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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20111217ddm005070047000c.html
社説:一体改革は必要だ 市場と政治 求められる実行の速さ
日本が欧州の債務危機から学ぶべき最大の教訓はスピードだろう。市場が国家財政の持続力に疑念を抱くと、抑え難いスピードで資金が国債市場から逃げていくこと。そして、その回避のカギを握るのは財政再建のスピードだということ、である。
日本は政府の借金が先進国中、最悪であるにもかかわらず、幸い、極めて低い金利で借金を続けてこられた。だが、「これまで問題なかった」が将来の保証たりえないことを欧州の事例が示している。
ギリシャの10年物国債の利回りは、ほんの2年前まで、5%程度で推移していた。それがあっという間に10%を超え、今では30%近辺で高止まりしている。イタリアはどうか。昨年11月に約4%だったのが1年後には、7%台後半に達した。
国債の利回りが上昇すれば、日本はたちまち借金を続けられなくなる−−。国際通貨基金(IMF)が先月発表したリポートで警告した。借金の規模が大きすぎるためだが、日本には、加えて深刻な問題がある。銀行の高い国債保有率だ。
主要国の銀行が自己資本に対し、どのくらい自国債を保有するかを比較した数字によると、日本は約390%で、次に高いドイツの約150%をはるかに超える。これは、国債価格の急落(利回りの急騰)が一気に銀行の経営を揺るがしかねないことを意味している。通常なら使える公的資金による銀行救済という手も、資金の出し手である国が倒れかかっていては使えない。銀行破綻、預金の返済不能、深刻な不況という大混乱となるだろう。
負の連鎖が始まる前に、何としても「日本の財政は立ち直る」との信用を得なければならないが、いまだに改革先送りのムードが根強い。対照的なのは英国だ。政権交代は日本の8カ月後だったが、財政再建に着々と取り組み、今年1月には、付加価値税(消費税)の基礎税率を17・5%から20%に引き上げた。
増税や歳出削減をしなくとも経済成長率を高めさえすれば税収増により問題は自然に解決する、とか、日銀に国債を引き受けさせればよい、といった議論をよく聞く。だが、仮にバブル絶頂期の税収が復活し毎年維持できたとしても、借金の膨張は止められない。一方、市場に国債の買い手がいるうちから日銀に引き受けさせれば、逆に不安心理をあおり利回りが急騰する恐れがある。買い手がなくなってからの引き受けは大幅なインフレを招く危険を伴う。
財政再建に痛みを伴わない奇策などない。ただ、痛みを少なくすることはできる。できるだけ前倒しで実行することだ。
毎日新聞 2011年12月17日 東京朝刊
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