★阿修羅♪ > 原発・フッ素12 > 373.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ブログ記事&日経新聞記事に見られる誤りの指摘とある奇妙なコメントへのコメント
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/373.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 6 月 06 日 05:09:26: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 日経新聞が報じる原発事故の「残る謎」(Internet Zone::WordPressでBlog生活) 投稿者 gataro 日時 2011 年 6 月 05 日 16:34:04)


gataroさんが転載してくれたブログ記事の元になっている日経新聞の記事は手元に持っているが、ブログ記事と日経新聞記事の両方に明らかな誤りがあるので指摘する。

記事全体は、地震そのものの影響として、3号機の配管亀裂の可能性や1・2号機の受電用遮断機の非作動などを指摘し、事実経過もそれなりにきちんとまとめられているので有益だと思う。


最初に、記事には見当たらないので、ブログ記事を書かれたひとの注記だと思われる部分の誤りについて一言。

【引用】
「1号機の「非常用復水器」(炉心の1時冷却水の蒸気を復水させて、炉心冷却に用いるもの。電力がなくても作動するため、電源喪失時の最後の頼みの綱とされる)」


【コメント】
1号機の「非常用復水器」に関するこの説明は誤っている。

1号機の「非常用復水器」は、原子炉圧力容器内の蒸気を復水(凝縮)させて、再循環ポンプと配管を利用して炉心や圧力容器の冷却(注水)や圧力低減に用いるもの。ポンプなどの電力は非常用バッテリーを利用し、その寿命からおよそ8時間の稼働が可能とされる。1号機は隔離時冷却系が装備されていないので、電源喪失時に最後の頼みの綱となる。

【引用】
「2号機の隔離時冷却系について、バッテリーでは約8時間しか動かないはずのものが、起動と停止をくり返して30時間以上動いていたことに疑問を呈している。」


【コメント】

この表現は記事中の「装置は蒸気が発生する限り動くが、弁の開閉には電池が必要。保安院は「8時間程度は持つ」と説明してきたが、推定通りならこれを大きく超えて3日間動き続けてきた。」に相当する部分だと思う。

しかし、隔離時冷却系は、通常運転中ならタービンに送られる主蒸気を隔離弁でシャットアウトして原子炉を隔離し、原子炉で発生する蒸気を隔離時冷却用のタービンに用いることで電源喪失状態でも原子炉に注水ができる装置である。

バッテリーは、原子炉を隔離するための主蒸気隔離弁閉操作と隔離時冷却ポンプへの弁開操作、水源となる復水貯蔵槽や圧力抑制室の配管弁の開操作、冷却系の原子炉への注水配管の弁の開操作に必要なだけなので、8時間とかいった連続した長時間の寿命は不要である。
弁の開閉操作を常に続けるという必要はまったくない。隔離弁は閉操作1回(異常事態だから開けることはない)、隔離時冷却ポンプへの弁開操作も1回(電源回復で他の冷却系が稼働するまでそのまま)、復水貯蔵槽配管と圧力抑制室プール配管の弁も開操作1回(水がなくなれば漏れ出すことはないので閉める必要はない)、原子炉への注水配管の弁操作も開1回(注水をやめる時は電源が回復して残留熱除去系など通常の設備が回復した時)だけである。

1号機で話題になった「非常用復水器」はポンプの稼働用電源として電池を使うので8時間しか寿命がないのである。

(ABWR=改良沸騰水型原子炉は主蒸気隔離弁が電力ではなく空気で動くようになっている)

これら少ない弁動作が行える電池からの電力供給があれば、あとは原子炉内の崩壊熱で生じる蒸気を利用して稼働を続ける。
この隔離時冷却系は全電源喪失という“異常事態”で動く装置で、異常事態が3日も続くという想定はないから、今回の事故のように3日近くも稼働したことで想定を超えたと言われている。

「起動と停止をくり返して30時間以上動いていたことに疑問」という表現はおかしい。

2号機隔離時冷却系の起動・停止は、東電公表ベースで、起動が1回、途中での停止が1回、水枯渇で最後に停止となっている。
起動(15:02)と途中の停止(15:28)は、地震発生後すぐのできごとであり津波襲来の前である。
そして、12日2:55に隔離時冷却系が作動していることを確認し、それからは、水源を切り替えた(12日5:00)だけで1日13:25まで動き続けている。

