http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/110.html
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政府・東電は、国民の多くがすでに事故への関心を失い過去に彼らが公表した内容も忘れていると思っているのか、最近になってこれまでとはまったく違う事故対応の経緯を平然と(過去の公表内容を訂正することなく)公表している。
添付する日経新聞の記事に書かれている内容は、これまで政府と東電が発表してきたことを根底から覆すものであり、保安院レベルの公表で“はい終わり”で済まされるレベルのものではない。
野田政権は、原発維持に前のめりになる前に、福島第一原発の事故について、わかりやすく体系的にきちんと説明する責務がある。
記事を読むと、東電事故調査の検証委員会が東電を称揚した意見がますますおぞましいものであることがわかる。
※ 「“お抱え”とは言え、ビックリを通り越し、あまりにおぞましすぎる東電事故調査中間報告に対する「検証委員会」の意見」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/857.html)
●「協力企業の一部が大津波警報で退避し、資材の保管場所が分からない東電社員が作業した」
【コメント】
「事故訓練」に励む励まない以前の大問題だ。協力企業は協力企業で、きっと、担当者がいないのでわからないという状況であったに違いない。
「誰かの頭の中にしかない情報」にしていることが大問題という認識さえないようだ。
●「電源車が必要と判断したのは3月11日午後6時ごろ」「同日午後9時〜12日未明に陸路で着いたが、接続しやすい中圧タイプはなかった。メーカーから仮設電源盤を取り寄せ、外部電源の復旧に着手できたのは15日だった」
【コメント】
3時30分ころには非常用ディーゼル発電機が止まってしまったのに、電源車が必要だと思ったのがそれから2時間半後の6時頃という話には慄然とさせられる。
仮に、修復が可能と思っても、何より優先的に手配されるべきものは「電源車」である。
ここでも重大なウソがあったことがわかる。
1号機・2号機は、電源車による電源復旧作業が必死に行われ、3月12日午後3時頃にはいったん接続ができたが、1号機の水素爆発でワヤになったというのがこれまでの公式説明である。
●「冷却用の注水では手順書に示された消火栓が使えず、消防車を利用。しかし発電所にあった3台のうち1台は津波で故障、1台は所内道路の損傷で12日午後まで動かせなかった」
【コメント】
この情報にも、これまでの説明を根底から覆す情報がある。
これまでの公式発表は、1号機には12日午前5時頃から消防車で注水し80トンほどの淡水を注入したとされている。
11月末に発表した格納容器下部のコンクリートを突き抜けたかどうかのシミュレーションもそれをベースにしたものだ。
福島第一は、翌12日午後まで“為す術がまったくない”状況にあったことがわかる。
このように状況に陥っていた事実こそが、きちんと説明されなければならない。
手順書に示された消火栓が使えなかった理由も明確にすべきである。
●「津波直後は全体の状況把握で精いっぱいで、1号機の原子炉を冷やす非常用復水器の作業に集中できなかった。復水器は動作していると誤認、水位計の誤表示で燃料の露出にも気付かなかった。」
【コメント】
2,3人で事故対応をやっているわけではなく数百人数千人がいた現場である。非常用復水器の作業に集中させる指揮がとれなかったのは所長・東電本店幹部の重大失態である。
「水位計の誤表示で燃料の露出にも気付かなかった」というのも眉唾物で、制御室にいた1号機の運転員は“異常な水位低下”をホワイトボードに記入している。そのデータを基礎に少し計算すれば、午後6時過ぎに“空だき”が始まることは容易にわかる。
※ 「1号機は津波ではなく地震による損傷でメルトダウン:再循環パイプの破損で津波前から毎時25トンの冷却水漏れ」(http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/584.html)
●「燃料損傷の可能性は11日夜に1号機原子炉建屋で放射線量が上昇した時に認識。水素が発生すると分かっていたが、建屋が水素爆発するとは考えなかった」
【コメント】
「燃料損傷の可能性」とぼかした言い方をしているが、要は、ジルコニウム被覆管が溶融し燃料も溶融するメルトダウンが起き、さらに、溶けた燃料が圧力容器から溶け落ちるメルトスルーを、3月11日深夜の時点で政府・東電が認識していたということだ。
メルトダウンとメルトスルーがなければ、中央制御室が高線量にさらされるような放射能流出は起きないからである。
●「調査結果はベント(排気)の作業に必要な、ボンベと弁をつなぐ配管が地震で壊れていた可能性にも触れている」
【コメント】
私自身はベントに大きな意義があるとは思っていないが、ベントは重要な事故対応措置というのが政府・東電の見解である。
これまで重要な機器や配管が地震で壊れている事実はないと強弁してきたが、「ボンベと弁をつなぐ配管が地震で壊れていた可能性」があるのなら、他の重要機器や配管も、壊れた可能性があると疑うのが当然であろう。
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想定甘く準備不足 福島原発事故、前所長ら聴取結果
冷却装置、動作と誤認 保安院公表
経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第1原子力発電所の事故について、吉田昌郎前所長ら8人に現場の状況などを聞き取り調査した結果を公開した。全電源が失われ放射線量も高い環境下で、人員や機材が足りず作業に手間取った。燃料損傷の可能性には早い段階で気付いたが水素爆発は考えず、想定の甘さや準備不足が改めて浮き彫りになった。
調査は8月4〜19日、保安院担当者らが東電本店と福島第1原発で実施した。公開された調査結果は「所内の情報伝達」「手順書・マニュアル」などの項目ごとに聞き取りで判明した状況をまとめており、個々の証言者名は示していない。黒塗り部分が20カ所以上ある。
調査結果によると、緊急時に集まる担当者は決めてあったが、1〜6号機の同時事故は想定していなかった。協力企業の一部が大津波警報で退避し、資材の保管場所が分からない東電社員が作業した。
電源車が必要と判断したのは3月11日午後6時ごろ。自衛隊による空輸は重量オーバーで断念。同日午後9時〜12日未明に陸路で着いたが、接続しやすい中圧タイプはなかった。メーカーから仮設電源盤を取り寄せ、外部電源の復旧に着手できたのは15日だった。
冷却用の注水では手順書に示された消火栓が使えず、消防車を利用。しかし発電所にあった3台のうち1台は津波で故障、1台は所内道路の損傷で12日午後まで動かせなかった。
津波直後は全体の状況把握で精いっぱいで、1号機の原子炉を冷やす非常用復水器の作業に集中できなかった。復水器は動作していると誤認、水位計の誤表示で燃料の露出にも気付かなかった。
燃料損傷の可能性は11日夜に1号機原子炉建屋で放射線量が上昇した時に認識。水素が発生すると分かっていたが、建屋が水素爆発するとは考えなかった。調査結果はベント(排気)の作業に必要な、ボンベと弁をつなぐ配管が地震で壊れていた可能性にも触れている。
[日経新聞12月6日夕刊P.14]
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