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(回答先: 王者・ヤマダ電機にアキレス腱? 2012年、業界再編を迎える家電量販店戦争 (週プレNEWS) -過当競争 投稿者 乃依 日時 2011 年 12 月 16 日 16:42:02)
縮む家電量販店
(上)テレビが売れない 収益モデルの転換急務
家電量販店が市場縮小の波に襲われている。家電エコポイント制度や地上デジタル放送移行という特需の反動減は想定以上で11月のテレビ販売台数は前年同月比85%減った。各社は相次ぎ採用や出店計画を見直し始めたが、対症療法では限界がある。業界全体が既存のビジネスモデルを抜本的に見直さざるを得ない状況に追い込まれている。
採用や出店抑制
国内屈指の大型家電量販店のビックカメラ有楽町店(東京・千代田)。11月中旬、「店の顔」である1階から薄型テレビが姿を消した。代わりに売り場を広げたのはスマートフォン(高機能携帯電話)。「売れないものをいい場所に置いても仕方がない」。同社の幹部は冷たく言い切った。
テレビは大手量販店で売上高の10〜25%を占める「家電の王様」だった。それが、11月の販売額は前年同月比9割減。販売台数の減少に加え、前年比3割の単価下落が追い打ちをかける。販売不振は長期化する見通しで、日本政策投資銀行は2012年以降、国内テレビの市場規模は10年比約55%減の1兆円前後で推移すると予測する。
主力商材の不振は量販各社の経営を揺るがす。地デジ移行が完了(東北3県を除く)した後の8月以降、各社の月間売上高は同2〜5割減と大幅な落ち込みが続く。
想定以上の市場の冷え込みに業界2位のエディオンは13年春入社の大卒採用をゼロにする。4位のヨドバシカメラは「需要が読み切れない」(藤沢昭和社長)としてJR札幌駅前への大型店の出店計画を凍結。ベスト電器は昨年に続き300人の早期退職を募集する。
取引条件に差
世界規模で競争が激化する国内家電メーカーの苦境も、家電量販の構造転換を促す。
「今後は量販店ごとの取引条件に差をつけざるを得ない」。ある大手メーカー幹部は断言する。メーカーは従来、販売数量に応じた奨励金(リベート)などで実質的に販売店の利益を補填し、量販各社の“横並び”の成長を後押してきた。だが、パナソニックやソニーが大幅赤字のテレビ事業の縮小に踏み切る時代。メーカーには小売りを支援する余裕はない。
コジマでは営業外収益に計上する「販促協賛金」が11年3月期に16億円あり、経常利益の14%を占めた。メーカー支援は協賛金にとどまらない。説明員の派遣、店頭販促物の費用負担など多岐にわたる。メーカーが限られた原資の選択と集中を進めれば、「一部企業の収益悪化は避けられない」(エディオン幹部)。
韓国LG電子や中国海爾集団(ハイアール)など海外メーカーが日本で事業拡大していることも業界を揺るがす。
「国内の商慣習に変化を迫るのは間違いない」。ある大手メーカーが11月中旬、都内で開いた年末商戦向けの新製品説明会。テレビ事業の幹部は海外メーカー進出をこう評した。海外メーカーはリベートなど日本特有の商慣習に対し「しがらみがなく非常にドライ」(大手量販店幹部)だ。
家電販売の7割強を占めるまでに成長した量販店。その中心だったテレビの販売に陰りが出た今、「家電量販」の新しい形を見つけないと業界全体が沈みかねない。
[日経新聞12月2日朝刊P.11]
(下)家を売り、店も貸す 生き残りへ垣根越える
10月に中堅住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収した家電量販最大手のヤマダ電機。戸建て住宅に続き、マンション販売に進出する検討を始めた。ヤマダは太陽光発電装置や蓄電池を備えた次世代省エネ住宅「スマートハウス」事業を次の成長モデルに見定めた。
究極のビジネス
同事業の5年後の目標売上高は5000億円。家電エコポイント特需に沸いた2011年3月期のテレビの売上高に匹敵する。住宅から家電までワンストップで顧客に提供することで「(家電量販店としての)究極のビジネス」(山田昇会長)が可能になるとみる。
エコポイント特需で10年度に9兆円超に拡大した家電販売市場。だが政策効果が消え、ドイツ証券の試算では12年度は市場が18%縮む一方、一部大手の出店拡大で売り場面積は13%増える。市場が転換期を迎える中、家電販売だけの「一本足打法」による収益構造には早晩、限界が訪れる。
ヨドバシカメラは自社施設に大型専門店などを集めた商業施設運営に経営のカジを切る。売上高が日本最大の梅田店(大阪市)の隣接地に家電売り場のない大型商業施設を15年にも開業する。11月下旬には横浜店で衣料品専門店「ユニクロ」の売り場面積を2倍に広げた。集客力を高め、賃料収入の拡大を狙う。
