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(回答先: 2011.12.13 米国で沖縄海兵隊撤退論が相次ぐ(リベラル21) 投稿者 gataro 日時 2011 年 12 月 13 日 09:51:41)
在日海兵隊、駐留維持は必要か アマコスト元駐日大使に聞く(朝日新聞)
2011.12.08 東京朝刊 12頁
米国のマイケル・アマコスト元駐日大使が米スタンフォード大で朝日新聞と会見し、在日海兵隊について「長期駐留の必要性に疑問を感じる」と述べた。展望が見えない普天間飛行場の移転計画に固執する日米両政府に苦言を呈した形だ。
●嘉手納統合も一案 米は海・空軍で貢献
日本で民主党が政権に就いたとき、米政府はなぜ、普天間飛行場の移転計画にこだわるのか、私は理解に苦しんだ。半世紀で初めての政権交代であり、自民党政権が十数年間かけて果たせなかった問題だ。ことさら新政権に圧力をかけることにずっと当惑していた。
オバマ大統領が11月、アジア太平洋を最優先地域と宣言したのは合理的な判断だったが、問題は、今後の米国防予算削減の中で、アジアの米軍について、どんな予算配分になるかだ。国防総省の論議の関心は、中国を意識した海・空の統合戦略にある。これまでの対テロ戦争では陸軍と海兵隊の陸上戦力に予算が優先されたが、今後は海・空軍に大きく傾く。
すなわち、アジアでの海兵隊の役割はどうあるべきかという論点が生じる。在日海兵隊は東南アジアの災害救援活動も任務の一つとされるが、それは何も日本から展開する必要はない。仮にやるにしても、日本の自衛隊と合同ですべきことだ。原則として米軍が貢献するのは主に海・空の戦力にとどめ、陸上戦力は同盟各国が担うべきだと思う。
私は在日海兵隊の長期駐留の必要性に疑問を感じている。ある程度駐留するにせよ、米上院議員たちが提案しているように、嘉手納基地への統合など、他の場所へ機能を移せばいい。有事の際に部隊を増派する拠点が必要だといわれるが、もし日米間に真の意味ある同盟関係があるなら、日本の自衛隊基地や民間施設の利用も検討すればよい。
ただ、基地移転の合意がすでに存在する以上、その変更に軍官僚が抵抗するのは自然な反応だ。海兵隊は、ワシントンで非常に大きな政治力を持つ組織だ。普天間でもし墜落事故が起きれば政治的に重大な影響を及ぼしかねないことも心配している。さらに、中国の問題行動が増す今のタイミングで、戦力水準を下げる方向に動くことは好ましくないと考えるのも一理ある。だが、このまま現状を放置することは良くない。
●TPP、両国に難題 早期進展には疑問
今は両政府とも、普天間問題は後ろに置き、TPP(環太平洋経済連携協定)を正面に掲げている。両国がアジア諸国とより緊密な関係を築く広範で多国間の貿易問題に焦点を当てることは良いことだと思う。
だが、東京には農業ロビーの抵抗と与党内の意見対立があり、ワシントンは来年が大統領・議会選挙の年で、自由貿易協定を嫌う与党民主党の支持基盤・労組団体がいる。両国ともに政治的な困難を抱えており、順調に早く進むかどうかは疑わしい。そもそもTPPとは何か、米政府も国内に明示しておらず、今後の成り行きはかなり不透明だ。
●中国問題任せるな 自ら関係づくりを
長期的な中国の軍拡は、米国以上に日本に影響を与える問題だ。日本が尖閣問題や中国の自己主張の強化を心配するならば、その問題を米国に丸投げというわけにはいかない。日本は海上を中心に国防力を高める必要がある。
今後のアジア政策の中心は、中国とどうやって制御可能で生産的な関係を築くかにあり、その努力が不調に陥った場合の備えもきちんと整えながら外交を進めるデリケートなバランス感覚が重要だ。
その挑戦的課題に日米は協調して取り組める。オバマ政権の新アジア戦略で、日米関係はより重要さを増している。米国にとって欧州では英国を基軸とするように、アジアでは日本が最重要だ。我々は日米同盟をもっと真剣に考え、不断の努力を注ぐべきだろう。
*
1969年に米国務省に入り、駐フィリピン大使、国務次官などを経て89〜93年に駐日大使。日本に国際貢献を強く求め、「ミスター・ガイアツ」と呼ばれた。現在はスタンフォード大アジア太平洋研究所特別研究員。74歳。
◆先送りでは展望なし アメリカ総局長・立野純二
普天間飛行場を同じ沖縄本島の中で移すことが決まってから15年。この間に、9・11事件、中国の台頭、米欧の経済危機などで国際環境は大きく変動したが、普天間移転計画はほぼ一貫して墨守され続けた。
そのあおりで、ワシントン、東京、沖縄の三角形を反発と不信の連鎖がいく度も駆け巡り、沖縄の良心と日米関係を傷つけてきた。
アマコスト元大使の発言は、その不毛な現状を憂える長老としての苦言であろう。日本政府より、むしろ米政府に矛先を向けている背景には、今の米国が置かれた現実に対する冷静な読みがある。
9・11事件以来の長期戦争を終える米国は今後どんな紛争であれ、陸上部隊を投じる選択は難しい。中国への抑止を名目上で担う海兵隊にこだわるより、海・空の戦力を実質強化する方が軍事的にも、日米の政治的関係にも役立つとの考えがあるとみられる。
海兵隊の政治力はワシントンで一目置かれており、「既得権益」としての沖縄の施設の縮小を受け入れるハードルは高い。仮に米側がのんだとしたら、その分、日本の国防力強化を求めることはほぼ間違いない。それにどう応じるかは、日本としてのアジア安保戦略が問われることを意味する。
つまり、普天間移転の計画を変え、抜本的な新案を打ち出すには、両政府ともに手を付けづらい領域に踏み込まざるを得ない。その政治判断の先送りこそが普天間問題の本質といえる。元大使の苦言通り、計画の「現状維持」の一点張りでは展望は開けそうにない。
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