http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/415.html
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原発の源流と日米関係(1)
“ラッキードラゴン”の衝撃/米が「広島に原発を」
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index.html
原発の源流と日米関係(2)
中曽根と正力/つきまとう諜報の影
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index02.html
原発の源流と日米関係(3)
軍事優先の開発/原潜からはじまった
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index03.html
原発の源流と日米関係(4)
原子力協定の攻防/湯川氏、抗議の辞任
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index04.html
原発の源流と日米関係(5)
「逆立ち」のスタート/米のウラン義務付け
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index05.html
原発の源流と日米関係(6)
核燃料サイクル計画/日本は施設の実験場
http://www.jcp.or.jp/akahata/html/senden/2011_genpatsu/index06.html
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(続)原発の源流と日米関係/1/原子力協定の改定/上/なぜ「国家安全保障」の文言
「しんぶん赤旗」2011.07.25 日刊紙 1面
「民生用の原子力計画における最高水準の安全を促進し、原子力事故に対処するための能力を向上させる」−。6月21日、合意された日米安保協議委員会(2プラス2)の共同文書。日米同盟の「共通の戦略目標」の一つに、原子力発電が挙げられました。
原発と日米同盟。その接点をたどると、1988年に批准された現行の日米原子力協定に“日米安保条約が廃棄された場合、米国は日本の原発を停止に追い込むことができる”との解釈が隠されていたことが分かりました。運命共同体としての原発と日米同盟−その姿を探ります。
米国の支配下
66年、茨城県東海村で最初の商業用原発が稼働して以降、日本はほぼ毎年、原子炉の増設を進めてきました。発電量は66年の16・6万`hから、10年後には660万`hまで増えています。
原発の増設は、使用済み核燃料の処理という、避けて通れない問題を生み出します。
世界的には核廃棄物の処分方法は確立していませんが、日本は使用済み核燃料を英国・フランスの再処理施設に委託して、もう一度核燃料として再処理する道を選びました。
しかし、68年に締結された旧日米原子力協定では、日本が再処理を行う場合、1回ごとに米国からの「同意」が必要とされていました。再処理すれば、核兵器の原料となるプルトニウムが抽出されます。米側は核独占態勢の維持という観点から神経質になっていたのです。
「同意が出るまで数カ月かかり輸送船のチャーターに支障が出る、電力会社の副社長クラスが米議会の公聴会に呼び出される、といったことが頻繁にあった」。当時を知る原発業界の関係者は証言します。77年には、日本初の再処理施設である東海村再処理工場の運転開始直前に、米国が稼働を停止させる事件も発生しました。
日本の原発で使われる濃縮ウランの9割は米国産(現在は約73%)。原子炉も米国から輸入または特許を得て建設したものがほとんどです。米国の全面支配下に置かれた状態は、「原発利益共同体」を構成する日本の財界にとって、深刻な矛盾となったのです。
隠された解釈
このため、日米原子力協定の改定交渉では、日本に核廃棄物処理の「包括同意」=自由に再処理できる権利を獲得することが最大の目標となりました。
当時の米側外交文書を読むと、レーガン政権は、交渉が始まった82年当時から日本の「包括同意」に前向きでした。
しかし、米側は、「包括同意」は認めるが、いつでも同意を停止できる仕組みが不可欠と主張。最終段階で出した条件は、新協定に「米国の国家安全保障を脅かす事態の場合は、包括同意を停止する」との文言を入れることでした。
「エネルギー分野の交渉なのに、なぜ『国家安全保障』なのか」。日本側代表団は聞きなれない言葉に首をかしげましたが、この文言を入れることで妥協。87年11月、日米両政府が署名しました。
実は、この「国家安全保障を脅かす事態」に、隠された解釈があったのです。
(つづく)
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続原発の源流と日米関係/2/原子力協定の改定/下/安保条約が絶対条件
「しんぶん赤旗」2011.07.26 日刊紙 1面
「日米間の対等性の確保等が実現された」(1988年版科学技術白書)−。日本政府は、新日米原子力協定で、使用済み核燃料の再処理が自由にできる「包括同意」を認められたことで、米国依存の原子力政策が“対等になった”と宣伝しました。
「脅威」の解釈
しかし実態は、米国はいつでも規制権を発動できる仕組みになっているのです。
それを規定したのが協定の実施取極第3条(別項)です。米国が「国家安全保障に対する脅威」を認定すれば、日本に認めた諸権利をすべて停止できます。当時の関係者も「日本の原子力行政が自立しているとは言えない」と断言します。
