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(回答先: [JMM634M] 日銀による秋以降回復予想の根拠は? 投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 02 日 13:32:07)
『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q:1210
◇回答
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□中島精也 :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
□北野一 :JPモルガン証券日本株ストラテジスト
□水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家
□中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長
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■今回の質問【Q:1210】
日銀は先週の金融政策決定会合で、今年度の経済成長見通しを大幅に引き下げまし
た。ただし秋以降は回復に向かうと見ているようです。秋以降の回復予想の根拠は何
なのでしょうか。
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村上龍
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■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
日銀が秋以降、景気回復に向かうと考える理由は、展望レポートに「サプライチェ
ーンの再構築が一段と進むとみられることから、電力の需給逼迫が改善に向かうもと
で、供給面の制約は和らいでいくと見込まれる。そうした状況になれば、海外経済の
改善が輸出や生産の増加につながり、わが国経済の回復を支える原動力として、再び
はっきりと作用してくる」と述べたように、1)サプライチェーンの再構築、2)電
力需給の改善、3)輸出の増加です。今回は、リーマンショック時のような世界の需
要減少でなく、大震災に伴う日本の供給減少なので、日本の供給力さえ修正されれば、
輸出主導で景気は回復するという見方です。
サプライチェーンは予想が難しくなっています。日銀も展望レポートの中で、リス
ク要因として、「サプライチェーンにおける障害の帰趨について現時点で見通すこと
は難しく、供給面の制約が解消する時期については、不確実性が高い」と指摘してい
ます。上場大企業だけの問題であれば、大企業の窓口にヒヤリングすればわかります
が、今回のサプライチェーン問題では、二次・三次下請けの中小企業による小さな部
品・部材がボトルネックになっていることが多く、発注元の大企業ですら、どこが部
品・部材の供給不足の原因になっているのか把握するのが困難といわれています。
4月7日に白川日銀総裁はサプライチェーンが6?7月に回復するとの見通しを述
べられましたが、4月26日に発表された経済産業省の「サプライチェーンへの影響
調査」(但し、調査対象企業は80社のみ)によると、サプライチェーンの回復は1
0月頃までかかる可能性が高いとの結果になっています。逆にいいますと、夏にサプ
ライチェーンの回復が可能な企業もある一方、遅くとも秋頃までにはほとんどのサプ
ライチェーン問題が改善する見通しです。
今夏の電力不足は当初かなり厳しくなると懸念されていましたが、東京電力の供給
量見通しが5500万kW程度へ回復してきたため、大企業の節電目標は前年比25%
減から15%減へ緩和される見通しになりました。日本経団連の「電力対策自主行動
計画」によると、東京電力管内で、約8割の大企業が今夏に前年比25%以上の節電
を目標にしているということで、大企業は当初目標の25%減に沿って努力していま
す。今夏の無計画停電といった最悪の状況は回避される見通しになってきました。
中部電力が定期点検中の浜岡原発3号機を7月に再稼働したいと述べたことは、K
Yとの雰囲気を醸し出しました。原発の新規増設はいうまでもなく、13カ月毎に定
期点検のために停止してしまう原発の再稼働が、現時点では政治的に容認されない状
況です。電力不足の最悪は今夏であり、秋以降は生産障害の原因になりにくいものの、
原発の稼働ができないと、日本企業は中長期的に節電が求められる可能性があります。
日本の景気回復はいつものように輸出主導になると予想されます。米国経済は6月
にQE2が終わっても、景気回復が続くと予想されています。足元のインフレ懸念が
高まっている中国経済も、秋以降はインフレ率が落ち着いてくると予想されています。
日本の輸出供給力が改善すれば、輸出の回復が見込めます。日本産の農産物に対して
は輸入制限を課す国が多くなっていますが、工業製品の輸出は放射性物質の付着懸念
が大きくありません。サプライチェーン回復後の日本企業の国際シェアの低下懸念は
ありますが、輸出は秋以降の景気回復の牽引車になると予想されます。
メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊
