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米国のデフレ・リスクは去った!追加的量的緩和政策(QE2)は止めるべき
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/124.html
投稿者 tea 日時 2011 年 2 月 15 日 21:11:55: 1W1IXELjjF6i2
 

(回答先: アルゼンチンのように米国はデフォルトすべし  投稿者 tea 日時 2011 年 2 月 15 日 20:43:53)

インフレ懸念でポンドはお祭り状態
ドルもユーロも高い
振り上げた拳は、そう簡単には下ろせないと市場は見てるか


TOPマネー・金融広瀬隆雄 世界投資へのパスポート【第120回】 2011年2月15日広瀬隆雄 [投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLC代表]
米国のデフレ・リスクは去った!追加的量的緩和政策(QE2)は止めるべき
【今回のまとめ】1.米国の「追加的量的緩和政策(QE2)」は最悪の事態に備える保険だった2.消費者物価指数などから判断すると、米国のデフレ・リスクは去った3.今こそ臨時的な措置をストップすべき時期
「追加的量的緩和政策」はすぐにストップされるべき
 「追加的量的緩和政策(QE2)」は、昨年、FRB(連邦準備制度理事会)のベン・バーナンキ議長が打ち出した非伝統的な金融政策のことを指します。
 その狙いはデフレの阻止です。
 通常では、FRBに代表される各国の中央銀行は、政策金利を上げ下げすることでインフレを調整しますが、景気があまりにも悪くなって政策金利をすでにゼロにしてしまった場合には、金利を下げる余地がなくなります。
 そこで、中央銀行は、国債を市場から購入する「量的緩和」などの臨時的な方法によって、キャッシュを金融システムに注入します。
 このような荒っぽいやり方が、前述した「非伝統的」な金融政策です。
 昨年の夏、バーナンキ議長はそのような非伝統的な措置を講ずる決心をしたのですが、そのような決心に至った理由は、米国経済がデフレ・スパイラルに陥るリスクがあると判断したからです。
 つまり、「追加的量的緩和政策」は、それに対して「保険をかけた」と理解できるでしょう。
 ただし、米国がデフレ・スパイラルに陥る確率は「必ずそうなる」という状態とはほど遠く、UCバークレーのバリー・アイケングリーン教授の言葉を借りれば、「15%程度の確率でデフレに陥るリスクがある」というのが当時の大方のエコノミストの考え方でした。
 それでは、なぜ15%程度の確率でしか起こらないであろうリスクに対してわざわざ保険をかけたのかと言うと、デフレ・スパイラルに陥ってしまうと、脱却するのが困難だからです。
 これは、日本が今日おかれている現状を見れば、読者のみなさんには説明するまでもないと思います。
 したがって、非伝統的な措置はあくまでも臨時的な措置であって、そのリスクが去れば、ただちにストップされるべき政策です。
米国のデフレ・リスクは回避された
 さて、最近の米国経済の統計を見ると、消費者物価指数はプラス1.5%となっていて、マイナスではありません。
 直近のものだと、インフレが上向いていることがわかります。

 つまり、現在の米国の状況は、マイナスとなっている日本とは明らかに違うのです。
 「15%の確率で起こるかもしれない」と、昨年夏に憂慮されたデフレ・リスクは、現時点でほぼ完全に回避できたと結論づけられるでしょう。
日本と米国では住宅バブル崩壊後の状況が異なる
 しかし、いまだに「日本と同じように住宅バブルが弾けたので、米国もデフレになる」と危惧する声も一部にはあります。
 確かに、住宅バブルが弾けたという点では両国に共通点があると言えます。しかし、その他の条件はかなり違います。
まず、デフレはすべての資産価格が下がる脅威にさらされるわけですから、もしデフレ・リスクが残っているのならば、株価も下がらなければおかしいです。

 ところが、上に示したように、米国の株式市場は昨年9月以来、すこぶる好調です。
 また、日本がデフレに陥った背景には、バブルの崩壊だけではなく、人口動態が「逆風」になっているなどの構造的な要因があります。

