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2011.06.05
■6月某日 やっぱり政界の一瞬先は闇という言葉は生きていた。自民・公明、みんなの党が提出した菅内閣への不信任案騒動劇のことだ。小沢グループ、鳩山前総理、原口元総務大臣らの不信任案賛成の動きが活発化したのが決議予定日の6月2日の前夜だった。そのままいけば、不信任案が通る可能性は十分の勢いだった。そうなれば民主党は分裂し、菅政権は総辞職になる公算が大だった。管総理は不信任案が通れば解散総選挙に打って出るという情報を流して不信任案賛成派を牽制した。
しかし、実際問題として東北の被災地では満足な選挙人名簿も準備できない中で、解散総選挙などやれるわけがない。仮に総選挙となれば一か月以上の「政治空白」は避けられない。そうなれば、菅内閣は被災地だけではなく国民からも総スカンを食ったはずである。あくまでも「ブラフ」である。その意味では、不信任案が可決された場合、どう考えても内閣総辞職しか選択肢はなかったし、無為無策の菅内閣に「NO!」を突きつけるには千載一遇のチャンスだった。
ところが、内閣不信任案決議直前の民主党代議士会で流れは一変した。鳩山前総理が、この代議士会直前に菅総理とサシで会談して、「震災復興基本法と第二次補正予算のメドが付いた段階で菅総理は辞任する」との言質をとったことを報告し、菅総理も一定のメドがついた段階で若手に引き継ぐと発言した。この一事をもって、内閣不信任案に賛成する予定だった民主党議員は、雪崩をうって不信任案反対に回った。
小沢一郎氏らは決議そのものに欠席し、賛成票を投じたのは松木謙公議員ら二人だけだった。何があってもやめないという頑迷な意志を表明してきた菅総理が辞任の意向を示したのだから、あえて自民・公明の内閣不信任案に賛成する必要はないという判断である。
問題はこの後である。鳩山前総理は6月一杯との判断を示したが、菅総理は原子炉の冷却までと解釈の食い違いが発覚。この会談に同席した岡田幹事長は菅総理サイドに立ち、平野元官房長官は鳩山サイドの見解を発表。結局、言った、言わないのレベルで対立するお粗末さ。鳩山前総理は菅総理に対して「ペテン師」と罵倒し、今後は辞任への道筋をつけると戦闘宣言。民主党内の対立は再び険悪な状況にもどった。
鳩山前総理の詰めの甘さを菅総理側が逆利用して開き直ったというのが「真相」だろう。少なくとも菅総理が辞任の意思を明確にしなかったら、鳩山前総理以下の内閣不信任案賛成派が反対派に転じることだけはなかったはずだ。その意味では菅総理は詐欺師といわれても仕方あるまい。
しかし、それにしても民主党執行部の面々は自民党よりも硬直した権力主義に取りつかれていないか。岡田幹事長、安住国対委員長らの内閣不信任案に同調したものは除籍を含む厳しい処分を科すと激しく恫喝をかけた。なぜ、菅総理が辞任すべきという声が多いのか、政権交代の理念を捨てた民主党執行部の変節の方が問題という疑問の声に対しては、有無を言わせず政党の論理で封殺、恫喝する、ではないのか。
ポスト・菅として名前の挙がる前原前外相も外国人献金問題以上にブレまくる政策を見ていても一貫性も信頼度もない。野田佳彦財務大臣も財務省の傀儡でしかない。玄葉光一郎や枝野官房長官は、政治力も人間性も未熟すぎる。政権交代の原点を実直に実現させようと動いているのは、原口一博、川内博史あたりではないのか。
詰めは甘いが、「こんな政権に誰がした」とボヤく鳩山前総理の実直さの方が、菅―仙石といった権力亡者よりもはるかに人間的には信頼できるのではないか。
菅総理よ、民主党が原点にもどり、原発・被災処理や沖縄の基地問題のためにも、早く辞めた方が日本のためだよ。
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