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(回答先: スリーマイル島原発事故の流れに酷似している部分も多い、NHK1号機・事故検証番組 投稿者 仁王像 日時 2011 年 12 月 22 日 20:22:59)
NHKの番組では、語られていない事実も多々あるだろう。とりわけ地震による配管破断による冷却材喪失の問題がある。語られていない事実のなかに大きな真実があるという多くの指摘はその通りだと思う(司馬遼太郎の小説のように)。
だが、そんな条件の中でのシミュレーションであっても、運転員たちが想定している以上のハイスピードで圧力容器内の水位が低下していき、やがてメルトダウンに到った。原子炉の状態について、シミュレーションの内容と運転員の感覚から大きく乖離していたことが提示されている。
スリーマイルよりさらに過酷な電源喪失もあり、計器が作動しない・読めないも重なり炉内の状況は把握はできなくなっていった。この流れに無理はない。
番組では、いくつかの時点で正しく判断し対処すれば、大事故に至らなかった可能性も指摘しているが、実行可能であったとは断言もしていない。可能性としては認められるが、筆者はおそらく実行不可能と思った。
この番組の解釈は、運転員が的確に判断・対処できていれば、大事故に至らなかったのではないかというメッセージにも受け取れる。が、複数の原子炉が同時進行で事故ったこのような錯綜した事態では、人為ミスは避けられないとの視点も大切だと思うのである。
運転員をいくら毒づいても、後の祭りである。運転員を擁護しているのではない。このような錯綜した状態で、自分がもし教育訓練を受けた運転員で現場にあった場合、とっさに的確な判断を下せたと自信を以って言い切れる人はどれだけいるだろうか。
あとでマニュアルをめくってみれば、あの時こうすべきだったし、多少の事はできたはずだということはいくらでも言える(緊急時の対応について、事前に訓練を受けていても長くつつがない運転に慣れているうちに忘れたり、目前の事例が何だったか頭の中で錯綜することは十分にあり得る※)。
筆者はこの番組から、原発というのは、(たとえ運転員を十分に事前教育しておいても)ヒューマン・エラーをゼロにする運用はまず不可能であり、原発は原理的に廃止すべきだと話をもっていくことは可能と見た。
(畑村委員会でもないNHKの調査能力に、そもそも過大な期待はかけられない。限られた予算のなかでがんばった番組だと思っている。報道機関の番組は客観性に配慮し、あとは視聴者に考えてもらうというのが基本姿勢だろう。その意味での努力は認めたい。NHKに「原発は原理的に廃止すべき」とまで言わせるのは、無いものねだりである)。
※)前稿の本の第4章には、
「スリーマイル島事故でも、運転員たちは正常運転の訓練は優秀な成績をもっていた。彼らの資格試験時の成績は、全国平均より上で、とくにそのなかの一人は再試験検査でスリーマイル島原発内の運転員中、最高点を取っていたという。しかし実際には、彼らは間違いを犯してしまった」とある。
この本の中にも、運転員たちがバカだ・チョンだと言われたような形跡はない。事故直後にはメディアにあったかもしれないが、そんなものは何の意味もない。時間が経って冷静に総括した結果、やはり「バカでありチョンであった」と総括されて始めて意味を持つ。
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