http://www.asyura2.com/11/nihon30/msg/403.html
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ミステリー小説のような不可解極まる殺人事件ということで耳目を集めた「浦安看護師殺害事件」の容疑者が逮捕されたという。
容疑者逮捕の報道をテレビ朝日の「ワイドスクランブル」を中心に見聞きしたが、今さらながらだが、日本で冤罪ははびこるワケの一端が見える気がした。
これまでの冤罪事件に共通する構図は、
「警察が容疑者逮捕を発表」→「マスコミは、容疑者を犯人として扱い、人格を含め非難がましい報道を大展開」→「世間の多数派も、容疑者を憎き犯人だと思い込む」→「警察や検察は世論動向を受けて躊躇することなく起訴」→「裁判官は証拠や論理をたいして吟味しないまま検察の意を汲んで有罪判決」
というものだろう。
さらに、今回もそうだが、被害者の遺族が容疑者を犯人と考えるようになると、犯人としての“固定化”はさらに進む。
産経新聞のサイト記事に、「亡くなった仙台市の看護師、長谷川かなえさん(23)の父親は22日、千葉、宮城両県警を通じて「犯人は逮捕され、安堵しておりますが、娘はもう帰ってきません。私たちの苦しみ、悲しみは今後も終わりません。これから、娘の冥福を静かに祈っていくしかありません。警察のこれまでの捜査などに感謝いたします」とのコメントを出した」とある。(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062211240011-n1.htm)
大手メディアの精神性が根っこから歪んでいることがよくわかるのは、つい最近の東電女性社員殺人事件で“冤罪”に陥れられようやく解放されたゴビンダさんに対する扱い方である。
ゴビンダさんが逮捕された当時の報道ぶりをなんら反省することなく、掌を返すようなゴビンダさんを称揚する報道でエンディングを飾った。
このエンディングを演じることで、マスコミは、当初から一貫してゴビンダさんの無実を信じていたかのような“余韻”を残して幕を降ろしたのである。
事件報道を見聞きしていつもまず考えるのは、容疑者がほんとうの犯人だろうか?ということである。捜査関係者や取材する記者ではないので情報は限られるが、マスコミが報じた内容で引っかかりがそれほどなければ、それ以上の深追いはしない。
今回の浦安看護師殺害事件の容疑者逮捕報道を見聞きして思ったのは、「おいおい、事件当時報道されていた内容と供述(警察の話)はまったく食い違っているだろ〜が。最低限、矛盾をクリアにしてから犯人扱いしろよ」というものである。
捜査状況を見聞きした中心はテレビ朝日の「ワイドスクランブル」だが、自らの過去の報道内容と矛盾している警察の話をベースに犯人と決めつけても、平気というか、恥じらいさえない出演者たちに空恐ろしさを感じた。(家人にはいつものことじゃないといなされたが)
警察の垂れ流し情報を嬉々として増幅報道する己の醜さに気づかない人々がメディアに巣くっているのである。
ディレクターもそうだが、MCを務める局アナ二人も、社内のデータベースはすぐにアクセスできるはずだ。最低限、浦安看護師殺害事件の概要を確認したのちに、番組を編成し、コメントも発するというのがメディア人の基本中の基本である。
本来なら、警察という国民の自由と権利をとりわけ強く侵害する可能性がある国家機関の権力行使(逮捕)についは、メディアは、推定無罪をベースに、警察の判断に誤りがあるのではないかという立場を堅持して報じなければならいと思っているが、とてもとてもそのようなことは期待できない状況なので、数段下のレベルで振る舞うようそっと主張している。
番組は、殺害事件翌日(5月1日)、逮捕された人物にインタビューをしている映像を繰り返し流した。
そして、出演者が、「無表情に対応しているのは犯人であることを隠したいからなんでしょうね」などとコメントしていた。そういう人なら、容疑者がインタビューで明るく対応していたら、“明るく振る舞っているのは犯人と疑われないようにでしょうね”とコメントするように思える。