 その点、日本の人口成長率はすでにマイナスになっているものの、米国はまったく下がっていません。
 言い換えれば、このまま放置しておいた場合に、日本経済は人口が減った分だけ縮小するのに対して、米国は縮小しないのです。

 上に示したのは日本の年齢別人口構成のグラフですが、最近は少子化が顕著です。
 これに対して、米国に少子化の兆候はほとんどありません。

 以上から、米国においては、デフレ・リスクが去ったと思われる瞬間に「追加的量的緩和政策」をすぐにストップするのが正しいやり方なのです。
 

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コメント
 
01. 2011年2月15日 22:53:23: lJ8yTygJAc
まあなんともHAPPY-GO-LUCKY(脳天気)な投稿内容だこと(苦笑)。確かに人間死につつある時でも、明るい未来(来世)を信じて死んでいきたいものであるが。

02. 2011年2月16日 13:26:30: z6FPymHZG6
そういって平成9年に消費税とか増税、緊縮財政転換して奈落の底に落ちた国がありましたっけね

03. 2011年2月17日 22:31:17: cqRnZH2CUM
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FOMC議事録:2011年GDP成長率、+3.4〜+3.9%に大幅上方修正
2011/02/17 (木) 20:29

−少数委員、国債追加買い取り規模縮小を主張−

【2011年2月17日(木)】 − FRB(米連邦準備制度理事会)は16日に公開したFOMC(公開市場委員会)の議事録(先月25-26日開催分)で、今後3年間(2011‐2013年)のGDP伸び率と失業率、インフレ率の各見通しを明らかにした。

 特に、今年のGDP成長率見通しを前回(昨年11月)予想時から大幅に上方修正したのが特徴。2012年以降のGDP見通しについては小幅修正にとどまった。また、今後3年間の失業率とインフレ率の各見通しも小幅修正となっている。

 GDP成長率見通し(中央値)は、2011年が+3.4〜+3.9%(前回予想+3.0〜+3.6%)と、レンジの下限で0.4%ポイント、上限も0.3%ポイントの大幅な上方修正となった。これはエコノミストのコンセンサスである+3.2%を上回っており、市場よりも強気な予想となっている。

 議事録では、その後のGDP成長率も着実に伸び、2013年には最大+4.6%と、5%近くまで回復すると予想している。

 これは、FRBが昨年11月3日のFOMC会合で決定した、長期国債の追加買い取り規模を6000億ドル(約50兆2200億円)に拡大することを柱とした追加量的緩和策による金融緩和効果で、家計や企業の資金の借り入れが円滑化し、企業設備投資や個人消費が刺激されること、また、政府の社会保障税の税率を今年1年間だけ2%引き下げる景気刺激策で、GDPは潜在成長率をいくぶん上回る水準にまで回復すると見ているからだ。

 また、長期国債の追加買い取り発表以降、昨年末にかけて長期国債の利回りが急上昇し、国債買い取りの効果が疑問視されたが、今回の議事録では「市場では国債買い取りの適正規模に対する見方が落ち着いてきたことを反映して、全体的に利回りは低下した」と指摘、効果が上がっているとの認識を示している。

 国債追加買い取りによる景気浮揚効果の是非をめぐる議論は、1月25-26日のFOMC会合で追加国債買い取りの現状維持を全員一致で決めたことでも明らかなように、効果はないとする委員はかなりの少数派になっている。

 少数派は、追加買い取りはインフレを望ましくないほど大幅な上昇を引き起こし、FRBのバランスシートが拡大する結果、ドルの価値を引き下げることになるとして反対意見を述べているのだが、今回の議事録では、「少数の委員は景気効果には懐疑的だが、この時期に国債買い取りプログラムを変更するのは適切ではないと感じている」としている。

 さらに、議事録では、FOMCは定期的に国債の買い取り規模や買い取りペースを点検すべきだとしている。この点について、「一部の委員は景気回復を示す経済データが出てきていることから買い取り規模と買い取りペースを縮小すべきだと主張しているが、多くの委員は今年6月末までの買い取り期限前に、買い取り規模と買い取りペースを変更するに足るだけの十分な景気回復が見られる可能性は低い」とし、現状を維持する考えを示している。

