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スリーマイル島原発事故の流れに酷似している部分も多い、NHK1号機・事故検証番組
「原子力〜秘められた巨大技術」NHK取材班/昭和57年 から抜粋・引用
U部 原子力の事故と安全性〜スリーマイル島原発事故を追って
2章 事故はなぜ起きたのか
2 事故の経過
・1979.3.2、事故は最初、二次系の回路の方で起きた。二次系の水が循環しなくなったために、発電気が停止。原子炉には自動的に制御棒がさしこまれた。とにかく核分裂を止めるためである。最初の故障から、ここまでわずか10秒ほどのできごとである。(ここまでは)設計通りの展開であった。
しかし、スリーマイル島の二号炉(加圧水型)では、さらに不幸なできごとが続いた。
<その一 開いているはずの弁が閉まっていた>
・二次系の主給水ポンプが止まっても大丈夫なように、原子炉には補助回路が備わっている。この補助給水ポンプも、設計通りに働いた。しかし、補助給水ポンプによって蒸気発生器に水を送り込む弁が、締まっていたのである。ふだんなら、かならず開いているべき弁である。明らかに発電所側の保守管理ミスである。FBIの手まで借りて調べたが、原因はわからなかった。
運転員たちが、弁が閉まっていることに気付いたのは、事故後8分も経過したあとだった。…この8分間の混乱は重大だった。コントロールルームでは、いっせいに100個もの警報ランプがつき、警報ブザーが鳴り響いていた。運転員たちは、そのなかで正確な事態の把握ができなかったのである。
結果的にいえば、この弁が閉まっていたことは、事故を大きくした直接のものとはいえない。…実は、加圧器逃し弁に起こった次なる故障こそが、重大事故への引き金となったのである。しかし、二次系の故障に気を取られていた運転員たちは、長いあいだこのことに気づかなかった。
<その二 加圧逃し弁の故障>
・一次系の圧力を逃すために、事故直後2秒で開いた加圧逃し弁は、圧力がさがれば、自動的に閉まる仕組みになっていた。だが、故障でこの弁が開きっ放しなってしまった。開きっ放しなった弁を通して蒸気が外の排水タンクに流れ込んでいった。
運転中には圧力容器の中は150気圧もの高圧である。事故直後(でも)、炉内の圧力は依然高い。一次系の高圧の水は、この加圧器逃し弁を通して噴き出すように外に漏れ続けていた。その量は、1分間にドラム缶4本分もの量、と推測される。この逃し弁が開きっ放しになったとしても、その手前にある加圧器の元弁を手動で閉めることができる設計にはなっていた。しかし、運転員たちは、逃し弁が開きっ放しになっていることに気づかなかった。(そして)もっとも避けなければならないもののひつつ、燃料の「空だき」を引き起こした。
(さらに)最大の要因が、故障に続いて起きた運転員の判断の誤りであった。
<その三 緊急炉心冷却装置も止めてしまった>
・結果として、一次系の水圧が下がったために、自動的に緊急炉心冷却装置が働いていたのである。事故後2分に、二基の大型ポンプが自動的に作動し、毎分3.8トンもの大量の水が圧力容器の中に流れ込みはじめた。…しかし、せっかく働いた緊急炉心冷却装置を、運転員は止めてしまったのである。なぜこの安全装置を止めるという決定的な間違いを犯してしまったのかー。
運転員たちは、事前の訓練で。一次系の中の圧力を調整する加圧器の水位を一定の目盛りに保つように教育されていた。ところが、運転員たちの想像もつかない故障によって、この加圧器の水位の目盛りが、どんどん上昇してしまった。加圧器上部についている圧力逃し弁が開きっ放しになったため…である。しかし、運転員たちはこの見せかけの水位の上昇に気を取られ、故障の真のすがたに気がつかなかった。
事故後、運転員の一人は、「事故の初期段階で加圧器の水位が急上昇したので、緊急炉心冷却装置からの注水が多すぎると思った。そのまま続けると危ないと考えた」と証言している。
事故は、このようにまさに従来の安全設計の裏をかくようなかたちで進展した。
3章 巨大システムの盲点
1 問題となった加圧器逃し弁の表示ランプ
・実際、加圧器逃し弁は、大きさ1m四方の箱にすっぽり入ってしまうほどの部品である。アメリカのドレッサー社でつくられたこの加圧器逃し弁は、しかし、なかなか複雑な構造をしている。弁の本体のほかに補助弁がついている。電気でまずこの補助弁を動かし、その開閉による空気の流れで本体内部の…150気圧もの高圧をコントロールする特殊な構造を持つ。
実は、コントロールルームに示されるランプの表示は、この補助弁の電磁石のコイルに電流が流れたということを示すランプにすぎなかったのだ。何の故障もなければ、本体弁の開閉を表示するはずである。しかし、それは逃し弁の状態を「直接示す」情報とはなりえないのである。情報の取り方が、、弁を閉めるための命令信号を示すだけで、弁の開閉を直接知るようにはなっていなかったことが盲点となったのである。
スリーマイル島原発事故を詳しく見ていくと、こうした情報のとり方に問題のある点が目につく。
もし、加圧器の水位表示以外に炉内の水位を「直接示す」情報があったら、また、加圧器逃し弁の先のパイプに水が流れているかどうかを「直接示す」計器がついていたら、運転員たちは事故の本質にもっと早く気づいていたに違いない。運転員たちの判断ミスには、それを引き起こすような不適格な情報があったのである。…
スリーマイル島原発事故に対する、こうした綿密で徹底した調査から浮かび上がった教訓は、原子炉の型や設計の違いを超えて、共通の課題としていま考えられようとしているのである。
2 エックス線研究所の調査
<死角ににあった表示ランプ>
・運転員たちはなぜ、当然「開」になっているはずのバルブが「閉」になっていることをランプから読み取れなかったのか(8分間気づかなかった弁)。エックス線研究所が写した写真が、その理由の一つを示している。コントロール卓の計器や操作レバーにつけられた「注意札」が、垂れ下って肝心のランプを見えにくくしていたのだ。
またこれは、事故の異常時、人間の注意力・判断力がいかに下がるかということも示している。
・NHKスペシャル「シリーズ原発危機 メルトダウン 〜福島第一原発 あのとき何が〜」(動画) (ざまあみやがれい!)
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/448.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 12 月 19 日 09:54:15: igsppGRN/E9PQ
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- Re: 原発は原理的に廃止すべきとの解釈も可能な「番組」だったと思う 仁王像 2011/12/22 21:25:54
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