

スペインのラホイ首相は28日、同国の資金調達コスト上昇について、ユーロ圏の将来をめぐる懸念が要因との認識を示し、国内銀行セクターの再建に向けた外部支援は必要ないとの立場をあらためて表明したが、市場では「スペインに自力で銀行を救済できる資金はない」(国内投信)と逆に不安感が強まった。前出の濱崎優氏は「銀行への資本注入は500─1000億ユーロが必要だといわれているが、今後の不動産価格下落を見込むならさらに2─3割増額が必要だろう。自国による資金調達は難しいとみられるため、EFSFなどからの支援が欠かせない」と述べている。

<CTAが債先買い/株先売りとの観測>

マーケットは慎重ムードが続いており、前場の日経平均.N225は小反落。朝方は先物に大口売りが出て下げ幅が拡大、一時8500円前半まで軟化した。一方、円債市場は堅調で10年長期金利は0.855%まで低下している。前週末までの調整相場で「ポジションをショートにしていた短期筋が買い戻しを余儀なくされている」(外資系証券)という。市場では「CTA(商品投資顧問業者)による債券先物買い/株式先物売りの動きとみられる」(大手証券エクイティ部)との声が出ていた。

為替市場でドル/円は79円前半でもみあいとなったが、ユーロ/円は99円台でやや円高気味に推移している。ユーロ関連危機収束のめどが立たないなか、朝方の取引で、複数の米系ファンドが豪ドルとユーロに売りを仕掛けたという。市場では「ギリシャに比べ経済規模が大きいスペインの金融セクターが不安定になれば、ユーロが一段安になる可能性が十分にある」(FX会社)との声が聞かれている。

<LIBOR/OISスプレッドは依然低水準>

ただ昨年の欧州債務危機当時と比べ、市場にパニック感は乏しいという。インターバンク市場は落ち着いており、欧州短期金融市場では、カウンターパーティーリスクの指標となるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)とOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)スプレッドは低いままだ。欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の指標3カ月物も28日、2年ぶりの低水準を更新。この面では、LTROの効果は持続している。投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数は小幅上昇したが、依然20ポイント前半だ。

日経平均は売り一巡後、下げ渋り、後場はプラス圏に浮上してきている。シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は「昨年と違いインターバンク市場は安定している。スペインも労働市場改革などを実行するなどギリシャとは状況が違う。ただ問題の根源である不動産価格の下げ止まりがみえないため長期戦となりそうだ」と述べている。

(ロイターニュース 伊賀大記 編集:田中志保)

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03. 2012年5月30日 00:56:07 : 3CNLte9sGM
日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>ニュースを斬る
再選挙にらみ政策の見直し、合従連衡に走るギリシャの政党

NDの復調をにらみ、SYRIZAがユーロ残留を明言

2012年5月30日 水曜日 有馬 めぐむ

 ギリシャで政局の混迷が続いている。連立は成立せず、各政党は依然として緊縮財政派と反対派に分かれている。6月17日の再選挙で注目されているのは、緊縮派の新民主主義党(ND)と反対派の急進左派連合(SYRIZA)の、どちらが第1党になるかだ。

選挙後の世論を受けて、ユーロ離脱につながる政策を修正

 SYRIZAは5月の総選挙において大きく躍進した。

 筆者は、今回の結果に驚いた。同党を反政府的な活動をする攻撃的な左翼政党だと思っていたからだ。SYRIZAは2011年の春、アテネ大学法学部を不法移民が占拠した際、それを裏で画策したのではないかと疑われた。国会の移民問題委員会がこれを取り上げた。しかし同党の実態は、「左派連合」との名称の通り、12もの左派の政党の集合体だ。急進的な左翼活動をするグループを含む一方、かなり穏健な党員もいる。

 SYRIZAの主張は明快だった。緊縮財政の継続を強く否定した。長年ギリシャを支配してきた2大政党――PASOK(全ギリシャ社会主義運動)とND――の腐敗を徹底して批判し続けた。


緊縮財政に対する抗議のために国会議事堂前に集まる人々
 しかし、選挙後は方針を変えた。これまでの主張はユーロ圏からの離脱を意味するからだ。新たな方針は、1)ユーロ圏に残留する、2)緊縮策については、内容を見直すよう欧州連合(EU)に働きかける。ツィプラス氏は、NDの支持率がトップに返り咲いたのは、国民が感じるユーロ圏離脱に対する恐怖が原因だと認識している。

 ツィプラス氏が現在提案する、次の具体的なプランは世論の支持を得ている――1)外国資本がギリシャに投資しやすいシステムの構築を急ぐ、2)EUの作業部会などと協議し、EUなどから得た資金を景気刺激策に投入する。同氏は、NDとPASOKが進めてきた現在の政策をこう批判する。国際通貨基金(IMF)やEUからの融資の大半は、ギリシャの貧困を救うわけではない。銀行やヘッジファンドなどギリシャ国債の保有者に流れ続けるだけだ。そこを抜本的に見直す必要がある。