今回の容疑者を犯人とすることに引っかかりを感じるワケを提示したい。
事件報道は、産経新聞のサイトが詳しいので、“事実”経過はそれに依ることとする。
[記事E]が、事件後にまとめられた事件に関する記事なので、先にそれを読まれることを奨める。
■ 「盗み目的で侵入すぐに気づかれたので殺害」という話のおかしさ
[記事A]に書かれており、他の報道機関も同じように表現しているが、容疑者は、「盗み目的で入ったら、長谷川さんに気付かれたので殺した」と供述しているという。
しかし、この事件は、殺人罪の対象であっても強盗罪は対象になっていないことからわかるように、女性の財布のお金さえとられないままで終わっている。(気づかれないうちに包丁をとった行為は窃盗罪を構成するだろう)
盗みを完遂するため、犯行に気づいた相手を殺したというのなら理解できる。
しかし、盗み目的で侵入し殺しまでやっていながら、すぐ見つかる財布のお金さえとらなかったという経緯はあまりに不可解である。
「浦安看護師殺害事件」の特異性というか不可解性は、被害者が布団に寝たまま一突きされ殺害され、着衣の乱れもなければ、部屋も物色された気配がなく、殺害後の部屋に施錠がされていたことに集中している。
“平穏”な状況のためか、殺害事件の発覚すら、部屋を被害者に貸した男性が帰宅してから30分近く経過している。
[記事E](事件後のまとめ的記事)によれば、「連休中の4月30日午前8時5分ごろ」、「「室内で知り合いの女性が死亡している」 動転した様子の男性から119番通報があった」、部屋を女性に貸した男性は、「漫画喫茶で翌朝まで過ごして30日午前7時40分ごろに現場マンションに帰宅した」となっている。「通報の遅れなどもあったことから県警は重点的に事情を聴いたが、男性は「長谷川さんが眠っていると思った」と説明」したという。
このような報道から、事件当初、何はともあれ、警察が疑いの目を向けるのは、部屋を貸した元交際相手の男性だろうと思っていた。
布団の上から刃物で一突きという殺害方法から、気づかれてとっさに対応したという話には大きな疑念を抱く。
部屋の主が帰宅してしばらく死んでいることにも気づかないほど“平穏”だった状況とは結びつかないからである。
刃物を持って迫ってくる犯人を見れば、被害者の女性は、すぐに布団から抜け出し逃げようとするか、防禦のために布団などを利用する反応をみせるはずだ。
しかも、殺害に使った刃物は、女性の部屋の主のものとされている。(「ワイドスクランブル」は容疑者が刃物を持ち込んだとも報じたがのちに取り消し)
女性がリンゴの皮を包丁で剥いたあとに放置したようなことでもなければ、包丁は台所にあるはずだ。部屋の構造は被害者の部屋と同じ可能性があるが、侵入した部屋で包丁を先に探し出し、それから何かを盗もうとしたのだろうか。それなら、窃盗目的ではなく強盗目的の侵入になる。
さらに言えば、「ワイドスクランブル」で警視庁の元警視が説明していたが、布団の上から心臓一突きという殺害方法は、しっかり把握した刃物を垂直に力強く突き刺さないと不可能だという。刃物が少しでも斜めになると、布団ですべって思うように突き刺せないそうだ。
「男性は「長谷川さんが眠っていると思った」」という話や同じ[記事E]にある「捜査関係者は「犯人の侵入に気付かないほど疲れて熟睡していたのか…」と推測する」といった状況とは大きくかけ離れた供述なのである。
[記事E]も、「犯人は無抵抗の長谷川さんに対し、殺意を持って強い力で刺したとみられ、状況からは顔見知りによる怨恨(えんこん)の可能性」に言及しているくらいだ。
[記事C]の「殺人容疑で逮捕された会社員西岡大志容疑者(26)が「盗みに入りやすいと思い、女性の部屋を狙った」と供述している」というのも妙である。
“女性が出かけた部屋を狙って盗みに入った”というのならわかるが、女性がいるとわかっている部屋に盗みに入るのは“強盗”である。
