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2005年3月3日
第281回 男も惚れる姜尚中という男
九法崇雄 = 文
姜尚中(カン・サンジュン)という政治学者をご存知だろうか?
「気鋭の論客」「在日韓国人初の東大教授」――メディアは彼をこう称し、数々の賛辞を送る。自身の半生を赤裸々に綴った『在日』は、10万部を超えるセールスを記録。また、テレビ朝日系列で放送中の「朝まで生テレビ!」では、司会の田原総一朗氏の左隣りに「定位置」を構え、今や、北朝鮮問題やイラク問題など国際紛争をテーマにした討論では欠かせない論客である。
テレビでの姜氏をご覧になったことのある方ならお分かりになると思うが、静かな物言いにも迫力のある声が、いつまでも耳に残る。180センチ程ある、さながらモデルのような体躯に、スタイリッシュな洋服をまとっている姿も印象深い。もちろん、議論のレベルも高い。その最中、相手への反駁が感情的になることは決してない。人を刺すような鋭い目つきで相手を見据えると、自らの信念で論破していく。
実に隙のない男である。あえて下世話な表現をするならば、男としてのモテる要素を全て兼ね備えているようにも思える。事実、氏の甘いマスクと低くセクシーな声に女性ファンも多い。今回の取材を知り合いの女性編集者に話したところ、「サインをもらってきてくれ」と執拗にねだられもした。しかし、その端正なルックスとクールな頭脳に嫉妬心を抱く男性諸氏も多いのではなかろうか。
初めて会うまで、無愛想で高慢な典型的な知識人なのだろう、と私も思っていた。だが、その先入観はすぐに打ち破られることになる。
「私は、どうも暗く見られてしまうのですが、もとはネアカなんですよね」
ビックリである。自身のことを"ネアカ"と公言する人が本当に"ネアカ"なのかどうかはおくとして、テレビではめったに見せることのない笑顔であっけらかんとこう言い放つ氏に、すっかり面食らってしまった。奥様との出会いを尋ねたときも、
「一目惚れでした」
と照れながらも、かわいらしいことを言う。奥手でなかなか女性にアプローチできなかった氏だが、意を決して接近し、ドイツ留学中の約2年間の遠距離恋愛を経て、結婚に至ったのだそうだ。氏に対するイメージが、いい意味でくずれていく。結構不器用で、人間臭く、親近感のもてる人ではないか。
決定的だったのは、プロ野球選手を目指していた氏と荒川の土手でキャッチボールをしたときのこと。早朝10時から、こちらのリクエストに文句一つ言わず、応えてくれる氏。挙げ句の果て、力を入れすぎたのか転んでしまう。
「いやあ、ドジですね。もう歳ですから」
聞けば、前日から徹夜で原稿を書いており、フラフラだったのだ、と言う。氏の天真爛漫な姿を垣間見ることができ、旺盛なサービス精神に感激もひとしおだった。
今回の取材に同行した写真家の野村恵子さんは、「『知的な童心さ』を持つ先生にすっかり惚れちゃった」と吐いた。女性はこのギャップに惹かれるらしい。ライターの深町泰司さん、そして私も、同性でありながらどこか恋愛感情にも似たものを抱かずにはいられなかったのであった。
一連の取材模様は現在発売中の小誌(※1)巻頭グラビアページ「クローズアップニッポン」に掲載している。姜尚中氏のメディアでは見せることのない笑顔がご覧いただける。
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※1:2005年3.21号(「特集/上司とストレス」)です。
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