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大人片づけインストラクター 渡部亜矢
2015年10月21日 11時19分
全国各地で問題となっている「空き家」や「ゴミ屋敷」。親の暮らす実家や主を失った古い建物が、誰の手もつけられないまま放置されているケースも多い。「忙しくて」となかなか足が向かない、「そのうちに」と後回しになっている、「うちは大丈夫」と目をそらしている……。「プロが教える実家の片づけ」(ダイヤモンド社)の著書がある渡部氏は、何気ない五つの習慣にゴミ屋敷を引き起こす危険があると指摘する。いつまでたっても実家が片づかないのは、ゴミが原因ではなかった――。
片づけの鍵は親子のコミュニケーション
ゴミだらけ、でも親にとっては……
なぜか実家に増え続けるモノはいったい何なのでしょう? 落ち着けて、安らぐはずの実家が帰省のたびになんとなくゴチャゴチャ……。そんな、「片づかない実家」に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
モノが少なかった時代を経験した親世代にとって、モノは豊かさの象徴です。どんな小さなモノも思い出や人生そのもの。捨てるという発想はなく、家にスペースがある限り、モノを持ち続けます。部屋に隙間があると、不安になってしまうという高齢の方もいるほどです。
今は手軽になんでも手に入る時代。一方で、モノはその人の人生の一部とも言えるわけですから、「捨てるのはつらい」という気持ちを理解することが大事です。
捨てるという発想を持たないまま、年月は流れていきます。年齢が上がるにつれて、やがて、体力は落ち、気持ちがなえ、モノだけが年とともに増え続けていくのです。
片づけは新たな親孝行
平均寿命が延びたことで、親子の期間も延びることになります。その結果、親に育ててもらう時間よりも、親から独立してからの年月のほうが長くなるのです。親子といえども、いつの間にか体力も逆転、お互いに自立した「人」として付き合う時間のほうが長くなっています。
親だから分かってくれて当然というのではなく、むしろ仕事で付き合うように、適度に距離をとったほうが、感情がぶつからず、結果的にうまくいきます。ひとりの人間として向き合い、きちんと敬意を払うことが大切です。
実家の片づけは、これからの新たな親孝行の一つ。片づけを始める前に、親子の関係をもう一度見直し、再構築することを考えましょう。
キレイじゃなく、安心・安全・健康に
自宅と実家の片づけは、似ているようで全く違います。同じだと思って取り掛かると、必ず失敗してしまいます。
大切なのは、見た目をきれいにするのではなく、あくまで「安心・安全、健康に暮らせる家」にするという共通の目標を持つことです。
親世代は、今まで積み重ねてきた習慣で生活をしています。もちろん、人としてのプライドもあります。納得してもらわない限り、実家の片づけは進められません。
納得してもらうには、親の心を動かす「片づくフレーズ」があります。
多少の言い争いや行き違いが生じるかもしれませんが、コミュニケーションをまったくとらず、亡くなってから後悔するのではあまりにも悲しすぎます。
NGワードを「片づくフレーズ」に
親子の壁を乗り越え、片づけがすんなり進むフレーズを三つご紹介します。
<1>片づけの主体は必ず親
×「古すぎる」「センスが悪い」「モノを残されて困るのは私」
○「どうしたい?」「どっちが好き?」「不用心で危ないよ」
実家といえども、他人の家。片づけの主人公はあくまでも親です。子どもだからといって、勝手に親の家を片づけるのはご法度。掃除や整理をしてあげるなどと強行すれば、親を意固地にさせてしまう懸念があります。これが自宅の片づけとの決定的な違いです。
この「世代間のギャップ=親子の壁」を乗り越えない限り、片づけは始まりません。
「親にとっての片づくメリット=親の好みの優先、安心・安全の確保」を伝え、親が主体になっていることを意識してもらうことが大切です。
<2>「捨てる」ではなく「移動」
