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■欧州のギリシャの債務残高をそれ程大きくない
ギリシャがユーロを離脱するかどうかを世界は固唾を呑んで見守っています。
一説にはドラクマの印刷の準備に入ったなどという情報もチラホラ。
元々、ギリシャ人はユーロを信用しておらず、ドラクマが未だに地方の飲み屋で流通する様なお国柄でもある様です。
ところでギリシャの債務残高はどの程度なのでしょう?
国家と民間債務をあわせて、で欧州向けのものは下記の通りです。
1) 欧州の金融機関が保有する債務残高 計904億ドル(約7.2兆円)
2) ECB(ヨーロッパ中央銀行)が保有する債務残高 約500億ユーロ(約5.1兆円)
これが、ギリシャがデフォルトを選択した場合の欧州諸国が被る直接的な損害です。
これはリーマンブラザーズが破綻した時の負債総額64兆円に比べ随分小さい数字です。
■債務の圧縮も、CDSの無効化も終わっている
ギリシャ危機を必要以上に拡大していたのはCDSの存在でした。
しかし、その残高は、現在は圧縮されて脅威と言えるレベルではありません。
どの様に圧縮させたのか、その方法は明らかではありませんが、CDSが無効化された現在、ギリシャのデフォルトの威力も知れたものです。
債務も75%も圧縮したのですから、残りの25%がデフォルトした所で、「いまさら」と言った感じは拭えません。
■スペイン、イタリアへの危機の連鎖はあるのか?
欧州が心配しているのは、ギリシャでは無く、
その危機がスペインやイタリアの伝播する事です。
もし、スペインがデフォルトする様な事態になれば、スペインの債権を大量に保有するイタリアに危機が及び、さらにイタリアの債権を大量に保有するフランスに飛び火して、最後はフランスの債権を大量に保有するドイツが炎上します。
ですから、ギリシャ自体は小さなマッチの火に過ぎませんが、ユーロの崩壊危機の導火線に火をつける可能性に世界を恐怖しています。
■国債危機は、国債金利の急騰で加速するギリシャがユーロ離脱、デフォルトを選択した場合、スペインとイタリアの国債が売られ、国債金利が10%を超えて急騰する事が予想されます。
これで何が困るかと言えば、新規国債の発行コストが増えてしまいます。
こうなれば、緊縮財政で歳出をいくら削っても焼け石に水です。
さらに国債金利に連動した民間金利も上層する為、ただでさえ弱っている国内経済に大ダメージを与えます。
■ECBは12月に国債の買いオペで危機を回避した
昨年末のギリシャ危機に際してはECBは100兆円の資金をばら撒いて、銀行に国債を買い支えさせました。
それによってスペインやイタリアの国債金利が低下し、各国とも危機を乗り切ったとも言えます。
■一過的な危機を乗り切れるか?
スペインは不動産バブルが弾けていますので、
経済はバブル崩壊後の日本同様、長期的な低迷が約束されています。
こちらは後進ヨーロッパ諸国が共通に抱える、過剰投資の調整に時間が掛かりそうです。
一方イタリアの債務残高は確かに低くありませんが、国内景気が悪化しなければ、短期的に崩壊に向う様な状態ではありません。
スペインで崩壊を食い止めれば、イタリアの崩壊はありません。
では、ギリシャがデフォルトを選択した場合、スペインは救済できるのでしょうか?
これはECBが大量のスペイン国債を買い上げるか、ユーロ安定基金やIMFがスペインに大量の資金を注入する必要があります。
何れにしても、スペインの救済はギリシャの救済に比べ、コストが大幅に上昇します。
■ギリシャ危機を何故放置し続けるたのか?
ギリシャ危機を早期に解決しておけば、EUの負担するコストは大幅に少なかったはずです。
しかし、EUは悪しき前例を作る事で、ギリシャに続くPIGS諸国の財政規律が緩む事を懸念しました。
ギリシャ危機が本格化する中で、スペインも形だけは緊縮財政に舵を切り、イタリアも実務者内閣で、財政再建に本腰になっています。
これは、ギシシャ危機によって得られた成果です。
■G8の結果、財政規律が緩みそうだが、「財政協約」が引き締める
EU各国はギリシャ危機を利用した「財政協約」を締結する方向で動いています。
ベルギーなどは、この協約を批准しそうですから、他の国々も、順次、協約を批准して行くでしょう。
フランスの大統領戦の結果と、景気悪化を受けて、G8では、景気回復と財政再建を同時に行う事が確認されています。
ブレーキとアクセルを同時に踏む様な決定ですが、実際には、緩和政策を先行させて、適時に財政を縮小させる方針でしょう。
■「財政協約」という「教官ブレーキ」があれば安全だ
ただ、ブレーキのタイミングを間違えると、ギシシャの二の前になりますから、「財政協約」という国家の財政を縛る法律で、「教官ブレーキ」を強制的に踏むシステムをEUは構築しようとしているのです。
国家主権を大幅に制約する「財政協約」
各国は予算案を国会に提出する前に、EUの承認を取る必要がありますから、「財政協約」は国家の主権を大幅に制約するものとなります。
例えば、日本が不景気だから国債を発行して公共事業を増やそうとしても、アメリカの承認が得られなければ、国債を発行出来ない事に等しいのです。
これは、普通に考えれば、ヨーロッパの国民の支持を得られるとは思えます。
だからこそ、ギリシャが必要だったのです。
「財政協約」を守らなければ、ギリシャの様に皆でイタブルぞ!!