■景気下ぶれ・上ぶれの両リスクは均衡

 また、議事録では、FOMC委員は、景気見通しの下ぶれと上ぶれの両リスクはいずれも拡大したが、おおむね両リスクは均衡していると指摘している。

 下ぶれリスクについては、欧州の債務リスクと金融混乱の拡大、米国の国・地方を合わせた財政赤字の肥大化解消への取り組み、住宅市場の長期低迷を挙げている。他方、上ぶれリスクでは、最近の個人消費の堅調な伸びに支えられ、内需が思った以上に速く回復する可能性を挙げている。

 議事録では、長期見通しで示されたGDP潜在成長率は+2.5〜+2.8%と、前回予想時と同じで、2011年以降はこれを上回り、伸びが加速すると見ている。ただ、2012年については+3.5〜+4.4%(前回予想+3.6〜+4.5%)と、やや下方修正されているものの、2013年には+3.7〜+4.6%(+3.5〜+4.6%)と、レンジの下限を上方修正している。

 一方、単純な予想レンジでも、レンジの下限は、2011年は+3.2%(前回予想+2.5%)、2012年も3.4%(+2.6%)、2013年は+3.0%(+3.0%)と、上方修正されている。ちなみに、レンジの上限は、2011年は+4.2%(+4.0%)、2012年は+4.5%(+4.7%)、2013年は+5.0%(+5.0%)だ。

■失業率、2013年までに最低6%台を予想

 また、今後3年間の失業率の見通し(中央値)は、前回予想時からはほとんど変わっていないが、現在の9%(1月雇用統計)から着実に低下し、一部のFOMC委員は、2年後の2013年までには最低で6%台にまで低下すると予想している。

 予想レンジは2011年が8.8-9.0%(前回予想8.9-9.1%)、2012年も7.6‐8.1%(7.7‐8.2%)と、いずれもレンジの上限と下限を0.1%ポイント引き下げ、2013年も6.8‐7.2%(6.9-7.4%)に上方修正(改善)している。

 労働省が今月4日に発表した1月の雇用統計では、失業率は前月(昨年12月)の9.4%から0.4%ポイントも改善、2009年4月以来1年9カ月ぶりの低水準となり、過去2カ月間で計0.8%ポイントも低下した。

 しかし、エコノミストは、1月の失業率の大幅低下については、昨年12月と同様、就職探しをあきらめて雇用市場から離れた労働者が増えたためと冷ややかに見ており、9.0%への失業率の急低下は割り引いて見る必要があるとしている。

 失業率の低下には高い経済成長率が必要条件だが、商務省が1月28日に発表した2010年第4四半期(10-12月)実質GDP伸び率(季節調整済み、前期比年率換算)の速報値が+3.2%と、前期の+2.6%から伸びが加速したものの、景気回復の最大の障害となっている高失業率を引き下げるには不十分と見られている。

 +3%程度の経済成長では人口の自然増を吸収して失業率の上昇を食い止めるのが精一杯で、失業率を1%ポイント引き下げるには+5%の成長率が必要といわれるからだ。今回の議事録では、中央値でも2013年のGDP成長率は最高で+4.6%と、+5%を下回っており、失業率が現在の9%から 6.8%にまで2.2%ポイントも低下するとは考えにくいところ。

 また、中央値ではなく単純な予想レンジで見ると、レンジの上限は2011年が9.0%(前回予想9.3%)、2012年は8.4%(同8.7%)、2013年は7.9%(同7.9%)と、上方修正されているが、失業率は8-9%近い高水準の状況が続くと予想している。

 ちなみに、レンジの下限は2011年が8.4%(前回予想8.2%)、2012年は7.2%(同7.0%)、2013年は6.0%(同5.9%)。また、今回の議事録では、長期見通しの潜在的な失業率は5.0‐6.0%と、前回予想時からは変わっていない。

