http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/601.html
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時間軸としては、「秘匿されている3月13日午後の“重大事態”は何か?政府・東電のレポートに潜む奇妙な『空白』を読み解く」(http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/582.html)に続くものです。
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3月13日午後14時25分から3月14日午前0時10分のあいだ、いっそう高い放射線量がこれまでになく長時間にわたって測定され続けていたにもかかわらず、福島第一についての事故状況や事故対応に関する情報(定期的レポート)は途絶えていた。
このため、この書き込みでも、3月14日深夜のイベントから説明を続けることになる。
※ 以下の文章で、[保安院]・[東電]・[官邸]は次のことを意味する。(もっと早く提示すればよかったと反省)
[保安院]:経済産業省原子力安全・保安院が3月11日の地震発生直後から公表し続けている「地震被害情報」をベースにした内容。
掲載元:(一覧形式)「原子力安全のお知らせ」(http://www.nisa.meti.go.jp/itiran/new_genshi_index.html)
[東電]:東京電力が3月11日に発生した特定事象(原子力災害対策特別措置法第15条及び第15条で規定)以降継続して公表している「福島第一原子力発電所のプラント状況について」をベースにした内容。
掲載元:(一覧形式)「プレスリリース/ホームページ掲載情報」
2010年度(平成22年度):3月分はコチラ:http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html
2011年度(平成23年度):4月以降はコチラ:http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2011/2011-j.html
[官邸]:原子力災害対策本部が公表している「平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故について」を参照した内容。本来ならばここが情報公開の最終責任を負うところだが、なぜか今ではほとんど見ることさえできない。今回参照するのは、「平成23年3月23日(07:00)現在」のもの。見方を知っている人は方法を提示してください。
このバージョンには、1週間ほど前に一部の大手メディアで情報公開がなされていないと話題になった3/11時点の各号機の原子炉水位などのパラメータも掲載されている。
問題にするのなら、ある時点から情報を隠したことのほうだと思うけどね(笑)。
● 3月14日
・0:10 [保安院]:1号機の格納容器内への海水注入を一時中断。
・1:10 [保安院]:1号機および3号機の注入を汲み上げ箇所の海水が少なくなったため停止。
・3:00現在 [東電]:保安院レポートの1:10のイベントを追認する記述。2号機については、隔離時冷却系で原子炉への注水が継続し原子炉水位も通常より低いながらも安定と説明している一方で、「原子炉に海水を注入する準備を行っています」と説明している。(復水貯蔵タンクおよびサプレッションプールの水がなくなることを考慮しての取り組みだと思われる)
・3:20 [保安院]:3号機の海水注入を再開。
・4:24 [保安院]:「福島第一原子力発電所にて原子力災害対策特別措置法第15条通報」と記されている。
※ いつも15条通報の事態発生については文書を公表している東電がこの事象にはまったく触れないままだったが、3号機の水素爆発(午前11時1分)後の3月14日午後11時現在のレポート(http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1342-j.pdf)にて、3月14日の午前3時50分(MP6付近)と午前4時15分(MP2付近)に敷地境界放射線量異常上昇が発生と説明している。「以上、お知らせ済み」とも注記もあるが、それ以前にその情報が公表された形跡はない。
東電のモニタリングデータを見る限り、3月14日朝方での線量異常上昇は2回だけといったレベルの話ではなく、午前3時10分から午前4時にかけて常に制限値500μSvをオーバーしているといった状況である。
なお、15条通報の根拠として示されている二つの計測はモニタリングデータ表には記載されていない。(これは未公表のモニタリングデータもあるということを示唆)
※該当データは「福島第一原子力発電所の現状について【午後3時50分時点】」
(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110316e.pdf)
「福島第一原子力発電所構内での計測データ」一覧:http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index-j.html
ここにはMP(モニタリングポスト)の所在位置や地理的関係がわかる地図も掲載されている。
・5:00現在 [東電]:1号機は、保安院レポートと違って、注入は再開されず海水ピットに水を補給しているとのこと。2号機は、隔離時冷却系での注水が続くとともに海水を注入する準備も進められている。3号機は保安院レポートと同じく注水が再開されている。
・6:10 [官邸]:3号機でドライウェル(格納容器)圧力が460kPa(設計上の最高使用圧力:472kPa)程度まで上昇
・7:44 [官邸]:3号機の状況を15条事象「格納容器圧力異常上昇」と判断
・7:55 [官邸]:3号機について15条通報(冷却機能喪失)