×「こんなモノ、もう捨てて」「どうせ使わない」「いくつもあってどうするの」
○「今すぐ使うわけではないから、奥に移動させよう」
親世代に、「捨てて」はNGです。子どもからは、たとえゴミに見えても、親にとっては大事な思い出が詰まっています。
本当に必要なモノは、瞬時に「いる」と判断できます。
判断の目安はたったの3秒です。捨てようかどうしようかと時間がかかったら、一時保管を選択し、邪魔にならない部屋や納戸へ移動させましょう。「捨てない」という安心感を持ってもらうことで、片づけがぐんと進みます。
さらに、半年くらい経過した後、やはり使っていないようなら、「いらないモノ」として廃棄できます。それでも処分したくないというなら、親が納得するまで保管しておいてもいいでしょう。
<3>モノがないという不安を解消
×「いくつ買えば気がすむの」「こんなにあっても使わないでしょ」
○「使いやすいモノを選ぼうか」「足りなくなったら、電話してくれれば大丈夫。すぐに持って来るから」「帰省する家族の数に合わせよう」
使わないストック用品や食べきれないほどの食料品を買い込むのは、ひとり暮らしで自分の体が動かなくなったときの不安の裏返し。
連絡してくれれば、すぐに届けられることを告げ、安心してもらうことが大事です。
日頃からコミュニケーションを密にとり、親がSOSを出しやすい環境にしておきましょう。
また、家族やお客さんが多かったころの記憶をもとに、「いつか使うかもしれない」と食器などを必要以上に持ち続けるケースもよくあります。お盆や正月に帰省した家族やお客の数を目安に、モノが多すぎないか点検してみるといいでしょう。
相手が娘や息子だといつもケンカ腰になってしまう親のなかには、孫のためなら片づけられるという場合もあります。「孫が安全にハイハイできるようにしよう」などと、とっておきの「孫ワード」を使って、片づけのきっかけにするのもいいでしょう。
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居間にあるチラシを捨てただけで母が激怒
実家は親の「なわばり」があります
【Q】 親がかたくなにモノを捨てたがりません。家中が散らかっているのに、古いチラシを捨てただけで、「捨てるモノはいっさいない」「これから使う」と、母が怒りだしてしまいました。私には、ゴミにしか見えません。母はまったく片づける気がなく、どこから手をつけていいかわかりません。
【A】 「なわばり」に気をつけて
久しぶりに帰省し、「きたない」「捨てて」などと言おうものなら、抵抗にあうのはよくあることです。たかがチラシといえども、親御さんからみれば必要なモノなのです。お母さんの「なわばり」に土足で踏み込んだことが、失敗の原因です。
片づけに乗り気でない親の場合、誰が見ても片づけやすい場所から取り掛かるのが鉄則です。つまり、親の生活エリアになっている「なわばり」から遠い場所や「思い入れ」の少ない部屋が狙い目です。
最初は、外玄関など他人の目につきやすいところから始めましょう。出しっぱなしになっているガーデニング用品などの移動を行うといいでしょう。「防犯のため」と強調すれば、衝突は回避しやすいでしょう。
次は、自分が子ども時代に使っていた部屋の片づけをおすすします。
子ども部屋にあるモノは、あなたの判断で片づけられますから、捨てるのは簡単です。あなたの片づけている姿を見て、親も自然と片づけに気持ちを傾けていきます。
さらに、火災や地震などの災害時に避難経路となる、内玄関、廊下、階段へと片づけを進めていきます。床に置きっぱなしになっていたモノがなくなれば、つまずいて転倒する危険が減り、室内の安全性が高まります。動線が広がり、片づいたことで味わえるスッキリとした気分は、親の共感を得られるはずです。
使う当てのない布団、乗らない自転車、重いスーツケースなどは、親も処分を先延ばしにしていることが多く、こうした大物を片づけてあげれば、親子の距離はぐっと縮まります。