 今回の議事録では、「FOMCメンバーの多くは、今後5‐6年以内に、米国のGDP成長率とインフレ率はそれぞれの潜在的な伸び率に収斂(れん)していく」と予想している。しかし、失業率については、「多くの委員は失業率が潜在的な伸び率に収斂(れん)していくには、もっと時間がかる」としており、本格的な景気回復は長期化すると悲観的な見方だ。

■インフレ率、徐々に上昇が加速=2013年は長期インフレ目標と一致

 PCE(個人消費支出)物価指数で見たインフレ率(中央値)については、前回予想時からやや修正された程度で、徐々に緩やかに上昇ペースが加速、2010年の+1.7%から2013年までに最大で+2.0%になると予想。

 これは長期インフレ目標の+1.6〜+2.0%(前回予想時と変わらず)やFRBが望ましいとする+1.5〜+2%の各レンジの上限と一致し、低水準で安定的に推移すると見ている。

 今回の議事録では、一部の委員が最近の原油やガソリンなどのエネルギーや食品などのコモディティ価格の上昇をインフレ上昇リスクとして指摘したが、多くの委員は、現在、企業の設備稼働率が低く雇用が弱い状況では、コモディティ価格の上昇が最終的に消費者物価に転嫁されず、インフレは抑制される可能性が高い、と指摘している。

 ただ、一部の委員は6000億ドルの国債追加買い取りでFRBのバランスシートが急激に拡大し、将来、異例な金融緩和状態からの脱却が困難との見方が市場に広がれば、インフレ期待の上昇圧力が高まり、本当のインフレを引き起こす可能性があるとして、いわゆる、出口戦略の計画を引き続き検討すべきだと指摘している。

 インフレ率の見通しは、2011年は+1.3〜+1.7%(前回予想+1.1〜+1.7%)と、レンジの下限を、また、2012年は+1.0〜+1.9%(+1.1〜+1.8%)と、レンジの上限をそれぞれ上方修正しているが、長期インフレ目標(+1.6〜+2.0%)を下回っている。2013年は+1.2〜+2.0%(+1.2〜+2.0%)と、前回予想時と変わっていない。

 また、コアPCE物価指数で見たコアインフレ率(中央値)は、2011年は+1.0〜+1.3%(+0.9〜+1.6%)と、レンジの下限を0.1%ポイント引き下げる一方で、上限を0.3%ポイント引き下げた。

 2012年は+1.0〜+1.5%(+1.0〜+1.6%)と、レンジの上限だけを0.1%ポイント引き下げている。2013年は+1.2〜+2.0(+1.1〜+2.0)と、レンジの上限を0.1%ポイント引き上げている。

 一方、単純な予想レンジでは、PCE物価指数は2012年に最大で+2.2%と、長期インフレ目標とFRBの容認可能なレンジの各上限(+2.0%)を超えると見ているが、2013年には最大でも+2.0%に緩和すると見ている。

 一方で、2012年には最低で+0.7%、2013年も+0.6%と、デフレ懸念を示す見方もある。この点について、議事録では、「ディスインフレ(物価上昇率の低下)リスクは後退しているものの、多くの委員は、当面、FRBの容認可能なレンジを下回り続けるとの懸念がある」としている。

 ちなみに、中央値ではない単純予想の、PCE物価指数見通しは、2011年が+1.0〜+2.0%(前回予想+0.9〜+2.2%)、2012年は+0.7〜+2.2%(+0.6〜+2.2%)、2013年は+0.6〜+2.0%(+0.4〜+2.0%)。

 また、コアPCE物価指数は2011年が+0.7〜+1.8%(前回予想+0.7〜+2.0%)、2012年は+0.6〜+2.0%(+0.6〜+2.0%)、2013年は+0.6〜+2.0%(+0.5〜+2.0%)となっている。  (了)