窃盗(空き巣)と強盗は、手口や犯行者の精神性が大きく異なる犯罪行為である。
■ 「容疑者が被害者の部屋番号を認知した経緯」の矛盾に満ちた説明
[記事A]に、「入り口はオートロックだが、長谷川さんは、偶然通りかかった西岡容疑者の後に続いて入ったという。長谷川さんは、知人男性が郵便受けの中に用意した合鍵を取り出したが、このとき西岡容疑者は部屋番号を確認したという」内容がある。
さらに、[記事C]は、「捜査関係者によると、マンションの防犯カメラには4月30日午前3時すぎ、西岡容疑者の後からオートロックの入り口を通って、マンション内に入る長谷川さんの姿が写っていた。長谷川さんはその後、現場の部屋に住む友人が入れた合鍵を郵便受けから取り出そうとして、部屋番号をのぞき見されたとみられる」と書いている。
[記事D]も、「防犯カメラの映像には、現場の部屋の合鍵を取り出そうと郵便受けの前に立つ長谷川さんの姿を、エレベーターの前で見詰める西岡容疑者が写っていた」と報じている。
パソコンでこれらの記事を読み、ふむふむ、それで、エレベーターと郵便ポストの距離や位置関係は?と思っていたら、「ワイドスクランブル」がしばらく後で、事件マンションの入り口構造の図解を示した。
ざっと言えば、オートロックの玄関を入り、まっすぐ進むと右側にエレベーターがあり、逆に左に折れて先に進み、さらに左に折れると集合郵便ポストのエリアに入るという構造である。
エレベーター前からは、郵便ポストが設置されている壁の延長が邪魔になり、誰かがいるのかも定かでない位置関係に郵便ポストエリアはある。
位置関係を頭で再構築して図にすればわかるが、部屋番号や居住者の名前が書かれている郵便ポストの表側はエレベーター側からは“裏”になるから、誰かがいることは見えるとしても、とてもじゃないが、部屋番号を知ることなんかできないのである。
この話が警察のバカバカしいでっち上げであることは、仮に集合ポストの壁が透明であっても、「エレベーターの前で見詰める西岡容疑者」が、「合鍵を郵便受けから取り出そうと」する女性の「部屋番号をのぞき見」することすらできないことを考えればわかるはずだ。
(集合ポストも透明であれば、女性の立ち位置や手を入れた場所を覚えて、後でポストの設置場所に行けば部屋番号を確認できるけどね)
■ まとめ
[記事A]には、「捜査関係者によると、西岡容疑者は現場となった長谷川さんの元交際相手の知人男性(23)宅の合鍵をマンション内で拾った可能性」があると書かれ、「部屋の主の男性が落とした可能性」も書かれているが、[記事B]に、「建物内の防犯カメラを徹底的に解析したところ、エレベーター内で何かを拾う西岡容疑者の映像を確認。長谷川さんが落とした合鍵を拾った可能性がある」と書かれているから、部屋の主が落とした可能性は否定されたと考えられる。
女性が落としたとして、女性が部屋に入る前に鍵を落とせば部屋に入れないし、殺された後に鍵を外で落とすこともできない。
鍵を落とすケースでなんとか妥当性があるのは、いったん部屋に入った女性が鍵をかけずに水を買いに外出したときに落としたというものであろう。
であるなら、容疑者は、自分の部屋に戻らず、ずっと女性の動きを監視していたことになる。鍵には紛失後のことを考え名前や部屋番号を付けないものだ。エレベーター内で拾っても、落としたところを見ていなければ、女性の部屋のものとはわからない。
[記事C]に「西岡容疑者は「部屋は無施錠だった。玄関から入った」」というリークが書かれているが、容疑者が合い鍵を拾ったという警察のリークは、殺害後部屋に施錠がされていることをすっきり説明するための“虚構”であろうと推測する。
[記事A]に、「西岡容疑者と同じDNA型の毛髪が現場で見つかったことが判明」とか、「西岡容疑者は現場室内にあった包丁を殺害に使い、「近くのどぶに捨てた」と供述している」とあるから、その話の信憑性を待ちたい。
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[記事A]
