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教科書 揺れる沖縄・八重山/「つくる会」系採択めぐり紛糾/「文科省が制度の矛盾放置」
「東京新聞」 2011.09.21 朝刊 「こちら特報部」
沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で、来年度の中学公民教科書の採択をめぐり意見が対立し、混迷が続いている。制度上は地方が自主的に教科書を選ぶが、文部科学省が指導に乗り出す“異常事態”に発展。市町間の亀裂は深く簡単には収まりそうにない。 (小国智宏)
事の発端は、八重山地区の「採択地区協議会」が八月二十三日、「新しい歴史教科書をつくる会」の元会長らが執筆した育鵬社版の教科書を多数決で選び、各市町の教育委員会に答申したこと。同社版は保守色が強く、沖縄の米軍基地負担にあまり触れていないため、竹富町だけが反発して東京書籍版を選んだ。
教科書の無償提供を受けるには地区で一本化する必要があるため、三市町の教育委員十三人が今月八日、全体会議を開いて協議。石垣市の玉津博克教育長と与那国町の崎原用能教育長が途中退席するなど紛糾したが、最終的に多数決で今度は東京書籍版を選択した。
ところが、文科省は十五日、地区協議会の結果に基づき採択するよう通知。森裕子文科副大臣は「現時点で文科省が認めているのは八月二十二日の(地区協議会の)答申だ」と述べ、事実上、育鵬社版を採用するよう促した。中川正春文科相も十六日、教委全体会議の有効性に疑問を呈した。県教委は再度協議を行うよう三教委に要請したが、難航しそうだ。
第二次大戦の地上戦で多数の犠牲者が出た沖縄では、平和教育に熱心だ。四年前には、高校日本史の教科書検定で、集団自決の記述をめぐって大規模な県民集会が開かれた。「育鵬社版は米軍の抑止力や改憲論などを強調している」として、県民の拒否反応が強い。
従来は、教員が務める調査員が事前に教科書に順位付けをして、地区協議会に報告。教員が選定に深くかかわっていた。しかし、今年は、地区協議会会長でもある石垣市の玉津教育長が主導して規約を変更。協議会委員から教員を排除した。さらに、調査員の推薦になかった育鵬社版も選択の対象にした。
尖閣問題の影響も
背景として、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張が教科書問題に影響を与えているようだ。玉津氏を教育長に登用した中山義隆石垣市長は昨年二月、革新系現職の五選を阻止して当選した保守強硬派。同年九月の尖閣諸島の中国漁船衝突事件の後には、政府に「実効支配の確立」を求めたほど。外間守吉与那国町長とともに南西諸島への自衛隊配備にも前向きだ。
混乱の原因には教科書制度の矛盾もある。教科書無償措置法は、地区ごとに同一教科書を選ぶと規定。一方、地方教育行政法は、各市町村教委に教科書の採択権限があるとしている。文科省は「同じ地区で異なる採択をすることは想定していなかった」と話す。
教科書問題に詳しい高嶋伸欣琉球大学名誉教授は「調査員が推薦していない教科書を地区協議会が選ぶなど、強引なルール変更に無理があった」と指摘する。また、教科書採択の権限は各教委にありながら、選択は広域で行うという矛盾が続いてきた。「制度の矛盾を長年放置してきた文科省の怠慢が、問題の根本にある。沖縄の人たちが話し合い、自力でこの問題を解決してほしい」
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