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<CML>小出裕章さんの3.20緊急講演会…:「いわゆる「許容量」と呼ばれるものも「安全量」ではなく、「がまん量」に過…
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/113.html
投稿者 gataro 日時 2011 年 3 月 29 日 09:43:34: KbIx4LOvH6Ccw
 

===================================================

http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-March/008507.html

[CML 008628] YouTube:小出裕章さんの3.20緊急講演会記録ビデオ:「いわゆる「許容量」と呼ばれるものも「安全量」ではなく、「がまん量」に過ぎません」
Kazashi nkazashi at gmail.com
2011年 3月 28日 (月) 22:38:03 JST

[転送・転載歓迎。重複受信される方、ご容赦くだ
さい]

 すでにご存じの方も多いかと思いますが、3月20
日、山口県柳井市で行われた、小出裕章さんの緊急
講演会「原子力の専門家が原発に反対するわけ」の
ビデオ記録がYouTubeの下記サイトにアップされてい
ます。ご参考までに。   

  http://bit.ly/hnBKJj

以下、講演会資料よりーー
「いわゆる「許容量」と呼ばれるものも「安全量」
ではなく、「がまん量」に過ぎません。さらに、今
日の原子力利用においては、利益を受ける集団と危
険を押し付けられる集団が乖離していて、実際には
「がまんさせられ量」になっています。

原子力を推進している人たちは被曝量が少なければ
安全であるかのように装っていますが、放射線の物
理的な性質そして生物の細胞の構造・機能からし
て、どんなに微量の被曝であっても影響はありま
す。原子力を推進する人たちも、微小な被曝でも危
険がゼロとは言えないため、・・・被曝には「容認
できるレベル」があると言うようになりました。し
かし、自分に加えられる危害を容認できるか、ある
いは、罪のない人々に謂われのない危害を加えるこ
とを見逃すかは、何処かの専門家が決めるのではな
く、一人ひとりが決めるべきことです。 「ヒバク
シャ」というレッテルを貼られたそれらの人々を60
年以上調査してきて、どんなに少ない被曝量であっ
ても、癌や白血病になる格率が高くなることが明ら
かになってきました。低レベル放射線の生物影響を
長年にわたって調べてきた米国科学アカデミーの委
員会は、2005年6月30日、彼らが出してきた一連の報
告の7番目の報告を公表しました。その一番大切な
結論は以下のものです。「利用できる生物学的、生
物物理学的なデータを総合的に検討した結果、委員
会は以下の結論に達した。被曝のリスクは低線量に
いたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。
最小値の被曝でもっても、人類に対して危険を及ぼ
す可能性がある」。」(小出裕章『原子力の専門家
が原発に反対するわけ』)

http://stop-kaminoseki.net/shiryo/20110320yanai.pdf


 

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コメント
 
01. 2011年3月29日 10:48:29: cqRnZH2CUM
>どんなに微量の被曝であっても影響はあります

ラドン温泉にわざわざ入りに行くように
自然放射線(1〜10μSv/h)を超えた
ある程度の放射線の照射は免疫系にとって
プラスの効果があるようだ


>どんなに少ない被曝量であっても、癌や白血病になる格率が高くなる

自然放射線程度であれば、そんなことはあり得ないだろう

問題は、幹細胞のような重要な組織が癌化することだが
30km圏で室内退避している場合
白人が毎日皇居の周りをランニングするときの
癌化のリスクよりも遥かに小さい

重要なのは、きちんとリスクを計算すること
年齢や性別、妊娠期か?など個別の状況に応じて、対策することだ

身体の不自由な高齢者が無理して避難しても、
劣悪な環境でQOLが低下し、健康を害して、早死にするだけだ


02. 2011年3月29日 11:07:53: cqRnZH2CUM
日経ビジネス オンライントップ>ライフ・健康>伊東 乾の「常識の源流探訪」
「プルトニウム測定器」のお粗末はもう勘弁
邦訳されない「メア沖縄発言のホンネ」

* 2011年3月29日 火曜日
* 伊東 乾

沖縄  日本部長  state  更迭  環境  本音  普天間  ケビン・メア  プルトニウム  米軍基地  オキナワン 

 正直「ひどいものだ」と思ったことが、ここ1週間も余りに多く、何を言えばいいか順番をつけるのに苦労するほどなのですが、1つだけ絞るとすれば「プルトニウム測定器」でしょう。

