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(回答先: 2号炉圧力抑制室の損傷は故意の爆破?! 投稿者 taked4700 日時 2011 年 5 月 27 日 02:48:59)
taked4700さん、お久しぶりです。
刺激的な労作、拝読させていただきます。
3月15日明け方の2号機S/C損壊の原因については、私も投稿をしていますので少しコメントさせていただきます。
1.〜12.に分けて分析されていますので、それに沿いながらコメントさせていただきます。
1.は、他にも含まれている内容なので省略します。
2.について:
【引用】
「圧力容器内で発生した水素がベンチの結果格納容器を経てサプレッションチャンバー内へ放出され、そこで酸素と混合して水素爆発したと言うのなら、サプレッションチャンバー全体が爆発によって破壊されていなければいけない」
「格納容器内である程度均一な組成の気体になっているはずでサプレッションチャンバーに放出されたときにはその気体がサプレッションチャンバー全体に均一に放出されるはず」
【コメント】
この部分を除き、他の2.の分析内容に同意します。
それほど重要なことではないと思いますが、圧力容器内の水素は、メルトダウンで圧力容器底部に“穴”があくまで、格納容器経由ではなく主蒸気逃がし弁とその配管を通ってS/Cに直接送られています。
3.について:
【引用】
「もし、サプレッションチャンバーの外側で爆発が起こったのなら、原子炉建屋の外側のパネルに何らかの破壊が見られるはずだがそういった様子はない。つまり、サプレッションチャンバーの外側で水素爆発が起こった可能性もほぼない」
【コメント】
S/Cの設置場所は原子炉建屋の地下ですから、そこで爆発が起きても、それなりの爆発規模でなければ外に影響を与えることはないでしょう。
今回のS/C損壊でも外見的な破壊は見られていません。
S/Cの外側で爆発が起きたのなら、S/Cの鋼鉄製の大口径管が内側にめくれるように破れているはずですから、見られるようになった時点でわかるはずです。
4.について:ここはポイントだと思われるのでいくつかのコメントを書きます。
【引用】
「3号炉にはMOX燃料が装填されていたことや使用済み核燃料からの水素ガス発生を考えても3号炉での爆発は大規模だった。爆発時に閃光が観察され、瞬間的に連続核反応が起こっていたと事故対応をしていた側に推測されたはずだ。上側に大きく爆風が吹き上がったので使用済み核燃料保管プール内で連続核反応が起こったか、または原子炉内部で連続核反応が起き圧力容器や格納容器のふたを吹き飛ばしたか、どちらかのことが起こったと解釈されたはずだ。」
【コメント】
水素爆発だと私は考えている事象が3号機で起きた3月14日時点では、3号機の使用済み燃料プール内の使用済み燃料から水素ガスが発生することはありません。
4号機の燃料プールより3号機の燃料プールのほうが、崩壊熱の多寡比較から危機度は低かったのです。
4号機の使用済み燃料が溶融していなかったのですから、3月14日時点の3号機の使用済み燃料が溶融していることはまずありません。
地震のときにとんでもないスラッシングが起きていれば別ですが、それで3mくらい水位がさがっていたとしても、その時点では溶融に繋がることはありません。
ただ、水素爆発が起きたことで燃料プールの水が相当量こぼれた可能性もあり、俄然危機が意識されるようになったとは考えています。
赤い閃光ですから千度未満の炎です。
水素爆発ですから、上側に大きく爆風が吹き上がるのは自然です。
溶融もしていない使用済み燃料が、再臨界さらには核暴走を起こすことはありません。
仮にあったとしても、水素爆発によって環境が変わり、溶融が進んだあとの話で、水素爆発と同時的ではありません。
3号機は1号機の1.7倍の熱出力ですから、燃料棒の数が同じように違います(1号機:31,244本に対し3号機:MOX込みで43,843本)。
その分ジルカロイの酸化で生じる水素の量が違ってきます。
