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(回答先: 商品価格下落がもたらした難問 「醜い犬のコンテスト」流れはドル有利に急転換 投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 09 日 13:36:30)
商品市場の大調整が始まったのか?
2011.05.10(Tue) 5月7/8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
2011年のコモディティー(商品)市場の大「調整」は、普段はめったに新聞の1面で報じられることのない静かなニッチ市場である銀市場から始まった。
だが、電子機器や宝飾品を主な用途とする貴金属の銀は、商品市場という炭鉱において危機を告げるカナリアとなっていた。
商品の下げを先導した銀相場
2010年8月以来、銀価格は175%上昇したが、これは地味ながら改善を見せている需給のファンダメンタルズとは相反する動きだった。
トレーダーやアナリストによれば、銀価格は需給ではなく、とどまるところを知らない投資家の熱狂に突き動かされ、4月末に1トロイオンス=50ドルに迫る記録的な高値をつけた。投資家は銀のことを、インフレとドル安へのヘッジと見ているのだ。
5月2日になると、高騰していた銀価格は下げに転じる。5日までに銀価格は大崩れし、6日午前には1トロイオンス=33.16ドルという安値をつけるなど、この1週間で30%以上も急落した。銀の急落は原油や銅など、その価格が世界経済に大きな意味を持つ他の商品にも飛び火した。
商品市場全体を見ても、5日は4.9%安と、1日の下げ幅では過去最大級となる下落を記録した。世界的な原油価格の指標であるブレント原油価格は、2日間で1バレル=15ドルも下落し、6日に最安値をつけた。これは2日間の下落額としては史上最大となる数字だ。
5日以前には、ブレント原油価格は2年半ぶりの高値に迫る勢いだった。この急反転の理由としては、米国の経済指標が予想を下回ったこと、原油高が消費者心理に与える影響への懸念、新興国での金融政策引き締め、ドル相場の1.6%もの急反発などが指摘されている。
一斉に出口を求めた投資家心理
だが、単一の理由では、これほどの速さと規模の急落を説明できない。むしろ、同一の対象に投資が集中していることに気づいた投資家が手じまいを考えて売りに走ったというのが、トレーダーの見方だ。ブレント原油およびアルミニウムの売買高は過去最高を記録した。
「1週間前は、原油市場に弱気筋は皆無だった。だが今は、原油価格の次の動きについて熱い議論が起きている」と語るのは、ニューヨークのJPモルガンで原油市場調査部門の責任者を務めるローレンス・イーグルス氏だ。「市場は均衡を取り戻している」
商品市場の拡大が度を超えていたことは、投資家のポジションに関するデータを見ると明らかだ。
例えば、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、5月に入っての急落以前、米国の先物およびオプション市場で、原油価格のさらなる上げ相場を予想した投機的取引は、実質ベースで33万6000件にも達していた。これは過去最高記録をわずかに下回るだけの数字だ。
銀行幹部やトレーダーによれば、ロングポジション(買い持ち)の大部分は、コンピューターのアルゴリズムを用いて取引を行い、市場の趨勢に乗じて利益を上げようとするタイプのトレンドフォロー型ファンドが保有しているという。
マン・グループが運営する世界最大級のトレンドフォロー型ファンド「AHL」は、5月に入って2.6%下落していたが、5日にはさらに3.5%急落した。
クレディ・スイスの商品投資家向け販売部門を率いるカマル・ナグビ氏は「(急落の)規模と速さは、投資家のタイプを反映したものと考えて間違いない」と指摘する。
「ここで明らかになったのは、商品市場におけるCTA(アルゴリズムを用いて取引をする商品投資顧問業者)の急速な台頭だ。あらゆるクライアントにとって、あるいは市場分析に動かされる投資家にとって、商品市場へのアクセスは、特に技術的にだが、はるかに容易になった」
伝統的なヘッジファンドもかなりの損失
一方、より伝統的な投資スタイルのヘッジファンドでは、数週間前から商品へのエクスポージャー(投資残高)を減らし始めていた。
4月にはゴールドマン・サックスが、原油や金属、農産物などの商品について利食い売りを推奨したことで話題を呼んだ。一方で、銅については、中国の需要が明らかに弱まっていることが、数カ月前から投資家の不安材料になっていた。
それでも、銀行幹部によると、商品に特化したヘッジファンドは原油、銀、アルミ市場でかなりの損失を被った模様だ。ファンド調査会社のEPFRグローバルによれば、商品セクターのファンドは5月4日までの1週間で、週間ベースで最高額となる14億7000万ドルの払い戻しを行ったという。
だが、5月に入っての大幅な下げ相場にもかかわらず、多くの投資家やアナリストは長期的には商品市場が高値のスーパーサイクルに入っているとの見方を崩していない。
長期的には商品のスーパーサイクルが続く?
「商品価格データの流れを見る限り、ここが転換点だと示すものはない。ファンダメンタルズが最も強い商品については、価格がかなり力強く回復するまで、それほど時間はかからないはずだ」と、バークレイズ・キャピタルの上級商品アナリスト、ケビン・ノリッシュ氏は語る。
実際、6日午後には一部のトレーダーが既に商品市場への再参入を考え始めたようで、午後には銅、原油、コーヒーの価格がこの日の最安値から急反発した。銀価格はいまだに直近の最高値から28%下げているが、アルミニウム価格はわずか7%安にとどまっている。
一方、先物取引所での取り扱いがないため、投資家が手軽に取引できる対象ではない鉄鉱石の価格は、5月に入って上昇している。
ゴールドマン・サックスの商品市場調査部門を率いるジェフリー・カリー氏は、4月に下げ相場を予測して市場を震え上がらせた人物だが、そのカリー氏でさえ、商品市場は間もなく反発する可能性があるとの見方を示している。
「経済データに関して、大きな疑問符がつくのは米国だ。どちらかと言えば、銅市場は恐らく中国が曲がり角を迎えたことを示している」
By Jack Farchy
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