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(回答先: 財政難の米国、災害復興もままならず 連邦も地方も無い袖は振れず 投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 23 日 04:22:53)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110622/221061/?ST=print
大規模な歳出削減を断行する英キャメロン首相の苦悩 歳出を削減すれば、雇用が失われる、
2011年6月23日 木曜日
Bloomberg Businessweek
Jennifer Ryan(Bloomberg News記者)
米国時間2011年6月9日更新「As Cameron Wields the Ax, Britain Cringes」
英オブザーバー紙が6月5日、52人のエコノミストが共同執筆した、デビッド・キャメロン首相とジョージ・オズボーン財務相宛ての手紙を掲載した。両氏が進める、厳しい歳出削減プランの見直しを求める内容だ。その手紙は「最近の経済指標は、政府が緊急に財政政策を変更する必要があることを示している」と訴えている。
その後、めったにない朗報がキャメロン首相に届いた。国際通貨基金(IMF)が、キャメロン、オズボーン両氏に信念を貫くよう強く促す報告書を発表したのだ。報告書は「より持続可能性の高い予算を実現するには、果断な財政再建が依然として欠かせない」と述べていた。
保守党と自由民主党の連立政権が、第2次世界大戦後以降、最大規模の歳出削減を推進するにつれ、その政策の是非を巡る議論が過熱している。政府は今後4年にわたり、年間800億ポンド(1300億ドル、約10兆円)の歳出削減と、年間300億ポンド(約3.9兆円)の増税を目指している。歳出削減を開始した2010年、状況はさほど深刻ではなかった。各省庁が効率を見直すことで60億ポンド(約7800億円)の歳出削減に成功し、レイオフはほとんど行わなかった。
4年間に31万人の公務員が職を失う
だが2011年に入り、厳しい財政政策に伴う痛みがひしひしと感じられるようになった。英国民は売上税――税率が17.5%から20%に引き上げられた――に危機感を抱いている。英国家統計局(ONS)によると、この税率引き上げでインフレ率は0.75ポイント上昇し、現在4.5%に達している。4月以降、公務員の給与を2年間凍結する。2015年までに31万人の公務員を解雇する予定。そのうち約2万人分はこの年末までに実施する。福祉予算も削減する。例えば子供手当は3年間凍結する。
キャメロン首相の歳出削減計画は、人々の心理に大きな影響を及ぼしている。計画が徐々に明らかになるにつれ、ロンドンの北163マイル(約262キロメートル)にあるマンチェスター市で広報担当官を務めるサリー・ウィートマン氏(45歳)は「この後どれくらい今の職に留まれるか分からない」と考えた。
そこで彼女は4月に希望退職に応じ、受けとった一時金でPR会社を始めた。表向き、彼女は将来を楽観視していると言うが、大きな買い物をする際には「じっくり」考える。周囲でも、「時間をかけて慎重に」考えて買い物する人をよく目にするという。ウィートマン氏は「トンネルの向こうに光が見えるという感じがしない。予算削減策がいかに厳しいものかを実感するようになって、状況の変化に気づいた」と言う。
既に250万人の英国人が職を失っている。3月まで、失業率は22カ月間連続で7.6%を超え続けている。労働市場が悪化する可能性は、消費者に重くのしかかっている。食料品から自動車保険まであらゆるものが値上がりし、人々の収入を圧迫している。
英国の給与振込の90%を処理しているボーカリンクによると、5月まで3カ月間の賃金上昇率は年率換算にして1.8%。インフレ率上昇分の半分にも届いていない。消費者信頼感指数を調査しているGfK NOPのマネジングディレクター、ニック・ムーン氏は「収入の増加が、インフレ率の上昇に追いついていないことに人々は不安を感じている。このため、衝動買いをしなくなっている」と指摘する。
消費者が財布の紐を締め続けると、力強い景気回復の芽はなくなる。財務省の債務抑制に必要な税収が得られなくなる可能性がある。既に英国経済は2四半期連続で停滞している。IMFは4月の時点では1.7%としていた英国の今年の成長予測を、1.5%に引き下げた。ポンド安は製造業の輸出を助けても、消費者の支出を活性化する役には立たない。
インフレ抑制に利上げを求める声も
加えて、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)の動きを巡る懸念が、不確実性を高める要因になっている。衣料品ディスカウントチェーン、プリマークの親会社、アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズで財務を担当するジョン・ベイソン氏はこう話す。「消費支出はせいぜい横ばいの状態が続く程度だろう。万一、金融当局が金利を引き上げたら、英国の消費者心理は冷え込むに違いない」。
今のところ、BOEは基準金利を史上最低の0.5%に維持している。元財務省高官で、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のエコノミストを務めるリチャード・バーウェル氏は、「BOEは、需要の低迷が単なるソフトパッチ(景気の一時的後退)ではなく、長期化することを恐れている。事態はきわめて深刻だ」と見る。
その一方でBOEは、インフレ率の上昇を監視する必要もある。商品価格の高騰や売上税の増税、輸入品が割高になるポンド安が進行しているからだ。BOEの金融政策委員を先ごろ辞めたばかりのアンドリュー・センタンス氏は「基準金利を引き上げてインフレ抑制に努めるべきだ」と盛んに主張している。同委員会のマーティン・ウィール委員とBOEチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は共に、今年はセンタンス氏の主張に賛同している。
キャメロン首相とオズボーン財務相は「政府支出を国内総生産(GDP)の47%から40%に削減する間、BOEには柔軟な金融政策を期待したい」と語っている。両氏の計画では、6年連続の歳出削減が必要になる。これはかつて首相を務めた保守党党首マーガレット・サッチャー氏ですらできなかった荒業だ。予算責任局は、景気後退の結果GDPの11%という記録的な額に達した財政赤字は、歳出削減により、2012年3月までに7.9%に圧縮できると予測する。
だが今のところ、両氏の制作はまだ実現のめどが立っていない。英国は4月に100億ポンド(約1兆3000億円)の財政赤字を計上した。これは少なくとも1993年以来、1カ月の財政赤字としては最大の額だ。その原因は税収減と政府支出の増加にある。
予測不可能な労働組合の反応
こうした状況がオズボーン財務省を追い詰めている。1500マイル(2400キロメートル)東のギリシャは、思い切った財政緊縮を打ち出すことができないと見られ、債券市場から手ひどい仕打ちを受けているからだ。英国政府が緊縮財政を撤回すれば、ギリシャと同じような状況に追い込まれかねない。
ナショナル・オーストラリア銀行のエコノミストで、BOEで働いたこともあるデビッド・ティンズレー氏はこう見る。「英国の成長率が残念な結果となり、税収も予想を下回り、財政上の目標が達成できないという事態は十分あり得る。英政府が歳出削減の努力を怠っている兆候があれば、市場の見方はより厳しくなるだろう」。
予測不可能なのは、緊縮財政に対する組合労働者の出方だ。今のところ労働組合は、キャメロン首相との対決姿勢を盛んに訴えてはいるものの、実質的にはこれといった行動を起こしていない。約30万人が加盟する英国最大の公務員労組PCSは、雇用削減に抗議するストライキを行うかどうかを労働者の投票で決めようとしている。
もう1つの主要な公務員労組GMBが6月6日にブライトンで開いた会合では、ビジネス・改革・技術相のビンス・ケーブル氏が、政府がストライキの短縮短縮措置を採る可能性について言及し、批難を浴びた。
GfKのムーン氏は「信用は失うのは簡単だが、取り戻すのは難しい」と語る。今のところ、「人々は暮らし向きが悪くなる一方であると感じている」。
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