04. 2011年2月18日 00:56:34: cqRnZH2CUM
GSAM会長 ジム・オニールの視点 インフレーション
http://www2.goldmansachs.com/gsam/worldwide/viewpoints/
http://www2.goldmansachs.com/japan/gsitm/report/pdf/viewpoints_19.pdf
今週私が選んだテーマは、もちろんもっと時間をかけて深く掘り下げるべき問題ですが、最近よく問い合わせをいただく話題であることも確か

です。
世界経済の回復を示す兆候が相次ぎ、先進国にもその兆しが見え始めている中、ゆっくりと、しかし確実に、インフレ懸念が再燃しつつありま

す。経済界のかつてのリーダーや現在のリーダーを含む一部の人々にとっては、インフレは不可避とされています。アラン・グリーンスパン前

米国連邦準備制度理事会(FRB)議長はこのグループの代表的人物でしょう。その他の多くの人々、特にいわゆるブラックスワン(起きる可能性

が低い、大きな影響を及ぼすイベント)をしらみつぶしに探すのが好きな人々にとっては、景気後退懸念が遠のいた今、次に心配するのはこの

インフレ問題にほかなりません。

このところ発生しているさまざまな状況はインフレ懸念を強める要因となっています。例えば原油やその他のエネルギー価格の高騰、食料やそ

の他の農産品価格の高値更新、中国の富裕化とコスト高、グローバリゼーションによる利益を株主ではなく先進国の労働者に分配することを求

める圧力、規制強化、そして当然ながら、盛んに議論されている多くの先進国が抱える財政赤字やソブリン債リスクなども含まれます。
しかし、エコノミストの多く、特に1980年代前半以降の強力なインフレ抑制時代に活躍した人々は、インフレ不可避論に異論を示しています。

ポール・ボルカー元米FRB議長の徹底したインフレ抑制策に端を発し、大規模な市場の規制緩和、グローバリゼーション、インターネットの普及

など、これらすべての要素が大きな効力を発揮し、インフレを現在の状態に導きました。多くの国では、マクロ経済政策の土台としてインフレ

・ターゲットを導入したことで、これらの成果が一層確固たるものになったと思われます。

どちらの見解が正しい結果となるでしょうか?ポール・ボルカー氏が登場した1982年に金融業界でのキャリアをスタートさせた私は、経済予測

コンセンサスの楽観的な見方に大いに賛成です。とは言うものの、「インフレ不可避」グループの懸念にも共感する部分があります。物事が大

抵そうであるように、ある意味、これは実はとても単純です。デフレのリスクなしに、どうやってインフレが現状の低水準を維持できるでしょ

うか?デフレのリスクを冒す覚悟がないのなら、インフレ上昇はある程度避けられないでしょう。要するに程度問題なのです。

単純な誤解

複雑な問題を掘り下げる前に、一部の一般的な見解に異論を述べたいと思います。
まず、多くの人が実際のインフレ率は実は発表値よりも高いはずだと考えています。私は今週ほとんど毎日のようにこの点について議論しまし

た。多くの食料やエネルギー価格の急騰がこの見解の正しいことを実証する明白な証拠として挙げられています。中国のインフレについて、そ

して多くの先進国でもこの点が指摘されています。ある時点において、発表された消費者物価指数と実際の数値に誤差が生じてしまうのは避け

られないことですが、正式な指標の正確性を故意に操作しているという見方には説得力がありません。もしインフレが実際より低く報告されて

いるのなら、実際に人々を調査対象としている期待インフレ率調査になぜそれが表れないのでしょうか?