それが、1号機は爆燃、3号機は爆轟という違いになったと考えています。
【引用】
「既に使用済み核燃料保管プールからの水素ガスに対しては2号炉のパネル開放をした。残る危険性は原子炉破裂の可能性であり、それをいかに止めるかが検討されたはずだ。破裂を防ぐには圧力を下げるしかない。格納容器圧力異常上昇が見られたら速やかに格納容器の圧力を下げるために何ができるのか、それを考えたはずだ。それは次の様なものであったのではないだろうか?格納容器内のガスには、当然、放射性物質が多量に含まれている。放射性物質を大気中に放出しないで圧力を下げるためにはサプレッションチャンバーの上部を爆破して穴をあければいい。」
【コメント】
「残る危険性は原子炉破裂の可能性」はほとんどないとはいえ、考慮はすべき問題だとおもいます。(2号機は50気圧Gから60気圧Gで推移し、水位がダウンスケールになった時点で7気圧Gになっているが、圧力容器は90気圧までは耐えるはず)
格納容器の圧力による損壊は原子炉よりも重大だと認識されたと思います。
しかし、以降の推論には大きな疑問を持ちます。
格納容器の閉じ込め機能を重視する人たちが、すでに2号機も“空だき”状態になりそう遠からず全炉心メルトダウンになり、圧力容器(原子炉)に“穴”があくこともわかっている時点で、格納容器に“地続き”のS/Cに、爆破ないし破壊で“穴”をあけることを選択するはずもありません。
【引用】
「サプレッションチャンバーの圧力が下がれば、自然に格納容器内から管を通してサプレッションチャンバーの下部にたまった水の中へ格納容器内のガスが噴出してくる。水で冷やされてヨウ素やセシウムなどの放射性物質はサプレッションチャンバー内にとどまり基本的に水素ガスだけが建屋下部に放出されるが既に水素ガス対策として建屋上部のパネルを開放してあるから水素爆発の心配はない。また、使用済み核燃料保管プールの冷却水は消防ポンプにより補給ができている。」
【コメント】
「サプレッションチャンバーの下部にたまった水の中へ格納容器内のガスが噴出」と書かれていますが、隔離時原子炉冷却システムで2号機のS/ Cの水は空っけつになっているはずです。
だからこそ、注水がないまま蒸発で水位がぐんぐん下がり“空だき”になったのです。
この時点では「使用済み核燃料保管プールの冷却水は消防ポンプにより補給ができている」ことはないと思っていますが、情報源は何ですか?
5.について:
【引用】
「1号炉での水素爆発を起こした水素ガスの原子炉建屋内への漏出がなぜ起こったのかはっきりしない。圧力容器や格納容器のふたの部分のパッキンから漏れたと言う解説が一部でされているが疑問だ。」
【コメント】
私も先日自説を疑うかたちで1号機の水素爆発に至る経緯を考え直しています。
結論は出たのですが、すっきり根拠を示すための作業をしています。
【引用】
「今回の地震程度の揺れでパッキンから漏れるのならそれこそおんぼろ原子炉ということになる。つまり、頻繁に原子炉建屋内で今までに水素爆発が起こっていなければいけない。」
【コメント】
格納容器の蓋は、語弊はありますが、高圧にさらされ続けると隙間ができるものです。
的検査で毎回漏れの試験をしていますが、設計圧力の0.9倍の圧力をかけてどれくらい気体が漏れるかテストしています。5%を超える漏れだとアウトだそうです。
最高使用圧力5気圧ABSを超える状態が続いていたのですから、隙間ができてもなんら問題ありません(ほんとうはおおありですが)。
しかし、だからといって、「頻繁に原子炉建屋内で今までに水素爆発が起こっていなければいけない」というわけではありません。
水素は放射線の影響による水の分解でも生じますが、それは通常運転中は主蒸気に混ぜて圧力容器から外に出し格納容器にもいかないようになっています。
【引用】
「それよりも、サプレッションチャンバーから外部排気塔へ排気を導く管が地震の揺れで壊れてしまっていて、ウェットベントをした結果、建屋内へ排気が滞留した可能性が高い。」
【コメント】