3月14日ではこのあと午前11時1分に3号機の水素爆発が起きる。
まず、3号機の推移について簡単にまとめておくが、保安院レポートでは、このイベントに関する内容が奇妙な時間軸のねじれをきたしている。
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・3号機の圧力が異常上昇(14日11:45)
・3号機で1号機と同様に原子炉建屋付近で爆発(14日 11:01)
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「3号機の圧力」って、どこの圧力なの?と突っ込みを入れたくなるような雑な内容でもある。
記載順序からもあり得そうな推移から言っても、3号機の圧力上昇の時刻が合っていない(爆発時刻は公知だから)と思われる。
上記[官邸]情報に比べるとあまりにいい加減なものであろう。
[東電]は、3号機の爆発について4つの別立て文書を公表しているが、他の号機に関する情報は3月14日午後11時半現在まで出されていない。
3号機も、1号機と同様、格納容器内の圧力が上昇して蓋を持ち上げ隙間をつくるかたちになって水素や放射性物質が漏えいしたことで爆発につながったと考えている。
さて、本題の2号機問題に移ろう。
2号機の“危機の過程”については、保安院が、「福島第一原子力発電所2号機 プラント状況等のお知らせ」(http://www.meti.go.jp/press/20110314009/20110314009.pdf)という別立ての文書でまとめている。
※ 以下、=====の間は[官邸]と明記したもの以外[保安院]の当該文書と報告書を参照。
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3月14日
・6:50以前 原子炉隔離時冷却系で注水しているので、原子炉水位は+3,900mm前後(燃料の頂部からの値で3.9m:通常なら5mレベル)で安定。
・6:50 2号機の格納容器圧力が上昇
・7:44 格納容器の圧力上昇を受け2号機に15条事象が発生と判断
・11:01 [官邸]:2号機について原子力建屋パネル開放(水素対応):3号機の爆発と同時刻の処置
※ 2号機の原子力建屋パネルが開いたのを3号機の爆発が引き起こした衝撃のせいのように報じていた大手メディアもあった。
・12時ころ 原子炉水位が低下傾向(+3,400mm)。海水注入作業などの準備操作を始める。
・13:25 原子炉隔離時冷却系の機能が喪失する可能性があるため、東電は原子炉冷却機能喪失と判断、15条事象と認識。[官邸]15条通報。
・16:34 [官邸]2号機原子炉に海水注入を開始
・17:16 有効燃料頂(水位が燃料棒の頂部に到達)
※ 12時ころから17時16分までだから、水位が3.4m下がるのにだいたい5時間ということになるが、[官邸]によると、その40分ほど前には海水の注入が始まっているとのことなので、もっと下がっていたものが回復したのか、注入を始めてもじりじり下がっていったのかは不明。
・18:06 SR(主蒸気逃がし安全)弁を開いて原子炉内圧力を減圧。[官邸]:水位が−1,500mmから−1,100mmに回復。原子炉圧力が5.4MPaのため、海水注入は実施していない。
※ 原子炉圧力が50気圧を超えている、それに抗して消防ポンプで海水を注入するのは無理だろう。
・18:22 [官邸]:2号機は原子炉水位が−3,700mmに達し、燃料全体が露出。
※ 18:06から16分のあいだに水位が一気に2.6mも下がっている。ものすごい勢いで沸騰しているのか内部圧力が低下しないどこかからの漏れなのかわからない。
・18:56 [官邸]:2号機→圧力0.608MPa:水位ダウンスケール(−3,700mm)
※ 圧力容器内圧力は、逃がし安全弁の操作で18:06の5.4MPaから大きく0.608MPaまで下がった。ゲージ圧だろうから絶対圧で7気圧弱だと思うが、消防ポンプで大量の注入を実現するにはまだ高い圧力なのだろうか。
・19:53 SR弁開(2回目)1台目開、2台目準備中。原子炉内圧力を追加で減圧。
・20:05頃 海水ポンプ再起動
※ 再起動と書いているが、その前に海水ポンプが駆動したとか停止したとかいった話は[保安院]の資料にはない。海水ポンプが止まった件については、作業員が燃料補給を忘れていたというような“トンデモ”(その人が2号機S/C損壊の責を負うことになる)記事もあったが、[官邸]の18:06分の説明内容で止めていたものだろう。2号機圧力抑制室損壊に絡んではなぜか“奇妙な”話が飛び交ったのである。
○20:40現在の主要パラメータ
原子炉内圧力:0.81MPa
原子炉水位:ダウンスケール(計器以下の値)
格納容器圧力:0.42MPa
注入状況:消防のポンプ車2台により、2号機の圧力容器へ注入作業中。
※ 原子炉内圧力は、18:56の時点よりも上昇している。格納容器圧力も設計上の最高使用圧力にほぼ達している。
・ 22:14 東電は2号機の炉心損傷評価を行い「5%以下」と判断
・ 22:50 2号機の原子炉水位が低下傾向。[官邸]:2号機が「格納容器圧力異常上昇」で15条事象発生と判断
・ 23:39 [官邸]:2号機について15条通報
※ 保安院の公表データは、「地震被害情報(第23報)(3月14日19時30分現在)」(http://www.meti.go.jp/press/20110314009/20110314009.pdf)から、各号機のプラントパラメータが公表されるようになる。
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- [事故発生から2号機圧力抑制室損壊までの経緯:6] (その8) あっしら 2011/4/21 02:23:01
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