 SYRIZAの新しい政策を非現実的だと見る向きもある。ギリシャ国内の識者はツィプラス氏の主張に疑問を唱える。「ツィプラス氏は、現在進行中の公的部門のリストラ――2015年までに15万人削減――をしないと言い切る。代わりに、国防費の削減や富裕層による脱税の摘発を強めるという。果たして、この策に実効性はあるのか」。

 これに対してツィプラス支持派は「既成勢力であるNDとPASOKは経済再生プランを何一つ示していない。ユーロ離脱は避けたいが、このまま緊縮路線が続いたらギリシャ経済は完全に死ぬ」と反論する。

SYRIZA党首のツィプラス氏の素顔

 欧州連合(EU)の首脳たちの脅威となっているSYRIZA党首のツィプラス氏はどんな人物なのか。アレクシス・ツィプラス氏は1974年7月28日、ギリシャの軍事政権が崩壊した4日後に誕生した。年齢は37歳。軍事政権以後に生まれた唯一の政党党首だ。

 アテネ工科大学在学中から左派の政治団体で活動を開始。土木技師となった時期があるものの、今に至るまで一貫して「反グローバリズム」を掲げている。PASOKやNDに多い2世、3世政治家ではない

 2004年にSYRIZAの主要メンバーとなった。08年にフォティス・クヴェリス氏と党首選を戦い、勝利して党首の座に着いた。しかし09年、ヨルゴス・パパンドレウ氏が率いるPASOKが圧勝した総選挙で惨敗。SYRIZAはわずか13議席しか獲得できなかった。得票率は4.6%で、前回2007年の総選挙のそれ(得票率5.04%、14議席)を下回った。この時、党首選を戦ったクヴェリス氏はSYRIZAを去って新党、民主主義左派党(DA)を旗揚げした。

 今回の総選挙でSYRIZAは国民の支持を得て、第2党へと大躍進した。選挙中、ツィプラス氏は、財政緊縮策が失業率を押し上げ、景気後退を深刻化させたと国民に訴えた。

 ただし、ここ数日、次々と上がってくる世論調査の結果は混迷を極めている。再選挙日が確定した後の世論調査結果では、NDが首位に返り咲いた。調査によって、NDがトップだったり、SYRIZAが首位を奪回したりとめまぐるしい。知人のギリシャ人ジャーナリストは「今までの総選挙は、成り行きがほぼ予測できた。だが、今回の再選挙ばかりは、どちらが勝つのか予測がつかない」と語る。どちらかと言えば右派のカシメリニ紙が5月20日の紙面で、SYRIZAが支持率首位との世論調査結果を伝えた。これは驚きだった。

政党間の合従連衡が活発に

 この先の展開は五里霧中だ。各政党が様々な動きに出ている。2010年5月にNDを去ったドーラ・バコヤンニ氏が率いる民主主義同盟(2010年11月結成)が、早々にNDに戻り、5月22日に合併した。双方の利害が一致したからだ。NDは第1党となるため、少しでも票を取り込みたい。民主主義同盟は得票が足りず、総選挙で議席が確保できなかった。ギリシャの総選挙では、得票率が3%に満たない小政党は議席を得られない。

 同様の理由で、小さな政党同士の合併も進んでいる。中道右派のディミウルギア・クサナ党(党首サノス・ズィメロス氏)と、同じく中道右派のドゥラシ・フス党(党首ステファノス・マノス氏)も同日、合併を発表した。

 再選挙まで各政党の動きを注意深く見守る必要がある。


ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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有馬 めぐむ(ありま・めぐむ)

在ギリシャジャーナリスト。日本の出版社で記者職を経験後、2007年よりアテネ在住。ギリシャの政治経済問題、観光情報などを日本のメディアに発信中。共著に『「お手本の国」のウソ』(新潮社)など。


04. 2012年5月30日 00:57:40 : 3CNLte9sGM
http://diamond.jp/articles/-/19250
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層
【第64回】 2012年5月30日高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]
「ギリシャ化」する世界、「日本化」が続く世界 バランスシート調整と世界に広がるポピュリズム
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト
ポピュリズムと「ギリシャ化」
 5月18日、19日に米国で開催されたG8首脳会議では、焦点であった欧州債務危機への対応について、財政の健全化と経済成長の両立を追求する方針で一致した。財政緊縮一辺倒だった従来路線に対し、各国で世論の反発から政権与党が選挙で敗北し、政治的観点から路線変更を余儀なくされたと解釈される。
 今後の経済的な対応には、各国固有の「社会的・政治的」側面を考える必要が生じたことを意味する。すなわち、各国の「ポピュリズム」に配慮せざるをえない状況、「ギリシャ化」の蔓延である。
 ギリシャの世論調査では、依然、大半がユーロに残りたいとされるが、一方、緊縮財政には反対し、そうした動きをバックにしたポピュリズムと政治上の党利党略が生じる現象が、本論での「ギリシャ化」の定義である。
2011年の政権交代は
財政緊縮路線に向かった
 次の図表1は昨年2011年のPIIGS諸国で生じた政権交代を示すもので、2011年はPIIGS諸国で国債市場での不安に引導を渡されるかのように、市場主導で政権交代が生じた。
 その結果、市場へ対処すべく各国で財政の緊縮路線がとられた。多くの場合、新政権の経済政策を担うのは経済学者を中心とした実務テクノクラートであり、イタリアのモンティ首相はその典型例だった。