家電量販店よりも来店頻度の高い食品スーパーなどと連携して、客数を増やす動きも加速する。既存店の8割が自社単独で出店するコジマ。小島章利会長は「今後の新規出店は半数が食品スーパーなどとの共同出店や商業施設内になる」と生き残り策を明かす。
これまで家電量販業界ではシェア拡大のために合従連衡を繰り返してきた。だが、大手量販店が相次いで専業から脱皮しようとする今、業界内再編は急速に色あせる。
量販店の店舗数は既に飽和状態。不採算店舗を抱える下位企業も多い。「企業の強さを維持するには、自前の店舗網を広げたほうが得策」(ケーズホールディングスの加藤修一会長)と、体力に余裕のある大手は同業の買収への関心は薄い。「今後のM&Aは異業種しか考えていない」。ヤマダの幹部が明言するように、再編のステージは異業種へと移った。
異業種加え再編
異業種主導による業界再編――。家電量販の未来図を予想させる買収劇が水面下で進んでいた。大手小売業がベスト電器に資本・業務提携を打診したのだ。経営再建中のベストはビックカメラやヤマダ、エディオンなどが獲得合戦を繰り広げた業界内再編の目玉。最終合意には至らず幻と消えたが、業界へ与えた衝撃は大きかった。
中国最大の家電量販店の蘇寧電器が本拠地を置く南京市。子会社化したラオックスを通じて日本式の店作りを売り物にする大型店を月内にも開業し、急増する中間層の取り込みにかかる。来年1月にも南京市に中国3号店を開くヤマダ。幹部は「怖いのは資金力のある中国企業。彼らが日本の同業大手を買ったらと考えると不安」と漏らす。
ある外資系アナリストは「政策特需で延命した下位企業が市場縮小の中で生き残れるかは疑問。異業種や海外勢の参入で家電量販の勢力図は大きく変わる」と指摘する。
中川雅之、川本太郎が担当しました。
[日経12月3日朝刊P.12]
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中国、家電販売急ブレーキ 先月末、購入補助金打ち切り メーカー減産に動く
中国の家電業界に強い逆風が吹いている。欧米向け輸出の減速に加え、2008年の米国発の金融危機(リーマン・ショック)後の国内消費を支えた政府の購入補助金が一部地域で11月末に打ち切られた。大手メーカーは減産に動き出した。
「在庫が積み上がり、今後の販売好転も難しい」。四川省成都市から車で1時間ほど走った農村で家電販売店を営む王懐清さんはため息を漏らす。目の前にはテレビなどを梱包した段ボールが積まれている。
販売が冷え込んだ原因は、農村での家電購入に定価の13%の補助金を支給する「家電下郷」制度の打ち切りだ。この制度は07年12月に河南、山東、四川の各省でまず導入。米金融危機による景気低迷を受け全国に広がった。これまでの補助対象は2億台を超す。
王さんは「夏から売れ行きが悪くなり、駆け込み需要も10月初めの連休商戦で終わった」と振り返る。11月末の打ち切りは先行した3省だけだが、人口は合計で2億7千万人。全国の家電下郷の販売台数の3割を占め、影響は大きい。
都市部では「住宅販売の低迷で、消費者の購入意欲が減退した」(家電量販店幹部)面もみられる。政府が09年から北京市などで導入した旧型製品を新型に買い替える際に10%の補助金を出す「以旧換新」制度も、年末で打ち切られる。
需要の先食いが響き、補助金の制度が終わる前から販売には一巡感が強まっている。中国の調査会社、奥維咨詢(北京市)によると、7〜9月期のエアコンの国内販売台数は前年同期比9.0%減、冷蔵庫は0.7%減と低迷した。テレビはプラスを保ったが、単月でみると7月の13.2%増から9月は7.9%増まで減速した。
メーカーは対応を急ぐ。珠海格力電器(広東省)や美的電器(同)など大手は相次いで減産に踏み切った。中国メディアによると、10月のエアコン生産は今年初めて前年同月を下回った。
テレビの10月の生産台数は前年同月比で2.8%増にとどまり、8月の20.2%増から急ブレーキがかかった。業界では「金融危機の苦境が再来する恐れは高まっている。新たな販売促進制度の導入を検討してほしい」と政府にすがろうとする声も広がる。
新車販売台数も10月には5カ月ぶりのマイナスとなった。中国の家電・自動車メーカーには多くの日系を含めた外資が部品などを供給している。欧州の債務危機を受けた輸出への影響はこれから深まる見通しだ。
日系の部品メーカー幹部は「直近の納入量は前年同月比2割減まで落ち込んでおり、新工場の建設の延期も視野に入れている」と明かす。
(北京=多部田俊輔)
[日経12月3日朝刊P.6]
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