 東電が「プルトニウム測定器」を持っていない、と報じたメディアやジャーナリストの方々は、しばらく関連の内容に一切発言されないことをお勧めします。というか、あまりに恥ずかしい。今後の戒めに、過去ログは消去せずに残し、メディアであればデスクに科学技術内容のチェック機構を整えるべきだと思います。

 誰かが何か言った、という内容を、そのままトンネルのように筒抜けにするだけでは、今の時期、報道機関として成立していないのでは?と思います。

 よろしいでしょうか? 世の中に「プルトニウム測定器」などという便利な代物はありません。

「ドラえもんのポケット」みたいな短絡

 ここ10年ほど発達した誘導結合プラズマ質量分析法で、従来なら1週間以上かかったプルトニウム試料分析が24時間程度まで短縮された、とのことですが、プルトニウム同位体の標準溶液など準備の整った研究室で、細かな手作業によって定量するもので、自動化された装置などはこの世の中に存在しません。参考まで、方法を記した文部科学省の資料もリンクしておきます。

 ある種の方は、何かヘンな箱があって「Pu(プルトニウムの元素記号)」とか書かれたボタンを押すと、数値がパッと出てくることを考えているのではないでしょうか。そういう「ドラえもんのポケット」みたいな短絡と、イノヴェーションの現場への想像力の欠如が、現在のような緊急の状態の中で一番有害無益と思います。

 工場の現場の実際を知らず、収支の数字だけ見てあれこれいう経営者のような愚を重ねるとつぶれてしまいます。科学技術のリテラシーとは現実に何が起きているか、原理を理解する力の普及にほかなりません。私は核化学の詳細も放射線医学の実際も不案内ですが、自然法則に基づいて、データの測定原理までは必ず確認したうえで数字を見ます。そうでなければ、数値だけ見ても何のことだか分かりません。

 私のツイッターでは、そのようなデータの背景を各自が考えられるヒントになるような内容を選んで情報発信するようにしています。

 例えば、福島第一原発の各炉で採取された水の分析結果に「総線量」と「物質の内訳」が示されていれば、そこから判断のつくことがあります。

 3月25、26日のデータを見る限り、広域に飛散するウランやプルトニウム、という可能性を懸念するのは現実的ではありません。作業員の方が微量のそれらの物質と触れるリスクはありえますので、現場の作業では十分な注意が必要と思いますが、測定原理すら理解せずに(公開情報でいくらでも検索できる)あれこれ難詰したり、素人以前の情報を流布したりするものではない。

 各メディアには、いまや明らかに「スクープを抜く」というような状況ではないので、発表されたデータについて、一度は自分の頭も働かせてみる、ということを、最低限してみたらいかがなものか。

 実際、水中線量のデータについて「1000万倍の線量」との誤報がありました。正しくは「10万倍」とありましたが、この値がおのおのどれほどのものか。ベクレル(Bq)で発表されたものをシーベルト(Sv)換算するとどの程度になるか。

 ちょっと調べればいくつかの換算は可能です。それをする人としない人とで天地の差が出ます。いやしくも百万単位の人に情報を提供している自覚のあるメディアであれば、己が流している情報の内容を理解しながら発信する、という最低限のチェックは怠らないでいただかねばならない。

 「プルトニウム測定器」のお粗末は、二度と勘弁してもらいたいと思います。

核物質と日米関係

 震災以降、それまで争点になっていた様々な問題の優先順位が後手になりましたが、予定稿として準備してあった、沖縄の問題に関するものをリリースしたいと思います。

 沖縄は沖縄、福島は福島、と考えるべきではありません。今後、政府も東電も我が国のエネルギー政策の根本的な見直しを迫られることになるでしょう。ドイツでは選挙で「緑の党」が躍進し、物理学者出身のメルケル首相は原発政策の根本的な見直しを迫られています。

 日本の原子力政策は、単に日本一国というに留まらず、米国、NATO〜フランス、国際原子力機関(IAEA)と、グローバルなエネルギー戦略の青写真の上にあるものと思われます。現在の米国オバマ政権でエネルギー長官を務めるのは、ノーベル物理学賞受賞者でもあるスティーヴン・チュー博士で、私も1度一緒に仕事した事ががありますが、内容をきちんと理解できる、よく出来る人物です。日本で一般にある『学者』というイメージとは程遠い、バリバリ仕事を処理できるテクノクラートの腕力がある華僑系アメリカ人の彼をトップに、日米間での詰めた協議が必要でしょう。

