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米中の通貨戦争はどうなる?   日本の軍艦が中国領海内に侵入し、中国の漁船に体当たりして引き返していった
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/884.html
投稿者 sci 日時 2011 年 8 月 29 日 11:50:23: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110729/221776/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>金と世界経済
米中の通貨戦争はどうなる?
中国の今、人民元の将来[6]

2011年8月29日 月曜日
豊島 逸夫


「日本の軍艦が中国領海内に侵入し、中国の漁船に体当たりして引き返していった」。毎月の中国出張のたびに会う若いスタッフたちは、この“大本営発表情報”を信じて疑わない。

 他に情報がないのだから当然で、この壁を越えるのは容易ではないと感じている。彼らが件の流出ビデオを見ても“正当な防衛行為”と反論するであろう。

 そして米国に関しては「プラザ合意で円高攻勢をかけ日本経済をバブルに沈めたが、今や我が国に人民元高攻勢をかけつつある。しかし日本と同じ轍は踏まない」と語る。

 中国では、そのものずばり『通貨戦争』というタイトルの本が100万部を越えるベストセラーにもなったほど、国内の関心は高い。その米中通貨戦争の構図は、米国は中国にインフレを輸出しているのだから、中国は米国に失業を輸出して対抗するというもの。しかしこの経済戦争は虚しい。結末は“両者負け”と決まっているからだ。通貨戦争に勝者はない。

 2010年11月3日の米国FOMC(連邦公開市場委員会:米国の政策金利を決定する)が決めた6000億ドルのQE2(第二次量的緩和)も、中国人には第二波のドルばら撒き作戦と映る。ドル安で人民元高を誘導しようとしているというわけだ。
中国が米国の量的緩和に憤る理由

 バーナンキFRB議長が「デフレ対策にはヘリコプターからドル札をばら撒けば良い」と語った話は、中国でもネット経由で広まっており、ヘリコプター・ベンの侵入を何としても水際で阻止する構えだ。
(イラスト:香川かづあき)

 中国にしてみれば「米国発の金融危機の後遺症から脱却するため、バーナンキは上流のFRBダムから大量の流動性を放流している。この鉄砲水は株畑、商品畑に流入し、さらに下流の新興国や資源国を襲いつつある。米国の都合で勝手に放流されて流域の住民はたまったものではない」ということになる。

 量的緩和マネーの土石流は国内バブルを招き、かつドルの大量発行でその価値は希薄化。外為市場ではドル売りが加速して人民元にはさらに買い圧力が強まる。だから中国人は「QE2は通貨の世界での宣戦布告だ」と憤る。

 対して米国の筆者の友人たちは「とんでもない! そもそも中国は人民元を異常に安く誘導して我が国に中国製品の安売り攻勢をかけ、結果的に米国内の雇用を奪って失業も同時に輸出しているではないか。最初に仕掛けたのは中国の方だ。もっと中国人民が消費を増やし、米国製品を買って輸入してくれれば、ドルが大量に中国国内に流入することもなかったはずだ」と口を揃える。

 とは言うものの、米国にも中国にもお互い様という弱みはある。中国は、貯め込んだ外貨準備2兆 6000億ドルの多くを米国債で運用せざるを得ない。米国が中国の巨額の外貨準備を人質に取る一方、中国はいざとなれば米国債売却作戦も厭わずと、米国の借金証文を担保に押さえているわけだ。

 この米中通貨戦争は、弾薬の量から見れば、断然、米国に分がある。何せ人民元安誘導作戦用の弾薬=ドル札はいくらでも刷れるのだから。このドル安攻勢に対抗して人民元安を維持するために、中国側は外為市場で巨額のドル購入に走り、外貨準備は未曾有の規模に膨張した。そして、減価する一方の米ドルを見て、中国側の採った防衛策が実物資産購入備蓄である。
通貨戦争停戦協定が成立する望ましいシナリオは?

 典型的な例が銅だ。SRB(国家備蓄局)は2009年初頭に25万〜30万トンの銅(年間生産量の約2%)をトン単価3500ドル前後で購入したと言われる。直近の銅価格はトン当たり8000ドルを超えているので、ざっと15億ドルは儲かっている勘定だ。

 金も中国人民銀行が金準備を積み増し、IMFへの申告ベースで見ると600トンから1054トンに急増している。これは金の年間生産量の17%に匹敵する購入量だ。推定平均購入価格は726ドル。現在は1400ドル近くまで高騰した。

 さて、問題は世界を巻き込むこの経済紛争に果たして停戦協定は成立するのか、ということ。この戦争終結の望ましいシナリオは人民元相場を実勢に委ねることだ。これは中国側の輸出産業が、多大な失業を再輸入することを意味する。そして輸出依存型から内需消費主導型への産業構造の転換には時間がかかる。

 もし停戦協定が成立しなければ、米国は焦れて保護主義に走るだろう。米国に追随して中国を含め世界各国が貿易障壁を高めれば、国際経済は“縮小均衡”に陥る。各国経済がそれぞれ我が道を行き、ちんまりまとまってしまう結果になる。

 この“全員負け”シナリオを回避する手立てはただ一つ。米中含め世界各国が、ドーハラウンド(多角的貿易交渉)合意に向けて歩み寄ることだ。

 1プラス1が3になるのが完全自由貿易のもたらす拡大均衡=世界経済のパイ拡大効果。各国が比較優位を持つ産業に特化し、比較劣位の産業はあえて他国に譲る互恵の精神が、世界経済を救う唯一の道なのだ。

 財政政策は財政赤字拡大、金融政策は通貨供給過剰によるバブルという後遺症を生む。しかし貿易政策は、短期的に特定産業に強い痛みをもたらすものの、そこをしのげば後遺症もなく経済の力が蘇る。これが米中含めた“全員勝ち”のシナリオである。

 もちろん、この解決策は「言うは易く、行うは難し」である。完全自由貿易と聞けば、各国の国内産業が猛烈な反対運動に出るのは必至だ。経済が極限の危機的状況に置かれなければ、全員が「自由貿易やむなし」のコンセンサスでまとまることは難しいかもしれない。ただし方法論を見れば二番底を避けることは可能だ。最大の障壁は人間の心の中にある。
豊島逸夫が読み解く 金&世界経済

◆ジム・ロジャース対談「マネーは商品市場へ」

◆日本国債が売られる日

◆どこまで上がる「金」?

◆人民元投資のチャンスとリスク

◆1ドル=50円はあり得るか
このコラムについて
金と世界経済

金価格と国際経済の動きについて、アナリストや著名投資家の見方、現場からの報告を交えつつ紹介する。特に日本とアジア、日本と中国の違いに着目することで、金が史上最高値を更新している理由や背景が分かる。ムック『豊島逸夫が読み解く金&世界経済』からの抜粋

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著者プロフィール

豊島 逸夫(としま・いつお)

ワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表
国内銀行を経てスイス銀行貴金属外為ディーラーに。現在は非営利の国際機関であるWGCにて、金に関する啓蒙活動などに従事する。豊富な相場体験に基づき、金だけでなく世界経済まで分かりやすく説き、若手金融マンにファンが多い。日経新聞電子版の連載コラムも人気。猫と和菓子が好き。
 

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