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(回答先: フランス国債は安全な逃避先か? ユーロ圏の中核にまで忍び寄る不安 イタリアとユーロ:いよいよ崖っぷち 投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 19 日 03:01:01)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/15538?page=3
イタリアが採用すべき「プランD」 デフォルト、そしてユーロの死
2011.07.19(Tue) (2011年7月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今のユーロ圏危機における唯一かつ最大の危険は、事態の進行があまりに速いために、のんびり構えた欧州の政治指導者たちが対応し切れていないことにある。
先週には危機がイタリアに及んだが、欧州連合(EU)は見て見ぬふりをした。
後手後手に回る対応
緊急のEUサミット(首脳会議)を今週21日に延期したのは大きな間違いだった。欧州理事会はこれまでに、緊急時に支援の傘となる欧州金融安定機関(EFSF)の規模を2倍か3倍に増強しておくべきだった。またEFSFをもっと柔軟性のある仕組みに変え、債券を流通市場で購入できるようにしておくべきだった。
さらに、ギリシャのソブリン債を購入した民間投資家の扱いについての討議も終結させておくべきだった。
実際のところ欧州理事会は、財務相たちが細かい技術的な議論を延々と続けるのを容認し、決断を下すことができなかった。またドイツのアンゲラ・メルケル首相は、首脳会議を直ちに開く必要はないと語った。首相はここでも、この危機が始まってからずっと続けていること、すなわち手続きを盾に決断を先送りする姿勢を取ったのだ。
また、15日に結果が発表された欧州の銀行のストレステスト(健全性審査)がまたもや事態を不透明にする内容だったため、欧州理事会はユーロ圏レベルで銀行問題の解決に向けた第一歩を踏み出さなければならなくなる。
もっとも、理事会はその方向には動かないだろう。何しろ、危機は非常に速いスピードで進行している。取るべき対策もここ数週間でプランAからプランB、プランCへと変化した。
プランAからプランCまで
ちなみに、プランAは緊縮財政を実施すること。プランBは、国家間の財政移転と債券保有者の貢献を組み合わせた債務国救済の必要性を認識することである。そしてプランCは、スペインやイタリアも駆け込めるようにEFSFの傘を大きくすることだ。
EUはまだプランBについてもめており、ドイツはプランCなどありえないと一蹴している。当局者の間には、プランBを実行すればプランCの必要性がなくなるとの期待感がある。4週間前であれば、そうだったかもしれない。
しかし今となっては、銀行に損失を負わせる決断がイタリアに対する市場の見方を改善することになるとは考えにくい。
そもそも、市場がなぜこの時期にイタリアの状況についてパニックに陥るのか理解に苦しむ。引き金は確かにあったが、イタリアが抱える問題は決して新しいものではない。
この国がユーロ圏にとどまるためには、長期的に年間2〜3%の経済成長を続ける必要がある。さもなくば、金利を下げる必要があるだろう。前者の実現はイタリアの国内政治のせいで難しく、後者の実現はドイツの政治のせいで難しいということを市場は理解している。
ユーロ参加国に課せられる様々な制約、生産性の伸びの低さ、そして高金利を与件として受け入れるのであれば、イタリアは支払い不能となってしまう。従って、これらの制約のどれか1つが緩和されなければならない。
筆者は5年前、ユーロ圏が崩壊する可能性はゼロに近いと論じていた。昨年には、その可能性は取るに足らないとは言えなくなったがまだ小さい、と書いていた。だが、可能性はその後着実に高まっている。危機そのもののせいではなく、政治の対応がまずいためだ。
ユーロ圏崩壊の可能性は五分五分
筆者は今、ユーロ圏崩壊の可能性は五分五分だと見ている。単一通貨ユーロを救うためなら何でもやるという欧州理事会の約束を疑っているからではない。理事会が事態を放置し過ぎたように思われるからである。
理事会は約束を守るつもりかもしれないが、実際のところ無理だろう。筆者が先週のこのコラムで論じたように、この危機に対する唯一の解決策はユーロ圏債の発行である。しかし大国の国債のスプレッド(ドイツ国債との利回り格差)がひとたび拡大すれば、この策は次第に高く付くものになり、政治的に現実的なものではなくなっていく。
この危機に当たって欧州の政治指導者たちはずっと、そして現在に至っても哲学で言う範疇誤認を犯している。
この危機は、ユーロ圏の周縁に位置する小国の危機ではない。格付け会社や投機筋がもたらした危機でもない。財政同盟になることを拒んでいる通貨同盟全体にかかわるシステミックな危機なのだ。
当初はギリシャへの金融支援など一切しないと話していたことを考えれば、メルケル首相はこの1年半でずいぶん進歩した、との指摘をよく耳にする。確かにその通りだ。しかし今回の危機は、彼女の政治的制限速度を上回るペースで進行している。
メルケル首相はタイタニック号の一等室の乗客
メルケル独首相、国内原発の稼働延長を凍結 福島原発事故を受け
深刻な事故が起きたら、当然ながらドイツのメルケル首相が責められる〔AFPBB News〕
イタリアのジュリオ・トレモンティ経済・財務相は先週、メルケル首相をタイタニック号の一等室の乗客と比べてみせた。
彼が怒るのも無理はない。今日ではメルケル首相の鈍い対応自体が金融危機の原動力になってしまっているからだ。何か深刻な事故でも生じれば、当然ながらメルケル首相が非難されることになろう。
筆者としては、トレモンティ経済・財務相にメルケル首相と対決するようアドバイスしたい。実際、イタリア政府は2本立ての戦略を取るべきだろう。第1の戦略は、筆者が「プランD」と呼ぶものである。メルケル首相がマルチン・ルターよろしく「他になしあたわず」と言い続けた場合に引き出しの中から取り出す緊急時の計画だ。
この「D」は、devaluation(切り下げ)またはdefault(デフォルト)のDである。念のため書き添えるが、筆者は、イタリアがユーロ圏から離脱すべきだと言っているわけではない。万一の場合に備えておくべきだと述べているのだ。
特に、イタリアは金利が引き下げられて初めてユーロ圏に残ることができるということをメルケル首相に伝えるべきだろう。そして、金利の引き下げを達成できる手段となれば、ユーロ圏債の他には見当たらないように筆者には思われる。
今後数日内に重大な選択
また何が起ころうとも、イタリアは自らの生産性を長期的に引き上げるために、信頼できるプログラムを用意する必要があるだろう。
もしプランDが実行に移されたら、我々が知っているようなEUは恐らく終わりを迎えることになる。さすがのメルケル首相もそこまでは望んでいないだろう。ぐずぐずしていたら、EUは本当に崩壊してしまう。EUは今後数日のうちに重大な選択をしなければならない。
By Wolfgang Münchau
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