http://www.asyura2.com/11/kokusai6/msg/814.html
Tweet |
【社説】アジアFTA 日本は米中両睨みで
2012年9月3日東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090302000099.html
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など十六カ国がアジア自由貿易協定(FTA)交渉の開始で合意した。アジア市場を狙う米国と警戒する中国。日本は米中両睨(にら)みの絶好の位置にいる。
アジアFTAは中国がASEANプラス日中韓の十三カ国を、日本が豪州、インド、ニュージーランドも加えた十六カ国を主張し、妥協が図られずにきた。それが交渉開始に転じた背景には、米国主導の環太平洋連携協定(TPP)交渉がある。
二〇三〇年には中国などアジア新興国を中心に購買力を高めた中間所得層が十二億人に上る見通しという。一昨年、オバマ米大統領は五年間で輸出を倍増させ、二百万人の雇用を生み出すと表明した。その輸出先として照準を合わせたのが成長著しいアジアだ。
米国は豪州など九カ国で交渉中のTPPを土台にして、ゆくゆくは二十一カ国・地域で構成するアジア太平洋経済協力会議と合流しアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を築く戦略も描いている。
インドから東南アジア、太平洋をつなぐ構想であり、多くの国々がアジアFTAと重なっている。この動きに、中国も警戒感を強めたのだろう。昨年十一月に十六カ国による協議開始を合意、一年足らずで本交渉開始にこぎつけた。
アジアFTAの域内人口は約三十四億人。世界の半数を占め、国内総生産(GDP)も十九兆ドルを超えて欧州連合を上回る。
アジアに米国経済の橋頭堡(ほ)をやすやすと築かせるわけにはいかない。「ASEAN+3」を引っ込め、日本の「ASEAN+6」に歩み寄る。これが中国の本音であり、アジアFTAのルールはアジアでつくるということのようだ。
アジアでは経済格差が広がり、中国のGDP七兆ドルに対してラオスは百億ドルにも満たない。協定は関税の段階的撤廃が目標だが、拒絶する国が続出しかねない。そんな途上国にも配慮し、関税撤廃は例外品目も認める方針とされる。
しかし、FTAAPの実現を視野に入れる米国は、例外なき関税撤廃を途上国にも受諾させリーマン・ショックで傷ついた自国経済の再生をもくろんでいる。
柔軟に例外を認める中国、例外の一切を拒む米国。TPP参加もにらむ日本はその両者が交渉相手だ。二十一世紀を牽引(けんいん)するのは台頭するアジアであり、中国と米国を橋渡しして、新たな貿易秩序を整える。日本はその好機が眼前に訪れたと受けとめるべきだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。