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(回答先: 新たなチャイナ・セブンに隠れた狙い−実は胡錦濤の大勝利 投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 29 日 00:41:09)
【第201回】 2012年11月29日 週刊ダイヤモンド編集部
中国新指導部は保守色に
胡錦濤が最後に打った布石
11月15日、中国の次の最高指導部の顔触れが出そろった。保守派(江沢民派)と改革派(胡錦濤派)の熾烈な権力闘争の結果は、一見すると保守派に軍配が上がったかのように思える。しかし、今後10年を見据えると、意外な姿が浮かび上がってくる。はたして新体制下で経済・社会改革は進むのか。
これからの10年を担う新たなリーダーの肉声は、きれいな標準語だった。
「胡錦濤(こ・きんとう)国家主席は、国民に好かれない田舎なまりが特徴的だった。これに対し習近平(しゅう・きんぺい)氏は、自分の言葉で“夢”を語り、わかり易かった」(柯隆・富士通総研主席研究員)、「終始笑顔が絶えず、国民目線で親近感が持てる。声もよく通っていた」(加藤嘉一・ハーバード大学ケネディスクールフェロー)。
新指導部は、胡錦濤が最後に掲げた「2010年度比で20年度までに国民の所得を倍増する」計画の任務も負う
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11月15日、中国共産党の第18期中央委員会第1回全体会議後の記者会見で、党の最高指導部である常務委員7人(チャイナセブン)の名前が読み上げられた。表にある新指導部の党内権力序列は、ここで読み上げられた順番である。
Photo:REUTERS/AFLO
その1人目(党総書記)に予想通り指名された習氏は、これで次期国家主席もほぼ確定した。来年3月に開かれる全国人民代表大会(全人代。日本の国会に当たる)で正式に国家主席となり、胡氏の職を完全に引き継ぐことになる。
15日に行われた習氏の初の政策スピーチは、中国国内のテレビで生中継された。
「良好な教育、安定した仕事など、生活がさらによくなるよう努力することが、我々の仕事である」
原稿の丸暗記で「ロボットのよう」と揶揄されてきた胡氏とは違い、国民の大多数が初めて聞く新リーダーの声の第一印象は、決して悪くなかったようだ。
とはいえ、指導部が直面する課題、すなわち国有企業改革や格差是正、社会保障制度の改善といった経済・社会改革が進むかどうかという視点で今回の布陣を見ると、「保守色が強いと言わざるを得ない」(鈴木貴元・みずほ総合研究所上席主任研究員)。
特筆すべきポイントは、大きく三つある。第一に、江沢民(こう・たくみん)派(保守派)が多数を占めたことだ。習氏をはじめ、張徳江(ちょう・とくこう)(序列3位、以下同)、兪正声(ゆ・せいせい)(4位)、劉雲山(りゅう・うんざん)(5位)、そして張高麗(ちょう・こうれい)(7位)と、7人中、実に5人が江沢民派だ。
かつて江氏やケ小平(とう・しょうへい)は、党の主要ポストを退いた後も軍トップに留まっていたが、胡氏は今回、軍トップの座も習氏に明け渡した。と同時に、引退した党高官の政治介入を禁じる内部規定を設け、いわば「江氏も道連れにした」(加藤氏)格好だ。「院政に終止符を打った」といわれるゆえんである。
ただその代わりに、「江沢民派の面子を重んじた布陣となった」との見方は少なくない。胡錦濤派の汪洋(おう・よう)や李源潮(り・げんちょう)がはずれたことからも、拙速な経済改革に反対する保守勢力が多く、胡氏がそれらに配慮した様子がにじみ出ている。
第二に、経済政策の鍵を握る首相・副首相人事。筆頭副首相と目された金融のプロ・王岐山(おう・きざん)は、汚職腐敗対策担当となった。副首相より序列が上がり、これは当面の重点が経済改革より腐敗対策であることを示唆している。
目下のところ、次期首相と目される李克強(り・こくきょう)は11月以降、収入分配体制改革などの改革案を出すといわれる。しかし、習氏の方は「格差是正についてはスピーチでも触れず、意欲は見られなかった」(鈴木氏)とあって、やはり改革が進むかは不透明な印象が拭えない。
5年後に5人が退任
胡錦濤派が巻き返すか
もっとも、改革派の李克強氏が孤立して見えるものの、党トップ25人に当たる政治局員や、205人に当たる中央委員に広げて見れば改革派も多く、一定の成果が出るとの期待もある。
常務委員入りしなかった汪氏や、馬凱(ば・がい)など改革派が政治局員入りしており、首相・副首相チームでサポートすると見られる。
また、中央委員では18人の企業家が入ったことが注目を集めた。これが国有企業関係者ばかりだったため、既得権益を守るとの見方も出ているが、「企業家として経済改革に貢献するという見方もある」(鈴木氏)という。
さらに第三のポイントとして、そもそも習氏と李克強氏以外の5人は、5年後の第19期党大会で68歳の定年を迎えて退任する見込み。実は、ここで胡錦濤派が多数派になる可能性が高い。
というのも、今回ははずれた汪氏や李源潮氏だけでなく、習氏(第5世代)の次、第6世代のホープとされる胡錦濤派の胡春華(こ・しゅんか)が政治局員入りしている。この3人が入れば、少なくとも7人中4人が胡錦濤派となり、一気に勢力を巻き返すことになる。そこからは、改革が軌道に乗るかもしれない。
中国では、経済成長の果実を享受してきたのは党幹部、国有企業幹部、民営企業の経営者など国民のわずか3%程度に過ぎなかった。格差を放置すれば社会は不安定化し、党体制も揺らぎかねない。
一方、今後は経済成長率が緩やかな“中成長時代”に移行する。そうした中で、格差是正に向けた対策は財政負担も大きく、決して容易ではないだろう。バランスの取れた改革を進めることができるか、世界中が中国の次の10年に注目している。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)
http://diamond.jp/articles/print/28613
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