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田原総一朗の政財界「ここだけの話 :日経BP
与謝野氏起用はヒット、仙谷氏は「裏」担当
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110119/257621/
2011年1月20日
菅第2次改造内閣が1月14日に発足したが、この評判が非常に悪い。特に与謝野馨さんが経済財政相で入閣したことが野党の攻撃の的になっている。
与謝野氏の経済財政相への起用は一番のヒットだ
与謝野さんは自民党時代、2009年総選挙の選挙区で落選したが、比例代表で復活当選。その後自民党を離党し、新党「たちあがれ日本」を結成した。そのとき「政党票で当選した比例選出議員なのだから、いったん議員バッチを外すのが筋だ」などと批判された。
与謝野さんは昨年、『民主党が日本経済を破壊する』(文春新書)という本まで出して民主党をこてんぱんに叩いた。国会でも鳩山由紀夫元首相を偽装献金問題で「平成の脱税王」とこき下ろすなど厳しい質問を浴びせかけた。
その与謝野さんがあろうことか、今度はたちあがれ日本を離党し、民主党の菅改造内閣に入閣したのである。「人間として許せない」「まったく筋が通っていない」と再び厳しく批判されている。
そうした批判はよくわかるが、私は与謝野さんの起用が今回の改造内閣で一番のヒットだと思っている。その理由を書こう。
「装置」は作れど機能せずの民主党の失敗
2009年9月に政権をとって以来、民主党はまったくと言っていいほど機能してこなかった。なぜか。ひと言でいえば、民主党は政権とは何かがわかっていなかったからだと思う。
たしかに内閣という「装置」はできた。総理大臣は誰々、官房長官はこの人、外務大臣、財務大臣は……と閣僚を決め、装置は作ったのである。だが、鳩山さんが首相になって何一つ実現できず内閣は崩壊した。
装置は作れど機能せず。いろんな人が大臣になったが、誰もかれも「お人形」だった。政治主導を掲げたにも関わらず、大臣が機能しないのだから、各省庁の官僚を動かすことなどできない。あるいは、政治主導と言ってしまったがために、官僚が動かなくなってしまったのかもしれない。
元厚生労働相の長妻昭さんが私によく嘆いていた。年金問題や介護問題を改革する案を官僚たちに指示しても、官僚は「はい」と答えるだけで何もやらない。「何をやっているんだ」と問うても「今やっています」という返事ばかり。完全な面従腹背である。長妻さんに限らずどの大臣も同じで、官僚はまったく動かなかったのだ。
予算に精通した与謝野氏は官僚に信頼されている
いずれにしても、菅内閣は断崖絶壁まで追いつめられたのである。もう後がない。それにいち早く気づいたのは仙谷由人さんだったと思う。お人形ではなく、政治力を発揮し、官僚を動かせる人物に閣僚になってもらわねばならない、と。
しかも2011年度予算案は2年連続で国債発行額が税収を上回る状況になっている。この異常事態から脱して予算を組めるように税制と社会保障の一体改革を推進できる政治家、そして官僚から信用される政治家がぜひとも必要だった。
与謝野さんは自民党時代からずば抜けて予算に精通した人である。私は予算のことでは誰よりもまず与謝野さんに聞いたものだ。官僚たちも与謝野さんを信頼している。だから民主党は目を付けたのである。
マスメディアは強く批判しているが、菅さんはそれを百も承知で与謝野さんを大臣に起用した。「恥も外聞もなく」と言ってもいいかもしれない。
さて、与謝野さんは税・社会保障改革を進め予算編成のあり方を変えることができるだろうか。私はできると思う。だからこそ与謝野さんの起用が改造内閣の目玉と考えるのである。
与謝野・藤井「長老」コンビのつなぎ役に若手の細野氏
しかし、与謝野さんだけで十分なわけではない。政界を引退しかけていた藤井裕久さんを官房副長官に命じ、与謝野・藤井コンビで税財政改革を進めるつもりでいるのだろう。藤井さんは元大蔵官僚であり、財政に詳しい。官僚は藤井さんが「できる人」だということをよく知っている。
与謝野さんは72歳、藤井さんは78歳と高齢である。2人の「長老」をつなぐ若手として、39歳の細野豪志さん(元幹事長代理)を首相補佐官に起用した。
