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原子力ムラの資金源を断 つことで脱原発の実現を (布施哲也の日記)
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/366.html
投稿者 福助 日時 2012 年 10 月 28 日 07:06:50: Bec2vmwBuKH7M
 

(回答先: 大飯原発再稼働の背景/ 原子力ムラに ばら撒かれる電気料金 (布施哲也の日記) 投稿者 福助 日時 2012 年 10 月 28 日 07:02:37)

http://kazumi386.org/~fuse3/diary.cgi?no=101

原子力ムラの資金源を断 つことで脱原発の実現を
(『アジェンダ』2012年7月号 掲載)

●究極の迷惑施設
 伊方原発の再稼働中止を要請するため、愛媛県伊方町役場を訪ねた。4月16日の松山市の集会に参加した翌日で、町の政策推進課長と面談した。その課長は、「積立金も十分にあるので、もうカネはいらない。ハコモノもこれ以上はいらない」と、町のこれからを説明する。原発を稼働させると、固定資産税が増えるが、原発がらみのカネはもういらないのだという。言外にその思いが感じられた。
佐田岬半島の入り口から突端までが町の領域で、役場の庁舎と原発は、半島の喉口に位置している。役場は宇和海側にあり、三基ある原発は反対側の瀬戸内に面している。役場の次に原発を訪ねたのだが、その間の距離はほんの数キロしかない。役場の庁舎も道路も立派なので、もうカネの使い道はないのだろう。でも、「再稼働するかどうかは国が決めること」と、あきらめの言葉がつづく。
原子力発電所を設置し、稼働させる理由は二つある。ひとつは核武装を想定した核開発のためだ。原発を「核発電」という名に変えるべきだとの主張を聞くが、この言葉が原発の本質を捉えている。「核爆弾を製造するためのプルトニウムは十二分にあるから、もう危険な原発は稼働させる必要はない」という論がある。前半部分は同意しないが、正鵠を得ている。
 もう一つの理由はカネである。原発は究極の迷惑施設なので、黙って受け入れる地域社会はまずないだろう。同意を得るためには、迷惑施設に共通するカネの出番となる。立地自治体へは固定資産税、交付金、そして寄付金というカネが配られる。原発の建設には膨大な土地と、海水面(漁業権)の確保が必要だが、建設の主体は民間企業の電力会社なので、「強制収用」はできないでいる。国策とはいえ、民主主義国家を標榜しているからだ。となると、残る手段はカネとなる。
 浜岡原発は静岡県御前崎市に立地するが、旧浜岡町の住民のことを聞いた。地元有力者の連れ合いの方が、夫が亡くなったがタンスに億のお金があり、その処理に困って相談をしてきたという。その相談した相手が、浜岡原発の運転差止訴訟に関わっていたため、タンス預金が公然化してしまう。原発がらみのカネだと証明はできないが、かなりあやしい。原発を推進するカネは潤沢で、この種の話がいろいろ聞こえてくる。
 大飯原発を立地する福井県おおい町にも要請をしたが、こちらの対応は伊方町とは違っていた。「貴方たちは原発を抱える地域社会の実情を知らない」と、町議会が文書を寄せてきた。「仕事がなくなって地元は大変だ。早く再稼働を」「立地地域は海や山を犠牲にし、原発のリスクを負っている。経済的な恩恵を受けることを『悪』のように言うのはおかしい」。4月22日の読売新聞には、このような町民の声も載っていた。これらがその「実情」なのだろう。
●料金値上げは権利なのか
原発を立地する自治体から聞こえてくる言葉は、異口同音にカネのことになる。「仕事がなくなる」「地元経済が立ち行かなくなる」という言葉だが、要は、原発がないと地域にカネが落ちないという声だ。でも、原発事故の被害を受けている浜通りの飯舘、葛尾、そして川内という村々はどうなのだろうか。原発に関わるカネは皆無だとはいわないが、原発に頼らないで、立派に自治体を維持しつづけていた。それなのに、人も土地も放射能をいっぱいに浴びている。
