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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M44E4O6TTDW201.html
ECBは是が非でもギリシャをユーロに留める意思なし−総裁
5月16日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は16日、同中銀が原理原則を曲げてまでギリシャのユーロ圏離脱を止める意思はないことを示唆した。ただ、ギリシャ残留を「強く選好する」とは言い添えた。
ドラギ総裁はフランクフルトでの講演で「ECBは引き続き、条約の定めるところに沿って、中期的な物価安定の維持とバランスシートの完全性の保持という与えられた責務を遂行する」と言明した。ユーロ創設のための条約は導入国が通貨同盟を脱退することを想定していないとし、従って「それは政策委員会が決定する問題ではない」と述べた。
ドラギ総裁の発言としては今までで最も、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性を暗に認めたに近い内容となった。ギリシャは6月17日の再選挙に向けて準備しつつあり、その結果、救済受け入れの条件に反対する党が主導権を握る可能性がある。
総裁は「政策委員会はギリシャがユーロ圏に残留することの方を強く選好する」と述べた。
原題:Draghi Signals ECB Won’t Keep Greece in Euro Area at AnyCost(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Jeff Black jblack25@bloomberg.net;フランクフルト Jana Randow jrandow@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2012/05/17 00:09 JST
http://diamond.jp/articles/-/18623
高橋洋一 [嘉悦大学教授]
反緊縮財政派が選挙で勝利
欧州でこれから何が起こるか
欧州の経済問題をめぐっては、フランスやギリシャ、ドイツで反緊縮政策派が各種選挙で勝利した。
昨年10月20日付け本コラム「ギリシャはデフォルト(債務不履行)常習国 歴史と最適通貨圏理論で解く問題の本質」で指摘した通り、欧州からはギリシャのユーロ離脱論も増えてきた。ギリシャのユーロ離脱を含め、スペインやイタリアの経済問題、ECB(欧州中央銀行)の動向など、今後の欧州の政治、経済のシナリオはどうなるのだろうか。ユーロの動向が日本経済に与える影響はどうなのか。
ユーロという共通通貨は
「現代版金本位制」
日本のマスコミは、ユーロ危機を通貨が同じであるにもかかわらず、財政は統一されていないことをその原因と見る向きが多い。だから、財政を統一せよ、しかも財政規律をユーロ各国が守れという論調だ。しかし、欧州の国民の動きはこれとまったく逆方向だが、経済理論からみて正しい方向だ。
そもそも、ノーベル賞受賞者でもあるアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは、欧州危機の時の緊縮政策は「自殺」への処方箋だといっている。同じくノーベル賞受賞者のポール・クルーグマンも、緊縮政策は「狂気の沙汰」であるとして、はっきりとおかしいと言っている。ほとんどのエコノミストは経済危機における緊縮政策は、間違っている点で同意するだろう。
振り返ってユーロ危機の本質を考えると、それはユーロという共通通貨圏となったために、各国の金融政策の自由がなくなったことにある。各国でユーロを共通通貨として用いるということは、各国が金という共通通貨を用いる金本位制に似ており、「現代版金本位制」といえる。
次のページ>> 金本位制という歴史からの教訓
経済の歴史からの教訓として、金本位制では金融政策の自由度が低いため、経済危機の時には、財政政策でしか対応できないので対応力がないことがわかっている。1930年代の大恐慌の時に金本位制にこだわった国は恐慌が長引き、金本位制から早く離脱し管理通貨制に移行し、思い切った金融緩和した国ほど恐慌が短くて痛みが少なかったのだ。この大恐慌のメカニズムは、1980年代以降、テミン・MIT教授、アイケングリーン・カリフォルニア大学、バーナンキFRB(連邦準備制度)議長らの国際比較学派が究明した。
図は、国際比較学派の研究成果だ。世界24ヵ国を金本位制に対するスタンスに基づいて、第1グループ(金本位制でないか1931年までに離脱した国;スペイン、オーストラリア、ニュージーランドの3ヵ国)、第2グループ(1931年に離脱した国;日本、英国、ドイツなど14ヵ国)、第3グループ(1932年から1935年までに離脱した国;米国、イタリア、ベルギー、ルーマニアの4ヵ国)、第4グループ(1936年でも離脱しなかった国;フランス、オランダ、ポーランドの3ヵ国)にグループ分けを行い、グループごとにデフレの状況(具体的には卸売物価の推移)を示したものだ。
