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(回答先: ECBは是が非でもギリシャをユーロに留める意思なし 欧州でこれから何が起こるか ユーロ離脱、地中海東部の地政学にも影響 投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 17 日 02:04:10)
http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_443448?mod=WSJ3items
ギリシャのユーロ圏残留の目はわずかながらまだある
2012年 5月 16日 14:30 JST
ギリシャの連立協議が決裂し再選挙が決まったことで、同国のユーロ離脱の可能性は一層高まったと言わざるを得ないが、まだ離脱回避が不可避の段階まで進んでしまったわけではない。
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AFP/Getty Images
フランスのオランド大統領(右)は、就任式直後にドイツを訪問し、メルケル首相と会談した(15日、ベルリン)
3月にギリシャ政府が署名したばかりの緊縮策との引き換えの1730億ユーロ(約17兆6600億円)の融資を受ける救済計画を維持することを、欧州各国は望んでいる。しかし、今月初旬のギリシャ総選挙で、この計画を支持する政党は惨敗を喫する結果となった。
現在の世論調査も、6月半ばに予想される再選挙で、これら救済計画を支持する政党が再び敗れる見通しを示すものになっている。
ただ、先の総選挙で躍進、政治勢力として力をつけた急進左派連合(SYRIZA)は救済計画は否定しているものの、ユーロ圏には残留するとの公約で支持者を増やしている。
いずれにしろ、このギリシャの政治混迷はこの後どう決着するのだろうか。確かにユーロ圏離脱の可能性は高まっている。しかし、それは大半のギリシャ国民、及び欧州各国の望むところではない。他の決着の仕方もあり得る。
考えられる4つの場合を以下に探ってみた。
1)ユーロ圏離脱
もしSYRIZAが支持する新政府がこの救済計画を破棄すれば、その結果パニックがポルトガルやスペインに波及する恐れがあっても、欧州諸国はギリシャ財政が回り続けるのに不可欠な資金融資を凍結することになろう。
その場合、政府は納入業者などへの支払いを一部不履行とすることによって当面は何とかしのげるだろう。しかし、いずれ年金や公務員給与の支払いができなくなる。当然社会不安が増大する。
それに加え、保有ギリシャ国債の債務再編で大損失を被ったギリシャの民間銀行は、自己資本増強のため欧州から数十億ユーロの融資が不可欠だ。それがなければ、これらの銀行は破たんする。
欧州中央銀行(ECB)はギリシャ中央銀行に対し、こうした民間銀行を救済するためにユーロ紙幣を増刷することは許可しないとの警告を出している。結局、ギリシャは自国通貨のドラクマを印刷して銀行や人々の暮らしの破たんを回避せざる得なくなる。
また、この銀行破たんはギリシャ国民も想定できるシナリオだ。エコノミストらは、この予測のもとに国民が自分の資金を守るために預金引き出しを加速させることを懸念している。これが本格的な銀行取り付け騒ぎに発展すれば、ギリシャ政府は銀行を閉鎖して、ドラクマを正式通貨として再び採用することになる。
リスク管理コンサルティング会社、コントロール・リスクのアナリスト、デービッド・リー氏は「選挙で番狂わせがない限り、離脱の可能性は非常に強まっている」との意見だ。
2)緊縮は拒否も離脱せず
SYRIZAの人気の高いアレクシス・ツィプラス党首は、ギリシャ救済計画で求められる緊縮策を拒否してもユーロ圏にはとどまれると国民に訴えている。
この主張は、欧州各国からの脅しに憤慨してはいるもののユーロの維持を願う国民に受けている。
この緊縮策はしないが、ユーロにとどまるという第3の道を信じるSYRIZAの主張は、現在欧州の他の国々で起きている政治的ムードの変化が後押ししている面もある。フランス、イタリア、オランダ、そしてドイツにおいてもある程度は国民や政治家の間で、これまでの緊縮策が経済の下降局面で悪影響をもたらすとの批判が強まっている。
ただ、違うのは、これらの国々は他国からの融資がないと予算が回らないという事態には陥っていない点だ。ギリシャの年金や教員給与は、救済計画で求められる政府や経済の構造改革を実施しなければ、払われなくなる事態になるのだ。
「私の(ドイツ国民の)支持者は、(ギリシャのそんな)勝手を許すはずがない。これを無視すれば私の再選などは不可能だ」とドイツのベテラン国会議員、マイケル・フック氏は、来年に予定されるドイツ国政選挙に言及しながらギリシャのこの選択に対するドイツ国民の見方を明かした。
「SYRIZAはギリシャの力に対して幻想を持っている。『(緊縮の)拒否』と『離脱』の間の道は彼らが考えるより格段に狭いはず」と批判した。
3)救済計画の再交渉
今の世論調査での劣勢を挽回し、救済計画を支持する政党が再選挙で勝利したとしよう。そうなると、この緊縮実行を伴う救済計画を支持する彼らでさえ、3月には受け入れたこの計画が厳しすぎて、再交渉が必要だとしている。
ただ、緊縮策の緩和は、ギリシャ予算のより大きな歳入欠陥を意味し、その分欧州からの融資額が増えなくてはならないことになる。国際通貨基金(IMF)はこれまでのギリシャへの融資額で、同基金が貸し出せる限度一杯まで来ている、とくぎを刺している。それに加え、欧州北部の諸国は、これ以上ギリシャに融資するつもりは毛頭ない。
2010年の第1次救済計画では不十分で、新たな1380億ユーロの第2次救済計画が必要となった。この分の増額でさえ、ドイツ、オランダ、フィンランドの各議会での承認取り付けは厳しくなっている。
「もうここまで出すのだって、当初の腹積もりより大きな支援になっている。これ以上の増額の余地はない。パーティーは終わりだ」とフック氏はいう。
政治コンサルタントのアンソニー・リバニオス氏は、とりあえずこの新政権は再交渉はするだろうが、それは見せかけで「面目を保つ程度」に少し3月の第2次救済計画を変えた計画で合意することになると予測する。
ただSYRIZAの人気は高く、このシナリオは考えにくいとリバニオス氏はみている。SYRIZAの主張は緊縮計画の破棄であり、緩和ではないからだ。ドイツの限定的な譲歩にギリシャの急進左派が妥協できる可能性は極めて小さいからだ。
4)悔い改めて現計画続行
欧州各国指導者は、解決策は単純だ、と話す。ギリシャの諸政党が不満をがなり立てるのをやめて、現救済計画を順守すればいいというのだ。それは、ギリシャ政府がここ1、2カ月の間に厳しい緊縮策の第2ラウンドの開始に合意することを意味する。そうなれば各種公共サービス、社会保障、銀行自己資本の強化に必要な資金が提供されることになる。ただ、ギリシャの政治的な反発はこれを受け入れるのは不可能なほど強まってしまったようだ。この計画を支持する政党の基盤は今や弱すぎる。先の選挙では「(現行救済計画の)骨子は明らかに否決されてしまった」とリー氏はいう。
記者: MARCUS WALKER
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