逮捕の26歳会社員の男 「盗み目的で入った」容疑認める
2012.6.22 01:01
千葉県浦安市のマンションで4月、仙台市の看護師長谷川かなえさん(23)が刺殺された事件で、県警浦安署捜査本部は21日、殺人容疑で、同じマンションの5階に住む会社員、西岡大志容疑者(26)を逮捕した。捜査本部によると、西岡容疑者は「盗み目的で入ったら、長谷川さんに気付かれたので殺した」と容疑を認めている。
捜査関係者によると、西岡容疑者は現場となった長谷川さんの元交際相手の知人男性(23)宅の合鍵をマンション内で拾った可能性があり、西岡容疑者と同じDNA型の毛髪が現場で見つかったことが判明。自供も得られたため逮捕に踏み切った。
捜査本部は同日朝、任意同行を求めて事情聴取し、自宅を捜索。西岡容疑者は現場室内にあった包丁を殺害に使い、「近くのどぶに捨てた」と供述しているといい、捜査本部で捜索している。
逮捕容疑は、4月30日午前3時15分ごろから午前8時5分ごろまでの間、マンション2階の長谷川さんの知人男性宅で、長谷川さんの左胸を何らかの物で刺して殺害したとしている。
捜査本部によると、長谷川さんは連休を利用して知人男性と会うため、29日に仙台から上京。同日深夜まで都内に住む弟と食事をした後、30日午前3時ごろにマンションを訪れた。
入り口はオートロックだが、長谷川さんは、偶然通りかかった西岡容疑者の後に続いて入ったという。長谷川さんは、知人男性が郵便受けの中に用意した合鍵を取り出したが、このとき西岡容疑者は部屋番号を確認したという。
西岡容疑者は、その後犯行に及び、知人男性が午前7時40分ごろに帰宅した後、長谷川さんが布団の中で血を流しているのを発見した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062201020005-n1.htm
[記事B]
防犯カメラ、粘り強く解析で逮捕
2012.6.22 01:24
現場となったマンション一室は完全に施錠され、建物出入り口の防犯カメラにも不審な人物が写っていなかったことから当初、事件は“密室殺人”の様相を呈した。しかし、捜査本部は不審者が写っていないことを重視。住民による犯行の可能性があるとみて、建物内に設置されたすべての防犯カメラの解析を粘り強く進めていた。
現場マンションは6階建てのワンルームタイプで、2階から上の階に約140世帯が入居。玄関はオートロック式の自動扉で、防犯カメラは玄関のほか、エレベーターや駐車場などに計6台設置されていた。住民は他に2つある鍵付きの勝手口から入ることができたが、住民以外の人間が建物内に入る場合は必ず防犯カメラに写る構造だった。
長谷川さんは4月30日午前3時ごろにマンションに入る姿が防犯カメラで確認されており、午前7時40分ごろに帰宅した元交際相手の男性が遺体を発見。部屋からは合鍵がなくなっていた。その間、長谷川さんがマンションを出入りする姿が防犯カメラに写っていたものの、不審な人物は写っていなかった。
このため、県警は顔見知りよりも「同じマンションの住民による犯行」(捜査関係者)とみて、建物内の防犯カメラを徹底的に解析したところ、エレベーター内で何かを拾う西岡容疑者の映像を確認。長谷川さんが落とした合鍵を拾った可能性があるとみて、慎重に捜査していた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062201260006-n1.htm
[記事C]
「女性の部屋狙った」 逮捕の26歳男「部屋は無施錠だった」
2012.6.22 07:52
千葉県浦安市のマンションで仙台市の看護師、長谷川かなえさん(23)の刺殺体が見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された会社員西岡大志容疑者(26)が「盗みに入りやすいと思い、女性の部屋を狙った」と供述していることが22日、捜査関係者への取材で分かった。現場の部屋は長谷川さんの友人の男性宅で、浦安署捜査本部は、西岡容疑者が長谷川さんの部屋と勘違いして侵入したとみて調べる。
