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【社説】浜岡3号機 今のままでは動かせぬ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011042902000059.html
2011年4月29日 東京新聞
定期点検中の浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)を七月までに再開させる−。中部電力が、こんな見通しを打ち出した。震災と原発への対応が技術的にも不安視される中、あまりに時期尚早だ。
浜岡原発は「世界で最も危険な原発」とも呼ばれている。3号機に関しては、立地条件と技術面で三つの理由が挙げられる。
・東海地震の想定震源域の真っただ中にある。
・高さ八・三メートルを想定した津波対策の効果が疑問視されている。
・原子炉のタイプが今では旧型に属する。
海辺、低地の立地条件も福島第一原発によく似ており、東日本大震災後、住民の不安は高まる一方だ。本社と静岡大の共同世論調査でも、静岡県民の九割が震災後、地震への不安を強めているとの結果が出た。地震への不安は、原発への不安でもあるはずだ。
心配は県民だけにはとどまらない。浜岡から東京までは百八十キロ。福島第一と東京との二百三十キロよりさらに近い。
もし、大地震で重大な破損が起きて大量に放射性物質が漏れ出た場合、半日で首都圏に達するとのシミュレーション結果もある。名古屋市までは百三十キロしかない。
福島第一原発の状況は、一進一退が続いている。国民全体がかたずをのんで見守りながら、不安と闘っていると言っていい。
経済産業省原子力安全・保安院は、すべての原発の安全対策見直しを求めている。浜岡では、即時停止を求める仮処分の申し立ても準備されている。そんな不安と不信の真っただ中、現在止まっている3号機の再開時期を示すのは、少なくとも拙速のそしりを免れない。二〇〇三年に炉心を覆う隔壁にひび割れが見つかるなど、3号機で起きた重大事故を思い出す人も多いに違いない。
真夏の電力需要を心配するのは当然だ。現状でも安全は確保されていて、緊急対策は安心のためだと中電側は言う。しかし、その安心が万全にはほど遠い。原発を動かすものとして、投資家よりも首都圏なども含めた住民の今の不安を解消するのが先である。
技術的な課題解決の道筋を全国民に説明し、今後電力をどうするか、省エネや自然エネルギーをどうするかをよく話し合う。今はその時期ではあるまいか。
安心は、まだ見えてこない。このままでは、3号機を動かすべきではないはずだ。
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