次のページ>> 2012年の政権交代は、ポピュリズムに向かった
 一方、次の図表2に示されるように、今年2012年に生じた政権交代は先の2011年の政権交代を示した図表1とは大きく異なる。すなわち、今年5月のギリシャとフランスの政権交代は、財政緊縮をすべきとの「正論」に対し、「ポピュリズム」の観点から生じた国民の反発による動きである。
 そうしたポピュリズムの動きは、市場評価の観点から国債の信用評価改善にはネガティブに働く。しかし、政権与党への批判の力が、国際協調を重視したそれまでの政権党への反対票につながったと考えられる。
 すなわち、市場評価を意識しつつも、目先の緊縮に対する「痛さ」に耐え切れないとの世論が上回ったとも考えられる。5月18日、19日に米国で開催されたG8サミットでは、各国のそうした意向を反映した宣言につながっている。

バブル崩壊が引き起こす期待と
現実の乖離とポピュリズムの麻薬
 次の図表3は、筆者がバブル崩壊後の調整を示す観点から用いてきた概念図である。バブル崩壊とは、それまで長期にわたって抱いた期待のトレンドと、現実との間に乖離が生じることによって生じる経済・金融現象である。
 それは、日本がバブル崩壊以降辿った「日本化」の世界でもあった。ただし、その影響、「日本化」が経済金融混乱の次元からグローバルに政治社会に波及し始めたのが、2012年の特徴である。
次のページ>> 日本の政治暦9月も、期待と現実のギャップから
 バブル期に抱き続けた期待と現実の乖離は、「社会の不満」や「政治の不安定」を生む。それは、過大な期待への「空手形」を唱える政治サイドの対応のポピュリズムと、「空手形」を実現できないことに対する国民の失望の繰り返しであった。
 ただし、国民も多分に「痛みのない」、持続性はない「空手形」と知りつつも、既得権益を守る状態に安住してきた。同時に、政治サイドも一時的な麻薬に依存するかのように、ポピュリズムの空手形を唱えることになる。


日本の政治暦9月も
期待と現実のギャップから
 バブル崩壊後の1990年代以降、日本の首相の交代期間は極めて短期化し、同時に与党が変わる政権交代が頻繁に生じる政治の不安定さが続いていた。以上のような日本の政治の不安定さの背景には、参院制を含めた制度面からの要因も存在する。
 しかし、筆者はバランスシート調整のなかで、宿命的な期待と現実の乖離によるものと考えてきた。日本では、1990年のバブル崩壊以降、バブル期までの高い期待に沿ったトレンドに合わせるカンフル剤を注入を繰り返すなどの努力を反復した。

 しかし、実際には「空手形」の公約を実現できず、期待と現実のギャップから、右の図表4にあるように、毎年9月に「政治暦」のように政権交代を繰り返してきた、「日本化」の状況にあった。
次のページ>> 「ギリシャ化」のもたらす、崩壊への危機
日本にもある「ギリシャ化」
 今回のテーマは「ギリシャ化現象」であるが、それはこれまで議論してきた「日本化現象」とも共通する面がある。日本でも現実に対応し、消費税増税や社会保障給付の削減をしなくてはいけないが、それをしなくてもいいとする「ポピュリズム」が存在するのも、「ギリシャ化」の一種だろう。
 同様に、原発の再稼動が実現できない環境下、電力使用抑制強化や電力料金上昇は不可避となるが、そうした対応も容認しないとする動きも、一種の「ギリシャ化」である。
 結局、誰しも自らは負担せずに、フリーライダーとして、持続性に問題はあっても、目先の便益を享受したがる行動パターンが続くことになる。
「ギリシャ化」のもたらす
崩壊への危機
 以上の「ギリシャ化」も「日本化」も、基本的にバランスシート調整で期待と現実の乖離が生じたときに生じ得る現象である。ただし、ポピュリズムによって財政赤字が拡大しても、日本は経常収支黒字国として国内で国債消化を行ない、国内で完結した対応を行なうことができた。
 しかし、欧州債務国の場合、ポピュリズムは国債の信認失墜を通じ、新たな危機に追い込まれるリスクを持つ。「日本化」と違い「ギリシャ化」は、一時的な鎮痛剤や麻薬としての役割に止まらず、他国や国際機関からの妥協を引き出すチキンゲームの様相を帯びている。
 しかし、その帰結としてギリシャの場合、本当にユーロからの離脱が視野に入る不安も生じていることに、留意が必要である。
 しかも、そのリスクは従来のリスクとは異なり、人間の社会や心理構造に起因するものだけに、通常の経済を分析する次元でのリスク管理が難しいこと、従来の確率分布とは異なるリスクプロファイルを抱えていることが、今日の実務家が抱える難しさである。世界的な長期金利の低下は、以上のような環境への不安意識のなかで生じた可能性が高い。

質問1 ギリシャはユーロ圏に残ると思う? それとも、離脱すると思う?
残ると思う
離脱すると思う
どちらとも言えない


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