ここまでできて、ようやく「なわばり」に入れます。生活エリアとなっている寝室、台所、居間は、タンスや戸棚の「高いところ」から手をつけましょう。地震による落下の危険がありますから、もしものときに備える意図を伝えれば、親もすんなりと受け入れてくれるでしょう。
片づけのゴールは見た目のキレイではなく、安心、安全、健康に暮らせる家ということを忘れないで。
お金のありかを聞くのは慎重に
【Q】 久しぶりに帰省したとき、散らかった家の中を見て、思わず「通帳はどこにあるの」と聞いてしまいました。すると、「親よりもお金が心配なのか」と泣き出し、片づけどころではありませんでした。
【A】 貴重品の所在は、コミュニケーションのスキルが上がってから
久しぶりに会った親に、いきなり「通帳出して」「遺言書いて」と指示するのはもってのほか。
子どもが親の高齢を心配し、家や財産のことを早めに確認したいという気持ちは理解できますが、お金のことに神経質になっているのは当の親です。しかし、コミュニケーションがとれていないのに、いきなりお金の話を持ち出されたら、心を閉ざしかねません。
親子がともに散らかったモノを片づけられるようになり、財産についても整理が必要だと自然に感じられるように、日ごろから信頼を深めていくことが大切です。
万が一の災害や入院への心構えとして、通帳や保険証券、親しくしている友人の連絡先といった情報を一つにまとめる作業を提案しましょう。親が大切にしているモノを整とんしたいという気持ちで臨みましょう。
亡父の遺品整理、子ども同士が大モメ
実家のたたみ方を考えましょう
【Q】 実家の近くに住んでいる主婦です。先日、父が亡くなり、業者を頼んで遺品整理をしましたが、費用がかさみました。2人の弟は、「仕事が忙しいから任せる」と言っていたのに、後になって「勝手にやった」と文句を言います。遺品整理の費用を相談しても、「忙しい」の一点張りで話になりません。もし母が亡くなったら、このまま実家は放置状態になりそうで心配です。
【A】 子ども同士の関係を見直して
遺品整理を行う際、本来は見積もりの時点で家族が情報を共有しておけば、後でもめることはなかったはずです。かかった費用をすべて計算し、誰がどれだけ負担するかを話し合うしかありません。
今後、お父さんの遺産分割協議や四十九日法要など、家族が集まる機会に、お母さんを交えてそれぞれの意見を交わしましょう。
そして、大切なのは、残された高齢のお母さんの暮らしをどうするかです。
今後必要となる医療や介護などの費用は誰が負担するのか、お母さんが亡くなった後の実家はどうするのか、子ども同士が協力しなければならないことが少なくありません。
きょうだいのコミュニケーションが取れないままでは、お母さんが亡くなった後、ますますモメてしまう可能性もあります。そうすれば、だれも住まなくなった実家は放置され、朽ち果てます。お父さんの死をきっかけに、きょうだいの関係を見直し、将来の実家のたたみ方を考えましょう。
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ゴミ屋敷化を見抜く五つの「ぱなし」
何もしなくても、モノは増えていく時代です。
若い時は整理上手だった人も、加齢とともに体力が落ちておっくうになったり、他人の目を気にしなくなったり、いつの間にか家中が散らかって「ゴミ屋敷化」する危険があります。
これは、体の病気と同じで、早めに気づき、早めに手を打たないと悪化します。
そこで、「ゴミ屋敷化」を見抜く五つのポイントをご紹介します。
<1>通販の段ボールやレジ袋が出しっぱなし
高齢になり体力が落ちてくると、モノを買っただけで安心し、床や廊下に置きっぱなしにしているケースが多くあります。
レジ袋に入ったままの食料品が腐っていたり、買ったのを忘れて同じモノをまた買ったりすることもあります。
もし、まとめ買いが増えていたら、体力低下の兆候かもしれません。
「大きな買い物をするときは相談してね」と声をかけるのもいいでしょう。
<2>窓やカーテンが閉めっぱなし
ゴミ屋敷となった家のほとんどは、窓、雨戸、カーテンが閉まったままです。
