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平成23年6月14日発行
見過ごせない!経団連「復興・創生マスタープラン」に書かれた恫喝
あの文書がなぜ注目を集めないのか不思議でならない。5月27日に日本経団連が発表した「復興・創生マスタープラン〜再び世界に誇れる日本を目指して」のことだ。
〈復興の青写真を描くのは、基本的にはそれぞれの地域の住民自身である。しかしながら、被災地域の活力なくして、日本経済の再活性化はあり得ない。
その逆もまたしかりである)
のっけから挑戦的だった。目的は日本経済の再活性化で、被災地域の復興などテコに過ぎぬとでも言いたげなのである。
実際、読めば読むほど財界の身勝手があからさまになっていく。
特区方式で東北に工業団地を設け、高付加価値化を図れと述べたかと思うと、それだけでは過剰設備になりかねないとして、〈わが国全体を底上げするという観点が不可欠である。加えて、製造業の海外生産比率が高まる中、産業空洞化により雇用の喪失や高付加価値産業の流出が起きないよう国内改革をを大胆に進めていくことも必要である〉
これはこれで理屈だが、その先が凄まじい。厳しい国際競争に耐えられる基盤整備のため、
〈わが国企業の海外生産比率が高まっているアジア諸国との比較において、事業環境のイコール・フッティング確保することが求められる。(中略)日本は事業を運営していく上で極めて高いコストがかかっていることが分かり、これらの改善が急務である》などとして、アジア各国と立地コストを比較する表を載せていた。いずれも日本を100とした場合、法人実効税率と労働コストがバンコクではそれぞれ74と7、広州は61と7、シンガポールは42と32であるという。
まるで恫喝だ。国内の工場を維持してほしければ、法人税と人件費をタイか中国並みの水準に引き下げろというのである。
他にもTPPへの参加を改めて促したり、消費税増税を示唆したり。前者は農業、後者は中小零細・自営業への致命的な打撃を伴う弊害が懸念されている大命題を、復興のドサクサで一気に進めてしまう腹らしい。
腐っても経団連は経団連だ。無能と無責任の大連立が既定路線化されつつある政治情勢では、こんな提言が丸ごと政策にされてしまう危険さえあり得るのではないか。
それにしても日本の財界も堕ちたものである。自意識過剰で下品で、中身は空っぽ。ついでにオモライ根性の塊。とりあえず全首脳陣が引退し、ゼロからやり直していただく方が、よほど復興・創生の早道だ。(隔週火曜掲載)
さいとう・たかお 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「経済学は人間を幸せにできるのか」「消費税のカラクリ」など著書多数。
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