http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/864.html
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今さら菅前首相にという思いもあるが、もっとも重要で過酷だった初期段階で事故対応の最高責任者であった人物が、ウソやデタラメそして言い繕いではない事実を語ることは、国民多数派が電力供給源としての原発に見切りをつける大きな契機になると思っているので、今少し執着してみたい。
福島第一原発事故対応をめぐる論議で主要テーマのようになった「1号機海水注入停止」騒動と「東電撤退」騒動は、日本のメディアや有識者とされる人々の“知的退廃”を如実に示すものだと思っている。
はっきり言って、この二つの騒動は、原発事故をめぐる問題として些末なものであり、事実関係さえ明らかにすれば終わりというものでしかない。
そうでありながら、「1号機海水注入停止」騒動は「12日朝のヘリによる視察」などと一体化して“官邸による過剰介入”問題にまで高められ、「東電撤退」騒動も、国会事故調や政府事故調でどのように総括されるのかメディアの大きな関心を集めた。
些末な問題を大げさに取り上げる言動の後ろには何かがあると疑われるものだが、それは脇におき、菅前首相など当時の内閣に属する人々の「東電撤退」説は、東電(経営者や会社)はどうでもいいのだが、過酷な状況で事故対応に当たっていた現場作業者の名誉を深く傷つけるものであり許し難いと思っている。
なぜ、菅前首相や細野原発担当大臣の「東電撤退」説をウソと決めつけるかと言えば、昨日来投稿している14日夜の「自衛隊撤退」がそれを明瞭に示しているからである。
引用する民間事故調のヒアリングで、菅氏は、「経産大臣から、東電の社長が撤退したいと言っていると。どうしましょうかという、その相談が15日の3時ごろにあったわけです」と述べている。
15日午前3時から遡ること6時間、14日20:56時点で、防衛省・自衛隊は、「第1原発2号機が危険な状態のため、全員オフサイトセンターから郡山駐屯地に移動」している。
この動きを載せている資料は、東電のものでも、保安院のものでも、民間のものでもなく、菅前首相自身が本部長だった「緊急災害対策本部・原子力災害対策本部」が発行した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震について」というレポートである。
福島第1原発から北西方向60km以上離れた福島市のオフサイトセンターにいた自衛隊が、「第1原発2号機が危険な状態」にあることを理由として、直線距離では福島市より福島第一原発に近い西南西方向の郡山に撤退したというもののである。
事故発生(震災)当日から出動した自衛隊は、1号機の水素爆発はともかく、前日から予測されていた3号機の水素爆発に対してさえ、備えて撤退するということはなく、近くで住民の救出活動や除染活動さらには10kmほど離れた福島第二原発で給水活動を続けた。
(※ 3号機の水素爆発は14日11:01に起きたが、その前日13日17:57に、自衛隊が「福島原発で空中散水を目的とした放射線モニタリングを16:15から実施する予定だったが、3号機の水素爆発の危険性を考慮し、モニタリング及び空中散水を一時中止」という動きを見せていることから、住民は別だが、政府が3号機の水素爆発を予測していたことがわかる)
このようなことから、菅前首相が本部長だった原子力災害対策本部は、福島第1原発で、近々「3号機の水素爆発」を超えるほどの放射性物質放出事象が起こる可能性を予測していたとわかる。
それがどういう事象なのかここでは問題にしないが、そうであるなら、菅前首相は、現場作業者のリスクをぎりぎりまで下げるため、ただちに自ら進んで、東電幹部と福島第一原発での“事故対応配備”見直しを協議しなければならないはずである。
60kmも離れた福島市にいた自衛隊が総員郡山に撤退したのに、とんでもない事象が起こる可能性がある福島第一原発の敷地内いる作業者が放置されていいはずがない。
事故対応の最高責任者であった菅氏が、危機的状況の到来を知っていながら、5千人に及ぶされた作業者の危険を放置することは許されないことは自明である。
福島第一の事故対応作業者の一部は、14日夜から15日午前にかけて、60km離れた自衛隊が総員撤退するほど危険な状態にあると見られていた2号機の破局をなんとか食い止めようと、命をかけて福島第一に残り奮闘したのである。
このような経緯をいっさい隠し、「東電の社長が撤退したいと言っている」という前提で、自分が身体を張って撤退を断念させたことで破滅的危機から脱したかのようにも思わせている菅前首相の言動は許し難いのである。
※ 自衛隊などの活動記録出所
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震について 3月15日17:00版」
P.31以降
(http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/pdf/201103151700.pdf)
※ 関連投稿
「菅前首相へ:国家国民のために隠し事やウソをつく意義は認めるが、あなたの隠し事とウソは国家国民を破滅に導くもの」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/854.html
「「SR弁」・「配管漏れ」・「物資調達」を持ち出したNHK「メルトダウン連鎖の真相」のマヤカシ度やデタラメ度を検証(前編)」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/781.html
「自衛隊「化学防護隊」の福島原発事故対応を無視し、3号機のメルトダウンを「物資調達」問題に求めたNHKの犯罪的報道」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/821.html
「前日から予測されていた3号機の水素爆発:それでも住民への避難指示は20km圏のままでやり過ごした日本政府」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/827.html