捜査関係者によると、マンションの防犯カメラには4月30日午前3時すぎ、西岡容疑者の後からオートロックの入り口を通って、マンション内に入る長谷川さんの姿が写っていた。長谷川さんはその後、現場の部屋に住む友人が入れた合鍵を郵便受けから取り出そうとして、部屋番号をのぞき見されたとみられる。
西岡容疑者は「部屋は無施錠だった。玄関から入った」と説明しているという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062207530008-n1.htm
[記事D]
長谷川さん見詰める容疑者、防犯カメラに
2012.6.22 08:51
仙台市の看護師長谷川かなえさん(23)が、千葉県浦安市の友人宅で刺殺された事件は、同じマンションに住む西岡大志容疑者(26)の姿が写った防犯カメラの映像が、容疑者特定の有力な手掛かりとなった。
現場の6階建てマンションは、正面玄関やエレベーターなどに計6台のカメラが設置。正面玄関を通過する全ての人物の姿が記録されており、県警は映像を詳細に分析して不審人物の絞り込みを進めていた。マンションは大半がワンルームで、企業が単身者の借り上げ社宅として法人契約するケースが多かった。
県警によると、西岡容疑者は大阪府松原市の出身で、東京都内のIT関連会社に勤務。2010年4月からマンション5階の部屋に住んでいた。防犯カメラの映像には、現場の部屋の合鍵を取り出そうと郵便受けの前に立つ長谷川さんの姿を、エレベーターの前で見詰める西岡容疑者が写っていたという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062208530009-n1.htm
[記事E]
空白の4時間…浦安の看護師殺害、密室マンションに多くの謎[産経新聞]
2012.5.13 16:31[衝撃事件の核心]
千葉県浦安市のマンションで4月30日に看護師、長谷川かなえさん(23)=仙台市=が他殺体で見つかった事件は発生から2週間が過ぎた。施錠された元交際相手の男性会社員(23)宅で、犯人は長谷川さんの左胸を一突きで殺害。暴行の形跡はなく財布も奪われていない一方で、合鍵と携帯電話は見つかっていない。犯人は顔見知りか、流しか。防犯カメラで出入りがチェックされ、“密室”ともいえるマンションで起きた事件に、千葉県警の捜査が続く。
元交際男性宅で
連休中の4月30日午前8時5分ごろ、東京メトロ東西線浦安駅からほど近いマンション2階の一室。
「室内で知り合いの女性が死亡している」
動転した様子の男性から119番通報があった。
救急隊員や千葉県警浦安署員らが駆けつけたところ、布団の中の女性はすでに死亡。左胸に刺し傷が認められたため、県警は殺人事件と断定し、捜査を始めた。
県警は女性の身元を長谷川さんと確認。長谷川さんは連休を利用して元交際相手の男性の自宅に遊びに来ていた。一方、男性は前日から同僚らと東京都内で食事などをし、漫画喫茶で翌朝まで過ごして30日午前7時40分ごろに現場マンションに帰宅したという。
通報の遅れなどもあったことから県警は重点的に事情を聴いたが、男性は「長谷川さんが眠っていると思った」と説明。その後の捜査で男性の説明に矛盾はなく、男性が事件当時に現場にいなかった可能性が極めて高いことが分かった。
合鍵、携帯電話を持ち去る…残る不自然さ
事件現場はどのような状況だったのか。
マンション入り口の防犯カメラから、長谷川さんは午前3時ごろに現場を訪れたことが分かっている。入り口はオートロックの自動扉だが、長谷川さんは他の住人の後について内側に入り、男性が事前に郵便受けの中に用意した合鍵を使って男性宅に入ったとみられる。
しかし、事件発生後、現場からは合鍵に加え、長谷川さんの携帯電話と室内にあった包丁複数本のうち1本がなくなっていた。県警は現場にあった包丁で犯人が長谷川さんを殺害後、いずれも持ち去ったとみており、その際に合鍵で玄関を施錠したとみられる。