これが、今回のギリシャ危機の本質です。
「財政協約」は財政状態の健全な北部欧州から批准して行くでしょう。
そして、彼らは「財政協約」を守らなければユーロを取り上げるぞと脅すのです。
■「成長協約」というアメも用意されているらしい
しかし「財政協約」だけではギリシャを例に取るまでも無く、経済危機に苦しむ国の国民は、デフォルトとユーロ離脱を切り札にしてきます。
そこで、「成長協約」というアメをEUは準備している様です。
これは、「地方交付税」と考えると分かり易いでしょう。
共通通貨を使用する限り、後進ヨーロッパの資金はドイツなどに吸い寄せられてしまいます。
これをフィードバックしなければ、後進ヨーロッパは何れ財政破綻します。
ですから「財政協約」で財政の不用意な拡大に歯止めを掛けた後、必要なインフラ投資などに「成長協約」から出資するという仕組みを作ろうとしているのです。
これは「財政統一」に他なりません。
■「共通財源」は「ユーロ共通債」か?
但し、「成長協約」には財源がありません。
ドイツ国民の税金を使うのでは、ドイツ国民が納得しません。
ですから「ユーロ共通債」を発行して、とりあえず、負債を10年後、30年後の未来に飛ばす事が先行されます。
「ユーロ共通債」の信用は、「ユーロ圏諸国」の信用に裏打ちされます。
要は、将来的ななEUの税収が担保となるのです。
■ギリシャを利用したショックドクトリン
何れにしても国家の主権である予算決定権を一部放棄する訳ですから、
平時にこれを実効しようとしても、各国の利害が対立して決まる訳がありません。
ですから「ギリシャ危機」を演出して、ヨーロッパは壁を乗り越えようとしているのです。
この様な政治手法を「ショックドクトリン」と呼びます。
云わば、国家版の「オレオレ詐欺」もたいな物です。
■世界を利用したショックドクトリンも有りうる
尤も世界に目を移せば、アメリカも日本も財政破綻の秒読みに入っています。
さらに、中国の不動産バブル崩壊も視野に入って来ました。
中国は金融緩和を発表していますが、
ヨーロッパの危機が深化すれば、欧州勢の投資が一気に引き揚げられます。
これで、中国の不動産バブルが弾ける可能性が指摘されていいます。
結局、欧州だけ見ていればギリシャ危機が最大の問題の様に見えますが、世界にはギリシャよりも財政状態の酷い日本が存在するのです。
日本国の借金は日本国民の預金に支えられています。
だから、日本国債はデフォルトする事が出来ません。
そこで、日銀の国債全量買取から、一気にインフレ、円安に突き進みます。
これの引き金には、国内であっては国民に示しが付きません。
ですから、財務省も日銀も政府も「ショック」の到来待ちです。
ドルという打ち出の小槌を持つアメリカですら、ドルの魔法は解けかけています。
次に大きなショックがあれば「有事のドル買い」「有事の米国債買い」とならずに一気に崩壊に向う可能性があります。
日米がこんな状態ですから、ユーロがマシに見えるかも知れません。
ヨーロッパはこの機を逃さずにユーロの財政統合を達成して、ユーロの強化に動くでしょう。
■負け組みは誰だ?
さて、負け犬は誰でしょうか・・・?
アメリアでしょうか、日本でしょうか?
アメリカはドルを脱ぎ捨てて、さらに莫大な債務を脱ぎ捨ててスッキリとスリムになって再出発するでしょう。
大統領の予備選からは撤退したとは言え、党員集会で過半数を押さえているロン・ポールというトリックスターが、高らかにFRBの解体を宣言するかも知れません。
「ゴメン、ドルは悪魔の偽札だったんだ」と言ったとしてもロンが言うなら、世界は許してしまうかも知れません。
日本は、アメリア国債がデフォルトして涙も出ません・・・。
■ギリシャ危機の巧みな誘導には日本は敵わない
ギリシャ危機の対応を見ていると、欧州のテクノクラート達は、つくずくシタタカです。
このズルさは、日本人にはなかなか真似出来ません。
日本は政治家と官僚とマスコミが阿吽の呼吸で、「何も決められない日本」を演じていますが、れとて、危機の先延ばしはなれど、解決には程遠い作戦です。
ユーロ離脱を切り札に、テクノクラート達の要求にしっかり答えるギリシャ人も相当のクセものです。
「バカなギリシャ人」などと高をくくっていると、ゴッソリ持って行かれるのは、実は日本人だったりするのでご注意を!!
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- Re: ゴールドマン・サックスの汚い手口 墨染 2012/5/22 09:06:29
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