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英国は日本から何を学ぶか
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投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 02 日 02:57:37: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 躓く英国経済:二番底入り  ユーロ危機、緊縮財政に代わる策なし 公共支出では根本的な問題を解決できない 投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 02 日 00:48:14)


英国は日本から何を学ぶか
法政大学 経済学部教授 (客員) 渡部 亮
90年代の我が国で、「日本は英国から何を学ぶか」という議論が流行したことがあった。英国は第二次大戦後に一度衰退したあと、見事に復活したので、「英国復活の秘密は何か」というのが、当時の議論の問題意識であった。
その英国では現在「デフレの日本から何を学ぶか」が関心を呼んでいる。英国は金融業への依存度が高いため、リーマンショックや欧州債務危機の影響が大きい。金融業は、不動産やITなど周辺産業の裾野が広いし、雇用吸収力も高い。金融業が低迷すると、次世代の主力産業を育成しなければならないが、新産業の芽は乏しいので、このままでは英国も「失われた時代」に突入するというのが問題意識である。
第二次大戦直後の英国では「大英帝国崩壊後の衰退をいかに管理するか」というテーマが論じられた。その英国からみると、現代の日本は、バブル崩壊後の衰退過程を円滑に管理していると映るのであろう。
実際、最近のギリシャ危機などに比較すると、日本の「失われた時代」は安定していたともいえる。というのは家計、企業、銀行、政府の間に、相互扶助に似た仕組みが存在したからだ。バブル崩壊の影響を受けた企業や銀行は、豊富な家計貯蓄によって救済された。企業は、雇用リストラによって人件費を減らし、設備投資を減価償却の範囲内に抑え、運転資本を削減して、フリーキャッシュフローを捻出し、銀行借入れを返済した。こうして雇用、設備、負債という「三つの過剰」を整理した。家計貯蓄の一部は海外投資にも向けられたため、低金利の円資金を利用した円借り取引が円安相場を演出した。その円安が、国際金融危機が発生するまでの間、日本企業の収益を支えた。
家計貯蓄は国債の消化にも貢献した。家計が直接国債を買う割合は少ないが、家計の銀行預金が、銀行による国債投資という形で政府の収入になった。政府は国債発行によって調達した資金を社会保障費に充当したので、人件費削減に伴う家計所得減少が補填された。こうした形で資金が循環したわけだが、その最大の理由は、家計部門が巨額の貯蓄を保有していたからだ。
この点は英国との違いで、英国では家計貯蓄が少ないし、個人主義のカルチャーが強いので、相互扶助の気風も薄いであろう。ただし幸いなことに、バブル期の日本企業が財テクで痛手を負ったのとは異なり、英国企業は大きな損失を抱えていない。したがって、企業部門の余剰資金を有効に活用することが景気回復の手がかりとなる。英国家計の貯蓄が乏しいので、政府が財政赤字を削減しようとすれば、企業部門の黒字を減らすしか方法はない。ということは企業が設備投資や配当を増やす必要がある。
設備投資促進の必要性は日本経済に関してもいえる。今や日本の企業部門も余剰資金を抱えているから、金利上昇を引き起こすことなく景気を拡大するには、民間設備投資の増大が不可欠である。設備投資といっても、輸出プレッシャーが掛かるような投資は円高を呼び逆効果になるので、新エネルギー開発や生活環境改善など内需喚起型の投資が望ましい。また財務理論上、資本構成や配当性向は企業価値にとっては中立的とされているが、増配や自社株買いによって株式市場が活性化すれば、資産効果を通じて、家計消費が刺激を受ける可能性もある。
英国では、2010年に誕生した保守党と自民党の連立政権が「均衡回復(rebalancing)」を経済政策の目標に据えた。具体的には、輸入よりも輸出の増加、サービス産業よりも製造業の育成、ロンドン一極集中よりも地方の活性化、富裕層よりも低所得層の所得増加、クリーンなエネルギー開発、財政再建などである。こうした政策目標のいくつかは日本とも共通する。しかし困難も多く、目標達成には時間もかかるので、日英両国が切磋琢磨して難局を乗り切ることを期待したい。
第一生命経済研レポート 2012.5
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/monthly/pdf/1205_1.pdf  

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