日本共産党は「日本の原子力政策を名実ともに米核戦略に一層深く従属させる」(88年4月27日、衆院外務委員会、松本善明議員)として同協定の批准に反対してきました。
この問題で答弁に立ったのは、外務省の遠藤哲也審議官でした。しかし、遠藤氏は何度追及されてもかわし、「国家安全保障に対する脅威」の解釈を隠しとおしました。
ところが昨年11月、遠藤氏は外務省系研究機関の日本国際問題研究所が発行した冊子で、その解釈を初めて明らかにしました。
「米国側は『全く仮定の問題であるが』として、例えば日本が日米安保条約を破棄したような問題、欧州で交戦状態が発生した場合での英仏での再処理の扱い、パナマ運河で騒乱が起こった場合の使用済燃料の移転などをあげていた」 遠藤氏は本紙の取材に対しても、「ほとんど起こりえない事態だが」と断った上で、「日米安保条約の破棄」が米側から示されたことを認めました。
日本が安保条約の破棄を通告すれば、協定上の権利が奪われ、原発の稼働に重大な支障が発生する−原発に群がる「原発利益共同体」の構成員にとって、あってはならないことでした。
深まる従属性
日米原子力協定の交渉では、電力業界が全面的に関与しました。東京電力や関西電力の役員が政府の専門職員として、外務省や通産省の担当者に助言を与える一方、米議会有力議員へのロビー活動を重ねてきました。
当時の関係者は、「米国は、原発をエネルギーではなく安全保障の問題として位置付けていることを強く認識した」と証言します。
その後、東京電力の勝俣恒久会長、荒木浩元会長はいずれも、政府の防衛大綱策定に向けた「有識者懇談会」座長を務めるなど、業界トップが安全保障政策への関与を続けてきました。
日米原子力協定の改定交渉は、「米国との対等性」を掲げながら、逆に従属性を深めた安保条約改定交渉と、まったく同じ経過をたどったといえます。協定の有効期限である2018年まで、日本の原子力政策に加え、安全保障政策まで縛ることになります。
(つづく)
日米原子力協定 実施取極第3条 「(日本又は米国の協定に対する重大な違反による)核拡散の危険又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大を防止するため、…(再処理、貯蔵、第三国移転に関する)同意の全部又は一部を停止することができる」
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(続)原発の源流と日米関係/3/「核武装」論/原発か“核保有力”か
「しんぶん赤旗」2011.07.27 日刊紙 1面
米国が、原子力発電の燃料である濃縮ウランを提供している同盟国・友好国に対して、使用済み核燃料の再処理を容易に認めない最大の理由は何か。それは、再処理で分離されるプルトニウムが、核兵器の原料になるということです。
核拡散の危機
とりわけ、日本が原発稼働を本格化した1970年前後は、インドが74年に核実験に踏み切ったように、核保有5カ国以外への核拡散の危機が現実のものとなっていました。
日本も例外ではありませんでした。外務省が極秘にしてきた内部文書「わが国の外交政策大綱」(69年4月25日)に、次のような一文があります。
「核兵器については、NPT(核不拡散条約)に参加すると否とにかかわらず、当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(可能性)は常に保持するとともにこれに対する掣肘(=妨害)をうけないよう配慮する」 さらに、同年8月29日付の外務省内協議の議事録では、村田良平企画課長が「原子力平和利用については明らかに問題がある。核武装のフリーハンドを持たないことは、一種の国益の侵害である」と主張し、「原子力平和利用」=米国依存の原子力政策よりも、独自の核武装を追求すべきとの考えを示しています。
原子力委員会の資料によれば、2009年末時点で日本が管理する分裂性プルトニウムは約31d。核兵器1個あたり4`と想定した場合、7750個分に相当します。
米側の“確信”
日本が核軍事大国になる潜在能力を有しているのは事実です。しかし、外務省が昨年11月、公開した一連の内部文書を見ると、最終的には村田氏のような主張は退けられていました。
NPT加入の是非を論じた73年4月20日付文書では、「わが国が少なくとも現段階では核武装する可能性が全く無い」とした上で、核不拡散体制を受け入れるメリットとして米軍の核兵器による「核の傘」の提供に加えて、「平和利用の核物質、原子力産業施設、設備の外国からの確保がより容易になる」ことを挙げています。
外務省関係者は「核武装すれば米国は濃縮ウランの供給を停止し、原発はとまってしまう。1個や2個の原爆と引き換えに失うものは、あまりにも大きい」と言います。
日本は、欧州原子力共同体(ユーラトム)を除けば、米国から例外的に核燃料再処理のフリーハンドを与えられている国です。
「重要な決定で常に米国側に立つ」。09年12月、国際原子力機関(IAEA)事務局長に就任した天野之弥氏が就任直前、米側にこう語っていたことが内部告発サイト「ウィキリークス」で暴露されました。
一部右派から「核武装論」が出るものの、全体として日本の原子力政策への支配がうまく機能しているから、再処理を認めても問題はない−米側は、そんな確信を持っているのではないでしょうか。
(つづく)
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