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(回答先: [事故発生から2号機圧力抑制室損壊までの経緯:5] (その7) 投稿者 あっしら 日時 2011 年 4 月 20 日 15:28:53)
※ [保安院]・[東電]・[官邸]は前回と同じ区分。この時間帯の情報は、[官邸]の独壇場で、保安院や東電はまったくといっていいほど情報を提供していない。
● 3月15日
・0:00 [官邸]2号機でベント開始 [保安院]時刻が0:02となっている。
※ [官邸]のレポートに添付されている「福島第一原子力発電所パラメータ」によると、この時点(23:54)で2号機格納容器は、745kPaと設計最高使用圧力427kPaをはるかに超えて倍近い値まで上昇し、水素爆発前の1号機とほぼ同じ状態になっている。そして、この700kPa台の圧力が圧力抑制室損壊まで続く。ちなみに6:20(損壊直後ないしまさにそのとき?)の圧力は730kPaで、次(13:00)の掲載値は415kPa、さらに次の18:43には250kPaと徐々に下がっていく。
2号機格納容器はこのベントを実施してもほとんど圧力が下がらなかったようだ。
1号機も3月12日午前10時17分にベントを実施しているが、格納容器の圧力は750kPa近辺でほとんど変わっていない。
ベント(蒸気とともに放射性物質も放出)を実施したからこそその値が保たれたのであって、ベントしなかったらもっと圧力が上がっていたということなのかは、注水など他の条件との関係性を考慮してもらえる専門家の判断にゆだねたい。
★ 参照データ:「福島第一原子力発電所パラメータ」(http://www.kantei.go.jp.cache.yimg.jp/saigai/pdf/201104081900genpatsu.pdf)の58ページからのデータと同じはず。
・1:11 [官邸]2号機の原子炉圧力が1.44Mpaから0.92MPaに低下
※ [官邸]のレポートに添付されている「福島第一原子力発電所パラメータ」によれば、2号機の圧力容器圧力は、3月14日17;12に7.403MPaに達し、18:06に主蒸気逃がし安全弁を開いた効果で19:03に0.630MPaに低下し、3月15日0:45にいったん1.823MPaまで上がるが、それ以降、圧力抑制室損壊(後)?の6:20まで0.6MPa台が続き、13:00も0.608MPaで、18:43になって0.099MPa、3月16日1:24には−0.023MPaとなり以降マイナス値が続くことになる。
・2:30 [東電]爆発後中断していた3号機原子炉への海水注入を再開
・3:00 [官邸]2号機の格納容器圧力が設計圧力を超えたので減圧操作および注水操作を試みるも減圧しきれない。
※ ことさら3:00に起きた事象ではなく、2号機の格納容器は、遅くとも前日23:54からは700kPaレベルが続いており、そのためベントも実施している。
この時点の2号機圧力抑制室(サプレッションプール)の水は、枯渇か、あっても少量で高熱になっているはずで、圧力抑制機能は期待できない。
この時点での格納容器の減圧操作はベントしかないと思うが、0時以降に実施されたとの情報はない。
「注水操作」を試みるとあるが、これこそが“待望”の格納容器への注水である。しかし、試みるとあるだけで注入した(できた)とは記述されていないし、注水できなかった理由も述べられていない。
「保安院」レポートで2号機格納容器に注水を試みたことをうかがわせる記述は一切ない。
[東電]も「3月15日午後1時現在」(2号機圧力抑制室損壊後の最初のレポート)での2号機に関する記述は、
====================================================================
・原子炉は停止しており、原子炉隔離時冷却系による給水を行っていましたが、原子炉隔離時冷却系の停止により、原子炉水位が低下、原子炉圧力が上昇しました。国の指示により、安全を十分確認した上で、原子炉格納容器内の圧力を降下させる措置を行ったこと、原子炉内に海水を注水したことから、原子炉水位や原子炉圧力は回復しました。
・引き続き、原子炉に海水を注入しております。
・6時頃に圧力抑制室付近で異音が発生するとともに同室の圧力が低下しました。
・引き続き、原子炉に海水の注入を全力で継続しておりますが、同作業に直接関わりない協力企業作業員および当社社員を一時的に安全な場所などへ移動開始しました。
==============================================================================
というもので、原子炉(圧力容器)への海水注入はあっても、格納容器に注水を試みたことをうかがわせるような記述はない。
この時点では格納容器の圧力が非常に高くなっているので消防ポンプでは思うような量の注入ができないかもしれない。
・5:00 2号機の原子炉圧力が0.92MPaから0.626MPaに低下。原子炉水位はダウンスケールのまま。