第2に、これは上記に関連したことですが、商品価格の急騰そのものはインフレではありません。それは単に相対的な価格の変動に過ぎません。

歴史的に見ると、商品価格の急騰が一般にインフレ上昇期に連動していたことは事実です。また、商品価格の急騰は低所得国にほど大きなジレ

ンマをもたらしています(後段で詳述)。しかし、確かにこのような価格高騰は見られるものの、その他の多くの商品には価格の上昇がありま

せん。電気製品の多くはここ数年で購入価格が下がりました。携帯電話やパソコンのように今も値下がりしているものもあります。こうした価

格の相対的な変動は常に起きており、必ずしもインフレの兆しを示すものではありません。むしろ、本当のインフレ期とは、人件費も含めて多

くの価格が一斉に上昇し始めたときに形成されるものなのです。

私が異議を唱える3つ目の一般的な見解は、インフレは常に貨幣的現象である、というものです。このような見解を持っている人々にしてみれば

、先進国の中央銀行のバランスシートや財政赤字の急激な拡大を見ればインフレ上昇は不可避であるように思われます。この見方の微妙な点は

、景気後退した国の政策立案者にとって景気が回復してもそれまでの金融財政緩和から脱却するのは難しいということです。非先進諸国に関し

ては、依然として先進国に強く依存しているため、結局のところ自国のインフレ率をほとんどコントロールできないものと見られます。もちろ

ん、中国はこの見解の例外であると認める人もいますが、中国の緩和的な金融政策と外貨準備の膨大な蓄積がインフレを招くのは「不可避」な

ことなのです。

この3番目の見解が現実のものとなるかどうかは時間が経てばわかるでしょう。もちろん、さまざまな国の経済動向や中央銀行による「出口」政

策の如何によって結果は変わってきます。しかし、インフレは、結局のところは貨幣的現象と言えるかもしれませんが、貨幣供給量の増加を将

来のインフレを予測する目安として使用することは、1980年代にすでに科学的根拠がないと否定されています。貨幣的変数の信頼性を高めるに

は、貨幣のいわゆる「流通速度」が安定しなければならないのですが、これが現実にはなかなか難しいのです。

(名称は不適切ですが)新興市場におけるインフレーション

多くの重要な新興国、特に当社(ここではゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのことを指します。)が「成長市場」と名付けて

いる国々で報じられている最近のインフレの上昇は注意を要する問題です。ブラジル、中国、インドの各国では今、インフレの上昇が問題とな

っており、私がこれまでたびたび指摘してきたように、これらの国々の今後の内需の動向はその国だけでなく他の国々にとっても重要になりま

す。もしこれらの国々でインフレが急騰し、結果としてその国の実質所得の急激な低下または徹底した金融政策の引き締め(またはその両者)

が起きた場合、その国の景気が急激に減速するということも十分考えられます。

中国のインフレーション

成長市場の中核は中国です。中国のインフレは加速期に入っており、政策立案者は「後手に回っている」という見方が非常に流行しています。

これは非常に重要な問題であり、この先数カ月のインフレの兆候はしっかりと注視していかなければなりません。もし中国が輸出(および投資

)主導から内需主導型の経済成長への転換に成功した場合、インフレの上昇により国民の実質所得の伸びが損なわれないようにすることが非常

に重要です。中国人民銀行(中央銀行)には、他の諸外国に見られるような制度の独立性は確立されていませんが、その役割は非常に重要であ

り、インフレ・ターゲットも設定しています。これまでこのターゲットは概ね2−4%に定められていますが、現在のインフレ率はこのレンジの上

限を超えています。実際のところ、昨年12月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は4.6%と、5%超で推移していた11月からは低下しています。しか

