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2011.05.24 朝刊
生活保護費の引き下げに向けた検討を厚生労働省が始めた。
保護費が最低賃金や基礎年金の額を上回る「逆転現象」が一部の地域で出ており、それを解消するためという。
だが、逆転現象の解消は本来、最低賃金の引き上げや年金制度の改革で実現すべきだ。
生活保護は、国民に健康で文化的な最低限の生活を保障するため、雇用や年金などと併せて張り巡らせているセーフティーネット(安全網)のうちの最後のものと言われる。
保護費の引き下げは、最低賃金を押さえ込むことにつながりかねない。安全網全体のほころびを招く危険性を忘れてはいけない。
厚労省は先月、社会保障審議会に生活保護基準部会を設置した。生活保護を受けていない一般低所得者の消費実態を参考に、生活保護基準の見直しを図る。
生活保護の基本部分である生活扶助費は、65歳の単身世帯で自治体の規模により月額6万2640円〜8万820円、夫婦とも65歳の場合は合計で9万4500円〜12万1940円となる。
家賃などを支払っている場合は、住宅扶助として実費が加算される。
一方、基礎年金は月額6万5741円(夫婦合計は13万1482円)で、単身世帯では都市部などで保護費の方が上回っている。
また、昨年度の最低賃金は全国平均で時給730円(北海道は691円)になっており、北海道や東京都など5都道県で保護費との逆転現象が生じている。
こうした状況では「まじめに働く意欲を損ねかねない」との指摘は理解できる。だが、低きに合わせようとするのは本末転倒ではないか。
毎年、最低賃金を決定する際にも逆転現象解消のために、計画的に額を引き上げているのだ。
生活保護の受給者は1995年度の88万人を底に年々増え、今年2月現在は199万人を数える。東日本大震災の影響もあり、年内には59年ぶりに200万人を超えるのが確実とみられている。
とくに、3年前のリーマン・ショック以降は失業などで現役世代の受給が顕著になった。
給付総額はすでに3兆円を超している。保護費の4分の3は国、残りの4分の1は市町村の負担だ。受給者の増加が国や自治体の財政を圧迫しているのは間違いない。
この問題の解決に必要なのは、保護費の抑制ではなく、生活保護を受けている人が自立し、保護を抜け出すための支援だ。就労意識を高めたり、社会参加を促したりする事業を自治体は積極的に進めてほしい。
北海道新聞社
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