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国家資本主義について考える 国営企業の活躍は必然? それとも一時的?
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投稿者 ts 日時 2012 年 1 月 27 日 04:19:45: kUFLMxTYoFY0M
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120124/226471/?ST=print
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国家資本主義について考える 国営企業の活躍は必然? それとも一時的?

2012年1月27日 金曜日
The Economist


 ここ数年、世界経済はいくつかの面で大きく変化した。その1つに、国家資本主義の台頭がある。20年前の国有企業は、行政機関の一部にすぎなかった。10年前には、有効性を疑う声が一般的だった。そして今日、国有企業が世界のトップ企業の仲間入りをした。自国で利益を独占すると同時に世界市場に本気で乗り出している。2005〜11年に大規模な新規株式公開を行った上位10社のうち4社が中国の国有企業だった(4社合わせた調達総額は6450億ドルに達した)。

 今後、国家資本主義への動きが進むのだろうか。それともこれは、国家がこれまでに試みてきた数々の失敗の1つにすぎないのだろうか。ある人は、2011年12月にロシアで発生した暴動をもって、国家資本主義は既に終わりに向かっていると論じる。またある人は、グローバル資本主義の相変わらずの問題点を指摘しながら、思想上の争いに国家寄りの考え方が勝利を収めつつあると論じる。

 国際サービス業従業員労働組合(SEIU)のアンディ・スターン前会長は、中国の経済モデルは米国のモデルよりも優れていると述べ、インテルの創業者アンディ・グローブ氏の言葉を引いた。

 「我々は基本的に、あらゆる経済システムの中で自由市場が最良だと信じている。自由であればあるほど優れている、と。我々の世代は、自由市場の原理が計画経済に決定的勝利を収めるのを目の当たりにしてきた。その結果、この信念から離れられず、明らかになってきた1つの事実にあまり目を向けようとしない。その事実とは、自由市場は計画経済に勝利したけれども、さらなる改善の余地はあり得るということである」
エージェント問題が足を引っ張る

 本誌(英エコノミスト)の見解は異なる。確かに国家資本主義は、確実に延命を図るべく、市場をかなりうまく模倣している。西側からアイデアを得て、支援する企業にある程度の規律を持たせている。また、足元で丈夫な根を下ろしつつある。国家資本主義的な銀行、億万長者、官僚、さらには御用学者さえ存在する(ある中国人アナリストは、このシステムの効率の悪さをすべてリストアップしたうえで、「あと50年しか」もたないだろうと発言した)。

 それでも、国家資本主義には重大な欠陥がある。企業を経営している国家が、自ら経営する企業をどのように規制できるというのだろうか。盗人に追い銭のような真似をせずにすませられるだろうか。企業がイノベーションを起こすには実験を行う自由が欠かせないのに、国家資本主義的企業が、どうすれば革新的であり続けられるというのか。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のエドワード・スタインフェルド教授は、国家資本主義者は上場や企業買収を通じて「我々のゲーム」のルールを学んでいるため、支配階級が「自己衰退」していると指摘する。それでも国家資本主義者は、自らの政治的立場の強化を目指す中で、間違いなく「我々のゲーム」をプレイしている。

 国家資本主義の将来像は2つの要因で限られたものになる。1つは企業幹部が超過利潤を求める点だ。経営学者が長年頭を悩ませている問題に「プリンシパル=エージェント問題」がある。企業経営者が、その企業のオーナーや顧客の利益よりも自分の利益を優先させようとする傾向のことだ。国家資本主義体制下ではこの問題が特に切実になる。政治家はほかの問題に手を取られ、適切な監督ができない。取締役会は力が弱く、統制が取れない。企業に課される役割は、商業的目的と社会的目的の区別がつかないものになりがちだ。

 この点で国家資本主義者が頼るべき手本はいくつもある。例えばシンガポールの政府系投資ファンド、テモセクは、良好な経営のモデルとなる。ブラジルは国が少数株主になるという方法を生み出した。ノルウェーは政府系ファンドと国有石油会社に政治が介入しないよう分離することに成功した。しかし中国とロシアでは、国有企業が雇用や恩恵の源泉と考えられているため、プリンシパル=エージェント問題が非常に深刻化している。
国家資本主義を採用する国に蔓延する汚職と腐敗

 第2の要因は、不幸なことに、国家資本主義が根を下ろした国に、もともとある問題だ。中国には、賞賛すべき官僚文化の伝統があると同時に、「関係(グワンシ)」(コネ)と腐敗の文化もある。ロシアは縁故主義と腐敗があるうえに官僚文化の伝統がない。ブラジルでは、資本と労働の両方ですべてのカードが関係者の手に握られている。

 汚職や腐敗の問題に取り組むNGO、トランスペアレンシー・インターナショナルは腐敗の少なさ指数を算出し、ブラジルを73位、中国を75位、ロシアに至ってはなんと143位に位置づけている(2011年)。

 国家資本主義国では利権を勝ち取った者が手にする恩恵の規模と範囲が巨大化するため、腐敗が一層進むことが多い。支配層は、政府の仕組みを利用できるだけでなく、企業が有する膨大な資源も自由裁量で動かせる。中国人民銀行の試算では、1990年代半ばから2008年までに、国有企業の中国人幹部1万6000〜1万8000人が着服した金額は1230億ドルに上るという。

