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日本の債務:決して倒れないドミノ?
2011.07.25(Mon)(英エコノミスト誌 2011年7月25日号)
債務に苦しむ日本経済の長期的な予後診断は、良好ではない。
債務危機がユーロ圏と米国を脅かしている時、債券投資家はどうするだろうか? 彼らは安全を求めて、ユーロ圏や米国よりはるかに大きな債務を抱えた国に向かう。日本国債の利回りは7月19日、8カ月ぶりの低水準を記録。円相場はユーロとドルに対して上昇した。
こうした流れは奇妙に思える。というのも、直近、債権者の懸念の標的となったイタリアと比べても、日本は多くの点で苦しい状況にある。国内総生産(GDP)比の純債務の割合は日本の方が高く、(利払い前の)基礎的財政収支は、イタリアが黒字なのに対して、日本は赤字だ。
多額の債務を抱えた日本に投資家が向かう理由
地球上で最も急速に社会の高齢化が進む日本は、成長見通しが明らかにイタリアよりも良いわけではない。また、日本政府はイタリア政府ほどゾッとするとまで言わないまでも、同程度の機能不全に陥っている。
変動相場制で自由に動く通貨も良し悪しだ。3月11日の地震と津波が日本の不況を一層深刻にした後、円高は一段と進行した。
日本経済は今、回復の兆しを見せている。しかし最近の政策の後退は、日本の長期的な信用力にさらなる疑念をもたらした。
7月19日、国際通貨基金(IMF)は、日本政府が先月発表した、2010年代半ばまでに消費税を10%に倍増させるという計画に中途半端な歓迎の意を示し、もっと野心的な内容にするよう求めた。格付け機関は、土壇場になって骨抜きにされた増税計画に落胆を隠さなかった。
もう1つの不安材料がエネルギーだ。福島第一原子力発電所のメルトダウン(炉心溶解)を受け、日本の原子力発電所の多くが運転を停止している。
菅直人首相は、原子力発電を全廃する意向を表明した。
日本政府が本当にどうするつもりなのか見極めるのは難しいが、エコノミストらは、原発からの段階的な撤退は予想される経済成長を一段と弱め、既に赤字に陥っている貿易収支に打撃を与えると考えている(図参照)。
日本が保有する膨大な外国資産からの収益が貿易よりも大きな貢献を果たしているため、経常収支はまだ黒字を維持しそうだ。
しかしエネルギー危機は企業に対し、外国で上げた収益を日本に送金するより、むしろ外国で再投資することを促すかもしれない。そうなれば、いずれ経常黒字が吹き飛ぶ可能性がある。いったんそうなってしまったら、日本は外国の債権者に頼らざるを得なくなる。
経常収黒字以外に、日本の債務を支える大きな柱は、大量の現金を保有している家計と企業だ。家計だけで1470兆円の資産を抱えている。国債の発行残高のざっと2倍に当たる額だ。
銀行が国債から逃げ出せば・・・
円相場、一時76円台に 戦後最高値
銀行は仕方なく日本国債を買っているだけ・・・〔AFPBB News〕
企業部門はGDPの約8%を貯蓄しており、今年、実にGDP の10.5%に達すると見られる財政赤字をほぼ相殺する。
こうした資金の大半は、日本国債の4分の3を保有している日本の金融機関に預けられている。外国勢(主に中央銀行)が保有している割合はたったの5%だ。
円高と国内のデフレのおかげで、日本国債の保有は、10年物国債の利回りが1%近くまで下がっても、かなり良い賭けだった。しかし信頼性の危機のリスクは、たとえ切迫したものではないにせよ、完全に排除できるものではない。
例えば銀行が日本の国債を保有しているのは、国債に勝る運用益をほかに見つけられないからだ。「これは忠誠心の問題ではない。銀行は自らの利益を維持しようとしているのだ」とコンサルティング会社マッキンゼーのタブ・バワーズ氏は話している。
過大な債務を抱えるリスクが、その見返りを超える時、銀行は誰よりも速く、船から飛び出すだろう。
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