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自国より労働コストの高い公務員と福祉天国に、税金を投入させられる他国民が怒るのも当然だ。放置して自国銀行だけ救済すればいいと考えてもおかしくはない。
日本で言えば、劣悪な通勤や住宅、労働条件で働く都市住民の税金が、箱モノ放漫財政の地方の赤字解消に注ぎ込まれることに対応する
http://diamond.jp/articles/-/12679
第125回】 2011年6月12日遠藤典子 [「週刊ダイヤモンド」副編集長],週刊ダイヤモンド編集部
【現地レポート】終わりなきギリシャ危機――それでもEUは救い続ける(2)にわかに浮上する第3の貸し手EFSFは支援に乗り出すか
トロイカの圧力で受け入れざるをえなくなった財政赤字の追加削減策をめぐって、ギリシャの与野党が対立を深めている。国家公務員給与に、 10%削減という大きなメスを初めて入れることが火種となって、早期解散を目論む野党第一党の新民主主義党からは、減税論まで飛び出す異常事態だ。
近年、ギリシャの労働コストの上昇は著しい(図5参照)。そもそも、2010年の法定最低賃金は「月額862.8ユーロで、隣国ブルガリアの 122.7ユーロの7倍」(在ギリシャ日本国大使館)である。当然、企業の競争力低下を招く。労働人口の4分の1が公務員であることもあって、コスト感覚 が麻痺してしまったのだろう。
現実はきわめて厳しい。政府債務残高は、名目GDPの166%に達した。マイナス成長に落ち込むため(図6、7参照)、債務残高比率はさらに上昇 する。議会では、与党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が6議席とわずかながらも過半数を上回る156議席を占めており、「造反がない限り、赤字財 政追加削減の関連法案の成立は堅い」と政府幹部は見る。
ところが、6月8日現在、関連法案は国会に提出されていない。
「仮に20日の週においても成立のメドが立たなければ、政府の財政再建能力への懸念が高まり、格下げが実施される公算が大きい。そうなれば、7月 初めに予定されているIMFとユーロ圏諸国からの120億ユーロの融資実行が先送りされるだろう」と、野村證券金融市場調査部の岸田英樹シニアエコノミス トは最悪のケースを想定する。
それでも土壇場で最悪のケースは回避される──ギリシャやフランスの銀行界においては、楽観論が支配している。岸田氏のメインシナリオもそうだ。120億ユーロの融資なくしては、8月20日に控える元本66億ユーロのギリシャ国債の償還すら危ういからだ。
パパレンドゥ政権が議会をまとめる力量を見せつければ、昨年5月に決定した1100億ユーロの金融支援とは別の追加支援をトロイカから引き出す道筋をつけることができるかもしれない。
民間シンクタンクのストウナラス理事長は、「目標である2012年どころか13年でも、国債市場復帰は難しい。(この2年間で償還しなければならない国債発行額に等しい)約600億ユーロの追加支援が必要であろう」と言う。
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もう一つの追加支援策として浮上しているのが、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)によるギリシャの新発債の直接買い入れである。現在、EFSFが支援を表明しているのは、アイルランドとポルトガルだけであり、ギリシャについてはいまだ白紙である。
今年3月、EFSFには、ユーロ圏諸国の国債を発行市場から直接購入する権限が認められた。元EC経済・金融総局長を務めたクラウス・レグリングCEOは、「経済的には融資と同等の効果」と慎重姿勢ながらも、発行市場介入の可能性を否定しなかった。
仮に、ユーロ圏諸国がギリシャに追加融資を行う場合には、各国議会での法案の可決が必要になる。だが、EFSFを経由するかたちを取れば、原則では、ユーロ圏諸国財務相の全会一致さえあれば支援を決定することができる。
トロイカが掲げた「12年の国債市場復帰」という当初目標は、市場では難しいと見られている。それでも、政府の国債発行機関であるPDMA(ギリ シャ公的債務管理庁)のクリストドゥル長官が「あくまでも12年中の国債市場復帰を目指す」と強気を貫くのは、EFSFへの国債買い取り期待があるからな のかもしれない。
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民間投資家による負担を要求するドイツ政府
