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The Economist 中国:繁栄のパラドックス
2012.01.31(火)1月28日号)
中国が躍進を続けるためには、これまで大いにこの国の役に立ってきたモデルから脱却しなければならない。
英エコノミストは今週号から、従来、アジアセクションに分類されていた中国報道を独立させた〔AFPBB News〕
本誌(英エコノミスト)は今週号から中国に特化したセクションを設けた。1つの国をこのように特別扱いするのは、1942年に米国を詳細に報じるようになって以来のことだ。
中国セクションを独立させた主な理由は、中国が今や経済面で超大国になっていること、そして急速に、米国を脅かし得る軍事大国になりつつあるからだ。
だが、本誌の中国に対する関心は、政治面にもある。中国という国は、世界標準と足並みのそろわないシステムで統治されている。中国は今後長く、戦後の日本や、恐らく現在のインドとは全く異なる形で、世界全体を魅了すると同時にかきまわすはずだ。
ほんの20年前まで、中国は世界の超大国とはほど遠い状況にあった。1989年に天安門広場での抗議行動が虐殺に発展した後、経済改革は保守派の脅威にさらされ、中国は国際社会からの孤立感を味わった。
急成長の陰で揺れ動く中国社会
その後、1992年初めに故ケ小平がまるで進展を約束する皇帝のように、改革志向の強い南部の省を訪問する「南巡」に乗り出した。思いがけない形 で改革にお墨付きを与えたその視察は、現在の中国を築いた人物による偉業だった。以来、中国経済はほとんど後ろを振り返っていない。
このところ、先進国が苦難の時を過ごしているのに対し、中国の発展はとどまるところを知らないように見える。だが、表面から一皮めくれば、中国社会は揺れ動いている。
ケ小平がかつて南巡で視察した広東省にある烏坎村で起きた最近の反乱。1月下旬に四川省チベット族自治州で勃発した民族的な衝突。住宅価格の崩壊に対する絶え間ない不安。これらすべてが、中国共産党の使命の遂行を極めて困難にしている遠心力の兆候だ。
中国治安当局から拷問を受けたという反体制派作家、余傑氏は渡米した〔AFPBB News〕
長年にわたる成功体験から生まれた中国共産党の本能は、締め付けを強めることだ。
そのため反体制派は、例えば中国の治安当局から拷問を受けたと主張し、先ごろ中国を離れて渡米した余傑氏のように、ひどい嫌がらせを受ける。
だが、そのような反射的な締め付けは、共産党の使命の遂行を一層難しくする。中国に必要なのは、むしろ締め付けを緩める技を習得することだ。
中国の第三の革命
この議論の発端は、ケ小平の見識にさかのぼる。同氏は、経済成長がなければ、ソビエト連邦や東欧諸国の同胞のように、中国共産党も過去の遺物になると考えた。
ケ小平の改革により、衰えつつあった政治的イデオロギーに代わって、新たな経済的正当性が生まれた。党幹部たちは一心不乱に国の立て直しにとりか かり、一部の欧米人はこれを見て、内に秘めていた権威主義に気付くようになった。官僚は、恐ろしく非効率な国有企業を改革しただけでなく、人事に能力主義 をある程度持ち込んだ。
政治的支配と市場改革のこの組み合わせは、巨大な利益を生んできた。この20年間の中国の躍進は、過去のどんな爆発的経済発展よりも目覚ましいものだ。年平均の経済成長率は10%に達し、4億4000万人の国民が貧困から抜け出した。史上最高の貧困削減率だ。
だが、中国が躍進を続けるためには、今と同じモデルを保ち続けることはできない。なぜなら、中国が、そして世界が変わりつつあるからだ。
中国は世界的な危機をうまく切り抜けている。だが、高い成長率を維持していくには、中国経済の重点を、投資と輸出から国内消費へとシフトさせる必要がある。そうした転換を実現するには、成長で得た利益をより公正に分配しなければならない。
現状では、中国の銀行は労働者の貯蓄を国有企業に注ぎ込み、労働者から購買力を、民間企業から資本を奪っている。その結果、安い土地や労働力と いった、中国の発展を支える他の要素が不足し始めているまさにこの時期に、中国政府は資本を盛大に無駄遣いしている。金融システムを自由化すれば、消費者 の購買力が高まり、資本配分も改善するはずだ。
現在の小幅な成長減速でさえ社会不安を引き起こしている。多くの国民は、中国が華々しく成長していながら、自分たちに降り注ぐ恩恵があまりに少ないと感じている。
中国の経済成長を支える出稼ぎ労働者は、二級市民のような扱いを受けている〔AFPBB News〕
都市部で職を求める出稼ぎ労働者たちは二級市民のように扱われ、十分な医療や教育を受けられない。地方の役人による土地の強奪は、怒りの大きな源になっている。
無節操な工業化は、農作物と人を汚染している。増え続ける汚職は憤激を引き起こしている。そして、怒れる人々はインターネットを通じ、従来あり得なかったほど互いに話し合うことができる。
中国共産党の高官たちは、こうした社会不安の高まりを、自由化が危険であることの証しと考えている。
自由化が社会不安を招くという共産党の言い分
彼らに言わせれば、労働者の移住は成長の源かもしれないが、不安定を招く原因でもある。労働者たちの抗議行動は生産を混乱させ、繁栄を脅かす。市 民社会の動揺は、カオスの種をはらんでいる。新世代の指導者が権力を握ることになる今年、党の高官はそうした危険に特に敏感になっている。
このような統制寄りの姿勢は、理解できないものではないし、一概に利己的とも言えない。愛国主義者たちは、大半の国民は個人として生きる十分な自 由を持ち、権利と自由よりも安定を重視していると、まことしやかに主張できるだろう。結局のところ、中国ではアラブの春に共鳴する動きはほとんどなかった のだ。
だが、中国国民が間違いなく求めている権利もある。出稼ぎ労働者たちは、国内で移動して回っても、教育や医療、年金に関する限られた権利が守られることを望むだろう。また、結社の自由が認められれば、それは中国の経済成長を妨げるどころか、後押しすることになるはずだ。
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