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「僕のお父さんは東電の社員です」(現代書舘)を読む(1)
http://www.asyura2.com/11/hihyo12/msg/820.html
投稿者 脳天気な 日時 2012 年 4 月 10 日 16:55:11: Md.C3hMjrAb3Q
 

標題は、「原発」板向けであるが、本の内容はむしろ現在日本の言論・報道の問題点を指摘している。
ブログ:法螺と戯言 より
http://blog.livedoor.jp/oibore_oobora/archives/51781748.html
+++++「僕のお父さんは東電の社員です」(現代書舘)を読む(1)
「僕のお父さんは東電の社員です」(毎日小学生新聞編、森達也著、現代書舘、2011年11月)という本が昨年末に出版されました。ここには50名を超える児童・生徒達がどのように今般の深刻な原子力発電所事故を受け止めたかが、載せられています。大変貴重なものと思っ ています。

 この本は、毎日小学生新聞2011年3月27日付けの一面に掲載された毎日新聞論説委員による記事「東電は人々のことをかんがえているか」が出発点になっています。そこでは、放射能拡散、計画停電、稚拙な事故収拾と度重なる失敗、独占企業などを挙げて「そんな会社に(東電)危険もある原子力発電や生活に欠かせない電気の供給を任せていたことが本当はとても危険なことだったのかもしれない」と、結んでいます。その記事に読者である小学六年生の男子児童(ゆうだい君)が異を唱えました。児童は、その結びを「無責任」と断じその理由を縷々書き綴った文章が同年5月18日に同紙に掲載されたのだそうです。曰く「原発を作らせたのは、他でもない、世界の人、自分も含む日本人全体だ。その電気でゲームをしたり生活を楽しんできた。二酸化炭素が出ないなどの理由で原発を広げてきたのは東電ばかりではない、そうした世界のそして日本の人たちだ。東電だけが無責任と言うのはおかしい。こういうときこそ、皆が話し合うのが大事だ」と小学生新聞に書き送ったとのことです。これに対して同紙に寄せられた感想・意見が118頁にわたって掲載されています。内訳は小学生が49名(何故か小4が35と圧倒的に多い。子供新聞の読者層の反映か)、中学生5、高校生2、そして大人9名です。本の残る82頁の紙面を使って著者の森達也氏が電気の問題から原発にわたる諸問題の子供向け解説文で締めくくるという構成です。

 この本が発刊されたほぼ三週後の2011年12月18日の朝日新聞朝刊で、「週刊金曜日」誌の常連執筆者・北海道大学の中島岳志氏が、この本の概要を紹介しつつ書評を書いています。中島氏は「子供達は議論を通じて一つ一つ認識を深めてゆく」と書き、さらに「森はゆうだい君の言葉を受けて子供たちに言う。「本当にごめんなさい」と。自分が原発問題について発言してこなかった過去と向き合い一人の大人としてあやまる」を引用し大人の責任に言及します。


 この中島氏の書評および森氏の「謝罪」は私の背中をむず痒くさせます。「子供は純粋な存在」と言う子供への無条件拝跪、そしてその「純粋性」を尊重した「物分りの良い」大人の側の「美談」と描かれているように思えるからです。言葉を変えるなら、この本の主役の座を小学校六年生の児童から瞬時にして森・中島という大人の両氏が奪い自らが主役になったという不快感があるからです。

 3月23日のブログ記事で書きましたが、私は小学校児童の頃、「知恵遅れ」状態で育ちました(今でもその残滓を引きずっていますが)。にもかかわらず、馬鹿なりに、大人の顔色・反応を窺って自らの行動を処していたことを憶えています。子供は純粋でありながら一方で計算高いのです。子供は「面白い」ことが大好きなので、自然科学を子供に語る際には、上のような子供への視点は不要です。しかし、社会問題では、「理解を見せる子供」へ変身する事がある。普段の何気ない大人の会話に耳をすませているのです。私は、そうした子供を非難しているのではありません。それこそが子供の成長過程と思うからです。だから、大人達および森氏、更には朝日紙上での中島氏等に期待することは、通常の大人の会話なのであって、ことさら対象が子供であると意識した「猫撫で」言葉である必要は無いのです。子供たちの議論の中に欠落している重要な論点を、その大人の会話の中で触れることで、さりげなく大人からのメッセージを伝えるのが自然な有様(ありよう)です。

ユウダイ君の問題提起の当然の結果として、「悪いのは東電だけか?いや政治も悪い。」の議論にとどまることはありえず、「社会全体にも責任が」との議論に飛躍します。この間を埋めるもう一つの責任があったことを、子供向けの「猫撫で声」ではなく、大人の言葉で指摘するべきであったと思います。

 「原発問題をよしんば発言してきたとしても、報道されない。したがってその危険性が国民に周知されてこなかった」と言う厳然たる事実に大人たちは言及するべきであったのです。著者である森氏はこれについて一行だけ触れています(215頁)。しかし、それは学者の責任とあわせての謂わばone of them です。独占企業でありながら膨大な宣伝広告費を報道機関につぎ込んで原子力批判を封じ込んできた電気事業連合会(例えば、雑誌『世界』(2011年5月号、内橋克人氏寄稿)、世論の動向をスパイもどきに監視してきたエネルギ庁の役割が大人の会話で議論されるなら、子供はその会話に耳をすませたでしょう。

 毎日新聞の論説委員もこれについては口を拭っています。中島氏がこの事実に触れないから、その書評は朝日新聞に掲載されたと勘ぐることもできます。実際、この事故前は、電気事業連合会の強い監視下で大手報道機関は一切の原発批判をしてこなかった。事故後ですら、大手報道機関は政府、東電の一方的主張を垂れ流すだけでした。これが事故の被害拡大を助長したのです(例えば「官報複合体」、牧野洋著、講談社、2012年1月)。3月12日の水素爆発時にもスピーディの存在を指摘したのがフリージャーナリストであり、その問いを某大手報道記者が「黙れ!」と一喝したとの証言もあります。こうした原発に関する現今の言論環境を、この本の出版社長自らが語っています(2011年9月26日記事)。
http://blog.livedoor.jp/oibore_oobora/archives/51742049.html 

 もしかすると、子供新聞紙上での議論でも、大人の投稿者からはそうした指摘があったのかもしれません。しかし、それは編集の段階で巧みに取り除かれたのでしょうか?何故なら、議論がなされた舞台は大手報道機関たる毎日新聞系列の刊行物だからです。そんな裏でなされたかもしれない操作を想像するなら「議論を通じて認識が深まる」過程を目撃したなぞとは、私には思えません。大変良い企画であり、貴重な出版でありながら、大人達の「猫撫で声」が、その良さを損なっていると、私は思いました。
(つづく)  

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コメント
 
01. 2012年4月10日 21:21:44 : WhvhiBbKWw
さて、このゆうだい君は本当にこの文章を作成したのでしょうか?

なんか胡散臭いですね。父親が書いていてもおかしくないでしょう?

もし、書いたとしても東電の正義しか教わっていない子供の意見をそこまで取り上げなくても良いと思いますね。

まあ、毎日が東電の顔色を伺っているのは確かじゃないですか?


02. 2012年4月11日 02:06:26 : EszHBBNJY2

だからなに? 反吐がでる現代書館。
オレでも書けるわ。それにしても酷い有様だね。
いくら東電から貰っているのかな?


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