・6:10 2号機圧力抑制室付近で異音が発生し、同室内の圧力が低下、異常発生と認識。
※ [保安院]は、この事象発生を(15日6:20分頃)としている。そして、「4号機オペレーションエリアの壁が一部破損し、サプレッションプールの圧力が低下(15日6:20)」とも記している。前述のパラメータ推移を考えると、保安院の見方が合っているように思われる。
[東電]は、6時頃に異音が発生とあり、引き続き原子炉への海水注入を継続しているが、その他の要員は一時的に退避と記している。
・6:42 官房長官が2号機に関しサプレッションプールに一部欠損がある模様と発表
・6:56 4号機で建屋の上が変形した模様
※[東電]では、「原子炉建屋5階屋根付近に損傷を確認」とある。
・8:25 2号機建屋5階付近からの白い煙を確認
・9:38 4号機原子炉建屋3階付近で火災が発生していることを確認し、消防へ通報。
※[東電]では「原子炉建屋4階北西部付近」とある。
・10:59 オフサイトセンターに対し退避命令、福島県庁に退避。
・11:00頃 [東電]4号機の出火については自然に火が消えていることを東電社員が確認。[官邸]には「12:25 4号機の鎮火を確認」とある。
ここまでが事故発生から2号機の圧力抑制室が損壊するまでのおおよその経緯である。
そして、福島第一原発は、2号機の圧力抑制室損壊以降、さらに膨大な量の放射性物質を飛散させることになり、風向きの関係もあり南東北から南関東にわたる広範囲の日本国土を高濃度の放射性物質で汚染するという異常事態を招く。
さらに、原子炉冷却のために注入し続ける大量の水は、原子炉圧力容器や格納容器で漂ったり付着したり沈殿したりしている放射性物質を伴って漏れ出し、タービン建屋からトレンチや地下そして海をも汚染していくことになる。
また、当然のことながら、建屋上部がむき出しになったり格納容器の閉じ込め機能が不全になった原子炉が林立するそばで事故対策に追われている人々はますます過酷な環境での作業を強いられることになり、“終息”に向けての作業課題も膨大かつより困難なものになった。
2号機の圧力抑制室損壊という事象を挟んだ放射線量(漏出した放射性物質量の反映)の変化をざっと見てみたい。
※参照データは「福島第一原子力発電所の現状について【午後3時50分時点】」(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110316e.pdf)
「秘匿されている3月13日午後の“重大事態”は何か?政府・東電のレポートに潜む奇妙な『空白』を読み解く」(http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/582.html)で説明したように、福島第一原発では3月13日午後から400μSv/h台の高い放射能汚染が続いていた。そして、正門で3月14日の21:35に760μSv/h、21:37に3,130μSv/h(3mSv/h超)を記録したが(理由は不明)、同じ正門前のデータは低下傾向を見せ、2号機圧力抑制室が損壊する直前の3月15日午前6時ちょうどには73.2μSv/hに落ち着いた。
しかし、2号機の圧力抑制室が損壊したことで、8:20に807.7μSv/h、8:31に8,217μSv/h(8mSv/h超)、そして、9:00にはとうとう11,930μSv/h(ほぼ12mSv/h)まで上昇した。
これにより、それまで年間積算1mSv(1,000μSv)がひどくたいへんな数字で不気味だと思われていた“世界”が一気にはじけてしまった。
100μSv/hオーダーの線量はなんでもないかのような錯覚に陥らせかねない状況ができてしまった。(100でも1日24時間で2mSvである)
テレビで見る福島第一の情景は変わらず事故対策作業も続いている...TVや新聞そして政府もこれくらいは“問題ない、安全だ”と言っている、今回の事故で放射能のために死んだという人はいないからと。
公表されているデータを見る限り、福島第一原発の敷地内で1,000μSv/hを超える線量が恒常的という状況は3月21日まで続く。
2号機以外の漏出要因もあるとはいえ、それまでの線量推移から、その多くが2号機から漏出した放射線物質によるものと推測できる。
15日の爆発的損壊ですぐにそれまで2号機内に溜まっていた揮発性や軽い微粒子状の放射性物質が建屋の隙間や亀裂部分から大量に漏れ出し始めた。その後も2号炉の燃料棒の溶解は続いたはずだから、滞留部分と新規部分の軽めの放射性物質が重なり合って21日まで漏れ続けたことが長い1mSv超え高線量の要因だったのだろう。
さらに、冷却のために注入された水は、溶け込みやすい放射性物質を含みつつ重めの放射性物質を押し流しながら壊れたであろう配管を伝って圧力容器から格納容器へと漏れ出した。
それから、圧力抑制室の亀裂?を通って行った大量の水は2号機の原子炉建屋地下とタービン建屋地下をプールにし、ついには地下やトレンチに染み出し、最後は海へと流出していったのである。
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