体力が落ちているだけでなく、気持ちがふさぎ込んだりしていると、窓を開けなくなるものです。風通しが悪くなり、ゴミやホコリもたまります。
窓際までモノが散乱しているような家では、空気を入れ替えようと思っても、窓までたどり着けないという悪循環に陥ります。
窓を頻繁に開け閉めできるという状態は、家がきちんと片づけられているということです。健康に直結する良い習慣を保てるよう親を見守ってあげましょう。
<3>ゴミを出さず、ためっぱなし
ゴミ収集日は、手帳やカレンダーに大きく記入し、どんなに量が少しでも、必ず出す習慣を崩さないようにフォローしましょう。
うっかり忘れてしまわないようにするため、子どもや孫が「今日はゴミ出した?」と電話を入れる方法もあります。
遠くにある実家との定期的なコミュニケーションのきっかけとなり、喜んでいる親もいるそうです。
ゴミ捨てを一回でも、「次回にしよう」「捨てなくていいや」と思うと、なし崩し的にゴミはたまっていきます。一般的な45リットルのゴミ袋をいっぱいにすると、重くて運べない場合もあります。小さなゴミ袋にまとめるようにし、こまめに捨てるのを習慣にするのもいいでしょう。
<4>衣類を重ねっぱなし
衣服が多すぎて、出しっぱなしになっていませんか
季節の変わり目は、高齢者でなくても、とかく体調を崩しやすいものです。
羽織りたいカーディガンがさっと出てこなくて、急な冷え込みを我慢し風邪をひいてしまうケースもあります。
衣替えをしようと手をつけたが、体力が続かず途中で断念。タンスの奥から引っ張り出した服が、そのままミルフィーユのように積み重なっていたら危険信号です。必要な服といらない服を区別できなくなり、次から次へ新しい服が増え、その山はみるみる大きくなっていきます。
片づけるための衣替えだったはずが、思わぬリバウンドとなってゴミ屋敷の道を進むことになりかねません。衣替えは高齢者一人では難しいので、一緒に片づけながらコミュニケーションを深める機会にするといいでしょう。高齢になったら、衣替えをしなくてすむように、衣服の数を見直すのもおすすめです。
<5>電化製品が壊れっぱなし
散らかっている家の多くは、壊れたまま放置されている電化製品が目立ちます。
とくに冷暖房器具は、高齢者の健康に影響しやすいので、すぐに直すように心がけてもらいましょう。
電球が切れたままの状態では、床のモノがはっきりと見えず、転倒などの危険もあります。こういう家の場合、片づけていくと購入したままの電球があちこちから出てくるのも共通しています。高いところに手が届かず、電球の交換ができなくなっているのです。
電化製品の故障に限らず、様々な困りごとを伝えられないでいるサインかもしれません。
片づけは、健康バロメーター
五つのポイントをご紹介しましたが、たいてい、どこか一つでも危険が見つかると、ほかにも問題点が表れてきます。
「ゴミ屋敷化」のきっかけはささいなことかもしれませんが、早めにその芽を摘み取ることが大切です。
実家の片づき具合は、親の体調や気力を映し出す鏡のようなものと考えてください。実家が散らかっていると思ったら、家族の関係を見直す機会なのかもしれません。
どうぞ、親に敬意を払い、末永く実家を見守ってください。
片づけ上手になりますように。
プロフィル
渡部亜矢
1965年神奈川県生まれ。銀行、出版社などに勤務後、2012年に一般社団法人日本エグゼクティブプロモーター協会を共同で設立、 片づけ上手塾エグゼカレッジ を開校、代表理事となる。高齢化社会に即し自宅と実家を片づける「大人片づけ」メソッドの普及、かんたん・最効率で片づくコツがわかる「片づけ上手」講座の開講、出張片づけサービスなどを展開している。主な著書は、「プロが教える実家の片づけ」(ダイヤモンド社)、「『5つの鉄則』でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK」(光文社)。片づけをテーマにした コラム も執筆している。
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