ほとんどのウェットベントがうまくいっていないようですから、その可能性もありますが、ほとんど号機で同じように損傷を受けたとも考えにくいので別の原因も探しています。
【引用】
「通常のベントができず、建屋内に水素ガスが滞留すると分かったから建屋のパネルを外すと言う措置をしたはずだ。なお、もともと建屋内へ排気を出す構造だと言う話もあるが、これはおかしい。なぜなら圧力異常上昇が起こった時は普通水素ガスの発生の可能性があるわけで、ウェットベントしても水素ガスはほとんど除去できず建屋内へ排出されてしまうからだ。」
【コメント】
2号機の建屋壁面パネルの開放は言われるような目的だと思っています。
ただ、「建屋内へ排気を出す構造だと言う話もあるが、これはおかしい。なぜなら圧力異常上昇が起こった時は普通水素ガスの発生の可能性がある」というのはちょっと違うと思います。
建屋上部の壁や天井は、そのような爆発が格納容器や原子炉圧力容器に大きな影響を与えないよう“弱く”設計施工されています。
それは、今回のような水素爆発が起きることを想定しての話です。
6.については同意します。
7.についても同意します。
8.については、「4.について:ここはポイントだと思われるのでいくつかのコメントを書きます。」と重複する部分が多いのでそれでかえさえていただきます。
9.について;
【引用】
「14日午後10時過ぎの格納容器圧力異常上昇を見てサプレッションチャンバーへのベントを改めて試みたがサプレッションチャンバーの気圧が下がらずにベントがうまく行かず、最終手段としてサプレッションチャンバーの一部を人工的に破壊してサプレッションチャンバーの気圧を低下させたのではないだろうか。
【コメント】
「4.について:ここはポイントだと思われるのでいくつかのコメントを書きます。」と重複するので省略します。
私の推論は、
事故を「レベル7」まで深刻化させた政府・東電の大罪:2号機圧力抑制室損壊は事故対策チームの極めて深刻な失態
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/549.html
[事故発生から2号機圧力抑制室損壊までの経緯:5] (その7)
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/601.html
を参照してください。
10.について:
【引用】
「福島第一原発の上空飛行禁止が3月15日にされているが、これは多分15日の早朝、つまり、2号炉のサプレッションチャンバーの異音発生時には飛行禁止がされていたはずだ。」
【コメント】
福島第一原発の上空飛行禁止は、半径20km範囲が12日に出され、半径30kmまでの拡大が15日です。
11.について:
【引用】
「2号機への海水注入が消防ポンプの燃料切れにより中断し、それは職員が監視または見回りのためにその場を離れていたから燃料切れに気づかなかったと説明されたが、これは不自然だ。ポンプの燃料切れはいつごろ起こるか事前に予測されているはずで、事前に燃料補給の計画が立てられているはずだからだ。つまり、海水注入の中断は、この時にサプレッションチャンバーの破壊のための爆破機器のようなものを2号炉原子炉建屋に運び込む必要があり、消防ポンプ車を移動させる必要があったからではないだろうか。」
【コメント】
燃料切れという発表には笑ってしまいましたが、4.で書いたように、S/ Cを破壊するために何かということはないと考えています。
高圧だった2号機の原子炉には、消防車(最大6.5気圧程度の圧力)ではなかなか注水できなかったと考えています。
12.は基本的に同意します。
なかなか刺激的で、これまでの自分の思考を整理する意味でも大変参考になりました。
今後とも積極的な投稿をお願いします。
ざざっと書きましたので、わかりにくい点や間違いもあるかと思いますので、ご指摘よろしくお願いします。
なお、これから、買い物に行って食事をつくり酒もくらいますのでレスは遅れてしまうと思います。ご了承くだささい。
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