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http://diamond.jp/articles/-/16212 金融市場異論百出【第215回】 2012年2月22日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
唐突感ある日銀の追加緩和 銀行の収益悪化を招く恐れも
日銀は2月14日の金融政策決定会合で、資産買入等基金による国債の買い入れ枠を10兆円拡大し、同時に従来の「中長期的な物価安定の理解」の名称を「中長期的な物価安定の目途」に変更した。
最近の日銀は、日本経済および世界経済は緩やかながらも改善傾向にあると説明していた。また、白川方明総裁は日銀の「物価安定の理解」はFRBに参考にされたほどの優れた枠組みだと誇っていたため、その決定には唐突感があった。
その背景には、会合前週の参議院、衆議院の予算委員会で白川総裁が円高、デフレに対して無策だと激しくたたかれたことが影響していたようだ。白川 総裁が答弁しようとすると、大勢の議員からすさまじい怒号と野次が発せられ、委員会室は連日騒然とした空気に包まれていた。FRBに比べて、日銀は消極的 過ぎるという批判が大勢を占めていた。
日銀は今回の国債買い入れ増額によって、経済が上向き、あるいは横ばいのときであっても緩和策を拡大していくという姿勢を市場に事実上示したことになる。
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「物価安定の目途」がいう消費者物価指数前年比+1%程度が実現されるまでは、日銀は国債買い入れを中心に資産買入等基金を拡大していくだろう。 日銀が持つ国債の名目GDP比は、昨年末で19%、FRBの11%よりもすでに大幅に大きかった。今回の決定により、今年末に想定される保有国債は114 兆円前後となる。昨年のGDPの24%に相当する大きさだ。日銀は今年中にさらにあと数回、国債の購入を増加させる可能性がある(買い入れ対象の期間を延 ばす可能性も高い)。「国債消化マシン」としての日銀の存在感はますます大きくなっていく。
その印象が適度な円安を招いて日本経済が活性化するならば幸運だが、単に長期金利の低下で終わってしまうと、銀行の貸し出し能力が蝕まれる恐れが 出てくる。長短金利のスプレッド縮小は、銀行の収益を悪化させ、リスクを取ることを難しくさせるからだ。同様の懸念は海外でも見受けられる。ロナルド・ マッキノン・スタンフォード大学教授は、FRBの超低金利政策は、米国の銀行の資金仲介機能を損なうと警告してきた。
英国では、昨年12月に英企業が市場から24億ポンドの資金を調達したが、一方で同月に銀行は企業への貸し出しを24億ポンド減少させていた。 「銀行は(イングランド銀行の)量的緩和の効果を吸い上げてしまった」(英「エコノミスト」誌2月11日号)といわれているように、いずこも金融政策の効 果は容易には表れにくくなっている。
(東短リサーチ取締役 加藤 出)
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