犯人の行動や持ち去った物に不自然さは残るが、捜査関係者は「施錠は発見を遅らせるためで、携帯電話は不都合な履歴が残っていたからでは」と分析する。
一方、室内の床には長谷川さんが死亡していた布団から、玄関方向に向かって血痕が付着していたことも判明。室外には血痕が残っていなかったため、犯人は凶器の刃物をバッグに入れたり、衣服で隠したりして逃走した可能性もある。
ただ、そうした不審人物が防犯カメラに写っていたとの情報は現在のところない。また、長谷川さんは男性宅に入室後、再び数分間だけマンションの外に出かける姿も防犯カメラには写っているが、最初に入ったときを含め、その前後に不審な人物が出入りする姿は確認されていないという。
着衣に乱れなし
遺体の発見状況からも犯人像は浮かびにくい。
長谷川さんは掛け布団の上から刺され、服装は上半身が外出着で下半身はストッキング姿。化粧もしたままだったという。防御創や着衣の乱れなど抵抗した形跡は残っていなかった。
捜査関係者は「犯人の侵入に気付かないほど疲れて熟睡していたのか…」と推測するが、当時の詳しい状況は不明だ。
解剖結果によると、長谷川さんの左胸の傷は心臓や肺にまで達する深い傷で、あばら骨も砕けていたことが分かった。
これらのことから犯人は無抵抗の長谷川さんに対し、殺意を持って強い力で刺したとみられ、状況からは顔見知りによる怨恨(えんこん)の可能性も浮かぶ。しかし、そういった人物がマンションに入ってきたという材料は今のところ集まっておらず、「予断を挟まずに交友関係と流しの線の両方で捜査している」(捜査関係者)と慎重に調べている。
空白の4時間
もう一つ注目されるのが、長谷川さんが現場マンションに到着するまでの行動だ。
長谷川さんは29日、勤務後に仙台から上京し、都内で暮らす弟と午後11時ごろまで東京・新宿で食事をしていた。長谷川さんは弟に「友達の家に遊びに行く」と告げて別れたという。新宿からであれば浦安へは1時間もかからないが、マンションへの到着時間は30日午前3時すぎだった。
長谷川さんは途中で何をしていたのか。現場マンションの最寄り駅の東西線浦安駅より、4駅手前の東陽町駅(東京都江東区)で同日午前0時すぎ、防犯カメラが電車から降りるその姿を捉えていた。時間帯から浦安まで行く終電に乗り遅れ、東陽町止まりの電車に乗っていた可能性があるが詳細なカメラの撮影時間は明かされていない。
ただ、東陽町から浦安までは約8キロの距離があるため、徒歩は考えづらい。一方でタクシーを使ったとの情報もない。何らかのいきさつで、第三者の車に乗ったという可能性もあるが、マンションに向かった方法は謎のままだ。
マンション住民から指紋採取…専門家「犯人は顔見知り」
マンション内で起きた殺人事件では、江東区のマンションで20年、わいせつ目的から2部屋隣に住む女性会社員=当時(23)=を殺害した男=無期懲役刑が確定=の事件は記憶に新しい。
この事件では被害女性がエレベーターで上層階の自宅に向かう姿が、防犯カメラに収められていたことなどから、警視庁はマンション住民を重点的に捜査し、約1カ月後に逮捕にこぎつけていた。
今回の事件でも県警は、マンション住民全約140世帯の調査や指紋採取を行っているが、捜査幹部は「現場から(不審な)指紋が見つかったわけでなく、捜査には時間がかかる」と話す。
東工大教授の影山任佐氏(犯罪精神医学)は殺害方法や施錠の事実から「犯人には明らかに殺意があり計画的だ」と顔見知りによる犯行の可能性を指摘するが、犯人像を絞り込むにあたり、「最終的に最も重要なのはマンションの防犯カメラ」と話す。
念願の看護師になって間もないにもかかわらず、勤務先でも慕われていたという長谷川さん。一刻も早く無念が晴らされることが期待される。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120513/crm12051316350011-n1.htm
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