412. 人力 2011年12月18日 11:23:24
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こちらでお教えいただいた資料や 様々な意見を元に、 私なりにブログで記事をまとめました。こちらで皆さんにお世話になったお礼に、 ブログから転記いたします。 (写真やグラフが抜けてしまうので分かりにくいですが) 色々異論はあるかと思いますが、 ECRRを肯定的に読むと、 又、異なる景色が見えてきます。 (但し、結果的にECRRが過剰安全性を要求する事に変わりないと思いますが) ■ ECRRの主張を肯定的に読み解く ■ 私が「放射線過激派」と非難するECRRの資料をじっくり読んでみました。 http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/hiroshima_nagasaki/fukushima/ECRR_sankou_07.html 今度は肯定的な視点で検証してみました。 すると、ECRRの資料から色々な物が見えてきます。 1) ICRPのモデルは外部被曝を元に打ちたてられたモデルである
2) ICRPモデルは外部被曝を出発点としているので、内部被曝の影響を軽視して いる。 3) ECRRは全身外部被曝を扱う(Sv)という単位が内部被曝の評価として不適切 と指摘している。 ここまでは、ECRRの主張は論理的で正しいと思われます。 4) しかしECRRも内部被曝を扱う単位系を確立出来ておらず、(Sv)を基準に ECRR独自のモデルを作ろうとして、低線量域を持ち上げたモデルを提唱 5) 内部被曝の影響をICRPモデルの低線量域のリスクをさらに持ち上げた事で 解決しようとした。 ■ ICRPモデル内部被曝の影響を安全率でキャンセルしている ■
確かにICRPモデルは内部被曝を軽視しています。 全身がほぼ均等に外部被曝する広島と長崎のデータを元にしたICRPモデルでは、 組織周辺の限られた範囲にβ線が照射される様な内部被曝を十分に考慮出来ません。 ICRPモデルでは等価線量という概念で組織毎に被曝の重みを変えていますが、 これはあくまでも外部被曝を基準にしています。 そこで、ICRPモデルは、「閾値無し外挿モデル」を導入し、 外部被曝では考慮出来ない内部被曝の影響を補正していると考えられませす。 だいたい100(mSv)当たりに外部被曝の閾値はあるとされていますので、 1(mSv)まで危険とする事で100倍の安全率を見込んでいます。 β線の浸透力は体内で30cm程度ですから、 内部被曝により半径30cmの水で出来た球体内に、 均等にエネルギーを発散するとして、 その球体の重さは凡そ11Kgです。 仮に10Kgとして、60Kgの体重に対して1/6。 但し半径30cm内に均等にエネルギーは分布しないので、 中心部の被曝量は当然周辺部に比べて高くなる事が予想されます。 仮に100g内に放射線のエネルギーは発散されるとして、 100gの組織の被曝量は全身に対して600倍になります。 これでは100倍の安全率では足りなくなります。 だからECRRは、ICRPの基準値は、内部被曝の影響を軽視していると主張します。 ところで、DNAの修復は比較的短時間に行われます。 放射線治療のインターバルが中1日ですから、 48時間で2(Sv)とという高線量被曝の修復もほぼ完了します。 仮に低線量率の被曝の修復も同様に2日で完了するならば、 線量率の単位時間を1年とするICRPの基準値は 180倍程度の安全率をここでも見込んでいます。 ICRPの安全基準は1(mSv/年)も危険とする事で、 100x180=18000倍の安全率を見込んでいるとも言えます。 さて、内部被曝の影響を600倍としても 未だ30倍の安全率が確保されています。 ですから、ICRPが非常時の緩和的基準として 20(mSv/年)を用いる事は合理的です。 ■ 二重の安全率を要求するECRRモデル ■ ECRRは内部被曝に(Sv)とという全身外部被曝を基準にした 単位系を用いる事は問題があるとしながらも、 結局、ICRPの「LNT仮説」のグラフの低線量域のリスクを 不自然に持ち上げたモデルを提唱しています。 ICRPのモデルは「1mSv」も危険とし、 「DNAの修復を無視した単位時間1年」を採用する事で、 内部被曝に対する安全率を結果的に担保しているのに、 ECRRモデルは、さらに二重の安全率をここに要求しています。 ■ 外部被曝と内部被曝の単位系を分けるべきだ ■ 18000倍の安全率は言過ぎだとしても、 外部被曝の閾値を100(mSv/2日)だとすると、 ICRPの防護基準は、外部被曝だけに注目すれば 大変過剰な安全率を有しています。 一方、内部被曝に関しては、安全率を大きく掛けるという まさにドンブリ勘定で対応しています。 内部被曝と外部被曝を分けて考える方がより正確な防護が可能とするならば、 内部被曝は組織毎の蓄積放射線物質量(Bq/Kg・組織)で管理されるべきです。 そして、半減期の短いヨウ素131の影響を考えると、 単位時間も1週間程度と短く設定すべきでしょう。 内部被曝は空気からの吸入もありますが、 食品や水から主に摂取されるので、 これらの放射性物質の含有量を管理する現在の管理は有効に働きます。 例えばC137とC134が心筋に影響を与えるならば (心臓癌というのは無いので、心筋梗塞やどの原因になる筋肉や血管の老化) そのリスクが顕著となる閾値の放射性物質蓄積量を設定し、 食物や水からの摂取量と、各組織の蓄積量の相関から、 食品や水の基準を作成すれば良いはずです。 ■ セシウムを例に計算してみる ■ セシウムの摂取量と全身の蓄積量のグラフを見つけたので紹介します。 1) 1(Bq/日)の継続摂取で150(Bq/全身)の蓄積量で平衡 2) 10(Bq/日)の継続摂取で1400(Bq/全身)に蓄積量で平衡 全身で1400(Bq/60Kg)とした場合、 その内のどの位が心臓に集まるかラフにシミュレーションします。 全身の筋肉の量を20%、心臓の重量を300gとすると、 300g/(60000gx0.2)=0.025 1400(Bq)x0.025=35(Bq/300g心筋) =11.6(Bq/Kg・心筋) Cs137の全身蓄積量の平衡する値は、 一日に摂取するCs137の量に比例すると考えるならば、 学校給食の基準値となる40(Bq/Kg)を 仮に一日の摂取量だとすると 11.6x4=46.4(Bq/Kg・心筋)となります。 ■ チェルノブイリの症例と照らしてみる ■ チェルノブイリの低線量率内部被曝の影響を指摘する方々が参照するのは、 ベラルーシュのY・バンダシェフスキー教授の研究資料です。 http://chikyuza.net/n/archives/14692 大変興味深い資料なので私も現在じっくり眺めています。 その中にドブルシュの住民の心筋の顕微鏡写真が載っています。 突然死された方のケースの様です。 の組織像(突然死のケース) 「放射性セシウム蓄積量ー45.4Bq/kg びまん性心筋細胞溶解、筋線維間浮腫、筋線維断裂が見られる。 HE染色。倍率125倍。」 とのキャプションが付いています。 さて45.5(Bq/Kg心筋)は、 1日40(Bq/日)のCs137を摂取した場合の私の計算値と同等です。 1日40(Bq/日)というCs137の摂取量は 今の日本では日常的に摂取する可能性があります。 それでは、日本人は心臓がボロボロになって皆死んでしまうのでしょうか? ■ 子供の心臓異常は10(Bq/kg心筋)から発生する ■ 同じ資料の中で 「小児の心筋の電気的異常(不整脈)は、10(Bq/kg心筋)から発生する」 と書かれています。 10(Bq/Kg心筋)は10(Bq/日)の食事で達成されてしまいます。 これは、日本中の食卓が危ないと言っているに等しいデータです。 ■ 核実験時代の粉ミルクのSc汚染 ■ 興味深いデータがあるのでご紹介します。 1960年代の核実験時代に発生した放射性Cs137が 粉ミルクにどのくらい含まれていたかのデータです。 この時代、最大で350(Bq/Kg)のCs137汚染が検出されています。 1963年からの数年間は10(Bq/Kg)を下回るデータはありません。 粉ミルクだけでなく、母乳や他の食品も同様に汚染されていた可能性があります。 さて、私は1965年生まれですけれど、健康です。 他の多くの同世代の方達が、皆心臓病を患っている訳でもありません。 この様に、過去に地球レベルのCs137汚染を経験していながら、 チェルノブイリのデータの特異性だけに注目するのは片手落ちです。 ■ Y・バンダシェフスキー教授の症例は何を意味するのか ■ 私はY・バンダシェフスキー教授の研究は地道で信頼に足るものだと思います。 その一方でY・バンダシェフスキー教授の示す症例は、 あまりにも低いSc137蓄積量で、大きな変化を心臓に与えるとしています。 ここで私は疑問に思います。 心臓病で死んだ方の死因が、 普通の心臓病だったのか、 それとも、放射線由来の心筋の変化だったのか? 1) 心臓病で死んだ患者の心臓を解剖した 2) 組織変化が見つかった 3) Cs137を測定したら45(Bq/Kg心筋)だった さて、死因は一見Cs137の様に思えます。 しかし 4) 45(Bq/Kg心筋)という汚染はチェルノブイリ周辺では普通に発生するのではないか 5) 健康な人の心筋も同じ汚染を受けている可能性がある この可能性を考えると、たまたま心臓疾患で無くなった方の 心臓のCs137を測定したら、平時より高いSc137が検出されたので、 原因をSc137による心筋の老化と疑った・・・この可能性は無いのでしょうか? 健康な人の心筋組織は採取出来ませんので、 比較群が無いだけなのかも知れません。 交通事故などで亡くなった、その他大勢の方の 同程度にCs137で汚染された心臓の組織サンプル無くしては、 Cs137が心筋の老化を促進したとは言えないのではないでしょうか? あくまでも素人考えですが、 Y・バンダシェフスキー教授の一連の研究が、 内部被曝の影響を過大に評価させる一因になています。 この研究の問題点が明確になれば、 ICRP、ECRRを含め、それぞれの説の矛盾はある程度論理的に埋める事が出来、 内部被曝であっても、現在の基準値で健康は確保されると思えます。 ■ 内部被曝と外部被曝を切り離せば、福島の人は少し安心出来る ■
内部被曝と外部被曝を分けて考えられるならば、 空気中の浮遊核種の吸入量が減っている現在、 福島レベルの外部被曝は恐れるに足らないでしょう。 内部被曝に関しても、悪名高いNHKの「アサイチ」の調査では、 普通の仮定では、得に放射線に気を使わなくても 1日の食事に含まれるCs137は検出限界の8〜5(Bq/一日の食事)以下でした。 福島でも、自給した食品以外は、暫定基準値は守られています。 福島産の食材に集中しなければ、 現状の食事で、健康に影響のあるレベルのSc137を摂取するとは考えられません。 食卓さえ気をつければ、福島の外部被曝のリスクはほぼ無視出来るので、 福島県民が恐怖におののきながら暮らす必要はそれ程無いと私は考えます。 |