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■ 中島精也 :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
日銀の見通しの根拠は4月28日の決定会合時に発表になった展望レポート、そし
て白川総裁の記者会見で詳しく述べられています。一言で言えば、これまでの見通し
を変更しなければならなかった理由は震災による供給ショックにつきると思います。
すなわち、震災により現地の資本設備が毀損したことで工場が稼動せず生産が落ち込
んだこと、同時にサプライチェーンの障害、すなわち、この地域で生産される材料・
部品を使用している全国の工場でも材料・部品が入らないために、供給のボトルネッ
クが生じて操業停止に追い込まれたこと、更には福島原発の事故により、電力の供給
不足が生じたことから、生産活動が大きく制約を受けることになったわけです。
既に発表になった3月の鉱工業生産は前月比?15.3%と大幅な落ち込みを記録
しました。この供給ショックの影響は毀損した資本設備や電力供給が震災前の水準に
回復するまで続きますので、2011年度の経済成長率がこれまでの見通しに比べて
低下するのは避けられません。日銀は政策委員の大勢見通しとして、2011年度の
実質GDPの伸びを1月時点の見通し+1.4%〜+1.7%から+0.5%〜+0
.9%に下方修正しましたが、予想数値自体は不確実性が多すぎてよく分かりません
が、下方修正は納得のいくものだと見ています。
さて、秋以降の回復見通しですが、今回の経済指標の落ち込みが震災よる供給ショ
ックによりもたらされたものである以上、生産の回復も一義的には供給ショックがど
の程度緩和されるかに依存すると思われます。海外要因など外部環境を見れば、海外
経済の景気回復基調は崩れず、国際商品市況の高騰など懸念材料はあるものの、おお
むね、日本経済にとり大きなマイナス要因ではないと見られるからです。
日銀は「秋口以降は、サプライチェーンの再構築も一段と進むと見られることから、
電力の需給逼迫が改善に向かうもとで、供給面の制約は和らいでいく」と見ています。
更に、「毀損した資本ストックの復元に向けた動きも、次第にわが国経済を押し上げ
る方向で寄与してくる」と考えています。被災した工場の再建がいつ頃、本格化する
のか正直言って読めませんが、できる限り早く元に戻したいというのが被災地の願い
でしょうから、遅くとも秋口以降には資本ストックの復元が設備投資の増加という形
で成長押し上げに寄与してくると考えるのが素直かと思われます。もちろん、そのた
めには財政金融面での手厚いサポートが不可欠であることは言うまでもありません。
秋口以降に被災地の供給力が戻ってくれば、サプライチェーンの問題も解決に向け
て大きく前進します。また、電力不足問題も不稼動電力設備の再稼動、企業サイドに
おける自主電源の確保など、あらゆる可能性を講じることが検討されていますので、
徐々に問題は解消に向けて前進するものと期待できます。ただ、原発事故の封じ込め
を初めとして、まだまだ不確実な要因が多すぎますので、このようなシナリオで行く
と決めつけるのは楽観的過ぎるかもしれませんが、日銀の見通しは、現時点では最も
可能性の高いシナリオとして考えておいてよいかと思われます。
伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト:中島精也
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■ 北野一 :JPモルガン証券日本株ストラテジスト
日本銀行は、4月28日に「経済・物価情勢の展望(2011年4月)」(以下、
展望レポート)を公表しました。日本経済についての、彼らのメインシナリオは次の
通りです。「2011年度前半は、下押し圧力が強い状態が続いた後、年度後半にか
けては、輸出や生産がはっきりとした増加に転じるもとで、年度前半からの反動も
あって、景気回復テンポが高まる可能性が高い」。
実質GDP成長率の見通しについては、大震災を受け、1月時点の前年度比+1.
6%から、同+0.6%へと1%ポイント下方修正されておりました。こうした見通
しは、民間エコノミストの予想とほぼ同じです。4月12日に公表されたESPフォ
ーキャスト調査(43人のエコノミストの予想集計)によると、2011年度の実質
GDP成長率見通しは、前年度比+0.4%と、1月調査時点の+1.4%から、や
はり1%ポイント下方修正されておりました。因みに、同調査によると、4?6月期
の成長率は、前期比年率で?2.83%と落ち込むものの、7?9月期には+1.8
8%に回復する見通しになっていました。
いずれにせよ、秋口以降には、サプライチェーンの再構築が一段と進み、電力の需
給逼迫も改善する。さらに、震災によって毀損された資本ストックの復元に向けた動
きも、わが国経済を押し上げる方向に寄与するだろうという話です。
では、こうした見通しが外れるとすれば、どういう場合でしょうか。前述の展望レ
ポートは、上振れ・下振れ要因を4つ上げております。(1)供給面の制約が解消す
る時期についてはよく分からない。早くなるかもしれないし、遅れるかもしれない。
(2)中長期的な成長率への期待は震災をきっかけに上にも下にも変わり得る。(3)
海外経済の動向も不透明、先進国には債務問題が重石、新興国は資本流入から景気が