東京電力は、4月から企業向けの電気料金を値上げした。そのとき社長は、「料金の値上げ申請はわれわれ事業者としての義務というか、権利です」と述べた。この発言は強い批判を浴びたが、はからずも電力会社が持つ「権力」の実態を知ることになる。それは、電気料金制度が生み出すカネの力でもある。
 電気料金の値上げは二種類に区別される。企業向け等の50W以上の供給契約ならば、電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS=新電力)から、電気の供給を受けられる。そのため、契約が自由であるので値上げも自由となる。東京電力が「権利」と言うのは、建前上は自由な契約だからだ。その一方では、一般家庭向け、50kW未満の電気料金は、監督官庁(経産省)へ申請し、許可を得るという手続きが必要となる。受給者には、電力会社以外に選択肢はないからだ。
50kW未満の電気料金は、公共料金なので国(経産省)が認可・決定する。電気料金が他の公共料金と違うのは、電力会社に「大甘」の制度となっていることだ。それは、原発を電力会社に押しつけ、そこから生み出されるカネを自由に使うためだ。
電気料金の値上げは、やがては他の電力会社にも及ぶ。そして、電力会社が値上げをしたいのは、50kW未満の規制下にある電気料金の方だ。東電の自由化された部門と、規制された部門の五年間の比較数値がある。販売量については、自由化部分は68%で、規制されている部分は残りの32%。利益については自由化部分が9%で、規制部分が91%となっている(東京電力に関する経営・財務調査委員会報告)。つまり、値上げをしたいのは、儲かる家庭の電気料金だ。
東電は4月末に「総合特別事業計画」をまとめ、今度は、家庭向けの電気料金を10・28%値上げすると表明した。値上げ申請は1980年以来だという。値上げの理由は、火力発電の石油・ガスの燃料経費が増加したからだという。燃料価格の変動には、自動的に調整して価格に反映させる「燃料費調達制度」がある。
1996年からはじまったこの燃料費調達制度は、原油、LNG、石炭の変動分を三ヶ月ごとに料金に反映させるものだ。しかし、「通関統計における原油、LNG、石炭の価格であり、電力会社の実際の燃料調達価格とはまったく関係がない」と、「環境市場新聞」で批判されている。
料価格の変動ならば値上げを申請する必要はない。価格ではなく、調達量そのものの増加と説明するのだろうか。説明は間違っていないかもしれないが、正しくはない。値上げの理由は、電気料金全体の収入減にあるからだ。消費者に節電を促し、必要のない計画停電を実施したことが、東電の電気料金収入の減少に結びつき、値上げとなる。
●推進の原資は電気料金
電気料金の決定は総括原価方式による。節電を徹底すれば、この方式をとる限りは料金の値上げに結びつく。商品一般ならば、販売量と販売経費は比例するだろう。でも、電気の場合は、全体の電気料金収入の減少は、料金を値上げして帳尻を合わせてしまう。原発を建設し、稼働するには、膨大な資金が必要だ。用地や海水面(漁業権)の取得費、直接の建設費、自治体や住民へ配るカネも必要となる。そして、それらのカネの出所は、電気料金と、それに合わせて徴収される税金だ。毎年の電気料金だけでも、10の電力会社を合わせると15から16兆円となる。2012年度予算の国税収入が42兆円なので、その3分の1以上もある。
現行の電気料金制度が電力会社の力の源泉なので、その制度を改めさせたい。それは電力の自由化を推し進めることだが、自由化一般の推進には抵抗がある。強者の横暴から庶民を守る社会的規制があるが、これまでは、その規制を取り外すことが自由化のはずだ。しかし、電力の自由化は、規制を撤廃することは同じだが、その規制の目的が違っている。庶民を守るための規制ではなく、原発政策を推進するための規制となっているからだ。
電気料金に限れば、総括原価方式という「規制」で、潤沢なカネ=原発推進費を生み出している。「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」が経産省に設けられ、三月にその報告書がまとめられた。有識者と名乗るので胡散臭さを覚えるが、電気料金制度にやっとメスが入った。