日経新聞の記事には、公表データとは別に、「緊急停止3分後の3月11日午後2時50分、「原子炉隔離時冷却系」を手動起動した」、「しかし起動後1分で自動停止した」という記述がある。
このような操作実績は初出である。
それはともかく、その操作も15:02の操作も、隔離時冷却系より優先度の高いECCSや残留熱除去系が作動しなかった可能性を示唆するものである。
操作の時刻は津波前なので、非常用ディーゼル発電によるAC電源があり、本来ならば、最後の砦である隔離時冷却系よりECCSや残留熱除去系が先行して作動しているはずである。
2号機では、地震による損傷で非常用ディーゼル発電によるAC電源が受電できなかった可能性がある。(受電用遮断機の非作動の影響か?)

「30時間以上動いていたことに疑問」については、3日近く動いていたのが想定外だとしても、電池寿命云々は関係ないから疑問というわけではない。
電池寿命と結び付けるのは錯誤である。

保安院が実際にそのような説明をしたかどうかはわからないが、「8時間程度は持つ」は、1号機の「非常用復水器」の話の可能性が高く、仮に2号機の隔離時冷却系でそのような説明をしたのならウソである。


この他にもブログ記事で取り上げられていない部分で日経新聞の記事には認識違いがみられるが、ここでは簡単に指摘するにとどめる。

1号機の水素爆発の回避問題と4号機の建屋瓦解を水素爆発としていることである。

書こう書こうと思っていて書けないでいるが(政局の関係で)、1号機の水素爆発は、回避できるとかできなかったという問題ではなく、水素爆発につながってもやむなしという判断でドライベントを実施したことで起きたと推測している。

格納容器が爆発的に損壊するよりは、建屋上部が瓦解するほうがいいのではという判断で行われたと思っている。
このベントの実施と結果としての水素爆発は、事前に、避難地域を拡大し、関東甲信越や東北南部の人たちに被曝軽減措置を説明していれば、正当な判断だったと考えている。

4号機はすでに書いたことだが、燃料プールに水を補給するための意図的な爆破であると確信している。


次に、コメント01.に対するコメントに移る。

>>はブログ記事より引用されたもの。
>はコメント01.の主さんの文章。

>>また、2号機の隔離時冷却系について、バッテリーでは約8時間しか動かない
>>はずのものが、起動と停止をくり返して30時間以上動いていたことに疑問を
>>呈している。


>「疑問を呈している」主語は日経かもしれないが、この点についてはたしか保
>安院さえ疑問を呈していたはず。もし格納容器に注水がなされてさえいれば、
>隔離時冷却系がずっと働き続け、2号機圧力抑制室破裂という重大事態は避け
>えたなどと、機器の不全の可能性を「東電・政府の大失態」にすり換えた阿修
>羅の至宝あっしらさん。専門家は誰もそんなことはつゆぞ言っていないよ
>うだ・・・といっても阿修羅有象無象の多くは、そもそもなんのことやら
>さっぱりわからないだろうけど。


大笑いのコメントありがとうございます。

当該日経新聞も、「装置は蒸気が発生する限り動くが、弁の開閉には電池が必要」と説明しており、弁の開閉と電池の関係は上述しているので、“必要な”弁の開閉操作を示し、電池がその操作を行うことでどれくらいの時間で寿命が尽きるのか説明しなければ、私の考えを否定できるわけではないよ。

専門家といっても、“悪意”(知っていながら政府・東電の意向に沿って説明)のひともいれば、能力的に不足のひともいる。
専門家が言っている言っていないではなく、あなたの言葉で少しは説明してみたらいかがかな。

2号機の隔離時冷却系が長い期間動いたことを驚異と考える専門家のコメントは多数でています。
しかし、それは、電池寿命絡みではなく、核分裂が停止した崩壊熱のみの原子炉で発生する蒸気を使うポンプが、あれだけ長い期間稼働し注水を続けたことへのものです。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素12掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素12掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