強まる可能性もある。(4)国際商品市況が一段と上昇すると、国内民間需要の下押
し圧力に。
(1)〜(3)については、上にも下にもリスクがあるということですが、(4)に
ついては、基本的には悪い影響のみが指摘されておりました。むろん、(4)につい
ても、本来、国際商品市況が下落するケースを想定できるわけですが、日銀の相場観
としては、上がるリスクが高いと思っているようです。
今回、私が注目しているのは、この国際商品市況の見通しです。というのも、4月
27日に行われた記者会見で、バーナンキFRB議長が、日銀とは逆の見方を示して
いたからです。「多くのアメリカ人がガソリン価格の上昇に困惑しているが、それに
対してFRBができること、やるべきことは何か」という質問に対して、バーナンキ
さんは「FRBにできることはあまりない。ガソリン価格の上昇は、新興国の成長に
伴う需要拡大と、北アフリカ・中東情勢に起因する供給面への不安によるものだ。我
々は、石油をつくり出すことはできないし、新興国の成長をコントロールする術もな
い」と答えました。
その上で、「我々は、ガソリン価格が現在のペースで上昇するとは考えていない。
早晩、騰勢が一服し、下落に転ずる可能性もある」と言っておりました。このガソリ
ン価格を含む国際商品市況に対して、日銀の展望レポートは「世界的な金融緩和の継
続などを背景とする金融面の動きが、国際商品市況の動きを加速させている面もある」
と書いておりましたが、FRBは金融政策と商品市況の関係については言及しており
ませんでした。日銀とFRBでは、商品市況を考える際の論理が異なっているようで
す。
日銀的論理を使うと、需要を刺激するための金融緩和の副作用として商品市況が上
昇し、これが皮肉にも需要の下押し圧力になることから、緩和効果を期待しづらいと
いう結論に至ります。一方、FRB的論理なら、何らかの理由で、商品市況が下がっ
た場合、需要が刺激され、金利上昇圧力が生まれることになります。
繰り返しになりますが、日銀は、メインシナリオに対する上振れ・下振れ要因を4
つ挙げておりますが、(1)〜(3)は、上にも下にもリスクがあるという立場です。
(4)についてのみ、ダウンサイドを意識しておりました。日銀が、間違うとすると、
この(4)が逆になる場合、すなわち、思わず、商品市況が下落する場合であろうと
思います。その際には、日銀の想定以上に、回復が力強くなるのではないかと思いま
す。
因みに、4月初旬に行われた株式市場の参加者に対するアンケート調査をみると、
日経平均株価の1万円回復は9月頃という予想になっておりましたが、4ヶ月早い5
月2日に日経平均株価は1万円を回復してきました。景気予想も、前倒しで実現する
ことを示しているのではないでしょうか。その場合の要因は、案外、商品市況の下落
です。それにしても、特に根拠を示さずに、「ガソリン価格は下がると思う」と言え
るFRB議長の記者会見は面白いと思いました。
JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一
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■ 水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家
一.震災の要因を除いて考えても、もともと景気が回復基調にあり、現実に日本以外
の世界経済は好調であること。
二.震災後の復興需要が見込まれること。
の二つです。
もともと昨年後半から景気は回復基調で、2011年は好景気の年になるはずでし
た。世界的にリーマンショックからの回復が本格化しており、日本以外のアジアや欧
米では現在も景気は好調です。世界経済は連動性が高まっているので、ざっくり言え
ばアメリカと中国が好景気であれば、日本も好景気になると言っていいと思います。
現在は震災による供給ショックにより一時的に落ち込みを見せていますが、本来の基
調は好景気なのだということです。だから供給力の回復に伴い本来の景気回復軌道に
戻るだろうということです。
そして復興需要が見込まれること。ここ数年の日本経済の最大の課題は需給ギャッ
プの大きさでした。供給力が需給を大きく上回っているために、デフレ状態から脱す
ることができずにいました。
震災により供給力が大きく損なわれる一方で、巨額の国富が失われ、大きな潜在需
要が発生しました。それがこれから復興需要として現実化します。需給ギャップが震
災で強制的に縮小したような状況になっています。
既に流通業などで大幅な売上増が記録されています。実際に現在大きな利潤を挙げ
ている人たちはいるし、今後さらに出てくるでしょう。「復興成金」のような人も出
現するでしょう。こうした事実を倫理的な問題として考えるべきではありません。経
済活動を活発化し、どんどんお金を回すことによってしか復興は成し遂げられません。
戦後の闇市はあらゆる悪徳の巣だったかもしれませんが、闇市なくして戦後の復興は
ありませんでした。
回復の具体的な時期は様々な状況によって左右されるでしょう。原発問題の一応の
収束がいつになるかによっても違います。ただ大きなシナリオとして回復に向かうこ
とはかなり確実なことだと思います。
日本語学校教師、評論家:水牛健太郎