企業の宣伝広告費ランキング(2010年・日経広告研究所)では、東電は10位となっている。東電のシェアは3割程度なので、電力会社全体と電気事業連合会(電事連)を加えると、パナソニック、トヨタを凌駕して、ダントツとなるはずだ。報告書は、「わざわざ需要を増やす必要はない」として、その広告宣伝費は原価(経費)に入れるべきではないと指摘している。
算入するべきではない他の原価では、原発立地自治体等への寄付金、経済団体の運営費をあげている。そして、修繕費、燃料費、設備関係費等の経費については、適切な査定をする必要があるとする。これらの経費は、電力会社の言い値で認めていたが、これからは改めるべきだという。
電力会社の力の源泉は電力料金だ。マスメディアへの支配は、宣伝効果という見返りを求めない膨大な宣伝広告費にある。経済界も支配するが、それは電力会社の調達物資の高価格と、経済団体への拠出金にある。これらの経費は、総括原価方式のため、増えれば増えるほど、電気料金収入もまた増える。
報告書のトーンは低く抑えられているが、電力会社の経費操作の悪辣さを暴露する。原価の積み重ねと、これに企業報酬を加えた額が電気料金となるのだが、原価を水増しすれば電気料金も増えてしまう。報告書は原価に参入してはいけない項目と、水増ししている項目を指摘し、これまでは自由だったが、これからは認めないとしている。実行されるのだろうか。
●電力会社の電気を買わない
原発建設計画を中止させ、再稼働をさせずに廃炉にさせたいのだが、この国の国民は、正当性を主張したところで、なかなか理解しようとしない。核開発を理由とした原発には、真正面からその論に対峙する必要があるが、もうひとつのカネに対しては一考が必要だ。配り方にメスをいれることは大切だが、「元を断つ」ということが重要となる。それは、電力会社から電気を買わないことだ。
規制を取り外し、電力の自由化を徹底させることが重要だ。それは、電気の自由な発電と販売を促し、これを担保する電力会社による地域独占を廃し、発電と送配電網の経営分離に結びつく。自由化はすでにはじまっている。50kW以上の契約ならば、電力会社以外のPPSから電気を自由に購入できる。一般家庭を除いているが、特段の理由がある訳ではない。電力会社と原発推進勢力が制限を設けるのは、自らの利益のためだ。
電力会社の利益は、自由化させない一般家庭の電気がほとんどを占めている。もし全面自由化となると、一般家庭の電気も企業等の電気と同じように低廉化して、これまでどおりの利益を得られなくなってしまう。電気料金制度は、競争にさらされる企業等の電気を安くするため、一般家庭の電気を高くしているからだ。消費税の増税がかまびすしいが、強者にはやさしく、弱者には厳しいので、なにやらその構造が似てしまう。
原発推進のために配るカネは、総括原価方式をいいことに、原価を水増しして電気料金として徴収してきたカネだ。電力の自由化は、結果として、電力会社の力の基盤を崩壊させる。電力会社ではない電気の小売企業=PPSのシェアは、これまでは3%ほどだが、原発事故以降その供給量は増えつづけている。商品=電力の性質から、供給を簡単に増やすことはできないが、関心は高くなっている。
電力会社も黙ってはいない。電力会社の送配電網を利用するのだが、普及させないために、託送料(利用料金)の設定を高額とする。また、PPSの供給量と顧客の需要量が一定の範囲を超えると、インバランス料金という高額の罰金も設定されている。まだある。電力会社の電気料金が引き上げられれば、託送料もスライドして引き上げられてしまう。これらの改善も待たれている。
 国の原発推進政策を改めさせるには、やはりカネが大きな意味を持つ。営業地域の独占、発電と送配電の一体所有、総括原価方式が、電力会社を守り、力を生み出す規制となっている。これらの規制を取り外すには、その根幹である電気料金制度を改めることが早道となるだろう。それには、一般家庭の電気を電力会社以外から自由に調達できるようにすることだ。反・脱原発の理念や正当性の主張が正攻法であるなら、これが搦め手作戦となるはずだ。      

2012年10月21日(日)08時52分 この記事のURL 未分類
 

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