 「日本から放射される物質は太平洋を渡って、まずハワイ〜アメリカに到達する」と色めき立つメディアもあるようですが、「プルトニウム測定器」のようなレベルの話ではなく、長期的な社会経済発展を念頭に、責任ある検討、代替エネルギーへの暫時転換等も含め、確実な議論がなされるべきだと思います。

 そういう日米関係を考える上で、2重の意味でひどいものだな、と思ったのがケビン・メア米国務省日本部長の発言として報道された内容でした。1つはそもそもの発言があまりにすさまじい。と同時に、日本語訳として伝えられている内容が、これまたちょっと違っている。

 はっきり言うなら、邦訳の時点で変化してしまったニュアンスが、日米の間の齟齬をずっと温存しているように思われたのです。

 メア氏は「失言」で「更迭」となったようですが、この問題はそんなに浅いことではないと私は思っています。いわば代々語り継がれてきた米国側の「ホンネ的引継ぎ」という側面が大きく、メア氏にしたところで彼一人の見解ではなく、教わってきたことを繰り返している面があるような気がします。

 そこで今回は、報道されている「メア沖縄発言」の訳文、これって本当?という問いを発してみたいと思います。

 例えば「ごまかしとゆすりの名人」という言葉がマスコミで踊っていますが、いったい英語で「ごまかし」と「ゆすり」って、なんて言うんでしょう・・・?

「ごまかし」ではごまかしだ

 今回は英文が並ぶことをお許しください。さらに、僕の読みにはいろいろミスがあるかと恐れます。英語専門家の方など、ご指摘いただければ幸いです。まずは先ほどの部分「メア発言」の原文と、試訳を記してみます。

Okinawans are masters of "manipulation" and "extortion" of Tokyo.

オキナワ人たちは、トーキョーを巧みに「操作」し、また(トーキョーから)「絞り取る」のが実に上手い。

 内容はひどいものです。それを直視する方向で訳し直してみました。ほかで「ごまかし」と訳されたのは manipulation で 辞書でこの言葉を引くと

1 (器具などの)扱い、操作、じょうずな扱い、巧みな操作
2 (相場などの)不正操作;(勘定などの)ごまかし、改ざん
3 《医学》触診

とあります。今回の文意は「日本政府を・・・する」というのですから「勘定のごまかし」という訳語は当たらず、テストだったら減点です。

 とはいえこの程度の誤訳をプロがするとも思われないので、どこかの段階で「トーキョーを操作=コントロールする」という日本語の語感を嫌ったのかな?と思いました。ここで「ごまかし」という言葉を使うのは、どこかで何かを「ごまかし」ているような気もしたのです。なぜあえてそれを言うかというと、以下のことがあるからなのですが・・・

「オキナワン」という言葉

 メア発言の原文とされるものに幾度か目を通したのですが、この中で最初に一番ひっかかったのは okinawns という言葉でした。あえて訳せば「オキナワ人」。以下ではメア発言の通り「オキナワン」と記すことにします。報道はいろいろ考慮してこれを「沖縄県民」と訳したりするわけですが、この原文は逆立ちして読んでも「県」とか「県民」と言う言葉はどこにも出ません。これではメアの一大ポイントが見えてこない。

 メア発言では「オキナワン」は「日本人」と別、という前提で話がされているわけです。「ウチナンチュー」と「ヤマトンチュー」といっても、日本人では考えない「別」(差別とは思いません)を考えている。United States of America の政府担当者であるメア氏は、後で「和」について見るところでも分かるように、間違いなく沖縄を日本の一部と考えています。しかし沖縄を1つの state と見ているように思われるのです。

 この state 、日本では、アメリカの地域であれば「州」と訳しますが、ヨーロッパやアジア、アフリカなどでは国と訳す場合もある。いずれにしても、多くの日本人がとらえるのとは、違った見方で観察しているのは、いろいろ誤解と偏見に満ちた記述もありますから、確かだと思います。

 例えば日本人は「道産子」と言った場合「北海道生まれの人」で「日本人」であるのは自明の前提です。「ひごもっこす」「薩摩隼人」お国自慢のような意味で日本語には「県民性」を表す言葉が豊富。しかし世界史には「廃藩置県」はありません。