これを見ると、デフレはどのグループでも生じているが、金本位制から早く離脱したグループほど軽微であり、より早くデフレから脱却していることがわかる。例えば、第1グループのスペインは、金本位制自体に復帰していなかったので、大恐慌の影響をほとんど受けなかった。一方、1936年になっても金本位制に固執した第4グループのオランダ、フランスは、スペインと地理的に近いにもかかわらず、デフレはひどくなかなか回復しなかった。
1930年当時と現在を単純に比較できないが、この研究から示唆されることは、ユーロから離脱すべき国は早く離脱したほうがいいということだ。
次のページ>> ギリシャの悲劇の根本にあるもの
また、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者マンデルによる最適通貨圏理論もある。共通通貨を適用するには、それぞれの国の景気やインフレ率の変動などが一致している必要がある。各国に同じ金利が適用されるのだから、景気やインフレ率がバラバラでは、一つしかない金融政策がワークしない。
第2に、各国の景気を平準化するためには、各国間の貿易相互依存が高い必要がある。第3に景気の好不況に合わせて人々が各国を移動できたり、構造調整が容易になるような労働市場の開放性や経済構造の柔軟性も必要だ。
こうした条件から見ると、無理にギリシャなどの周辺国まで同じユーロ通貨にするのではなく、最適通貨圏の加盟条件を満たした中心国だけが、同じユーロ通貨を採用したほうがいい。
そして、中心国では、ECB(欧州中央銀行)が積極的な金融緩和をすれば、スペインやイタリアの経済問題は一時盛り返すだろう。もっとも、スペインやイタリアは中心国とは必ずしもいえないので、ユーロにとどまりたいのであれば、労働市場の流動性や経済構造の柔軟性を確保するために、構造改革も必要だろう。
不自然さから
開放されようとする国民の叫び
ところが、フランスやドイツがユーロの拡大において、こうした経済原理を無視して参加国を次々と増やしたのは、もっぱら政治的な理由だ。独仏連合では市場規模が小さすぎ、ユーロがドルに対抗できる通貨にはなりえなかったからだ。
また、ギリシャについては、イスラム国家への砦として支援する政治的な意図もあった。ギリシャはトルコと軍事的に向き合い、多額の軍事費を負担してきた。北アフリカからは不法移民が押し寄せており、ギリシャは欧州中に移民が広がるのを防ぐ役割もあった。こうした政治的なユーロ拡大志向がギリシャの悲劇の根本にある。
次のページ>> 政治的な思惑が合理的な行動を妨げる
なお、フランスやドイツというユーロの中心国では、周辺国が増える「うまみ」もあった。ECBの政策金利は、ユーロの物価指数に占めるフランスやドイツのウェイトが高いため、フランスやドイツに合わせて過去低めに設定されている。このため、ギリシャなどの南欧の景気が過熱し、そこのインフレ率はECBが域内の物価安定の目安とする「2%未満」を上回ってきた。
同じユーロ国でも、インフレ率が相対的に低いフランスやドイツの輸出製品価格は低く抑えられる一方、インフレ率の高いギリシャなどの輸出製品は価格競争力を失っていく。このため、フランスやドイツの輸出は急増し、その果実を謳歌してきた。ギリシャ問題では、フランスやドイツは援助国、ギリシャは非援助国という構図であるが、それまではフランスやドイツはユーロ拡大の最大の受益国であったのだ。
ギリシャに対する第2次支援策は、これまで中心国のフランスやドイツが得ていた果実をギリシャに返すということであるが、もはや、フランスやギリシャ、ドイツの選挙結果は、経済原理を無視した人為的な制度「ユーロ」による不自然さから開放されようとする国民の叫びとも考えられる。
ただ、政治的な思惑は人々の合理的な行動を妨げる。法的にユーロからの離脱可能かどうかといった検討に時間が費やされる。さらに、政治的な面子を重要視して、目先の経済混乱を理由として、ユーロからの離脱に反対する向きもある。はたしてユーロに関する経済合理性は確保できるのだろうか。
いずれにせよ、緊縮策が見直されるといっても、当面ドラスティックに行われないだろう。となるとECBが金融緩和しないとユーロは持たない。この観点から見れば、米国の量的緩和で円高になったように、基本的には円高方向になるだろう。
質問1 ギリシャはユーロから離脱すると思いますか?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35234
ギリシャのユーロ離脱、地中海東部の地政学にも影響
2012.05.17(木)
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(2012年5月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
新内閣樹立を目指して15日に行われたギリシャの政党間協議は合意を得ることなく決裂、6月中旬に再選挙が行われることになり、ユーロ圏離脱のリスクが高まっている〔AFPBB News〕
