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(回答先: 唐突感ある日銀の追加緩和 銀行の収益悪化を招く恐れも 投稿者 ts 日時 2012 年 2 月 22 日 00:54:57)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34589 Financial Times
劇的な宗旨変えには及ばない日銀の方針変更 「物価安定のめど」が意味するもの
2012.02.22(水)2月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日銀の白川方明総裁はかねて、インフレ目標に懐疑的な見方を示してきた〔AFPBB News〕
一見すると、日銀が消費者物価の上昇率に一定のめどを採用したことは、劇的な宗旨変えに相当するような金融政策の大転換に見える。
日銀の白川方明総裁はかねて、インフレ目標に懐疑的な見方を口にしており、インフレ目標は中央銀行の政策の焦点を狭めすぎ、資産バブルに対する政策措置を妨げかねないと語っていた。
ところが先週、当の白川総裁が、消費者物価の上昇率を1%とすることを目指す政策の枠組みを発表した。また、数日後の講演では、総裁は自身の新たな姿勢を「インフレターゲティング」と呼ぶ人がいてもおかしくないと認めている。
世界第3位の経済大国である日本は数十年間にわたり、成長の陰りと慢性的な物価下落に苦しんでおり、日銀の金融政策の哲学の変化は、日本経済に多大な影響を及ぼす可能性がある。
世界的に進む中央銀行の政策立案の見直し
政策の枠組みを変えようとする日銀の意欲は、中央銀行の政策立案が世界的に見直される中で生じた。こうした再評価の動きは先月、米連邦準備理事会(FRB)が2%という正式なインフレ目標を採用したことで浮き彫りになった。
だが、白川総裁がダマスコに向かう途中でサウロが遂げた回心*1のような劇的な方針転換を果たしたと思っている人は、先週金曜日の総裁の講演の残りの部分を読んだ方がいい。
白川総裁は講演で、明白な言葉遣いで、日銀は今も、金融政策だけでデフレを退治することは不可能だし、単独でのデフレ退治を試みるべきではないと 考えていることを明白にした。物価下落は「日本の成長率と成長期待を強化する」対策によってのみ解決できるマクロ経済上の問題だと総裁は述べた。
*1=聖書の一節で、サウロ(後の使徒パウロ)がダマスコ(現在のダマスカス)に向かう途中で復活したイエスに出会い、回心したとされている
また、物価上昇率のめどの発表は、中長期の物価に対する日銀の考え方を正式に統一するが、実際の数字は年に1回見直されることになり、日銀は目標を達成するための取り組みを急ぐつもりもない。
白川総裁が講演で指摘したように、日銀はまだ、2013年度の消費者物価の上昇率がわずか0.5%にとどまると予想している。
さらに、言葉遣いの変化は、デフレは日本経済が抱える問題の主因だと主張する人と、物価下落はむしろ需要停滞と人口減少の症状だと見る人との意見の相違を覆い隠すことはできない。
拘束力のあるインフレ目標導入を求める声
先週の政策変更は恐らく、日銀に対する政治的圧力を和らげるだろうが、日銀を厳しく批判する向きは態度を和らげていない。
与党民主党の議員140人から成るデフレ脱却議員連盟の主要メンバー、金子洋一氏は、白川総裁の戦略は国民を「欺く」空虚な取り組みだと一蹴し た。金子氏らは依然として、強い拘束力を持つインフレ目標を日銀に導入させたいと思っている。こうした政策の導入は、党派を超えて一定の支持を得ている。
日銀はこれまで、もっと激しい批判を浴びてきた〔AFPBB News〕
日銀にかかる圧力は容易に誇張できる。日銀はこれまで、もっと厳しい批判を乗り切ってきた。2000年代初めには、ある与党議員が日銀総裁のことを「サル以下」だと非難した。
民主党の政策立案は今も、日銀の独立性を損なう動きには極めて慎重な政治家が仕切っている。
独立性を損ねれば、財政規律が失われ、膨大な政府債務のマネタイゼーション(貨幣化)につながりかねないと考えてのことだ。これは、ソブリン債務危機への近道だ。
厳格なインフレ目標の支持者たちは、異様な経済状態の下では政策効果に限界があるという認識の高まりとも向き合わなければならない。
イングランド銀行のインフレ目標は2%プラスマイナス1%だが、実際には4%を超える水準で推移している〔AFPBB News〕
こうした政策を支持する日本人は昔から、イングランド銀行(中央銀行)をモデルとして挙げてきた。
だが、白川総裁は厳しい口調で、イングランド銀行は「無理に」インフレ目標を達成しようとするのではなく、経済と金融の安定を重視するようになっていると指摘する。
日銀総裁は、先進国の中央銀行の間で、広範な政策の収斂が起きていると感じている。
各国中央銀行は最近、互いの危機の経験から教訓を学んできた。
方針の大転換ではなく、国際的な対話の一環
白川総裁の話では、中央銀行各行は、自身の責務と一致すると考える物価上昇率を公表する一方で、短期的な物価動向ばかりに目を向けるのではなく、むしろ中長期の物価トレンドとリスク評価に重点を置くようになっているという。
白川総裁はさらに、「インフレターゲティング」という名称を引っ込める時期かもしれないとまで言っている。そんなふうに言われると、総裁の目的は劇的な方針転換ではなく、国際的な対話の一環だということは明白だろう。
By Mure Dickie in Tokyo
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