 21世紀を特徴づける闘争は、資本主義対社会主義ではなく、種類の異なる資本主義の間で闘われる。その中で、国家資本主義はもうしばらく存続する可能性が高い。西側の投資家、企業経営者、政策立案者は、これにどう対処すべきか、真剣に考察を始める必要がある。
投資家は国家資本主義国の気まぐれに翻弄される懸念

 先進国の市場が停滞している今、急成長を遂げる新興市場に投資家が熱い視線を向けている。だが投資家たちは、新興諸国の強すぎる国家権力から生じるリスクをほとんど見ていない。新興国の企業は、民間の株主に対する責任だけでなく、政府に対する責任も負っている。政府は株の過半数を握っているうえ、規制や法制もコントロールする。

 その結果、投資家には多くのリスクが生じる。国有企業の特徴として、一般企業よりもコスト管理が甘い点が挙げられる。また国有企業は、事業上の目的とともに社会的な目的も追求するのが普通だ。これらの点については、少なくとも予測がつくため、投資家も我慢できるだろう。だが、気まぐれな方針変更は大きな懸念材料だ。政治家が突然介入して経営者のクビをすげ替えたり、商品の価格を下げろと言ってきたりしかねない。
西側の経営者が陥る2つの落とし穴

 西側の企業経営者が、国営企業を相手にする際に陥りやすい落とし穴が2つある。1つは、相手が自分たちと同じ民間企業であるかのように対応してしまうことだ。すると、政治家がいきなりその企業のトップを交代させたり、業界のルールを変えてしまったりして、うろたえることになる。もう1つは、相手の国有企業を2流と見くびることだ。そう思っていると自分たちが買収されてしまったり、自国市場を奪われたりする。

 かつては西側企業が攻勢に出ていた。それが現在では攻守が逆転しつつある。西側企業が新興市場に進出していった頃は、現地で最も優秀な人材を採用するのが普通だった。今では現地の大企業と人材を奪い合わなければならない。提示される給料が変わらないだけでなく、現地企業には自国のために働けるという魅力がある。

 国家資本主義の国では、CEO(最高経営責任者)は特に、政治家に注意を払う必要が出てくる。これまで30年間、企業トップは比較的自由に会社を経営できた。米ペプシコのインドラ・ヌーイCEOの言葉を借りれば、自社を「主権を有する存在」であるかのように経営する者さえいた。しかし中国やロシアでは、主権は最終的に政治家階級にある。
西側にも芽生える国家主導の経済政策

 企業経営者以上に困難な決断を迫られているのが、西側の政策立案者だ。国際機関において、中国をはじめとする国家資本主義国が果たす役割が大きくなってきた。それにつれて、西側の発言力が低下していく。東側の国家資本主義の興隆を見て、西側にも追随する動きが出てくるかもしれない。

 欧州委員会の企業・産業総局は、海外からの「不公正な競争」と戦うために、欧州として支援する大企業を創出する必要があるかどうかを検討している。ニコラ・サルコジ仏大統領は、政府系投資ファンドを設立した。クリスティーヌ・ラガルド元仏財務相の首席補佐官を務めていたアレクサンドル・ド・ジュニアック氏は、フランス国内で統制政策を求める声が復活したのは中国の影響によるものだと発言した。日本の経済産業省が新たに産業政策を2010年に打ち出した際、要因の1つとして上げたのは国家資本主義の台頭だった。

 さらに悪いことに、自由主義諸国が国家資本主義諸国の補助金制度を攻撃し、国家資本主義国が反撃に出ると、貿易戦争に発展する危険性もある。

 だが、国家資本主義の最大の問題は、何と言っても自由(liberty)に関わる欠陥だ。国家資本主義国の企業が政府の一機関となることで、権力の集中と腐敗が進む。商業的基準で政治判断を行い、政治的判断で商業的決断を下すことになる。また、中央政府の重要な役割である監督機能が失われる。

 英国のビクトリア朝時代に近代的企業の枠組みをつくった偉大な政治家、ロバート・ロウは、企業とは、大きな共和国の権力に対してチェックアンドバランスの役割を果たす「小さな共和国」であると語った。小さな共和国と大きな共和国が同じものになるとき、自由の命は風前の灯火となる。
このコラムについて
The Economist

Economistは約400万人の読者が購読する週刊誌です。
世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。
記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。

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著者プロフィール

英国エコノミスト
ロンドン・エコノミスト

1843年創刊の英国ロンドンから発行されている週刊誌。主に国際政治と経済を中心に扱い、科学、技術、本、芸術を毎号取り上げている。また隔週ごとに、経済のある分野に関して詳細な調査分析を載せている。
 

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コメント
 
01. 2012年1月27日 07:38:36 : a5JRWJuq3c
朝も早よから・・日経ビジネス FT JBp=「アメユダ」のそうめん流しですか?

「アメユダ」のパシリ=tk=元sci??

あと幾つハンドルネームを用意してますか?


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