沖縄を別のstateの民族ととらえている

 アメリカ人は「全米リーグ」を「ワールドリーグ」といいます。彼らにとって「テキサス」と「ミズーリ」の違いは別の state つまり「国」の違いとしてチャイナとコリアくらいに考えているケースもかつて知って、へぇ・・・と思ったことがありました。ヨーロッパにしてもそうですよね。ドイツとスイスとオーストリアの違いって何? と聞かれたとき、言葉や民族では交通整理できません。

 メア「沖縄侮辱」発言で、報道で伝えられる日本語訳に漏れている最大のポイントは、この state の違い、つまりメアは沖縄を「東京」などとは別の state の民族ととらえている点が抜けてしまっている。逆に言えば、ここを直視することで、爾後の問題解決にプラスになると思いましたので、あえて指摘するように思いました。

 メア発言は沖縄の歴史をこんな風に語っています。

Okinawa was an independent Kingdom paying tribute to China, although it has never been a part of China. The U.S. occupied Okinawa until 1972.

沖縄はかつて独立した王国で、中国に朝貢していた。とはいっても中国(に占領されてそ)の一部になった事はない。(逆に)アメリカは1972年まで沖縄を占領していた。

 若い人に研修として知らせるべき沖縄史、を語る上で、メア発言は明治以来の「東京政府」と「琉球」の関係すべて省略しているのです。ここも読み飛ばされている気がしますが、実は極めて重要なポイントだと私は思います。沖縄史を語りながら一言も日本という言葉が出てこない事実認識? まあこれはメモということですが、ここで明治以来の歴史が語られなかっただろうことは、以下の論旨を見ても、まず間違いないと思います。

「武力で獲得した土地」という意識

 幾度か書いている事ですが、2007年の春、アメリカ・ノースカロライナの米軍最大の基地「フォート・ブラッグ」にNHK「地球特派員」という番組のロケで体験入隊した事があります。そのとき「日本は原爆落としてもらって感謝しなきゃな」という老人の元兵士に会った話は先日もご紹介したと思います。

 この老人含め、現地で会った人数人と話していて「沖縄は我々アメリカ人が血を流して獲得した土地」という表現を耳にして、非常に違和感を持ちました。彼らの論調はこういうものでした。

 「元来、沖縄は別の国だ。日本は武力も使わずに沖縄を国の一部にしてしまったけれど、我々アメリカ人は正面から戦いを挑んで、命がけでこの島を占領した。だから、ここで命を落とした戦友のためにも、アメリカがこの島を生かして使わなきゃいけないんだ・・・」

 当然ながらNHKの取材ではこんな話はオンエアされませんでしたが、アメリカ人中心の考え方では全く別の見方で沖縄という島やその民族性が見られている、ということを痛感させられました。この観点でメア発言のほかの部分も見てみましょう。ここではあえて、メアの認識を前提に「沖縄県民」とは訳さず、 okinawanはオキナワンのままカタカナで訳し下してみます。

The Okinawan people's anger and frustration is directed at Japan rather than the United States.The DPJ government does not understand Okinawa.? The Japanese government does not have a "pipe" of communication to Okinawa. When I offer to contact people in Okinawa DPJ officials say "Yes! Yes, please!" The LDP communicated with Okinawa and understood Okinawan concerns better than the current DPJ government.

 オキナワンの人々の怒りとイライラは我々米国というより日本国に向けられている。日本の民主党政権はオキナワ(というもの)を理解していない。そもそも日本国政府はオキナワとのコミュニケーションのパイプを持っていないのだ。(アメリカ人の)私がオキナワの人々とのコンタクトを提案したとき、(日本の)民主党担当者は(何と言ったと思う? あろう事か)「イエス、イエス、プリーズ(ぜひぜひ!)」(と言ったんだぜ)。自民党は今の民主党政権と比べたとき、遥かにオキナワとよくコミュニケートしてきたし、沖縄問題に関してより深く理解してきた。

ホンネの理解をキチンと正せ!