し、今週は再び5%台に戻るものと予想しています。食料などの商品価格が急騰していることから、2011年下期には7%を超えると予想する向きも

少なくありません。

次回のCPIの発表を前に先週、2つの興味深い出来事がありました。まず、旧正月の連休最終日の前日に、中国は再度政策金利の引き上げに踏み

切りました。これはインフレ関連を始めとするさまざまな行き過ぎの引き締めに乗り出しているという、中国が世界に発信した意図的なメッセ

ージと読み取ることもできます。また、政府当局には今後数週間のうちに人民元の一層の切り上げを受け入れる用意も十分にあるように見えま

す。通貨が上昇すれば、輸入商品の国内コスト上昇の抑制措置として機能します。2つ目は、株式市場が(他のアジア諸国と異なり)先週の最終

2日間で上昇しました。中国は年初来小幅ながら上昇しており、これまでのところ、多くのBRIC、N-11諸国またはその他の新興市場とは異なる様

相を呈しています。

私は、新たに広がっている中国のインフレ懸念には賛同しかねます。中国のインフレは確かに非常に重要な問題だとは思います。しかし、私が

それほど心配してないのには2つの理由があります。1つは、先ほど述べたように、政策立案者が人民元の一段の切り上げを容認する可能性が非

常に高いからです(アメリカやその他の国々が公然と切り上げを要求して中国側を追い込まないことが条件です)。第2に、そしてより重要な点

として、先行指標から政策立案者が後手に回っていないことが示唆されているからです。中国に関するゴールドマン・サックスの金融環境指数

(FCI)とゴールドマン・サックス独自の先行経済指数を見てみると、双方とも中国経済の勢いは減速する見通しであることを示しています。で

すから、中国のインフレは中央銀行のターゲットの上限を超えてはいるものの、その状態が長引くとは私には思えません。

他国のインフレ

中国のインフレ抑制策は、他国の政策よりも確かだと思います。私には、中国の政策立案者が予防的傾向を強めているように感じられます。他

国の多くはその点が不明確であり、政治家が自国の経済成長余地の拡大を吹聴することがある一部の国は特に不安です。この点では、ブラジル

、インド、インドネシアの3カ国の名前を挙げたいと思います。とは言うものの、こうした国々の多くでも最近は引き締め政策が採られ、一部に

例外はあるものの、一般的に見て政策立案者はするべきことをしています。

他に興味深い点として、米国の回復傾向の明確化、それに伴う米国金利市場のリプライシング、および多くの新興市場へのアセット・アロケー

ションの減少と共に、過剰な資金流入の懸念はこのような国々の多くで消滅するかもしれません。また、各国の政策立案者は、過剰な通貨上昇

の抑制から通貨下落防止へと政策を変更することになるかもしれません。

先進国では、インフレ率の上昇の「不可避性」に注目することもトレンドになってきています。これから、日本、ユーロ圏、米国、英国のそれ

ぞれについて、簡単にコメントしたいと思います。

日本について言えば、事情は極めて単純です。物価上昇率がプラスになることは、債券保有者でなければほぼ誰にも歓迎されることでしょう。

日本は他のどの国よりも強いデフレ圧力に直面しているからです。日銀は穏やかなプラスのCPIを「ターゲット」とすることに対して公式には非

常に慎重な姿勢を取っていますが、実際にそうなった場合は歓迎することでしょう。

米国についても、ある程度は同じことが言えます。ベン・バーナンキ議長が明確にしているように、FRBはインフレ率が2%を下回ることを好まし

く思っていません。FRBは、一般的にはコアインフレ率が2%程度かそれをやや下回るくらいが好ましいと考えています。市場はデフレリスクを相

場に織り込まなくなりましたが、期待インフレ率についての最も有用な諸指標には目立った上昇の兆しはほとんどありません。実際、そうした

諸指標が安定していることは注目に値します。

ユーロ圏は、この問題に限ったことではありませんが、事情がより複雑です。好調なドイツでは、当然のことながらインフレ懸念が存在してい

ます。事情を複雑にしているのは、欧州中央銀行(ECB)がインフレ率を「2%をやや下回る」水準に維持するという明確な使命を抱えていること

です。周辺国の一部にデフレ圧力が存在する以上、ECBがその使命を達成しようとするならば、ドイツのインフレ率が3%近辺にならなければなら

ない時期が来る可能性があります。言うまでもなく、ドイツの政策立案者や市民の多くにとって、欧州連合における経済通貨同盟(EMU)の一員

であることのこの単純な計算上の現実を受け入れることは容易ではありませんが、これは間もなく現実となるかもしれないジレンマの1つです。

これを受けて、英国の話に入りましょう。先進国の中では、おそらく英国が最も難しい国だと考えます。目前の緊縮財政と経済への失望感の高

まりにもかかわらず、CPIはここのところイングランド銀行のインフレ・ターゲットを継続的に上回っています(そして、他の国にはないもう1

つのよく知られた指標があり、賃金の決定にも利用されますが、この指標はさらに大きく上昇しています)。さらに、期待インフレ率にも穏や