「“福島第一原発事故の最大危機”で「総員撤退」に踏み切ったのは、東電ではなく、自衛隊だった!」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/833.html
「民間事故調の細野豪志環境・原発事故担当相ヒアリング:東電の撤退話が首相の耳に届いたのは15日未明の3時ごろ」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/839.html
「細野豪志環境・原発事故担当相ヒアリング:東電を叱り統合対策本部をつくった菅前首相が「日本を救ったと今でも思っています」」
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/840.html
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福島原発事故独立検証委員会ヒアリング内容
【菅直人前首相】実施日:2012年1月14日
一般財団法人日本再建イニシアティブ
http://rebuildjpn.org/wp/wp-content/uploads/2012/07/97fe55fafbf8b89e7a79ba90deab8b55.pdf
P.15〜16(PDFファイル16〜17ページ)
司会 わかりました。次の質問、これも有識者委員の方の質問ですけれども、東電のいわゆる全面撤退について、これは官邸側の誤解だったのでしょうかと。東電が全面撤退の意向を持っているというような、そもそもそれは官邸側が誤解したのかと、こういう質問です。
菅 あんまりその質問に対してあれするのはないんですけども、だれが判断をするか。少なくとも私に対して直接来たのは、経産大臣から、東電の社長が撤退したいと言っていると。どうしましょうかという、その相談が15日の3時ごろにあったわけです。で、後、確認したら、官房長官のところにも同じような趣旨の話が来ていたと。さらにはほかのメンバーにも来ていたと。ですから私からすると、責任ある私の次に責任のある立場の人間の
ところに撤退をしたいという話があったということは、私にとってはあったということです。当然じゃないですか。
司会 そのときに菅さんが信頼する閣僚の方々、補佐官の方々からそういう東電の意向が伝えられたときに、どうやって確認したんだと、どういう言い方をしたんだと、相手はだれなんだと、役所には来ていたのか、保安院のほうはどうなんだと。この辺の議論というのは、議論というか確認はどうだったんでしょうか。
菅 ですから、私にとってこの問題でいえば、経産大臣、さらに官房長官というのは一番中枢の中枢ですから、彼らはきちんと来ているというのに、彼らの責任できちんとそういう会話があったということを、私はそうなのかと思って、それを前提として会議を開いて、その上で当事者の東電社長を呼んだわけです。
司会 その社長を呼ばれる前に、菅さんが吉田昌郎氏に直接電話をしていらっしゃいますよね。
菅 その時に、私が直接吉田所長に電話をした記憶はありません。
司会 ですから、ほかの方がそういう形で、「総理、ちょっと、吉田所長とひとつここで」という。これは総理ご自身に確認にしていただこうということでしょう。
菅 何がですか。
司会 つまり、本当に東電は一体何を考えているんだと。
菅 ちょっと本当に質問の趣旨がよくわからないんですけど、私としてはまさに、私、総理のもとで一番の責任のある経産大臣が、そういう話が来たということは、当然正式な話だと思います。ですから、それを前提で相談して、そしてその上で清水(正孝)社長を呼ぶと。ごく当たり前のことをやったわけです。
P.17〜18
司会 ちょっとまたさっきの東電撤退問題のほうに移るんですけれども、撤退は許さないと、まあそういうような政府の強い意思、こういうものを示されたわけですけれども、そのときに人命に対する脅威というか、作業員の命とか、最悪の場合はそういうリスクも負うわけで、その辺は特に政府の方々の議論の中でどういうような位置づけで議論されたんでしょうか。
菅 まず、許さないという表現がされたのは、今の法律で許さないというところまではないんですね。ですから、実際に東電で話をしたことも今少し表に出ていますが、何としても頑張ってもらいたいということは言いました、一番強い形では。許す、許さないという、そういう表現も使っていませんし、そういう法律的な背景もありません。と同時に、つまり撤退したときに何が起きるかということを、私自身だけじゃなくて当然、関係者には共有してもらいたいとは思いました。つまり普通の火事であれば、いくら大型の化学プラントの火事であっても、あるところで燃え尽きれば、それで一応鎮火して終わるわけです。第1サイトの場合は六つの原子炉と七つのプールがありましたし、さらには広範囲に逃げるとなったら第2サイトまで入りますから。そうすると10の原子炉と11のプールがあるわけですから、それを数カ月間ずっと放置して全部が、水がからからになってメルトダウンしたときに、どういう状況が生まれてくるのか。まさにチェルノブイリの何十倍、何百倍という放射性物質が順次、大気中なりに出ていくわけですから、それはもうまさに日本そのものの相当の割合が、人が住めなくなるだけではなくて、世界に対しても極めて重大な影響を及ぼすだろうと。やはりここは何としても、自分としては日本自身の、日本人自身の、あるいは関係者の責任の中で対応しなければならないと。
あえて私が言ったのは、まあ放射性、放射能の被害の問題というか影響は、比較的高齢者には、まあ何ていいましょうか、30年、40年先のことは60ぐらいを超えたらあまり考る必要はありませんから、私も60を超えましたから、あえて60歳以上の我々が行くしかないじゃないですかということも、あえてそういう場で会長や社長に言ったのは、やっぱりそういう危険があっても、ここは踏ん張ってもらいたいという気持ちで、そういう場面でも言いましたし、そういう思いで皆さんにお願いしました。
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