 今回のメア発言、「沖縄の人を侮辱した」「沖縄<県民>を蔑視した」というような方向で報道がされる訳ですが、上のメア氏の言葉を冷静に読むなら、それ以前に彼が「日本」と「オキナワ」と「米国」という3つの項を、独立に見ていることがよく分かる、このことのほうが、私には遥かに気になるのです。だって

「日本の民主党指導者はオキナワンの実効的な指導者とのパイプを持っておらず、アメリカの俺のところにやって来て紹介してくれ、イエスイエスプリーズと言ってるんだぜ」

とメアはおどけて見せているのですよ。

 「 Yes, yes, please 」という文字、ここからメア氏がやや甲高い声でふざけて見せている様子の察しがつきます(そうでなければ、書き言葉ではこういう英語は使わないでしょう)。

 「オキナワ」state と東京政府とは別のもので、そのパイプは現在の民主党日本政府より我々米国の方がきちんと持っているという元アメリカ総領事の認識。メア発言を失言と見る、云々以上に、こうした日米の齟齬を直視し、そこからアメリカとも襟を正して紳士的なテーブルを囲んでゆくべきではないか。そのように思わずにいられません。

 日本国内には沖縄を別の国と見る見方はまずないと思います。もちろん固有の文化があり、それを尊重しつつ、日本という1つのまとまりの中での未来を考えなければなりません。守礼門もお札に印刷されました。人気の高い芸能人も多い。

 さてここで、しかしアメリカは「オキナワは元独立国で別の state 」という前提で、その文化を見ているわけです。そしてその state を武力で制圧した既得権を持っている、とも認識している。日米交渉に当たって、表面的な文言以前に、こうした先方の大前提から確認してゆく必要があるのではないかと思うのです。例えば以下のような発言、

One third of people believe the world would be more peaceful without a military. It is impossible to talk with such people

(沖縄の)三分の一の人々は、この世から軍というものが無くなったら世界が平和になると信じている。このような人と話をしてもラチがあかない(ので話はするな)。

 メア発言は研修の場と理解しているので impossible to talk with は「会話が不可能である」と逐語訳するより「ラチがあかないから話をしても時間の無駄だ」「要するにそういう人とは話すな」と言っているように見えます。

クビのすげかえで誤解を温存させるな

 今、細かく見てきたような齟齬、これをメア氏1人の認識と考えるべきでしょうか。もちろん「大人の解決」として更迭は順当でしょう。僕は日米関係をいたずらに悪化させるべきだなどと思っていません。アメリカ人の親友も多いです。でも、メア氏ひとりが更迭されて、そのあとも誤解が延々温存されるのはよろしいと思えません。

 というより、現場担当者のホンネの認識、として、こうした「口承伝統」は、紙の上の引き継ぎなどより、遥かに強力にインテリジェンスの知恵として残ってゆくと思います。先ほど最初に「ゆすりたかり」だけ紹介しましたが、せっかくです、よく報道されている「和」「タテマエとホンネ」の部分も原文を引いておきましょう。

Japanese culture is a culture of "Wa" (harmony) that is based on consensus. Consensus building is important in Japanese culture. While the Japanese would call this "consensus," they mean “extortion" and use this culture of consensus as a means of “extortion".

日本の文化的慣習は「ワ」(ハーモニー)の文化でそれはコンセンサス・合意に基づいている。合意形成は日本の文化的慣習で重要だ。といってもこの「コンセンサス・合意」を日本人が口にする際(は、気をつけなければいけない、日本人のコンセンサスはアメリカ人の考えるソレとは違って)「(合意の)強要」であって、この「コンセンサスの文化」を「搾取(搾り取り)」の手段として使っている。

 ここでメア氏は extortion という言葉の複数の含意を使っていますが、「ゆすり」という言葉1つでまとめてしまうとそのあたりが分かりません。合意といっても「強要」的な合意で、さらにそれが「××」の手段にも使われている、という「強要」と「××」を同じ extortion で言っている。後者は利益を引き出すというニュアンスなので、報道では「ゆすり」と訳したわけですが、僕は「強要」と「搾取」という2つの言葉を充てて考えてみたわけです。

 何にしろ翻訳には限界がありますが、メア氏のホンネは、こうしたあたりの中間にあると思います。メア氏が研修で、将来は米国の政府担当者として日本と付き合う可能性のある若者に、実効的な知恵をつけようとしてしゃべっている事を忘れないのが大切でしょう。そういう訳文にしてみます。

You should be careful about "tatemae and honne" while in Japan. Tatemae and honne is the "idea that words and actual intentions are different."? While in Okinawa, I said MCAS Futenma "is not especially dangerous. " My statements caused Okinawans to protest in front of my office. Although Okianwans claim MCAS Futenma is the most dangerous base in the world,they know it is not true. Fukuoka Airport and Osaka Itami Airport are just as dangerous.