かな上昇の兆しが見えています。しかもこれらはすべて、英国の銀行が融資に消極的でマネーサプライ的にもインフレは起こりにくいというム

ードの中で生じている事態です。イングランド銀行の委員の中にはインフレ見通しに対する楽観的姿勢を転換する動きも見られますが、先週の

金融政策委員会から読み取る限り、楽観的見方が多数を占めています。こうした意見に賛成して良いものか、不安を感じます。また、市場では

英国の「予防的な」利上げが一部織り込まれてきているように思われます。これは、信認を維持する必要のある中央銀行に対する見通しとして

、全く無茶な動きではないのかもしれません。確かに、選択は単純ではありません。次回の政策委員会までの間、景気の基調を示す今後発表さ

れる指標やインフレ動向についての諸情報には、高い注目が集まるでしょう。


インフレと市場

このような状況の中、今週末のフィナンシャル・タイムズ紙では、コラムニストであるジョン・オーサーズが面白い「長期的視点」を述べてい

ます。この記事では、株式に対する債券の長期的な相対的パフォーマンスについて最近発表された2編の論文について論じながら、過去10年間で

みた場合、債券のパフォーマンスが株式を上回っていたという事実について紹介しています。1982年以来(この年は私が金融業界に入った年で

す)、短期債に対する長期債の年間平均相対リターンは5.2%程度になっているとも書かれています。1900年以来ではこの数字が0.8%という地味

な数字になっていることも指摘されています。

ポール・ボルカー氏が手腕を振るった29年前からと同様、今後数カ月も実際のインフレ率と期待インフレ率がどのようになっていくかというこ

とが非常に重要な問題となります。「不可避」グループの意見が正しかったという結果になれば、今後の動きははっきりしています。すでにお

話したように、デフレを避けようとするならば、そして実際避けられたと私は思いますが、ある程度のインフレが生じることは当然のように思

います。しかし、その程度が大きなものになることに不可避性があるようには見えません。

最後に2点指摘させていただこうと思います。世界と米国の景気回復は、債券市場が高い実質利回りを一層織り込んでいくために必要ですが、私

は世界と米国の景気回復について十分確かなものであると考えています。政策立案者が緩和的姿勢を必要以上に継続するリスクと合わせ、2011

年も、少なくとも株式との比較の上では国債には大きなリスクがあります。

最後の話題は、私が熱中しているサッカーに関してです。イングランドのマンチェスターを本拠地とする青いユニフォームのチーム(マンチェ

スター・シティFC)はインフレ的政策を採って戦力強化をはかっているようですが、今週末の結果を見ればその政策による十分な効果は得られ

ていないようです!
来週は短い休暇を取りますので、Viewpointはお休みさせていただきます。
ジム・オニールゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長

(原文:2月13日)
本資料に記載されているゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)会長ジム・オニール(以下「執筆者」といいます。)の意

見は、いかなる調査や投資助言を提供するものではなく、またいかなる金融商品取引の推奨を行うものではありません。執筆者の意見は、必ず

しもGSAMの運用チーム、ゴールドマン・サックス経済調査部(執筆者の前在籍部署)、その他ゴールドマン・サックスまたはその関連会社のい

かなる部署・部門の視点を反映するものではありません。本資料はゴールドマン・サックス経済調査部が発行したものではありません。追記の

詳細につきましては当社グループホームページをご参照ください。
本資料は、情報提供を目的として、GSAMが作成した英語の原文をゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下「弊社」と

いいます。)が翻訳したものです。訳文と原文に相違がある場合には、英語の原文が優先します。本資料は、特定の金融商品の推奨(有価証券

の取得の勧誘)を目的とするものではありません。本資料は執筆者が入手した信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、弊社

がその正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された市場の見通し等は、本資料作成時点での執筆者の見解であり、将来

の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告なしに変更する場合もあります。経済、市場等に関する予測は、高い不確実性を

伴うものであり、大きく変動する可能性があります。予測値等の達成を保証するものではありません。


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