嵐の最中にはち合わせになった船のごとく、ギリシャは欧州の中心部から最も遠い岸に全速力で向かい、一部のバルカン諸国は正反対の方向に舵を切っている。
ギリシャによるユーロ圏離脱は、まだ決まったわけではない。しかし欧州連合(EU)では、企業も銀行当局も官僚もこぞって、離脱の可能性に備えつつある。
もし今後6カ月から18カ月のうちにギリシャが離脱することになれば、EUがクロアチアを28番目の加盟国として迎え入れたり、セルビアやモンテネグロを少しずつ受け入れたりする時期と重なる。
また、ギリシャ離脱という政治・経済の激変は、地中海東部で起きている地政学的な変化をも刺激する可能性がある。こちらはギリシャとトルコ、キプロス、イスラエル、ロシアがからんでくる広範な変化だ。
ソブリン債務・銀行危機と同じくらい重大な懸念
EUにとってこうした展開は、ユーロ圏のソブリン債務・銀行危機という西欧の不安定化要因と同じくらい懸念される事態かもしれない。
ギリシャがユーロから離脱した場合、それによる経済的苦境は言うまでもなく、一般のギリシャ国民が味わう屈辱感も筆舌に尽くしがたいものとなるだろう。
1967年から1974年まで続いた軍事政権が崩壊した後、ギリシャはバルカン半島の小国から脱皮して欧州の近代国家になることに望みを託した。2009年に債務危機が勃発するまで、この希望はある程度かなえられていた。
しかし、ギリシャの進歩の背後には恩顧主義(クライエンテリズム)的な文化の病が隠されていた。政治家が票を目当てに有権者に大盤振る舞いし、国家には返済しきれないほどの債務が積み上がったのだ。
世間では今、ギリシャがどのような方法を用いて、銀行や企業への悪影響を最小限に抑えながらユーロ圏からの離脱と新通貨の導入を進めるのかに関心が集まっている。
しかし、この種の議論は2つのポイントを見落としている。第1に、ユーロから新通貨への切り替えを迅速に行う行政能力がギリシャにあるかどうかは疑わしい。
第2に、ギリシャが正式なユーロ導入国としての地位を失うにつれて、欧州中央銀行(ECB)からギリシャの銀行への融資は絶たれるものの、その一方でギリシャ市民の間ではユーロの需要が非常に強くなるだろう。
当局は、ユーロを法定通貨として使い続けるよう求める圧力にさらされる。賃金や年金を支払うために印刷される、ユーロよりも価値の低い別の通貨とともに、国内取引でのユーロの使用を認めよという話になるだろう。
ユーロの使用が継続されたとしても、そのおかげで大半のギリシャ国民の生活水準が維持されるわけでもないし、ギリシャの銀行が一息つけるわけでもない。銀行は今年、保有するギリシャ国債で多額の損失を被っており、何百億ユーロもの資本増強を必要としている。
だが、ギリシャがユーロ導入国の地位を失えば、銀行は必要な資金を調達する術を失う。恐らく、国有化されたり外資の傘下に入ったりすることになるだろう。
非公式にユーロを使用するモンテネグロとコソボの例
しかし、ほかの点に目を向けると、ギリシャがユーロの使用を継続すれば、同国にはバルカン半島の隣国であるモンテネグロとコソボの日常生活の趣が出てくる。両国は1999年に欧州の通貨同盟が発足して以来、ユーロを使用してきたからだ(それ以前はドイツマルクを使っていた)。
ECBは両国のユーロ使用を促したわけではなく、容認してきた格好だ。モンテネグロもコソボもECBの代表権を持たないため、ECBの金利政策に対する発言権はない。それでも、少なくともモンテネグロでは、ユーロは成功物語となった。
ユーロは極めて効果的にインフレを抑制し、通貨制度を安定させたため、モンテネグロは2010年にユーロ建ての債券を発行し始めた。
5月26日に行われる歌謡イベント「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝戦でモンテネグロがエントリーした曲が「ユーロ・ニューロ」という題名なのは、ユーロがモンテネグロ人の生活に与えた影響の大きさを物語っている。
より重大なのは、ギリシャによるユーロ圏離脱が地域に及ぼす影響だ。ギリシャの債務を大量に抱えているキプロスの金融システムは、破滅的な打撃を受けるだろう。
離脱すれば、イスラエル、ロシアに接近も
キプロスは昨年、ロシアから25億ユーロの低利融資を受けた。ロシア政府はキプロスの銀行に大金を預けているロシア人富裕層を保護することを望んでおり、融資はその利害を反映したジェスチャーだった。キプロスは近く、さらに支援を必要とするかもしれない。
同時に、キプロス、イスラエル領海でのガス田発見は、トルコとイスラエルの緊張関係と重なり、ギリシャ、キプロス、イスラエルの3カ国の協調関係を緊密化させるだろう。
仮にユーロ圏の一員としての立場が失効したり崩壊したりすれば、ギリシャ、キプロス両国がイスラエルとロシアの腕の中に安らぎを求めたくなることは想像に難くない。
By Tony Barber in London
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