欧州すべてがギリシャを注視するなかで8日、再び市場に衝撃が走った。ドイツのショイブレ財務相がギリシャの国債償還における支援策として、金融 機関など民間投資家の負担を求めるべく、彼らが保有する国債を長期の国債と交換することによって、実質的な償還期限を延長するという案の実施をトロイカに 書簡で求めた、という報道がなされたのである。
このドイツ案が認められれば、いかなる債務再編も認めないという主張をECBが変えない限り、ギリシャ国債は適格担保として見なされなくなる。格付け会社にとって、それは事実上のデフォルトを意味する。そうなれば、周縁国国債へも波及し、ユーロも失墜しかねない。
ボールはECBに投げられた。ECB内部においては、債務の交換が実施された場合、格付け機関の格付けを“一時的債務不履行”とするシナリオが浮 上しているという。この格付けであれば、ECBのオペの担保対象からははずれるが、ECBが流動性を供給することはできるというわけだ。ギリシャ、欧州の 銀行システムへの悪影響を回避する手段を担保できる。
トロイカによる融資実行の可否、国債市場復帰の可能性、債務再編──市場はそのたびに揺れ、それがギリシャを追い詰める。ギリシャ、周縁国ひいてはEUの試練が続く。
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債務再編の可能性は低い追加支援策は合意されるミハエル・マスラキス●ALPHA BANK チーフ・エコノミスト
ミハエル・マスラキスALPHA BANK チーフ・エコノミスト
ギリシャは1990年代半ばから世界金融危機前の2007年まで、年率4%程度の実質GDP成長を持続した。だが、この3年間に10%も減少し た。企業も労働者も消費者も事態を理解できず、途方に暮れている。政府は雇用市場、年金基金、税制などの構造問題の改革に乗り出し、財政赤字削減を進める が、それが国民にさらなる痛みを与えている。
EU、IMF、ECBは、ギリシャ政府の改革継続意思を認め、改革を加速するように圧力を加える一方で、その実現のためには“さらなる時間と資金”が必要だと判断したと思われる。支援の融資期限の延長など、なんらかのインセンティブを描き始めているようだ。
ドイツは、債務再編の必要性を説く。ギリシャの債務軽減には、ギリシャ国債を保有する各国政府だけでなく、民間金融機関も責任を負うべきだと考え るからだ。だが、それは破産宣言に等しく、ギリシャの銀行のみならず、欧州の金融システムが危機に陥り、ユーロの将来を危うくしかねない。ECBは債務再 編を支持する見方を否定し続け、金利減免、元本削減、返済延長──種類を問わず債務再編が起こった場合は、ギリシャ債をいっさい受け入れないと宣言してい る。
ギリシャ政府が改革に向けてあらゆる措置を講じ、実行すれば、最終的には、債務再編ではない、さらなる時間と資金をギリシャに与える妥協点に至ると思われる。(談)
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国債市場への復帰は不透明600億ユーロの追加支援が必要ヤニス・ストウナラス●Foundation for Economic & Industrial Research(IOBE)理事長
ヤニス・ストウナラスFoundation for Economic & Industrial Research(IOBE)理事長
昨年は構造改革が順調に進み、財政赤字は名目GDP比で5%以上削減された。だが、今年はハードルが高い。景気後退などで税収が落ちているなかでの、歳出削減は厳しいものになる。
最大の問題は、政府の質にある。5年前に、PASOKが政権与党を奪還した。その閣僚の多くの政治理念は時代遅れで、社会主義は国家主義と関係す ると考え、自由主義的経済政策の必要性を理解しない。たとえば、ギリシャは歴史的に未開発の広大な土地を保有、その価値は開発に成功すれば公的債務額に匹 敵するといわれるのに、放置してきた。EUなどの圧力でようやく民営化を決心した。
閣僚たちは古臭いうえに、実行能力を欠く。その解決には、閣僚を入れ替えると同時に、行政サービスを民間に委託することだ。150もの国立病院には、会計制度もコンピュータシステムもなく、管理水準が低い。だから、ムダと汚職がはびこる。
われわれの経済試算では、市場や職業の自由化を進めれば、GDPは17%増加する結果が得られた。一方で、分不相応な年金削減など手術も必須だ。
現状では、2012年中には国債市場に復帰できない。12年中に財政赤字をGDPの5%に近づけられるというのならば、13年には可能性が出てく ると言っておこう。復帰時期が不透明なのだから、12年と13年の国債償還資金は追加支援してもらうしかない。およそ600億ユーロは必要になるだろう。 (談)
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