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■ 中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長
秋以降の回復予想の根拠は、毀損したサプライチェーンの復旧(部品の供給網の回
復)と電力供給問題の改善があるから、というのが日銀の展望リポートに書かれてい
ます。今年度の経済成長見通しの変更は、東日本大震災の影響による景況感の落ち込
みと、年後半以降は期待できるであろう復興需要による景気回復という組合せに過ぎ
ず、極めて一般的な見方であろうと考えます。リーマン・ショックなども同様ですが、
景況感含めて下押し分が大きければ大きい程、回復可能性とその回復感応度が高まる
というのは、定石と言えます。
ただし、秋以降の回復予想というのは、聊か甘いかも知れません。私は、ミクロ状
況を主に見るクレジットアナリストをやっていますが、たとえば、自動車など川上か
ら川下まで全てを抱えたセクターが、そのサプライチェーンを見直すことまで含めて
考えれば、半年で調整が済むとは思えません。工場再開のニュースは相次いでおり、
それでも稼働率は通常の50%程度と解説されていますが、現場の方の声を聞くと、
25%程度といってもおかしくはない、と言うことで、現状で考えているより生産は
下振れしているかもしれません。マイコンが提供されなければ、なかなか自動車生産
が軌道に乗るとも考えられません。日本国内の中での部品の融通があまりよろしくな
いとなれば、これからの増税も考えると、東南アジアを中心に再び製造業の空洞化に
拍車がかかる可能性もあります。また、今回の震災で、ジャストインタイムの部品納
入が必ずしも正しくはないことが明らかになり、部品として代替が出来ない部品であ
れば、少なくとも数か月分の在庫を確保しておくべきであろうとの見方が出てきてい
ます。これは大げさに言えば、企業に対し、生産性を落とす代わりに、生産工程を確
保することを重視する方向へシフトを促すものになります。
電力供給の制約も、希望的観測は別として、実際にどうなるのかはわかりません。
テレビを見ていると、エアコンを使わずにいかに快適に過ごすのか、というエコな暮
らし方を指南しているものが増えたように思いますが、家庭と工場は違います。製品
の生産に際して、電力供給の制約を受けることは確実にボトルネックになってしまう
のではないでしょうか。通常稼動しないGW中も、工場を動かす代わりに、夏休みを
多くとる、工場の休止期間を分散させる、など、来るべき夏に備え、国をあげて、電
力供給の制約に対して対応策を取っていますが、問題なのは、今年を乗り切ればそれ
で済むというわけではないことです。
来年になっても、原子力発電所がすぐに稼動しているわけではないでしょう。福島
原発に代わる原子力発電所を仮に建設する話になったとしても、土地を確保し、住民
を説得し、原発を敷設し、実際に稼動するまでには相当の時間がかかります。福島原
発の休止原発を動かすことすら、いつになるのかわかりません。火力発電にシフトす
れば、そのシフトした分のコストアップなども恒常的に企業業績の重荷になることを
計算に入れなければなりません。つまり、今回の震災による影響は、景気サイクルの
中での落ち込み以上に、サプライチェーンや企業の生産工程の見直しが必要になった
のですから、素直にV字回復するわけではないことを考慮することが必要だと思われ
ます。
また、今回の震災の場合の復興需要が本当の意味で必要なハコモノ建設をする場合
に、これまでの状態に戻すことが望ましい姿なのかどうかの検討も必要です。東北エ
リアをどう再生していくのか、という大きなビジョンなくして、たとえば、仮説住宅
などの建設でひとときの復興をしたところで、喜んでいられないということではない
かと思います。穴を掘って、セメントで埋めるだけの予算消化のための工事であって
も、それが費用や労働力を投入するものである以上、成長率には寄与します。しかし、
みせかけの復興需要をうむための“取りあえず”のプランしか用意できないのであれ
ば、意味のある復興にはならないのではないでしょうか。当該土地の正確な現状把握
を行って、いかなる再生を果たしていくのか、地域経済のあり方を含めて、新しいグ
ランドデザインを描いた再生計画でない限り、不幸が不幸にとどまってしまう気がし
てなりません。
景気サイクルから見ても、建設株などを中心に復興需要関連の株式市場が活況にな
ることは十分考えられます。数字上、統計上の回復に励まされることも、必ずやある
でしょう。しかし、それ以上に重要なのは、前倒しの景気回復を優先することではな
く、企業にとっては生産体制の見直しや生産に対するリスク管理の確立であり、地域
経済にとっては、グランドデザインをしっかり描き、いかなる発展をしていくべきな
のかを考えることだと思います。
政府の対応を見ていると、補正予算の成立は当然としても、復興庁などの設立やら、
なんちゃら委員会などの設立ばかりして、安心しているように思えます。秋口かどう
かは別として、近い将来必ずや統計上の回復は果たすでしょうが、その回復していく
統計以上に、回復の質を考えるべきだということは忘れてはならないはずです。そこ
に配慮がないまま時間ばかり経っているのは、気がかりでなりません。
BNPパリバ証券クレジット調査部長:中空麻奈
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