「諸君いいかい、日本に行ったら「タテマエ」と「ホンネ」に気をつけなきゃいけないよ。「タテマエ」と「ホンネ」というのは「くちさき」と「本当のネライ」は違う、という(日本流の)アイデアだ。沖縄にいる時、私は「普天間基地は特別に危険ではない」と発言した。ところがこの発言のために、私のオフィスのまん前でオキナワンの抗議行動が起きてしまった。(で、ここでタテマエとホンネになるわけだが)オキナワンたちは(タテマエで)クレームする「普天間は世界で一番危険な軍事基地だ!」と。でも(ホンネでは)彼らは知っているのだ。(普天間が)福岡空港や伊丹空港が同じ程度の危険さでしかない事を。

 普天間は飛行場ではあるけれど、軍事基地と民生の空港をごっちゃにして論じるスゲカエの方が、遥かに問題だと僕は思いますが・・・。

 今回の発言の中で、個人的にもっとも文化的な誤解、侮辱で「ひどいな」と思ったのは以下のくだりでした。

Okinawa has the highest divorce rate, birthrate (especially out of wedlock) and drunk-driving rate due to Okinawa's culture of drinking liquor with high alcohol content.

「沖縄は(日本で)一番の「離婚率」「出生率 < とりわけ婚外交渉による出産 > そして飲酒運転(の検挙)率になっている。これらは高いアルコール含有量の酒を飲む沖縄の飲酒文化によるものだ。

 メア氏は学生向けの研修で、こういう発言をした様子です。まあ、実際の発言を聞いてみないと修飾のかかり方は断定できませんが、飲酒運転だけが「度数の高い酒」の影響だとはメア氏は言っていないように見えます。

どういう禍根を未来に引き継ごうと?

 ちなみに私は「古酒(クースー)」を始めとする泡盛が大好きで、しばしば愛飲しています。日本通で知られ、日本語もペラペラであるという米国の外交官、前の沖縄総領事が、地元の誇る伝統文化をこのような結びつけ方で見る「ホンネ」で日本人を見ていたとはどういうことか。さらにそれを、20歳前後の「明日の日米交渉を担う若者」に「研修指導」していたというのは、いったい、どういう禍根を未来にまで引き継ごうとしていたのか。

 「問題だー!」と騒いで一過性のクビのスゲカエで終えて良い問題だとは、私には全く思えません。「親米」「反米」といった立場ではなく、ここでリークされた情報を正面から見据え、正すべき誤解はきちんと質してゆく、そういう取り組みが必要ではないかと思いました。

 日本への原発導入にあたって、かつて米国が最も恐れたのは「唯一の被爆国」として、唯一の「核兵器行使国」アメリカに対する国民全体の憎悪が爆発することでした。広島・長崎から66年を経て、ビキニ環礁での第五福竜丸被曝事件からも57年を経た2011年、「3.11」以降の現状を冷静に見つめた今後のヴィジョンが必要不可欠です。

 盲点と言うものは、常に意外な足元にあるもの。まずは確かな基礎の上に、確実な議論を積み重ねなければならないと思う次第です。

(つづく)
このコラムについて
伊東 乾の「常識の源流探訪」

私たちが常識として受け入れていること。その常識はなぜ生まれたのか、生まれる必然があったのかを、ほとんどの人は考えたことがないに違いない。しかし、そのルーツには意外な真実が隠れていることが多い。著名な音楽家として、また東京大学の准教授として世界中に知己の多い伊東乾氏が、その人脈によって得られた価値ある情報を基に、常識の源流を解き明かす。

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著者プロフィール

伊東 乾(いとう・けん)
伊東 乾

1965年生まれ。作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。松村禎三、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズらに学ぶ。2000年より東京大学大学院情報学環助教授(作曲=指揮・情報詩学研究室)、2007年より同准教授。東京藝術大学、慶応義塾大学SFC研究所などでも後進の指導に当たる。基礎研究と演奏創作、教育を横断するプロジェクトを推進。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)で物理学科時代の同級生でありオウムのサリン散布実行犯となった豊田亨の入信や死刑求刑にいたる過程を克明に描き、第4回開高健ノンフィクション賞受賞。科学技術政策や教育、倫理の問題にも深い関心を寄せる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)『知識・構造化ミッション』(日経BP)『反骨のコツ』(朝日新聞出版)『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。


03. 2011年3月29日 12:22:11: SaA89lFP6E

「重要なのは、きちんとリスクを計算すること
年齢や性別、妊娠期か?など個別の状況に応じて、対策することだ」


誰がどうやってやるんだ? 御用(誤用)学者か? (失笑)


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