その人事を聞いたとき、私は「よくぞ細野さんは首相補佐官を引き受けたものだ」と思った。細野さんは小沢一郎さんに近く、当然小沢さんの了承を得なくてはならなかったはずだから。
この人事を見ても、菅さんが必死だったことがわかる。与謝野・藤井コンビをなんとか機能させたい。そのつなぎ役として細野さんを選んだのである。
もう一つの目玉は、仙谷由人さんの代表代行への起用である。
昨年11月、参議院で仙谷さんと馬淵澄夫さん(元国土交通相)の問責決議が可決された。自民党も公明党も1月24日に召集される通常国会では「仙谷氏と馬淵氏が関わる審議には応じない」と言っていたため、仙谷さんらを交代せざるを得なかった――。マスメディアはこう報じていた。
だが、私はそう考えていない。
仙谷氏は国会対策で自民・公明を担当
仙谷官房長官を更迭しなければ自公は国会に出ないと言うのなら、出なくてもいい。1週間もたてば、「自公は何をしているのだ」と世論が変わるだろう。そう菅・仙谷コンビは見ていたのである。だから改造内閣発足の直前まで仙谷官房長官続投でいくとしていた。
しかし、それが変わった。仙谷官房長官交代の表向きの理由は問責決議だが、本当の理由はほかにある。
実は仙谷さんは官房長官として「表」も「裏」も全部取り仕切っていた。だからこそ、自民党からも公明党からも目の敵にされ、マスコミからも攻撃された。ところが、彼は2002年に胃がんの手術をしているから体力的に持たない。
そこで「表」を辞めて「裏」専門になる。裏とは、つまり、そのたけた交渉術を生かした国会での自公対策である。参議院で問責決議を可決させた自公は、本音では民主党で信用できるのは仙谷さんだけだと思っている。
これが仙谷さんの代表代行への転出の理由だろう。代表代行とは極めて曖昧だが、逆に言えば、何も縛られず自由に動ける立場でもある。
仙谷路線を継承する枝野幸男官房長官
では、官房長官を誰にするか。仙谷路線がまったく揺るがない人物は枝野幸男さんである。枝野さんは仙谷さんのいわば弟分である。仙谷さんはなぜ枝野さんを信頼しているのだろうか。人間的にはもちろんだが、それ以上に二人とも弁護士出身であり、論が立つ人物だからだ。
官房長官として国会で野党から追求されても、枝野さんならきちんと答弁できる。しかも、感情論でなく論理的に。そこを買われたのだ。
枝野さんは反小沢の急先鋒で、小沢さんに嫌われている。鳩山内閣のとき、枝野さんは当初入閣せず、後に事業仕分けを指揮する行政刷新担当相になった。そのとき強引に推したのが仙谷さんだった。
どのようにして枝野さんを推薦したか。民主党は政治主導をうたい、内閣法政局長官の国会答弁を禁止した。それまでは、むずかしい答弁になると内閣法制局長官が出ていた。しかし内閣法制局長官が答弁しないとなれば、それに代わる法律に詳しく、きちんと答えられる人物が必要だ。それができるのは、民主党憲法調査会長の経験がある枝野さんであり、彼を行政刷新担当相として入閣させた、といういきさつがある。鳩山さんも小沢さんもそれには反対できなかった。
菅首相と岡田幹事長の狙いはただ一つ
仙谷さんは枝野さんの理論武装に期待している。そして、仙谷さんの姿勢や発想にあわせてやってくれるという信頼感も持っている。菅さんもそれをよくわかっている。枝野さんなら、仙谷さんと同じようにやってくれるだろうと思っている。しかも、仙谷さんの言うことを「はいはい」とただ受け入れるのではなく、何でもズバズバと指摘する姿勢を買っているのである。
では、菅さんと岡田克也幹事長は何をするのか。ただ一つ、小沢さんに離党を迫ることである。
2010年6月に鳩山首相と小沢幹事長が一緒に辞任し、菅内閣が発足すると、内閣支持率は22%から68%に急上昇した(日本経済新聞の世論調査)。その要因は小沢さんが辞めたからであり、それと同じように小沢さんが離党すれば内閣支持率が再びV字回復すると菅さんは見ているのだ。
与謝野・藤井・細野で税財政改革を進め、仙谷・枝野でねじれ国会対策と内閣の運営を行う。菅第2次改造内閣の本質はここにあると言えるだろう。
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